サマリー
突然、不倫相手の配偶者から高額な慰謝料を請求され、動揺した方も多いでしょう。
自身の過ちを認め、慰謝料を支払うべきと理解していても、提示された金額を一括で支払うことが難しく、分割での支払いを視野に入れている方もいるかもしれません。
「不倫慰謝料の分割払いは可能か?何回までなら受け入れてもらえるのか?」との疑問を抱くのは自然なことです。
この記事では、不倫慰謝料の分割払いについて解説します。
分割払いの可否だけでなく、分割払いが持つ潜在的なリスクや、そもそも提示された金額が適正であるか等の本質的な問題についても解説します。
あなたにとってよりよい解決となるよう、この記事を読み、一緒に考えましょう。
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不倫慰謝料の分割払いは何回までできる?
不倫慰謝料の分割払いに、期間・回数の制限はありません。
示談交渉の中で、相手方との合意によって、その期間・回数は自由に決められます。
ただし、示談交渉がまとまらず、裁判で判決となった際は、一括払いが原則です。
分割払いに期間・回数の制限はない
不倫慰謝料の分割払いに、期間・回数の制限はありません。
慰謝料の分割払いは、当事者である慰謝料を請求する側(被害者)と支払う側(加害者)の双方が合意することによって初めて実現します。
当事者双方の合意があれば、期間・回数の制限はなく、自由に決められます。
しかし、あまりに長期間にわたる分割払いは、支払いが滞るリスクが高いため、相手方が拒否する傾向にあります。
長くても3年、最大で5年程度が目安となることが多いでしょう。
慰謝料の支払いは、一括払いが基本とされています。
慰謝料を分割で支払いたいと考える側は、相手方に対して、分割払いを認めてもらうための交渉を行う必要があります。
交渉の際には、支払う側の経済状況や、月々いくらなら無理なく支払えるかなどを具体的に示し、相手方の納得を得なければなりません。
相手方が納得した場合には、月々の支払い金額、支払い回数などを定めた合意書(示談書)を作成することで、分割払いが正式に成立します。
裁判で判決になると一括払いが原則
裁判の判決では、一括での支払いが命じられるのが原則です。
裁判の場合でも、当事者間の譲歩と合意で解決を図る和解では、分割払いの支払いが認められることもあります。和解の場合も、当事者双方の合意が必要です。
分割払いを希望する場合には、示談での解決を目指すことが大切です。
不倫慰謝料の分割払いを希望する前に知っておくべきデメリット
不倫慰謝料の分割払いは、一括で支払うことが難しい人にとって、一見すると負担を軽減する唯一の解決策のように思えます。
しかし、分割払いの合意には、知っておくべき複数のデメリットがあります。
これらのデメリットを理解せず、安易に分割払いの合意をすると、かえって事態が悪化する可能性もあるでしょう。
分割払いのデメリットは、次の5つです。
- 保証人を要求される可能性がある
- 一括払いよりも総額が高くなる可能性がある
- 支払いが滞ると強制執行される可能性がある
- 支払いが滞ると遅延損害金が発生する場合がある
- 相手方との関係が長期間続く
以下、詳しく解説します。
保証人を要求される可能性がある
保証人を要求される可能性があります。
慰謝料の分割払いは、数か月から数年に及ぶ長期的な支払い計画となることが多いです。
この期間中にあなたが支払いを途中でやめるリスクが、相手方にとって最大の懸念事項です。
例えば、リストラや減給、病気などの経済状況の変化を理由に、支払いが停滞するリスク等が考えられるでしょう。あなたが、支払いを免れるために連絡先を変えたり、引っ越しをしたりする可能性を危惧しているかもしれません。
支払い途絶リスクに対する確実な保険として、相手方は保証人の設定を要求する可能性があります。
特に、あなたの資力が乏しいと判断される場合には、その要求は強まる傾向にあります。
保証人をつけることで、あなたが支払不能に陥った場合でも、保証人から慰謝料の回収が可能となり、慰謝料の回収可能性を大幅に高めることを目的としています。
ただし、慰謝料の合意に保証人の設定は必須ではないため、拒否も可能です。
当然、分割払いの合意に保証人を設定する義務もありません。
一括払いよりも総額が高くなる可能性がある
一括払いよりも総額が高くなる可能性があります。
一括払いで支払う金額よりも分割払いで支払う総額の方が、高い金額を要求されることがあります。
これは、分割払いに応じることで相手方が負う時間的リスクと支払い不能リスクの対価です。
一括払いであれば、金銭の回収は即座に完了し、その後の回収不能リスクは存在しません。しかし、分割払いでは、回収不能になるリスクが存在します。このリスクを許容する見返りとして、相手方が分割払いの総額の増額を要求する可能性があるでしょう。
支払いが滞ると強制執行される可能性がある
支払いが滞ると強制執行される可能性があります。
分割払いでの支払いを希望すると、相手方から強制執行認諾文言付き公正証書の作成を要求される可能性があります。
強制執行認諾文言付き公正証書とは、慰謝料の支払いが滞った時に、裁判所の訴訟手続きを経ずに給与や預金などの差押え手続きが取れる公正証書の一種です。
具体的には、公正証書に、[債務者は、本証書記載の金銭債務を履行しないときは直ちに強制執行に服する旨陳述した。]などの記載がされます。
この文言がない公正証書や私文書(示談書等)では、支払いが滞った場合に差し押さえを行うには、裁判所の手続きを経なければなりません。
相手方は支払い停滞のリスクに備えて、強制執行認諾文言付き公正証書を作成することで、支払いが滞った際に、強制執行の手続きの選択が可能になります。
したがって、支払いが滞った場合には、さらに経済的負担を強いられるリスクがあるでしょう。
支払いが滞ると遅延損害金が発生する場合がある
支払いが滞ると遅延損害金が発生する場合があります。
遅延損害金の設定についても、当事者間の話し合いで決めます。
【例:期限の利益喪失と遅延損害金の定め】
乙が前項の分割金の支払いを〇回以上怠り、その額が〇万円に達したときは、当然に期限の利益を喪失し、乙は、甲に対し、第〇項の金員から既払額を控除した残金及びこれに対する期限の利益を喪失した日の翌日から支払済まで年〇%の遅延損害金を支払う。
(※甲:相手方、乙:あなた)
一定の条件を定め(例:乙が前項の分割金の支払いを2回以上怠り、その額が〇万円に達したとき)、その条件が破られた場合に、もとの慰謝料額に加えて遅延損害金を課す条件を定めることが一般的です。
遅延損害金が設定されている場合には、支払いが遅れる期間が長くなればなるほど、加算される遅延損害金も膨みます。
その結果、最終的に支払う総額が当初の慰謝料額を大きく上回る可能性があり、あなたの負担もさらに重くなるでしょう。
相手方との関係が長期間続く
相手方との関係が長期間続きます。
不倫慰謝料のトラブルは、当事者にとって精神的な苦痛を伴います。
一刻も早く過去の出来事として清算し、新しい生活を始めたいと考えるでしょう。
しかし、分割払いを選択した場合には、慰謝料の完済まで、長ければ数年にわたって、相手方との関係が続きます。
相手方との長期的なやり取りは、精神的な負担に繋がるでしょう。
不倫慰謝料の請求額は妥当?分割払いの検討前に減額できる可能性も!
「そもそも提示された金額は適正でしょうか?」
相手方から提示された金額をそのまま受け入れるべきだと考え、分割払いの検討をする方も多いです。
しかし、提示された金額が必ずしも適正であるとは限らず、減額できる可能性もあるかもしれません。
分割払いを検討する前に、慰謝料の減額可能性について考えましょう。
不倫慰謝料の相場は50~300万円程度
不倫慰謝料の相場は50~300万円程度です。
慰謝料の金額は、下表に示した様々な要素を総合的に考慮して決定されます。

減額要素が多ければ多いほど、減額できる可能性も高まります。
不倫慰謝料の相場について、詳しく知りたい方は、「15の判例から見る不倫慰謝料の相場と増額のための3つのポイント」の記事をご参照ください。
具体的に減額可能性のあるケースについて、ご紹介します。
減額可能性あり①|相手夫婦が離婚しない+慰謝料100万円以上請求

相手夫婦が離婚しない場合で、100万円以上の慰謝料を請求されているケースです。
不倫後も夫婦関係が維持できる場合の慰謝料相場は、50~100万円程度です。
離婚しない場合は、夫婦に与えた影響が小さいと判断されやすく、慰謝料の額も低い傾向があります。
上記ケースの場合、減額ができる可能性がありますから、分割払いの申し出をする前に、弁護士を立てて減額交渉することをおすすめします。
減額可能性あり②|相手夫婦が離婚する+慰謝料150万円以上請求

相手夫婦が離婚する場合で、150万円以上の慰謝料を請求されているケースです。
不倫により離婚する場合の慰謝料相場は、150~300万円程度です。
離婚する場合は、離婚しない場合と比較して、夫婦に与えた影響が大きいため、慰謝料も高い傾向があります。
上記ケースの場合、減額ができる可能性がありますから、分割払いの申し出をする前に、弁護士を立てて減額交渉することをおすすめします。
不倫慰謝料の減額&無理ない分割払いを叶えるには弁護士に相談を!
不倫慰謝料を請求され、一括で支払うことが難しい状況にあるあなたにとって、慰謝料の減額と無理のない分割払いを実現するためには、弁護士に相談することをおすすめします。
以下、弁護士に相談すべき理由について解説します。
請求額が妥当かどうかの判断
弁護士であれば、請求額が妥当かどうかを判断できます。
慰謝料の金額は、夫婦の状況や交際の態様など、様々な事情を総合して決まります。
ネットを検索すると、おおまかな相場は把握できるでしょう。
しかし、それだけで適切な慰謝料額を判断するのはなかなか難しい部分があります。
もしかしたら、ご自身でも気づいていない減額要素が潜んでいるかもしれません。
弁護士は、交際開始から現在までの状況など、あなたのご事情を聴き取り、適切な慰謝料額を判断します。
弁護士に依頼することで、不相当な金額での合意を避けられるでしょう。
説得力のある減額交渉
弁護士であれば、説得力のある減額交渉が可能です。
あなたひとりで、相手方の譲歩を引き出すのは簡単ではありません。
不倫をした立場である以上、正当な主張をしていても、言い訳に聞こえる可能性があります。
弁護士は、過去の判例などを用いて、根拠と共に妥当な慰謝料額を提示します。
弁護士に依頼することで、減額できる可能性が高まるでしょう。
無理ない範囲の分割払いが与える相手方のメリットの説明
弁護士であれば、相手方に対し、無理ない範囲での分割払いが与える相手方のメリットを適切に説明できます。
多少の減額をしても、無理のない計画的な分割払いにすることで、相手方にも慰謝料の支払いが滞るリスクを軽減できるメリットがあります。
分割払いが長ければ長いほど、支払いが停滞するリスクが高まります。保証人をつけても、保証人が必ず支払うとは限りません。
強制執行をしようにも、目ぼしい財産がなければ、慰謝料の回収は実現できません。
しかし、多少減額しても、実現可能性の高い分割払いにすることで、慰謝料を回収できる可能性は高くなります。
弁護士に依頼することで、相手方の譲歩を引き出せる可能性があるでしょう。
分割払いに関する適切な合意ができる
弁護士であれば、分割払いに関する適切な合意ができます。
慰謝料を一括で支払うのが難しい場合でも、弁護士に相談すれば無理のない分割払いを交渉し、法的に有効な形で合意できます。
弁護士は、支払い期限や金額、支払い方法などを明確に定めた示談書を作成してくれます。
遅延損害金の合意などあなたに不利益が生じる可能性がある条項についても、適切な形での合意を目指してもらえるでしょう。
不倫慰謝料と分割払いに関するよくあるQ&A4選
不倫慰謝料と分割払いに関するよくある疑問にお答えします。
分割払いの場合に月々の支払い金額はどのように決める?
月々の支払い金額は、当事者間の話し合いで決めます。
月々の支払い金額も、法的なルールはありません。
ただし、あなたが無理なく継続して支払える金額であると同時に、相手方が受け入れられる金額でなければなりません。
一般的には、月々2万円〜3万円以上が目安となるケースが多いでしょう。
双方の合意が必要となるため、あなたは自身の収入や生活費を考慮した余裕のある金額を提示しつつ、交渉力を駆使して有利な条件を引き出す必要があるでしょう。
分割払いを決めた後に支払いが難しくなったら内容を変更できる?
支払いが難しくなった場合でも、支払い内容の変更は難しいです。
支払内容が、当事者双方の合意によって既に成立している以上、一方的な都合による支払い条件の変更は難しいでしょう。
もし支払いが難しくなった場合には、速やかに相手方に連絡を取り、誠実に状況を説明し、再度交渉を申し出る必要があります。
連絡を絶ったり、無断で支払いを停止したりすると、残債の一括請求や強制執行につながるリスクが高まりますから、避けましょう。
分割払いの場合は必ず公正証書を作成しなければいけない?
必ず公正証書を作成しなければならないわけではありません。
ただし、相手方が分割払いを認める代わりに、公正証書の作成を求められるケースは多いです。
公正証書に強制執行認諾文言を付すことで(強制執行認諾文言付き公正証書)、支払いが滞った場合に裁判所の判決を経ることなく、給料や預貯金の差し押さえが可能です。
したがって、作成に応じるかどうかは慎重に判断すべきでしょう。
作成に応じる場合でも、あなたに不利な内容にならないよう、一度弁護士に相談することをおすすめします。
分割払いの合意書(示談書)は自分で作成しても大丈夫?
合意書(示談書)自体は自分で作成することも可能ですが、法的リスクを回避するためには弁護士に作成してもらうことをおすすめします。
特に、期限の利益喪失約款や遅延損害金の条項は、その内容によっては、あなたが不利益を被る可能性があります。
後々のトラブルを避けるためにも、弁護士に依頼して適切な合意書を作成してもらうことがおすすめです。
まとめ
不倫慰謝料の分割払いに、期間や回数の制限はありません。
当事者双方の合意で、自由に決められます。
分割払いは、慰謝料を一括で支払うことが難しい方にとって、唯一の解決策のように思えるかもしれません。ですが、分割払いにもデメリットがあります。
分割払いを検討する前に、請求額が妥当かどうか弁護士に相談することをおすすめします。
慰謝料150万円以上の請求をされている方は、一度弁護士にご相談ください。
弁護士に依頼することで、減額できる可能性が高く、無理のない返済計画での示談を目指せます。
ネクスパート法律事務所では、不倫問題に強い弁護士が多数在籍しています。
初回相談は30分無料ですので、お気軽にご相談ください。
コラム監修者
SHIZU ISHIDA
所属:東京オフィス
広島県広島市出身。青山学院大学心理学科、東海大学法科大学院卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、刑事、民事、法人案件等幅広い分野の専門知識を習得。弁護士登録10年目にしてネクスパート法律事務所に入所し、現在は主に離婚事件に注力している。