更新日:2026年4月23日 (木)

公開日:2024年6月20日 (木)

被告人とは|刑事事件の被告人と被疑者の違いや原告などの用語を解説

被告人とは|刑事事件の被告人と被疑者の違いや原告などの用語を解説 被告人とは|刑事事件の被告人と被疑者の違いや原告などの用語を解説

サマリー

被告人とは、検察から訴えられて、刑事裁判にかけられる人のことを指します。

また、裁判には、刑事事件と民事事件があり、どちらの裁判かによっても呼び方が変わります。

ニュースでは、被告、容疑者などの用語があり、よくわからないという人もいるでしょう。

この記事では、次の点についてわかりやすく解説します。

・裁判の被告人と被告と原告の違い
・裁判で出てくる用語の解説
・起訴された被告人はどうなる?

裁判の被告人とは

ここでは、裁判の被告人について、被告との違いや被告人の権利についてわかりやすく解説します。

刑事事件で起訴された人のこと

被告人とは、刑事裁判で検察から訴えられて、裁判で有罪判決を受けていない人のことです。

罪を犯したと疑われる人は、捜査されたのちに、有罪か、無罪か、どのくらいの刑罰を科すのか、刑事裁判にかけられて処分が決定します。

疑わしい人を訴えることを、起訴(きそ)といいます。

刑事裁判で、疑わしい人を訴えることができる権利を持つのは、検察だけです。

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被告との違い

一方で、被告とは、民事裁判で訴えられた側のことを指します。

被告人と被告は同じ意味ではないのかと思うかもしれませんが、別の言葉です。

裁判にも色々ありますが、大きく2種類に分けられます。

刑事裁判 民事裁判
内容 刑法に違反した人を裁く 個人のトラブルを解決する
法律 刑法 民法
訴える人 検察 個人(原告と呼ばれる)
訴えられた人の呼ばれ方 被告人 被告
結果 刑罰が言い渡される 金銭的な支払いなどが命じられる

刑事事件で適用されるのは、犯罪に対する罰則を定めた刑法です。

刑法に違反をすると、逮捕や刑事裁判にかけられることになります。

一方、お金の貸し借りや相続、離婚など、生活の上で個人の権利を定めた法律が民法です。

民事裁判では、お金の支払いを求めたり、個人間のトラブルを解決するために裁判が行われるので、訴える側も個人ということになります。

ニュースなどでは、刑事事件で起訴された人を被告と呼びますが、法律用語としては正しくありません。

被告は、民事裁判で訴えられた側の呼び方となるため、刑事事件で起訴された被告人とは異なります

裁判における被告人の権利

起訴された被告人にも、公平で迅速な裁判を受ける権利などがあります。

刑事事件で起訴された人は、犯罪者なのだから、裁判などせずに刑務所に入れればいいのにと考える人もいるかもしれません。

しかし、このような権利がないまま、裁判をせずに有罪にしてしまうと、冤罪だった場合、取り返しがつかないことになってしまいます

そのような冤罪を生まないよう、被告人には権利が保障されており、刑事裁判で有罪が確定するまでは、罪を犯していない人として扱わなければならないという原則があるのです(推定無罪の原則)。

犯人だと確定するのは、裁判官が、検察と弁護士の主張を聞いて、証拠に基づいて有罪だと判断した時です。

被告人と被疑者の違い

よく似た言葉に被疑者(ひぎしゃ)というものがありますが、これも被告人とは意味が異なります。

被疑者とは、犯罪の疑いをかけられて、警察や検察の捜査の対象となり、まだ起訴されていない人のことを指します。

ニュースなどで使用される容疑者という言葉は、被疑者を指すものですが、法律用語ではなく報道用語です。

起訴されて有罪が確定していない被告人とは全く異なります。

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被告人以外に裁判で出てくる用語

刑事裁判では、被告人以外にも、情状証人(じょうじょうしょうにん)などの用語があります。

ここでは、裁判に出てくる用語をわかりやすく解説します。

情状証人とは

情状証人とは、刑事裁判で被告人の罪が少しでも軽くなるように、被告人の人となりや生活状況、更生のために今後どのように監督するのかなどを証言する人のことです。

情状酌量などの言葉で使用される情状とは、裁判官がどのくらいの刑罰を科すのか判断する際に考慮される事情のことを言います。

刑法には、犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは、言い渡す刑を軽くすることができると定められています。

(酌量減軽)
第六十六条 犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは、その刑を減軽することができる。
引用:刑法第66条 – e-Gov

刑事事件では、被告人の性格や生い立ち、反省の程度、一身上の都合、再犯の可能性などを考慮して、各事件ごとにどのくらいの刑罰を科すのかを判断します。

同じ殺人事件であっても、気に食わないから殺害したという場合と、長年暴力を受けてきて耐え切れずに殺害に至った場合では、言い渡される刑期も異なります。

このように、被告人の事情を考慮して少しでも罪を軽くするために証言するのが情状証人です。

情状証人となるのは、被告人をよく知っていて、再犯防止のために、今後監督する立場にある人です。

具体的には、同居している家族や両親、配偶者などが情状証人になるケースが多い他、職場の上司が情状証人になることもあります。

原告とは

被告という言葉と一緒に使われるのが原告です。

原告とは、民事裁判で被告を訴えた側の人のことを指します。

論告・求刑とは

論告とは、刑事裁判で証拠を示して罪を立証するなどした後に、検察が行う最終的な主張のことです。

求刑とは、論告の後に、被告人に科すべき刑罰の種類や程度について、どのくらいの刑に処するのが妥当だと検察が意見を述べることです。

例えば、2024年に男性から1億5,000万円を騙し取り、詐欺で有罪判決となった裁判の例を挙げます。

この事件で検察は次のような論告をしています。

検察側は論告で、ホストを売り上げナンバーワンにするために詐欺に及んだと指摘。「動機は短絡的で身勝手極まりない」と非難した。
引用:「頂き女子りりちゃん」に懲役13年求刑 「居場所失いホストクラブに」 – 産経新聞

その上で、検察は懲役13年、罰金1,200万円を求刑していました。

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疑わしきは被告人の利益にとは

刑事事件では、疑わしきは被告人の利益にという言葉があります。

疑わしきは被告人の利益にとは、刑事裁判で検察側が、被告人の犯罪を立証できなかった場合、裁判官は被告人を有罪にできないという原則のことです。

裁判では、訴えた側が事実を立証する立場にあります。

例えば、検察が殺人をしたと主張するのであれば、被害者は誰なのか、凶器は何かなど、被告人が殺人をしたという証拠を提示して罪を立証しなければなりません。

一方で、訴えられた被告人には、自分が無実であると立証する義務はありません。

ないことを立証するのは悪魔の証明と呼ばれるほど難しく、一市民が組織力のある捜査機関に対して、無実を立証するのは困難です。

自らの無実を証明できないとして有罪になるとしたら、世の中は冤罪ばかりになってしまうおそれがあります。

誤って死刑判決を下してしまったら、取り返しがつきません。

そのため、仮に被告人が限りなく疑わしかったとしても、検察が証拠などを用いてそれを立証できなければ、被告人に有利になるように判断するのが、疑わしきは被告人の利益にという原則なのです。

参考:心にとめておきたい4つのこと – 日本弁護士連合会

起訴された後被告人はどうなる?

起訴された被告人はどうなるのでしょうか?

ここでは、起訴された被告人がどうなるのか、わかりやすく解説します。

起訴後に勾留される

起訴された被告人は、場合によっては起訴後に身柄を拘束をされる可能性があります。

刑事事件では、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されると、逮捕や勾留といって一定期間身柄拘束を受けることになります。

勾留された場合は、10~20日間警察の留置場に入れられ、警察や検察の取り調べを受けます。

この勾留期間の満了までに、起訴か不起訴(事件が終了すること)かが判断されます。

勾留されたまま起訴された場合は、起訴後も勾留される可能性が高いです。

法務省によると、2022年に起訴された被告人が、起訴後も勾留された割合は60.7%(地方裁判所)でした。

起訴後も勾留されると、身柄は拘置所に移送されるケースもあり、拘置所や留置場から、裁判に出席することになります。

参考:令和5年版 犯罪白書 勾留と保釈 – 法務省

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保釈が認められれば釈放される

もし起訴後に勾留されてしまっても、保釈が認められれば、身柄が解放される可能性があります。

保釈とは、保釈の条件を満たし、保釈金を裁判所に預けることで、身柄を解放してもらえる制度のことです(刑事訴訟法第89条)。

有名人が高額な保釈金を払って、身柄が解放されたというニュースで知っている人も多いでしょう。

刑事裁判で有罪になったわけではない被告人を、起訴後も勾留し続けてしまうと、仕事を失うなど、社会復帰に大きな影響を与えてしまいます。

しかし、疑わしい人をそのまま釈放し、罪を犯してしまえば、治安が悪化してしまうかもしれません。

そのため、①保釈の条件を満たし、②裁判所の命令に背かないように保釈金を預けさせて、③裁判所の許可のもと、身柄が解放される制度が、保釈制度なのです。

保釈金は、裁判所の命令を守らせるための人質のようなもので、支払ったからといって無罪になるわけではありません。

命令に反すれば、保釈は取り消され、保釈金は没収されます。

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自宅から裁判に行くこともある

保釈制度の利用や、勾留されていない被告人は、自宅から裁判に出席することになります。

刑事事件では、逃亡や証拠隠滅のおそれがない、身元引受人などの監督者がいる場合、逮捕や勾留が行われないことがあります。

こうした事件を在宅事件と言います。在宅事件の場合、身柄拘束はされていないため、通常通り会社や学校に通うことが可能です。

ただし、定期的に検察などから呼び出されて取り調べが行われます。

在宅事件のまま起訴された場合は、裁判所の呼び出しに応じて裁判を受けることになります。

在宅事件だからといって罪が軽くなるとは限りません。

もし実刑判決が下されると、一定期間後に刑務所に収容されるため、呼び出されることになります。

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被告人は刑事裁判を欠席できる?

刑事裁判は、被告人が出席しなければ、開廷できないと定められています(刑事訴訟法第286条)。

在宅事件のような身柄拘束を受けていない場合に、刑事裁判を欠席するとどうなるのでしょうか。

欠席すると裁判所に勾引される

裁判所の指示に従わずに欠席を繰り返した場合、被告人は裁判所に勾引(こういん)されることになります。

第五十八条 裁判所は、次の場合には、被告人を勾引することができる。
一 被告人が定まつた住居を有しないとき。
二 被告人が、正当な理由がなく、召喚に応じないとき、又は応じないおそれがあるとき。
引用:刑事訴訟法第58条 – e-Gov

裁判所から勾引状が発布されると、警察官などによって、裁判所に強制的に連行されることになります。

何度も欠席を行い、逃亡のおそれがあると判断されると、勾留される可能性もあります。

実際に、2016年には、詐欺などに問われた元県議が裁判を欠席したため、勾引状が発布されたとニュースになりました。

またこの被告人はその後勾留されています。

参考:野々村被告を勾留 3月25日まで2カ月間 – 神戸新聞

保釈金は没収される

保釈中に、裁判を欠席すれば、保釈金が没収されることになります(刑事訴訟法第96条)。

先述した通り、刑事裁判は被告人がいなければ開廷できません。

そのため、保釈の条件の1つが、裁判に出席することと定められています。

保釈金は、被告人の収入などにより左右されますが、おおよそ100~150万円ほどかかる可能性があるため、没収されるとダメージも大きなものになります。

保釈金は裁判に出席させるなど、保釈中のルールを守らせるためのお金なのです。

裁判に欠席すれば、保釈金は没収され、勾引される可能性があるほか、その後勾留されることも考えられるでしょう。

もし体調不良などでやむを得ずに欠席したい場合は、まず弁護士に相談してください。

刑事裁判の流れ

刑事裁判の流れは次の通りです。

刑事裁判の流れ引用:刑事事件 – 裁判所

刑事裁判の流れをおおまかに説明すると次の通りです。

  1. 人定質問:被告人が検察によって起訴された人物に間違いがないかどうか確認する
  2. 起訴状朗読:検察が起訴状を朗読して、なぜ起訴をしたのかなどを説明
  3. 黙秘権の告知:裁判官から被告人の権利について説明
  4. 証拠調べ:検察側から、犯罪の事実に関する立証が行われ、最終的に論告と求刑が行われる
  5. 弁論手続き:今度は弁護士が、被告人に事実確認を行い、事件の背景や情状酌量などを訴える
  6. 判決:裁判官は、検察と弁護士、最後に被告人の意見を聞いた上で、有罪か無罪か、どのくらいの罪となるのか言い渡す

裁判では、さまざまな点が争点となります。

  • そもそも被告人は罪を犯していない、無実である
  • 罪は犯したが、検察が訴える罪よりも軽い罪が成立する可能性がある
  • 罪は犯したが、被告人が罪を犯すに至る事情があり、罪を軽くするべきである
  • 被告人には責任能力がなかったので、罪に問えない など

例えば、被害者に刃物が刺さったことで亡くなったとしても、積極的に刺したのか、揉み合いになった際に刺さってしまったのかによって、殺人なのか、傷害致死なのか判断が異なります。

罪名が異なれば、刑期も変わってくるため、検察と弁護士が立証を尽くして審理するのです。

裁判官は、検察、弁護士、そして最後に被告人に意見を聞いて、有罪か無罪か、どのくらいの刑罰となるのかを言い渡します。

司法統計によると、2022年に地方裁判所で行われた刑事事件の平均審理期間は、3.8か月でした。

刑事裁判はおおよそ1か月から1か月半の間隔で行われるため、おおよそ3回ほどで判決が言い渡されます。

ただし、被告人が罪を認めていないような場合や、裁判員裁判の場合は、審理期間も平均で11.2か月、13.8か月ほどかかっています。

参考:令和4年 司法統計年報概要版 – 裁判所

仮に有罪判決となっても、被告人は高等裁判所、最高裁判所まで争うことができます。

まとめ

ニュースなどで被告人と報道されると、犯罪者であると断定されたかのように思うかもしれません。

しかし、裁判で有罪になるまでは、推定無罪として扱われますし、犯人だと断定できません。

犯罪とは無縁だと思っていても、疑いがかけられる可能性は、誰にでもあります。

もし冤罪があり、刑が執行されてしまうと取り返しがつかなくなってしまうでしょう。

そのために、刑事裁判では、被告人の味方として弁護士がついており、慎重に裁判が行われるのです。

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