更新日:2026年2月26日 (木)

公開日:2025年6月12日 (木)

別居婚の不倫は通常と異なる?別居婚の慰謝料請求が難易度の高い理由

別居婚の不倫は通常と異なる?別居婚の慰謝料請求が難易度の高い理由 別居婚の不倫は通常と異なる?別居婚の慰謝料請求が難易度の高い理由

サマリー

別居婚とは、法律上の婚姻関係にありながら、同居せずに別居を選択する夫婦の形です。

近年、結婚に対する考え方は多様化しており、別居婚を選択する夫婦も増えているでしょう。

イベントプラットフォームを提供するノマドマーケティング株式会社が実施したアンケートによると、別居婚をしてみたい人の割合は21.0%に上ります。

画像: 別居婚したい?別居しない理由は?のアンケートグラフ

引用元: 別居婚したい?別居しない理由は?──既婚男女3,000人にアンケート調査 – ノマドマーケティング株式会社のプレスリリース

別居婚は、生活スタイルの自由度が高い・程よい距離感を保てる等のメリットがある一方、お互いの目が届きにくいことから不倫のハードルが低くなりやすいでしょう。

別居婚の不倫は、一般的な同居夫婦の不倫と異なる点があるのでしょうか?

この記事では、主に次のことについて解説しています。

・別居婚の不倫慰謝料請求の可否
・別居婚の不倫慰謝料請求が難易度の高い3つの理由
・別居婚の不倫で逆に配偶者が訴えられる可能性
ぜひ参考にしてください。

別居婚でも配偶者以外の人との交際は不倫になる?

別居婚でも配偶者以外の人との交際は不倫になります。

不倫の考え方について、別居婚・同居婚に違いはありません。

法律上、不倫は不貞行為と呼ばれ、配偶者のある者が、自由な意思に基づいて、配偶者以外の人と肉体関係を持つことです。

夫婦には貞操義務があり、配偶者以外の人と肉体関係を持てば、貞操義務違反にあたります。

別居婚でも、婚姻関係にある以上は貞操義務が課され、配偶者以外の人との性交渉等は不貞行為にあたります。
ただし、手を繋ぐ・二人で食事に行く等の行為だけでは、原則として不貞行為にはあたりません。

別居婚でも不倫慰謝料を請求できる?

別居婚でも不倫慰謝料を請求できます。

不倫慰謝料を請求するには、次の4つの条件が必要です。

  • 婚姻関係にあること
  • 肉体関係を持ったこと
  • 不貞により婚姻関係が破綻したこと
  • 上記③について不倫相手に故意・過失があること(不倫相手に請求する場合)

夫婦が同居していることは、不倫慰謝料の条件ではありません。

したがって、別居婚でも同居婚と同様に、慰謝料請求が可能です。

ただし、別居婚の場合には、③不貞により婚姻関係が破綻したことについて争いが生じる可能性があるでしょう。この点については、次章で詳しく解説しています。

不倫慰謝料の請求できる条件について、詳しくは「不倫の慰謝料請求できる4つの条件と慰謝料請求が難しい4つのケース」の記事をご参照ください。

別居婚の不倫慰謝料請求が難易度の高い3つの理由

別居婚の不倫慰謝料請求は、同居している夫婦の不倫慰謝料請求よりも、難しい点があります。

別居婚の不倫慰謝料請求が難易度の高い理由として、次の3つが挙げられます。

  • 不倫の証拠を集めにくい
  • 既婚者とは知らなかったと反論されやすい
  • 婚姻関係が破綻していたと反論されやすい

以下、詳しく見ていきましょう。

不倫の証拠を集めにくい

1つめは、不倫の証拠を集めにくい点です。

不倫慰謝料を請求するには、不貞行為(肉体関係)の存在を証明する必要があります。

同居婚の場合、配偶者と共に生活をしていることから、配偶者の持ち物や行動を把握しやすいでしょう。
別居婚の場合、持ち物から証拠を確保したり、よく行くお店や交友関係から証拠を探ったりするのが難しい傾向にあります。

別居婚の場合は、不倫の証拠を集めにくいことから、不倫慰謝料請求の難易度が高くなるでしょう。

既婚者とは知らなかったと反論されやすい

2つめは、既婚者とは知らなかったと反論されやすい点です。

不倫相手に対する慰謝料請求が認められるためには、不倫相手があなたの配偶者が既婚者であると知っていた・知る余地があったこと(加害者の故意または過失)が必要です。

相手が既婚者であると知って不貞関係を持ったなら、当然夫婦の婚姻生活を害することは想像できるでしょうから、故意が成立します。
既婚者とハッキリとは知らなくても、交際中の言動や態度により普通の人なら既婚者であることに気付くような場合には、過失があったとして、慰謝料請求が認められます。

過失が認められやすい例としては、次のようなものが挙げられます。

  • 休日に全く連絡が取れない・会えない
  • 家に入れてくれない
  • 共通の知人や同僚は既婚者であることを知っていた等

別居婚の場合には、交際態様に制限がないことも多く、共通の知り合いもいないことが考えられ、既婚者であると知る余地がなかったと主張されることもあります。

したがって、別居婚の場合は、既婚者とは知らなかったと反論されやすいことから、不倫慰謝料請求の難易度が高くなるでしょう。

婚姻関係が破綻していたと反論されやすい

3つめは、婚姻関係が破綻していたと反論されやすい点です。

慰謝料請求が認められるためには、不貞により婚姻関係が破綻したことが必要です。
つまり、不貞によって夫婦が離婚に至った、離婚には至らなくても夫婦関係が相当程度悪化した場合に慰謝料請求が認められます。

以前から婚姻関係が破綻していた場合には、不貞による権利侵害がないと考えられることから、慰謝料請求が認められません。

何をもって婚姻関係が破綻していたとするかについて明確な基準はなく、以下のような点を含め、あらゆる事情を総合的に考慮して判断します。

  • 別居の有無や期間
  • 夫婦関係の悪化の程度
  • 離婚に向けた準備等

別居婚は、通常の別居(夫婦の不和による別居)とは異なり、円満な婚姻関係があることを前提に、夫婦の合意のもと別居を選択しています。

しかし、事情を知らない不倫相手が、「何年も別居していたのだから、婚姻関係は破綻しているはずだ。」と考えるのも一理あるでしょう。

婚姻関係破綻の主張がされた場合には、婚姻関係が破綻していないことを証明する必要があります。

例えば、定期的にお互いの家に通っていたり、頻繁に電話やLINE等のやり取りがあったりする場合には、婚姻関係の破綻は認められないでしょう。

別居婚が長期に渡り、ほとんどコミュニケーションを取っていないような場合には、婚姻関係が完全に破綻していたとまではされなくても、相当程度悪化していたとして、慰謝料は減額される可能性があります。

したがって、別居婚の場合は、婚姻関係が破綻していたと反論されやすいことから、不倫慰謝料請求の難易度が高くなるでしょう。

別居婚が不倫慰謝料の減額事由とされた判例

東京地裁平成22年11月30日判決では、慰謝料の算定をするにあたり、別居婚が減額事由として考慮されています。

この事例では、請求額が1億円と高額で大幅に減額されていますが、慰謝料の算定においては、以下のような事情も考慮されています。

増額要素 減額要素
・Yは、一旦は話し合い等により関係を解消したにもかかわらず、不貞関係を再開し、現在においても関係を継続していること

・XはAとの関係悪化によりAが理事長を務めるクリニックでの仕事に携われなくなったこと

・XとAとの婚姻期間が約8年であること

・関係再開のきっかけがAの言動にあること

・XとAは互いに再婚同士であったこと

・XとAの間には実子はいないこと

・Xの実子でAと養子縁組している子は既に成人していること

別居婚によって婚姻関係が破綻していたとはされないものの、別居婚そのものが慰謝料の減額事由とされる可能性もあるでしょう。

別居婚の不倫は逆に配偶者が不倫相手から訴えられる可能性も

別居婚の不倫では、逆に配偶者が不倫相手から訴えられる可能性があります。

別居婚の場合、既婚者であることを隠しやすいため、既婚者側が不倫相手に対して、独身と偽って交際をしていた可能性が考えられます。

この場合、不倫相手には、不法行為に対する故意・過失がないとして、不倫相手に対する慰謝料請求が認められないだけでなく、不倫相手からあなたの配偶者に対して貞操権侵害に基づく慰謝料請求がされる可能性があります。

したがって、あなたの配偶者が、不倫相手に対して独身であると偽って交際をしていた場合には、配偶者が不倫相手から訴えられる可能性もあることを頭に入れておきましょう。

貞操権侵害について、詳しくは「貞操権侵害が認められるケースや慰謝料の相場をわかりやすく解説」の記事をご参照ください。

別居婚の不倫慰謝料請求は弁護士に相談を!

別居婚の不倫慰謝料請求を検討している場合には、弁護士に相談することをおすすめします。

別居婚の場合、夫婦が別居している事実があなたに不利に働く可能性があります。

あなたからすれば、「別居婚でも夫婦の仲は良かった。」「既婚者だとわかるはずだ。」と思うでしょう。
しかし、相手が法律に詳しかったり、弁護士をつけてきたりする場合には、別居婚を理由に慰謝料の減額を主張する可能性が高いでしょう。

弁護士に依頼することで、婚姻関係の破綻不倫相手の故意過失について、証拠や法的な根拠をもとに、相手の反論に対抗できます。

したがって、不倫慰謝料請求を検討している場合には、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

まとめ

別居婚でも、配偶者以外の人と肉体関係を持てば、それは不倫にあたり、慰謝料請求の対象です。

しかし、不倫相手に対する慰謝料請求の場面では、別居婚であることを理由に慰謝料の支払いに難色を示す可能性があります。

適正な慰謝料を獲得するためには、弁護士に相談することをおすすめします。

ネクスパート法律事務所では、不貞問題に強い弁護士が多数在籍しています。

仕事が忙しくて相談に行けない人や遠方にお住まいの方のためにLINEによる相談やオンライン法律相談サービスも実施しています。初回の相談は30分無料ですので、ぜひ一度ご相談ください。

コラム監修者

SHIZU ISHIDA

SHIZU ISHIDA

所属:東京オフィス

広島県広島市出身。青山学院大学心理学科、東海大学法科大学院卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、刑事、民事、法人案件等幅広い分野の専門知識を習得。弁護士登録10年目にしてネクスパート法律事務所に入所し、現在は主に離婚事件に注力している。

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