更新日:2022年10月14日 (金)

公開日:2022年10月14日 (金)

15の判例から見る不倫慰謝料の相場と増額のための3つのポイント

15の判例から見る不倫慰謝料の相場と増額のための3つのポイント 15の判例から見る不倫慰謝料の相場と増額のための3つのポイント

サマリー

配偶者の不倫が発覚した場合、配偶者と不倫相手に対して慰謝料請求ができます。
しかし、いざ請求しようと思っても、いくらくらいが妥当なのか悩みますよね。
できるだけ多くの慰謝料を貰いたいと考えるのは当然です。

この記事では、15の判例から見る不倫慰謝料の相場と増額のための3つのポイントをご紹介しています。
ぜひ参考にしてください。

不倫慰謝料の相場は50~300万円程度

不倫慰謝料の相場は、50~300万円程度です。
明確な基準が定められているわけではありませんが、裁判実務では、おおむね50~300万円の範囲になることが多いです。

不倫慰謝料は、基本的に被害者の精神的苦痛が大きい・夫婦に与えた影響が大きいほど、金額も高くなる傾向にあります。
そのため、離婚しない場合よりも離婚する場合の方が相場も高くなっています。

ただし、最終的な金額は、次章で紹介する個別的な事情が考慮されることから、相場よりも高い金額が認められる可能性もあるでしょう。

不倫慰謝料の金額を決める要素

不倫慰謝料の金額を決める要素は、下表のとおりです。

 

不倫慰謝料の具体的な金額は、これらの事情などを踏まえて総合的に決まります。

判例から見る|不倫慰謝料の相場

過去の判例について、金額別にご紹介します。

慰謝料50万円未満の事例

慰謝料50万円未満の事例を2つご紹介します。

慰謝料40万円(東京地裁令和 4年12月15日判決)

不倫相手に対する慰謝料40万円の支払いを認めた事例です。

 

裁判所は、不貞行為当時の婚姻関係について、原告の暴力により既に破綻に限りなく近い状態であったとしています。

不貞開始以前から婚姻関係が相当程度悪化しており、不貞行為も1回のみであることから、相場よりも低い40万円が認定されたと考えられるでしょう。

慰謝料40万円(東京地裁令和元年10月30日判決)

不倫相手に対する慰謝料40万円の支払いを認めた事例です。

裁判所は、この事例について、婚姻期間が長期にわたるとは評価できないとしています。

婚姻期間が短く、不貞行為が1回のみであり、その他増額要素もないことから、相場よりも低い40万円が認定されたと考えられるでしょう。

慰謝料50~100万円未満の事例

慰謝料50~100万円未満の事例を4つご紹介します。

慰謝料50万円(東京地裁令和 5年 3月15日判決)

不倫相手に対する慰謝料50万円支払いを認めた事例です。

裁判所は、被告が交際相手に配偶者がいると認識していたとまで認めることはできないものの、認識していなかったことについて過失があるとしました。

不貞期間は約2年であること、既婚者と認識がなかったことについて不合理な説明をしていないことから、相場の中でも低めの50万円が認定されたと考えられるでしょう。

慰謝料50万円(東京地裁令和 4年 7月14日判決)

不倫相手に対する慰謝料50万円の支払いを認めた事例です。

裁判所は、不貞行為当時の婚姻関係について、既に破綻していたと断定することはできないものの、破綻に近い状態であったとしています。

不貞期間は約1年であり、不貞行為当時の夫婦関係について原告が何らの説明もしなかったこと(尋問期日欠席)から、婚姻関係が相当程度破綻していた可能性は否定できないとして、相場よりも低い50万円が認定されたと考えられるでしょう。

慰謝料60万円(東京地裁令和 3年11月12日日判決)

不倫相手に対する慰謝料60万円の支払いを認めた事例です。

裁判所は、証拠上認められる不貞行為は1回のみであり、以前から職場の同僚の域を超えた親密な関係にあったものといえるが、その期間は、婚姻関係の期間に比してかなり短いものといわざるを得ないとしています。

婚姻期間と比較して、不貞期間が短いことから、相場の中でも低めの60万円が認定されたと考えられるでしょう。

慰謝料70万円(東京地裁令和 4年10月 5日判決)

不倫相手に対する慰謝料70万円の支払いを認めた事例です。

被告が不貞関係の解消を約束したにもかかわらず、原告の元配偶者に会いに行った事情はあるものの、不貞回数が2回、婚姻期間も比較的短いことから、相場よりも低い70万円が認定されたと考えられるでしょう。

慰謝料100~200万円未満の事例

慰謝料100~200万円未満の事例を4つご紹介します。

慰謝料100万円(東京地裁令和 4年 7月20日判決)

不倫相手に対する慰謝料100万円の支払いを認めた事例です。

裁判所は、交際について、2人で会ったのは4回、期間にして1か月弱であり、比較的短期間といえること、証拠上認定できる不貞行為は1回だけであることからすると、被告の不貞行為を重く評価することは相当ではないとしています。

不貞行為は1回のみであり、不貞行為発覚後、被告が原告に対し直接謝罪し、慰謝料支払の意思を示していたこと、その他特段の増額事由は見受けられないことから、おおむね相場どおりの100万円が認定されたと考えられるでしょう。

慰謝料100万円(東京地裁令和 5年 8月17日判決)

不倫相手に対する慰謝料100万円の支払いを認めた事例です。

裁判所は、原告には幼い子がおり、本件不貞の態様その後の被告の対応も考慮すると、原告は多大な精神的苦痛を被ったものと認められるとしています。

不貞行為は1回のみであるものの、幼い2人の子がいる点、不貞の態様やその後の被告の対応の増額要素により、おおむね相場どおりの100万円が認定されたと考えられるでしょう。

慰謝料160万円(東京地裁令和 5年 3月 7日判決)

不倫相手に対する慰謝料160万円の支払いを認めた事例です。

裁判所は、不貞期間約4年について、比較的長期に及ぶとしています。

婚姻期間が約5年と長いとは言えず、悪質な行為等もないことから、相場よりも低い160万円が認定されたと考えられるでしょう。

慰謝料180万円(東京地裁令和 5年 8月 7日判決)

不倫相手に対する慰謝料180万円の支払いを認めた事例です。

裁判所は、被告は塾長であり、原告には子らの教育を委ね信頼していた被告に裏切られた側面のあることが認められるとしています。

不貞回数は4回であるものの、子が2人いる点、被告の立場や不貞発覚後の態度から、相場の中でも高めの180万円が認定されたと考えられるでしょう。

慰謝料200~300万円未満の事例

慰謝料200~300万円未満の事例を3つご紹介します。

慰謝料200万円(東京地裁令和 5年 5月16日判決)

不倫相手に対する慰謝料200万円の支払いを認めた事例です。

裁判所は、不貞期間約6年について、その期間は長期に及ぶとしています。

婚姻期間が20年以上と長く、不貞期間も長いこと、さらに原告がうつ状態との診断を受けたことから、相場の中でも高めの200万円が認定されたと考えられるでしょう。

慰謝料200万円(東京地裁令和 5年 2月20日判決)

不倫相手に対する慰謝料200万円の支払いを認めた事例です。

不貞期間は短期間であり、原告の被告に対する不適切行為があったものの、婚姻期間が相当長期に渡ることが考慮され、相場の中でも高めの200万円が認定されたと考えられるでしょう。

慰謝料200万円(東京地裁令和 4年 8月24日判決)

不倫相手に対する慰謝料200万円の支払いを認めた事例です。

裁判所は、不貞期間約5年10か月について、比較的長期としています。

不貞期間が長いこと、原告の要請にもかかわらず関係解消しないこと、被告と原告の配偶者は同居を続け、祝賀会等の第三者が参加する行事においても妻のように振る舞っていることから、相場の中でも高めの200万円が認定されたと考えられるでしょう。

慰謝料300万円以上の事例

慰謝料300万円以上の事例を2つご紹介します。

慰謝料300万円(東京地裁令和 4年 9月 6日判決)

不倫相手に対する慰謝料300万円の支払いを認めた事例です。

結婚して2年も経過しない時期から、長期間にわたり不貞関係を継続したこと、不貞開始当時、原告には幼い子が3人いたことから、相場の中でも高めの300万円が認定されたと考えられるでしょう。

慰謝料300万円(東京地裁令和 3年 1月20日判決)

不倫相手に対する慰謝料300万円の支払いを認めた事例です。

不貞期間は約1年と長くはないものの、不貞発覚後、原告はうつ病・PTSDと診断されたこと、原告は離婚を望んでおらず、関係解消を求めたものの、被告は、現在も原告の配偶者とその間の子と共に同居中であることから、相場よりも高い300万円が認定されたと考えられるでしょう。

不倫慰謝料を増額するための3つのポイント

不倫慰謝料を増額するためのポイントは、次の3つです。

  • 複数回の肉体関係を証明する証拠を抑える
  • 増額要素を主張する
  • 裁判ではなく示談での解決を目指す

以下、詳しく見ていきましょう。

複数回の肉体関係を証明する証拠を抑える

複数回の肉体関係を証明する証拠を抑えることです。

慰謝料の金額は、不貞回数が多いほど・不貞期間が長いほど増額する傾向にあります。

不貞行為(肉体関係)が1回でもあれば、原則として、慰謝料請求は認められます。
しかし、不貞行為が1回のみのケースでは、慰謝料の相場は数十万~200万円程度少し低めの傾向にあります。
さらに、裁判では、不貞期間が○○年だと主張しても、証拠上明らかな不貞が1回だけであれば、慰謝料算定の際には、不貞行為が1回として考慮されます。

したがって、できるだけ複数回の肉体関係を証明する証拠を抑えましょう。

増額要素を主張する

増額要素を主張することです。

3章の判例からもわかるとおり、増額要素の有無により、慰謝料の金額は変動します。
例えば、次の2つのケースを考えましょう。

【CASE①】
・不貞期間1年
・婚姻期間15年
・婚姻継続(同居)
・子2人
・関係解消を求めても関係を継続
・不倫相手から複数回離婚の要求あり
【CASE②】
・不貞期間1年
・婚姻期間15年
・離婚

上記2つのケースは不貞期間・婚姻期間が同じで、CASE②は離婚をしています。

離婚をしたCASE②の方が慰謝料は多いと思うかもしれません。
しかし、CASE①には、《3つの増額要素》があります。
この場合、CASE①の方が高額な慰謝料を獲得できる可能性もあります(※あくまで簡易的な算定であり、全てのケースに当てはまるわけではありません。)。

したがって、増額要素を主張することが大切です。
増額事由については、「不倫慰謝料をできるだけ多くもらいたい!慰謝料の増額事由とは?」の記事をご参照ください。

裁判ではなく示談での解決を目指す

裁判ではなく示談での解決を目指すことです。

慰謝料の金額は、当事者双方の合意があれば自由に決められます
不倫慰謝料の相場は、あくまでひとつの目安であり、必ずこの範囲に収めなければならないわけではありません。
例えば、交渉の末に、相手が相場よりも高い400万円を支払うことに合意すれば、400万円の慰謝料を獲得できます。
しかし、裁判では、基本的に相場の範囲内の慰謝料になる可能性が高いでしょう。

交渉次第で金額の決まる示談と異なり、裁判では、証拠に基づき、ひとつずつ事実が認定されます。そして、認定された事実をもとに、過去の判例等を参考に慰謝料額が決まります。

不倫慰謝料の相場も、過去の判例に基づいていることから、裁判で決まる慰謝料額が、不倫慰謝料の相場とズレることはあまりありません。
したがって、裁判ではなく示談での解決を目指すことで、慰謝料を増額できる可能性があるでしょう。

不倫慰謝料の相場に関するよくあるQ&A2選

不倫慰謝料の相場に関するよくある質問にお答えします。

不倫相手にのみ慰謝料請求する場合の相場は?

不倫相手にのみ慰謝料請求する場合の相場も50~300万円程度です。

離婚しない場合には、配偶者には慰謝料を請求せず、不倫相手にのみ慰謝料請求をするケースも多くあります。その場合には、不倫相手にのみ慰謝料請求が可能です。

ただし、不倫相手にのみ慰謝料請求する場合は、求償権を頭に入れておきましょう。
そもそも、不貞をした二人は、共同で不倫慰謝料の支払い義務を負っています
つまり、不倫相手にのみ慰謝料請求した場合、不倫相手が慰謝料を支払った後で、あなたの配偶者に対して責任割合に応じた額の支払いを請求できます。この権利が、求償権です。

慰謝料を受け取り、解決したと思っていても、後日求償権を行使される可能性があります。

このようなトラブルを避けるために、示談の中で、不倫相手に対して求償権の放棄を求められます。
不倫相手にのみ慰謝料請求をする場合には、求償権の放棄を含めた交渉をすることをおすすめします。

不倫相手にのみ慰謝料請求を考えている方は、「慰謝料を浮気相手だけに請求したい|慰謝料の相場と旦那の反応」の記事も合わせてご参照ください。

過去の不倫の場合の相場は?

過去の不倫の相場も50~300万円程度です。

現在進行形の不倫と過去の不倫とで慰謝料額が変わることは、基本的にはありません。
裁判所も、不貞発覚が15年後の事案について次のように示しました(東京地裁令和 5年 8月23日判決)。

原告が本件不貞行為を認識したのが15年程の年月が経過した後であることから、要保護性は相当低いなどとの主張をするが、本件不貞行為の発覚後、ほどなく別居に至ったという経過に照らして、本件不貞行為自体が相当以前のことであることが要保護性を減殺するものとはいえず、慰謝料額算定における考慮事情とはならない。

したがって、過去の不貞を理由に、直ちに慰謝料が減額されるわけではないでしょう。

ただし、過去の不貞行為が婚姻関係に与えた影響が少ないケースなどでは、慰謝料が減額される可能性があるでしょう。
詳細は「2年前の浮気の慰謝料はいくら?慰謝料請求で確認すべき3つのこと」の記事をご参照ください。

不倫慰謝料の交渉を弁護士に依頼する3つのメリット

不倫慰謝料の交渉を弁護士に依頼するメリットとして、次の3つが挙げられます。

  • 事案に応じた相場を把握できるため適正な慰謝料を請求できる
  • 交渉段階で解決できる可能性が高まる
  • トラブルを未然に防いだ解決策を検討できる

以下、詳しく見ていきましょう。

事案に応じた相場を把握できるため適正な慰謝料を請求できる

事案に応じた相場を把握できるため適正な慰謝料を請求できます。

慰謝料の相場は50~300万円程度ですが、3章で紹介した判例からもわかるとおり、個々の事情により変動します。画一的な基準もないことから、あなた一人で適正な慰謝料を把握するのはなかなか難しいでしょう。
さらに、慰謝料は一度合意すると、原則としてその後金額を変更したり、追加の請求をしたりできません。
増額事由などに気づかず、適正な慰謝料を下回る金額で合意しても、追加の請求は難しいでしょう。

弁護士であれば、あなたの事情を聞き、あなたの事案に応じた適切な相場を把握できます。証拠等から主張できる増額事由を見つけ、あなたに有利に交渉を進められるでしょう。
弁護士に依頼することで、適正な慰謝料を請求できるでしょう。

交渉段階で解決できる可能性が高まる

交渉段階で解決できる可能性が高まります。

当事者同士の交渉では、感情的になりやすく、交渉がまとまりにくい傾向にあります。
「この金額で応じないなら、裁判にする!」などと、感情的なまま裁判に持ち込まれる可能性もあるでしょう。

第三者である弁護士が介入することで、冷静な話し合いが可能になります。
さらに、弁護士は、慰謝料の金額について、適切な判例等を用いて根拠に基づいた主張をすることから、相手も納得する可能性が高くなります。

交渉段階で、適切な金額であることを納得してもらうことで、裁判まで持ち込まれずに解決できる可能性が高まるでしょう。

トラブルを未然に防いだ解決策を検討できる

トラブルを未然に防いだ解決策を検討できます。

慰謝料請求の場面では、慰謝料の金額ばかり注目されがちです。
しかし、慰謝料の金額だけ合意しても、次のような様々なトラブルが生じる可能性があります。

  • 慰謝料支払い後も不倫相手と配偶者が頻繁に会っている
  • 慰謝料支払い後に不倫相手が求償権を行使した
  • 慰謝料支払い後に不倫相手が金額や条件を変更したいと言ってきた 等

せっかく慰謝料をもらえたのに、さらなるトラブルが生じることは避けたいですよね。

弁護士は、交渉だけでなく、その後のトラブルが生じないよう、漏れのない示談書の作成まで行います。弁護士に依頼することで、トラブルを未然に防いだ解決策を検討できるでしょう。
弁護士への依頼のメリットや選び方については、「弁護士選びに失敗したくない!慰謝料請求に強い弁護士の特徴と選び方」をご参照ください。

まとめ

不倫慰謝料の相場は、50~300万円程度です。

ただし、増額事由・減額事由により変動します。

適正な慰謝料額を請求したい場合には、ぜひ弁護士にご相談ください。
弁護士に依頼することで、適正な慰謝料を獲得できる可能性が高まるでしょう。
証拠が十分か不安な方には、証拠が十分かの判断や他に集められそうな証拠はないか等のアドバイスをしてくれるでしょう。

ネクスパート法律事務所では、不貞問題に強い弁護士が多数在籍しています。
仕事が忙しくて相談に行けない人や遠方にお住まいの方のためにLINEによる相談やオンライン法律相談サービスも実施しています。初回の相談は30分無料ですので、ぜひ一度ご相談ください。

コラム監修者

SHIZU ISHIDA

SHIZU ISHIDA

所属:東京オフィス

広島県広島市出身。青山学院大学心理学科、東海大学法科大学院卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、刑事、民事、法人案件等幅広い分野の専門知識を習得。弁護士登録10年目にしてネクスパート法律事務所に入所し、現在は主に離婚事件に注力している。

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