更新日:2026年7月6日 (月)

公開日:2026年7月6日 (月)

慰謝料払ったのにバラされたら名誉毀損になる?慰謝料請求はできる?

慰謝料払ったのにバラされたら名誉毀損になる?慰謝料請求はできる? 慰謝料払ったのにバラされたら名誉毀損になる?慰謝料請求はできる?

不倫慰謝料を払ったにもかかわらず、その後、家族や職場、知人に不倫をバラされるケースも少なくありません。
不倫をバラされたことで、信用を失ったり退職せざるを得なかったりと、様々な影響が生じるでしょう。

「不倫をした以上、不倫をバラされても何もできないのか?」

この記事では、主に不倫をバラす行為の名誉毀損の該当性や慰謝料請求の可否について解説しています。
ぜひ参考にしてください。

慰謝料を払ったのにバラされた!名誉毀損にあたる?

慰謝料を払ったのに不倫をバラされた場合には、名誉毀損にあたる可能性があります。
名誉毀損にあたらないケースでも、プライバシーの侵害にあたる可能性があります。

名誉毀損にあたる可能性がある

名誉毀損にあたる可能性があります。
名誉毀損とは、①公然と、②事実を適示し、③人の名誉を毀損する行為です。

基本的に、不倫をバラす行為により、②事実の適示・③人の名誉を毀損する行為の2要件は自ずと満たされます。
なぜなら、不倫したことは事実であり、不倫は通常、その人の社会的評価を低下させるからです。

そこで、名誉毀損が成立するためには、残りの要件である、①公然とを満たす必要があります。

例えば、SNS上に不倫の内容を書き込んだ場合は、インターネット上の書き込みは誰でも見られることから、①公然との要件を満たします。
職場の大多数の人に伝えた場合も、①公然との要件を満たします。
数人の同僚に伝えた場合でも、噂が広まる可能性は十分に考えられることから①公然との要件を満たすでしょう。

しかし、特定の人に話しても、不特定多数人に伝播する可能性がない場合には、①公然との要件を満たしません。

例えば、あなたの家族にバラされた場合でも、あなたの家族が広める可能性がなければ、①公然との要件は満たさない可能性があります。
職場の社長や取締役等にバラされた場合でも、それ以上広まらないような措置が講じられていれば、①公然との要件は満たさない可能性があります。

プライバシーの侵害にあたる可能性もある

名誉毀損にあたらなくても、プライバシーの侵害にあたる可能性があります。

①公然との要件を満たさない場合には、名誉毀損にはあたりません。

しかし、不倫トラブルは、私生活上の問題であり、一般的に他人には知られたくない内容であると考えられます。
そのため、正当な理由なくこれを第三者に開示する行為はプライバシーの侵害にあたるでしょう。

慰謝料を払ったのにバラされたら逆に慰謝料請求できる?

慰謝料を払ったのにバラされた場合には、逆に慰謝料請求できる可能性があります。

名誉毀損行為・プライバシーの侵害行為は、民法上の不法行為にあたるため、損害賠償請求が可能です(民法第709条)。
慰謝料を払った際に示談書を交わしているケースもあるでしょう。

(口外禁止条項)
甲及び乙は、本示談書の内容について、第三者に対し一切口外しないことを約束する。
(違約金の合意)
甲及び乙が本示談書に記載した内容に違反した場合には、その違約金として○○万円を支払う。

示談書に、口外禁止条項と違約金の合意がある場合には、違約金の請求が可能です。

名誉毀損・プライバシー侵害の慰謝料相場

名誉毀損・プライバシー侵害の慰謝料相場は、10~50万円程度です。

侵害の態様が悪質なケースでは、100万円以上の慰謝料が認められる可能性もありますが、既に払った不倫慰謝料よりも高額な慰謝料を獲得できる可能性は低いでしょう。

不倫をバラされたら既に払った慰謝料は返してもらえる?

不倫をバラされても既に払った慰謝料を返してもらうのは難しいでしょう。

不倫慰謝料は、不貞により被害者が受けた精神的苦痛を金銭的に補填するものです。
不貞により生じた慰謝料の支払い義務は、相手がバラしたことで消滅するわけではありません。

したがって、一度合意して慰謝料を支払った以上、返してもらうのは難しいでしょう。

不倫をバラされたことを理由とする損害賠償請求を認めた裁判例

不倫をバラされたことを理由とする損害賠償請求を認めた裁判例を2つご紹介します。

父親や知人に不倫をバラされた事例|東京地裁令和 2年 2月10日

被告(不倫相手の配偶者)が、原告の父親、不倫相手の父親、及び原告の知人に不倫をバラした事例です。

原告の父親宛のはがきには、「○○さんのお嬢さんが私の娘夫婦の間に入って少し家庭を壊しかけております。
葉書読まれましたらご連絡先を教えて頂きたいのですが早々の反信お願い致します。」等と記載されていた。
不倫相手の父親宛の手紙には、「同封のものは不貞相手と思われる現在のスタッフの様子です。現実をご覧になって下さい。」等と記載があり、さらに原告 of 経歴や原告がSNS上に掲載していたバニーガール姿等の画像を同封した。
原告の知人に対し、インスタグラムのメッセージで、原告の氏名を記載した上で、不貞をしている、現在裁判中で調査をしている等の内容を送り、原告のバニーガール姿の画像等を送った。

裁判所は、本件行為は名誉毀損及びプライバシーの侵害にあたるとし、慰謝料30万円の支払いを命じました。

職場に不倫をバラされ退職した事例|東京地裁平成24年12月21日

被告(不倫相手の配偶者)の代理人弁護士が、原告の勤務先に不倫の事実を通知した事例です。

裁判所は、本件行為について、不貞の事実を知った取締役が、不貞の事実が他の従業員に伝わることのないよう配慮し、原告に対しても、他の従業員に話さないよう依頼していることから、不特定多数人に伝播する可能性はなかったものと認めるのが相当であるとし、名誉毀損にはあたらないと判断しています。

しかし、不貞行為をして、トラブルになっている旨を伝えたことは、一般に他人に知られたくない事項といえ、正当な理由なくこれを第三者に開示する行為は、プライバシーの侵害にあたるとし、慰謝料30万円の支払いを命じました。

さらに、退職による逸失利益として、6か月分の給与相当額である145万8,180円の支払いを命じました。

まとめ

慰謝料を払ったのに不倫をバラされた場合には、損害賠償請求ができる可能性があります。

家族や知人、職場に不倫をバラされた場合には、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

コラム監修者

SHIZU ISHIDA

SHIZU ISHIDA

所属:東京オフィス

広島県広島市出身。青山学院大学心理学科、東海大学法科大学院卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、刑事、民事、法人案件等幅広い分野の専門知識を習得。弁護士登録10年目にしてネクスパート法律事務所に入所し、現在は主に離婚事件に注力している。

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