更新日:2026年7月9日 (木)
公開日:2026年7月9日 (木)
財産分与は拒否できるか?可能なケースと注意点について解説
離婚時、婚姻期間中に夫婦で築いた財産を分ける財産分与を拒否したいと考える方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、財産分与に関する以下の事例について解説をします。
- 財産分与は拒否できるか?
- 財産分与を拒否できるケースは?
- 財産分与で資産隠しをするリスクは?
- 財産分与を拒否したい方が抱く疑問
財産分与は拒否できるか?
相手から財産分与を求められている場合、拒否はできません。
財産分与請求権は、法律上、離婚の当事者双方に認められる権利です。
そのため、相手が財産分与を求めている以上、拒否はできません。
財産分与の拒否ができるケースは?
財産分与の拒否ができるケースは、以下の4つです。
特有財産である
相手が特有財産について財産分与を求めたら、拒否ができます。
財産分与の対象は、婚姻期間中に夫婦で築いた共有財産です。
独身時代から所有していた財産、相続等で親族から受け継いだ特有財産は、原則として財産分与の対象となりません。
除斥期間を経過している
除斥期間を経過している場合、財産分与を拒否できます。
財産分与の請求は、離婚から2年以内に行わなければいけません。
これを過ぎると財産分与の請求ができなくなります。
除斥期間の起算日は、離婚成立の方法によって異なります。
| 離婚の成立方法 | 起算日 | |
|---|---|---|
| 1 | 協議離婚 | 離婚届が受理された日 |
| 2 | 調停離婚 | 離婚調停が成立した日 |
| 3 | 審判離婚 | 離婚審判が確定した日 |
| 4 | 裁判離婚 | 判決が確定した日または和解成立日 |
なお、2024年5月17日、民法等の一部を改正する法律が成立し(同月24日公布)、2026年5月までに施行される予定です。
改正民法の施行後は、財産分与の除斥期間が2年間から5年間に延長される予定です。
参照:法務省:民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について
会社の財産である
会社の財産を財産分与の対象として求められたら、拒否ができます。
会社の財産は、夫婦の共有財産ではないからです。
具体的に拒否ができるのは、以下のとおりです。
- 会社名義の不動産
- 会社名義の設備
- 会社の運転資金
ただし、配偶者が会社の経営に貢献していた場合は、会社の財産が財産分与の対象となる可能性があります。会社名義の財産でも実質的には個人名義の財産と同視できる場合なども、財産分与の対象となる可能性があります。
婚前契約を結んでいる
婚前契約を結んでいる場合、財産分与を拒否できます。
婚前契約とは、結婚前に結婚生活や財産に関するルール等を取り決める契約です。
婚前契約で、離婚する場合は財産分与を行わない等の取り決めをしていれば、拒否ができます。
財産分与において資金隠しをするリスクは?
財産分与をしたくないことを理由に資産隠しをしたら、場合によっては相手から損害賠償請求される可能性があります。
上手く隠せば見つからないだろうと思うかもしれませんが、完璧に隠しとおすのは難しいです。調査嘱託や弁護士会照会で財産の開示を求められるケースがあるからです。
隠した資金が判明したら財産分与をやりなおさなければいけません。時間と労力がかかるので、最初から資金隠しをしようと考えないほうがよいです。
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財産分与を拒否したい方が抱く疑問
財産分与を拒否したいと考える人は「自分が稼いだお金で手に入れたものを相手に渡したくない」と思うのではないでしょうか。
そこで、財産分与を拒否したい方が抱く疑問について解説します。
財産分与なしで離婚する方法はない?
当事者同士が話し合いをして合意ができれば、財産分与なしで離婚は可能です。
ただし、財産分与請求権を一度放棄すると、原則として撤回はできません。
後になって相手が多くの財産を有していたことが判明しても、分与を請求することは基本的に認められません。
そのため、財産分与をしないという選択をする前に、双方の財産状況や離婚後の生活設計などを十分に確認・検討することが重要です。
財産分与なしの離婚に合意ができたら、将来のトラブルに備えてその旨を記載した離婚協議書の取り交わしをおすすめします。
財産分与をしない場合の離婚協議書の書き方は?
財産分与をしない旨の条項の一例は、以下のとおりです。
第〇条(財産分与)
甲および乙は、互いに対する財産分与請求を放棄することに合意し、各自名義の財産は、それぞれが取得すること、互いに金銭その他の授受は行わないことを確認した。
まとめ
財産分与は、離婚の当事者双方に認められる権利です。
そのため、「できれば拒否したい」と考えてご相談いただいても、本記事で紹介した拒否できるケースに該当しない場合は、法律上は対応できないケースが大半です。
財産分与の方法や範囲について意見が対立した場合は、法律に基づき適切に手続きを進める必要があります。無理に拒否を主張すれば、かえって不利な条件での離婚や長期化につながるおそれもあります。
財産分与に関してお悩みや疑問がある場合は、早い段階で弁護士にご相談ください。
ネクスパート法律事務所には、離婚案件を多数手掛けた経験のある弁護士が在籍しています。状況を踏まえた最適な解決策をご提案いたしますので、お気軽にお問合せください。