更新日:2026年2月26日 (木)
公開日:2025年7月2日 (水)
不倫相手からのリベンジポルノが招く深刻な影響と対処法を解説
サマリー
不倫関係を解消しようとした際に、相手から性的な写真や動画の流出をほのめかされたり、実際に公開されてしまったりして強い不安を感じている方もいるのではないでしょうか。リベンジポルノは個人の尊厳を傷つけるだけでなく、家庭や社会的信用にも重大な影響を及ぼしかねない問題です。被害の拡大を防ぐためには、早期に適切な対応を取ることが求められます。この記事では、不倫相手からのリベンジポルノがもたらす影響や事前の削除要請における留意点、実際に被害を受けた場合の具体的な対処法について解説します。
不倫相手からのリベンジポルノが招く4つの深刻な影響
性的な写真や動画を第三者に流出・拡散されるリベンジポルノ被害は、個人の尊厳を傷つけるだけでなく、私生活や社会生活全般にわたって重大な影響を及ぼすおそれがあります。
特に不倫関係に起因して画像や動画が流出した場合、人間関係のトラブルや法的な責任問題など、複雑な不利益へと発展するリスクが考えられます。
1. デジタルタトゥーとして半永久的に情報が残るリスク
インターネット上に一度写真や動画が公開されると、不特定多数の第三者によってダウンロードされたり、別のサイトへ転載されたりする傾向があります。
元の投稿を削除できたとしても、完全にデータを消し去ることは難しく、入れ墨のように残り続けることから「デジタルタトゥー」と呼ばれています。流出データから氏名や勤務先などの個人情報が特定される危険性も否定できません。
2. 家庭環境の悪化や離婚問題への発展
公開されたデータは、意図しない形で家族や親族の目に触れる可能性があります。SNSや掲示板への投稿のみならず、メッセージアプリやメールで知人宛てに送信されたデータが間接的に家族へ伝わるケースもあります。
自身が既婚者である場合には、不倫の事実が配偶者に知られることで婚姻関係が破綻し、離婚協議へと発展する懸念があります。子どもがいる家庭では、生活環境や交友関係への悪影響も懸念されます。
リベンジポルノによる流出は、本人のみならず家族全体の生活環境や家庭関係を揺るがす重大な要因となり得ます。
3. 職場や周囲からの社会的信用の失墜
性的な画像や動画が周囲に知れ渡ることで、これまで築いてきた人間関係や社会的な立場に悪影響が及ぶおそれがあります。
被害の背景に不倫関係が存在することが知られた場合、職場や知人関係において厳しい目を向けられ、業務上の信頼関係やキャリアに影響を及ぼす可能性も考えられます。
4. 不倫相手の配偶者から慰謝料請求を受ける可能性
リベンジポルノ被害をきっかけに、不倫の事実が相手の配偶者に把握されるケースがあります。知人経由での拡散やネット上の情報から不貞行為が発覚することは珍しくありません。
相手配偶者に不倫関係が知られた場合、夫婦関係を侵害した民法上の不法行為を理由として、不貞慰謝料の支払いを請求される法的なリスクが生じます。
被害に遭う前の段階で相手にデータ削除を求めることは可能か
違法行為が具体化していない段階での法的請求の難しさ
不倫相手が所持している性的な画像や動画について、流出を未然に防ぐために事前に消去させたいと考えるケースは少なくありません。しかし、インターネット上への公開や第三者への送信といった具体的な流出行為が行われていない段階では、法的手続きによって強制的にデータを削除させることは難しいのが実情です。
個人のスマートフォンやタブレットなどに保存されているデータは、原則としてその端末の所有者が管理する権限を持っています。そのため、現時点で権利侵害の事実が客観的に立証できない状態では、法律上の請求権を根拠として削除を強制することは困難とされています。
端末データの所有権管理と法的限界
法的な救済措置や損害賠償請求は、原則として写真や動画が無断で第三者に提供・拡散されるなど、具体的な不法行為や被害が発生した段階で検討される傾向にあります。
相手が単に画像などのデータを私的な端末内に保存している状態のみを捉えて、私有財産である端末内のデータを強制的に消去させることは、法的な観点からも限界が存在します。
具体的な違法行為が立証できない段階では、法的な強制力をもってデータを消去させることは容易ではありません。
被害が顕在化する前の話し合いによる対応の重要性
法的な強制措置を講じることが難しい事前段階においては、相手方との話し合いによって任意にデータを削除してもらうよう促すことが現実的な対応となります。
ただし、一方的に強い態度で詰め寄ったり感情的な対立を深めたりすると、相手を刺激してかえって流出のリスクを高めてしまう懸念もあります。冷静に対話を進め、データの確実な消去について合意形成を図ることが大切です。
実際にリベンジポルノ被害に遭った場合の対処法
性的な画像や動画が公開されたり送信されたりする被害が発生した場合、被害の拡大を防ぐために迅速かつ適切な初動対応をとることが重要です。焦って相手に連絡する前に、まずは冷静に状況を整理し、必要な手続きを進めることが求められます。
被害状況を示す客観的な証拠を保存する
被害に気づいた際、すぐに削除要請を行いたくなることもありますが、まずは証拠を保全することが大切です。客観的な証拠が残っていない場合、相手への責任追及や警察への相談が難しくなる可能性があります。
証拠を保存する際は、画像そのものだけでなく、流出の経緯や拡散状況が客観的に分かる情報を漏れなく記録しておく必要があります。
- 画像や動画が掲載されているウェブページのURLおよび画面全体のキャプチャ
- 画像やメッセージの投稿日時、送信日時が確認できる画面
- 送信元や投稿者のアカウント情報、メッセージの送受信履歴
- 動画が掲載されている場合はその再生・録画データ
処罰規定を踏まえて警察へ早期に相談する
リベンジポルノ行為は、「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」によって処罰の対象とされています。
同法では、第三者が撮影対象者を特定できる方法で性的な画像や動画を不特定多数の人に提供した場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される規定となっています。
実際にネット上へ公開されたケースだけでなく、画像を送信して脅迫を受けているような段階であっても、速やかに最寄りの警察署に相談することが有効な対処法となります。
被害の深刻化を防ぐためにも、証拠を持参したうえで早期に警察へ相談することが大切です。
管理者やプロバイダ・公的相談窓口への削除依頼
インターネット上に掲載された画像や動画を消去するためには、掲載先のウェブサイト管理者に対して速やかに削除を依頼します。問い合わせフォームや削除依頼用窓口から申請を行うのが一般的な流れです。
サイト管理者が対応しない場合や連絡先が不明な場合には、サイトが置かれているサーバーのプロバイダ事業者に対して送信防止措置を求める手続きが検討されます。
自身での削除申請が難しい場合や対応に不安がある場合は、法務省の人権擁護機関が設置しているインターネット人権相談受付窓口などの公的な相談窓口を活用することも選択肢となります。
不倫相手のリベンジポルノに関するよくある疑問
不倫相手から性的な画像や動画の流出を示唆されたり、実際に被害を受けたりした場合、法的責任の追及や今後の対応について疑問を抱くケースは少なくありません。ここでは、リベンジポルノ被害に関して寄せられることの多い疑問について解説します。
Q. 不倫相手に流出をほのめかされた段階で弁護士に相談できますか?
画像や動画が実際に公開される前の段階であっても、弁護士への相談は可能です。相手から流出をほのめかされている状況において、法的な観点からどのような事前準備や対応を取りうるかについて助言を受けられます。
早い段階で相談しておくことで、万が一被害が顕在化した場合にも、証拠の保全や削除要請などの初動対応を速やかに進めやすくなります。
Q. リベンジポルノ被害に遭った場合、不倫相手に慰謝料を請求できますか?
性的な画像や動画を無断で公開・送信する行為は、本人の名誉やプライバシー、平穏な私生活を送る権利を侵害するものとみなされる場合があります。
民法第709条に基づく不法行為に該当すると認められれば、不倫相手に対して損害賠償や慰謝料の支払いを請求できる可能性があります。
Q. リベンジポルノ被害に遭ったことを理由に、相手の配偶者からの不貞慰謝料を減額できますか?
不倫相手からリベンジポルノの被害を受けたとしても、それを直接の理由として相手配偶者からの不貞慰謝料請求を減額することは法的に難しいと考えられます。
不貞行為によって相手配偶者が被った精神的苦痛への損害賠償と、不倫相手によるリベンジポルノの違法行為は法的に別問題として扱われます。
そのため、リベンジポルノを行った相手に対する責任追及は、不貞慰謝料の減額交渉ではなく、不倫相手自身に対する慰謝料請求などの手続きとして個別に進めることが一般的です。
深刻な被害を防ぐための弁護士への相談
リベンジポルノに関するトラブルは、対応が遅れたり方法を誤ったりすると、インターネット上への無断転載や知人への送信といった二次被害に発展するおそれがあります。特に男女関係のもつれが背景にある場合、当事者の感情的な対立から事態が急速に悪化することも少なくありません。
被害の拡大を防ぎ、取り返しのつかない事態を避けるためには、早い段階で適切な法的措置や防御策を講じることが重要です。
弁護士に相談するメリットと対応の流れ
法律の専門家である弁護士に相談することで、現在の状況においてどのような法的請求や対処が可能なのかを整理し、適切な助言を受けることができます。流出をほのめかされている段階であっても、今後の見通しや証拠の残し方について具体的な指導を得ることが可能です。
また、当事者同士で直接交渉を続けると、相手を刺激して画像の拡散を招く危険性があります。弁護士が代理人として窓口になることで、直接の接触を避けつつ、法的な根拠に基づいた交渉を進めやすくなります。
複合的な法的トラブルへの総合的なアプローチ
不倫相手からのリベンジポルノでは、画像の削除や拡散防止だけでなく、相手配偶者からの不貞慰謝料請求や、加害者に対する損害賠償請求など、複数の民事上の問題が同時に発生することがあります。
刑事告訴の検討と並行して、こうした複雑な権利関係を適切に整理し、不利益を最小限に抑えるための総合的な方針を立てられる点が弁護士へ依頼する大きな利点です。
一人で抱え込まずに、まずは専門窓口や弁護士に相談し、適切な解決に向けた一歩を踏み出すことが推奨されます。
コラム監修者
SHIZU ISHIDA
所属:東京オフィス
広島県広島市出身。青山学院大学心理学科、東海大学法科大学院卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、刑事、民事、法人案件等幅広い分野の専門知識を習得。弁護士登録10年目にしてネクスパート法律事務所に入所し、現在は主に離婚事件に注力している。