更新日:2026年3月5日 (木)

公開日:2024年12月3日 (火)

有責配偶者はどれぐらいの別居期間で離婚できるか?判例を紹介して解説

有責配偶者はどれぐらいの別居期間で離婚できるか?判例を紹介して解説 有責配偶者はどれぐらいの別居期間で離婚できるか?判例を紹介して解説

サマリー

離婚原因を作った有責配偶者からの離婚は原則認められません。
ただし、一定の条件を満たす場合に、例外的に離婚請求が認められるケースがあります。

その条件の一つが別居期間ですが、この記事では、どれぐらいの別居期間を経れば離婚できるのか解説します。

有責配偶者はどれぐらいの別居期間で離婚できるか

どれぐらいの別居期間で離婚ができるのか、一律に何年と決められているわけではありません。

別居期間は、あくまで有責配偶者からの離婚が認められるための判断要素の一つに過ぎません。

判例は、有責配偶者からの離婚請求を認められるかどうかの主な判断要素として、以下の3つを示しています(最高裁昭和62年9月2日判決)。

  • 夫婦の別居が両当事者の年齢および同居期間との対比において相当の長期間に及んでいること
  • 夫婦の間に未成熟の子がいないこと
  • 相手配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態に置かれる等、離婚を認めることが信義則に反するといえる特段の事情がないこと

この最高裁判決の事案は、別居期間が36年と極めて長期にわたる事例ですが、以後に集積された裁判例に照らすと、10年程度が一応の分岐点とも考えられています。

しかし、相当の長期間という要件は、独立した数量的要件ではないため、別居期間が10年以上でも、離婚が認められないこともあります。

別居期間が相当の長期間と評価できるかどうかは、以下のような事情との相関関係の中で総合的に判断されます。

  • 夫婦の年齢
  • 別居期間
  • 同居期間との対比

有責配偶者からの離婚請求が認められた3つの判例を紹介

有責配偶者からの離婚請求が認められた3つの判例を紹介します。

当事者の年齢や別居期間・同居期間の対比や、その他の事情に着目しながら見てみましょう。

同居期間12年に対して40年の別居期間

前述の最高裁昭和62年9月2日判決で示された特段の事情があるかどうかについて、更に審理する必要があるとして、差し戻された高等裁判所での判決です(東京高判平成元年11月22日)。

40年の別居期間があった夫婦で、不貞行為をして妻を遺棄し、不倫相手と同居をした夫からの離婚請求が認められました。

裁判所は、以下の事情を総合的に考慮し、夫からの離婚請求を認めることが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情は存在しないと判断しました。

  • 同居期間12年に対して別居期間が40年に及んでおり、夫婦として円満な婚姻関係を回復する見込みがないこと
  • 両者の婚姻関係は既に破綻して久しく経過していること
  • 当事者が77歳、73歳の高齢に達していること
  • 両者の間に子どもが生まれなかったこと、
  • 夫は別居時に妻に対して建物を渡していること
  • 別居後に妻は夫に対して積極的に生活費を請求していなかったこと

この判決では、夫に対し、妻の精神的苦痛に対する慰謝料1,500万円と、離婚に伴う財産分与として1,000万円の支払いが命じられていますが、その後さらに上告され、和解金1,500万円での和解が成立して終結したということです。

同居期間21年に対して6年の別居期間

同居期間21年に対して約6年の別居期間があった夫婦で、夫が不貞行為をして家を出て、不倫相手と同居をし、離婚請求が認められた事例です(東京高判平成14年6月26日)。

もともと夫婦間で会話が少なく良好な夫婦関係ではなかった上に、別居前、夫が妻の不倫を疑ったことでより一層2人の間の溝が深まりました。妻は不倫を否定しましたが、これによって夫は妻に対して拒否反応を示すようになり、不倫相手と同居するに至りました。

裁判所は、以下の事情を考えると、夫からの離婚請求が信義誠実の原則に反するとはいえないと判断しました。

  • 夫婦の間に子どもが2人たが、2人とも成人していること
  • 妻は語学学校に勤務して生活に困らない程度の給料をもらっていたこと
  • 夫は妻が住んでいる自宅のローンを完済するまで支払い続けることを約束したこと

別居期間が約6年というのは同居期間の21年に比べて長期間とはいえませんが、別居期間は、他の事実と総合してとらえるべき問題だとし、夫の離婚請求を認めました。

同居期間12年に対して15年以上の別居期間

同居期間12年に対して15年以上別居していた夫婦の事例です(東京地判平成15年1月31日)。

妻が家事を怠けたり夫の親族の悪口を言ったりするなど日頃から口論が絶えず、耐えられなくなった夫は家を出て、別居生活を始めました。長男の家庭内暴力が原因で一時的に自宅へ戻ったものの、妻が夫に対して相変わらず冷たい態度をとったことから夫は数カ月で再び家を出ました。

これは妻側も夫婦関係を修復する意思がなかったと判断でき、完全に婚姻関係は破綻し回復の見込みはないと判断されました。

裁判所は、以下の事情に鑑み、本件離婚請求を信義誠実の原則に照らし容認できないとまではいえないとして、夫の離婚請求を認めました。

  • 別居期間が、一度目の別居から起算すると19年間に、最後の短い同居期間から起算しても既に14年が経過していること
  • 妻もあえて婚姻を継続する意思がないこと
  • 夫婦の間に子どもが2人いるが、いずれも成人していること
  • 夫は別居時から妻に生活費を送金し続けているため離婚によって妻が過酷な状況に置かれるとは考えられないこと

まとめ

長期間にわたり別居すれば、有責配偶者からの離婚が認められるわけではありません。未成年の子どもの有無や離婚によって配偶者が過酷な生活を強いられる可能性があるかどうかなど、総合的に判断されることを理解しておきましょう。

離婚をご検討中の方で、ご自身に有責行為がある場合には、弁護士への相談をおすすめします。

ネクスパート法律事務所には、離婚全般に詳しい弁護士が在籍しています。初回相談料は原則30分無料ですので、お気軽にご相談ください。

コラム監修者

SHIZU ISHIDA

SHIZU ISHIDA

所属:東京本店

広島県広島市出身。青山学院大学心理学科、東海大学法科大学院卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、刑事、民事、法人案件等幅広い分野の専門知識を習得。弁護士登録10年目にしてネクスパート法律事務所に入所し、現在は主に離婚事件に注力している。

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