更新日:2026年7月14日 (火)
公開日:2026年7月14日 (火)
離婚協議書にサインをしてしまった後に協議書の内容を変更できる?
サマリー
離婚協議書にサインをしたものの、あとから読み返したら意図しないことが書いてあった場合、離婚協議書の内容を変更できるでしょうか?
この記事では、サイン済みの離婚協議書の内容を変更できるかどうか、失敗しないようにサインする前にチェックすべき項目について解説します。
離婚協議書にサインをしてしまった後に内容の変更ができるか?
離婚協議書にサインをしてしまった後、原則内容の変更はできません。
双方が合意してサインをした後に離婚協議書の内容変更ができてしまえば、いつまでたっても離婚問題が解決できず、離婚協議書の持つ意味がなくなるからです。
離婚協議書にサインをした後でも変更できるケースは?
サインをした後の離婚協議書は原則内容の変更ができないものの、以下のケースは例外として認められる場合があります。
相手が変更に合意している場合
相手が離婚協議書の変更に合意している場合、離婚協議書の変更が可能です。
変更したいと考える内容に対し、相手も同じ意見であるならば問題はないと考えられるからです。新たに離婚協議書を作成しなおすのであれば、最初に作った離婚協議書が無効である旨をはっきり記しておきましょう。
意思表示の錯誤があった場合
離婚協議書で合意した内容に意思表示の錯誤(思い違い)があり、かつ、一定要件を満たす場合、その意思表示は取り消せるため、離婚協議書の変更が可能となります。
錯誤とは、意思表示の内容と真意に齟齬が生じていることを、表意者(意思表示をした人)自身が気付いていないことです。
以下を満たす場合、意思表示を取り消せます。

表示の錯誤とは、例えば財産分与としてA不動産を分与するつもりだったのに、B不動産を分与すると記載した離婚協議書にサインをした場合などです。動機の錯誤とは、例えば、譲渡所得税は財産を分与した側に課税されるのに、財産を受け取った側に課税されると思い込んだために、財産全部を配偶者に譲渡する旨の協議書にサインした場合などです。
離婚協議書の内容について、相手に脅迫されて無理やり合意させられたりした場合も同様に意思表示を取り消せるため、離婚協議書の変更ができます。
当事者どちらかに予期せぬ事情変更があった場合
当事者のどちらかに予期せぬ事情変更があった場合、離婚協議書を変更できる可能性があります。
ただし、その際には以下の2点に該当する必要があります。
・重要な事情変更であること
・離婚協議書を取り交わした時点で予想できなかった変更であること
例えば子どもを引き取る予定だった親が病気になり、長期的な入院を余儀なくされるケースなどが考えられます。
離婚協議書にサインをする前にチェックすべきことは?
離婚協議書にサインをする前にチェックすべきことは何でしょうか?サインをした後は原則内容の変更ができませんので、細心の注意を図るべき点について解説します。
離婚に関する事項が記載してあるか
離婚に関する事項が記載してあるかどうか確認をしましょう。
当事者双方が離婚にいつ合意をしたか、離婚届は具体的にいつ誰がどこの役所へ提出するか等の内容を記載します。
お金に関する事項が記載してあるか
お金(慰謝料、財産分与、年金分割)に関する事項の記載があるかどうか、確認をしましょう。
・慰謝料
慰謝料については、金額、慰謝料を支払う理由、支払い日と支払い方法、支払いを怠った時のペナルティー事項を記載しましょう。慰謝料の支払いがない場合も、ないことで合意している旨を記載しておいたほうがよいです。
・財産分与
婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産を離婚時に分けられる財産分与は、どちらがどちらに対して何を分与するか、分与する期限と支払い方法を明記しておきます。
例えば自宅であれば不動産の表記を記し、いつまでに財産分与による所有権移転登記を完了するか記載しましょう。
・年金分割
婚姻期間中の厚生年金保険料の納付記録を分割する年金分割は、按分割合について夫婦間で合意ができれば、合意した内容を離婚協議書に記載しましょう。
離婚協議書を公正証書にすれば、原則離婚成立後に2人で年金事務所において手続きをしなければならないものが、どちらか一方が単独で手続きできるようになります。
子どもに関する事項が記載してあるか
子どもに関する事項(親権、養育費、面会交流)について記載があるかどうか、確認をしましょう。
・親権
離婚をする際、父母のどちらが親権者になるか決めなければいけません。親権について合意ができていれば、子どもの名前と生年月日、親権者、監護権者の名前を記載します。
・養育費
養育費は子どもが経済的・社会的に自立するまで必要な費用です。主に以下について離婚協議書に明記しておきましょう。
養育費の金額
支払日・支払い方法・振込先の口座
支払期間
・面会交流
面会交流とは、離婚で子どもと離れて暮らす親が定期的に子どもと会ったり電話したりして交流することです。面会交流は子どもが健全に成長するために与えられた権利ですので、以下の内容を離婚協議書に明記しましょう。離婚後に面会交流についてトラブルが生じないようにできるだけ具体的な内容を記載したほうがよいです。
・面会交流をする頻度
・面会交流をする場所
・面会交流をする日時
紛争解決に関する事項が記載してあるか
離婚後、当事者同士がトラブルを蒸し返すことがないよう、必要に応じて清算条項を設けることも検討しましょう。
ただし、清算条項を入れると、あとから財産分与や慰謝料を請求できない場合があるので、慎重に検討しましょう。
離婚協議書を自分で作成するにあたってのポイントは、「離婚協議書を自分で作成するときのポイントを解説」を参考にしてください。
離婚協議書にサインをしてしまい困っている方は弁護士に相談を
離婚協議書にサインをしてしまい内容に関して後悔している方は、弁護士に相談をしましょう。早く離婚をしたいから焦って離婚協議書にサインをしてしまったり、相手方に押し切られる形でサインをしてしまったりした場合、離婚案件に強い弁護士に相談をしたほうがよいでしょう。
状況によっては、離婚協議書の再作成ができるかもしれませんので、諦めずに一度相談をしてください。
まとめ
離婚協議書は必ず作成をしなければならないわけではありません。ただし、離婚後のトラブルを避けるためには作成するのをおすすめします。自分たちで作成できますが、有効な内容にするには慎重に行わなければいけません。可能であれば弁護士に任せたほうがよいかもしれません。
ネクスパート法律事務所には、離婚全般に強い弁護士が在籍しています。少しでも不安や悩みがある方は、ぜひ一度ご連絡ください。
コラム監修者
Shunsuke Teragaki
所属:代表(東京オフィス)
広島県広島市出身。修道高校、慶應義塾大学商学部、青山学院大学法科大学院を卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、個人・法人問わず幅広い分野の相談・交渉に取り組む。ネクスパート法律事務所の代表弁護士として、依頼者に最適な見通しと戦略的な解決策を示すことを信条とし、丁寧かつ粘り強い対応で信頼を築いている。