更新日:2026年2月26日 (木)

公開日:2024年1月25日 (木)

慰謝料300万円請求されて認められたケースは約6%しかない

慰謝料300万円請求されて認められたケースは約6%しかない 慰謝料300万円請求されて認められたケースは約6%しかない

サマリー

慰謝料300万円以上請求されても、約95%のケースが減額に成功しています。
実際にこれまで筆者が代理人として対応したケースの中でも、一番多い請求額は300万円で、すべて100万円前後まで減額に成功しています。

以下では、慰謝料300万円以上認められたケースと減額に成功したケースについてポイントごとに解説をします。

慰謝料300万円以上請求されたあなたのケースについて、あてはまる部分があるかどうか確認してください。
その上で、慰謝料300万円以上請求された時に取るべき行動を確認し、あなたにとってよりよい解決を目指してください。

慰謝料300万円請求されたとしても慌てる必要はない

慰謝料として300万円請求されても慌てる必要はありません。

 

理由について、以下で詳しく説明します。

 

慰謝料300万円以上が認められたケースは6%前後しかない

慰謝料を300万円以上請求されて、300万円以上が認められたケースたったの6%前後しかありません。

 

『不貞行為に関する裁判例の分析-慰謝料算定上の諸問題―』(大塚正之/著/日本加除出版/2022年4月27日初版発行)によると、2015年10月から2016年9月までの1年間に東京地方裁判所で言い渡された不貞慰謝料に関する裁判例123件のうち、300万円以上の慰謝料が認められたのは、たった8件で、全体から見れば6.5%です。

 

割合として最も高いのは100万円から200万円で、全体の約40%を占めています。

 

不貞が原因の慰謝料として300万円以上が認められるのは相当レアということがわかります。

 

このように、慰謝料300万円以上請求されても大幅に減額できる可能性があるので安心してください。

慰謝料300万円以上認められたケース

上記とは別に、『不貞慰謝料の算定事例集』(久保田有子/編著/新日本法規出版/2018年10月)では、300万円以上の慰謝料が認められたケースは34件でした。

 

同著では、慰謝料が増額された要素と減額された要素がまとめられていますが、これに加え、不貞慰謝料事件に関してこれまで9,800件以上のご相談を受け対応してきた弊所実績から導き出したポイントを紹介します。

 

不貞慰謝料請求事件全体の5、6%しかない、300万円以上の慰謝料が認められた事例のポイントは下記5つです。

 

  1. 婚姻期間が5年以上で、不貞が原因で離婚
  2. XとAの間に幼い子がいる
  3. 不貞行為が悪質である
  4. Xへの精神的打撃が大きい
  5. Xへの経済的打撃が大きい

 

これらポイントに登場する登場人物の説明は下記図のとおりです。

 

それぞれのポイントについて解説します。

 

ポイント①:XA間の婚姻期間が5年以上で、不貞が原因で離婚

XA間の婚姻期間が5年以上で、不貞が原因でXとAが離婚した場合、慰謝料の増額事由になります。

 

夫婦の婚姻共同生活は法的に保護されています。

 

不貞開始までの婚姻期間が長ければ長いほど、不貞さえなければこれからも婚姻共同生活は継続したと考えられ、仲の良かった夫婦の関係を破綻させたことによる帰責性は大きいと考えられるからです。

 

ポイント②:XA間に幼い子がいる

XA間に幼い子がいる場合、慰謝料の増額事由となります。

 

親権者は、子の監護及び教育をし、子の財産を管理する権利義務を有しています。

 

不貞が原因で離婚することになれば、子の監護教育する義務の履行が難しくなります。

 

もちろん、養育費を支払うことで最低限の義務を果たすことはできますが、これまで仲の良かった両親が離婚することは、子の健全な成長にも大きな影響を与えることになります。

 

子の健全な成長を妨げる原因を作ったということで、帰責性は大きいとされます。

 

幼い子がいる夫婦を離婚させたということは、慰謝料の増額事由になります。

 

ポイント③:不貞行為が悪質であること

下記の事情がある場合、悪質な不貞行為だとして、慰謝料の増額事由になります。

 

  • 不貞行為時、Xが妊娠中だった
  • 不貞慰謝料請求訴訟提起後も不貞行為を継続した
  • 不貞期間が長い(20年、15年、8年)/不貞回数が多い(20回以上)
  • YがAとの子を妊娠
  • Yが事実を否認し、不誠実な対応をした
  • Yが交際に積極的
  • YのXに対する嫌がらせ(不貞の事実を話す等)

 

これらの事情がある場合、裁判所は、Xは多大な精神的苦痛を被ったとして、慰謝料を増額しています。

 

ポイント④:探偵調査費用等経済的打撃

不貞の証拠を得るために探偵事務所に対して調査費用を支払った場合、相当因果関係が認められる範囲で調査費用も損害と認められます。

 

実際に支払った調査費用全額が認められるとは限りません。

 

調査費用に100万円以上を要し、経済的打撃が大きいと判断された場合、不貞行為による違法性は大きいと考えられ、慰謝料は増額されます。

 

ポイント⑤:Xが心療内科・精神科に通院

不貞行為によって婚姻関係が悪化ないし破綻したことで、Xが精神的打撃を受け、心療内科や精神科に通院する事態になったとき、Xが被った精神的損害は大きいとして慰謝料は増額されます。

 

慰謝料300万円以上請求されて減額できたケース

慰謝料300万円以上請求されても、そのうち約95%のケースが減額に成功しています。

 

ただ、減額できる金額の幅は様々です。

 

300万円以上請求されて100万円未満で解決した9.8%の事例の中から、減額事由となったポイントを紹介します。

 

ポイントは下記の5つです。

 

  1. 婚姻期間が2年未満
  2. 不貞行為の回数が10回未満
  3. 不貞発覚後、謝罪、不貞関係を解消し婚姻関係が修復されている
  4. 交際継続にAが積極的/YがAからXA間の婚姻関係は破綻していると聞かされていたこと
  5. 不貞関係開始時点で婚姻関係が悪化していた

 

ポイント①:婚姻期間が2年未満

XA間の婚姻期間が2年未満と短いとき、慰謝料の減額事由になります。

 

婚姻期間が長い夫婦の共同生活を破綻させた帰責性は大きいと上記3.1で述べました。

 

反対に、婚姻期間が2年未満と短い場合は、法的に保護される婚姻共同生活を破綻させた帰責性は小さいとして慰謝料は減額されます。

 

ポイント②:不貞行為の回数が10回未満

不貞行為の回数が10回未満と少ない場合、帰責性は小さいとされ、減額事由になります。

 

ポイント③:不貞発覚後、謝罪、不貞関係を解消し婚姻関係が修復されている

不貞発覚後に真摯に謝罪をし、関係を解消した上でXA間の関係も修復されている場合、慰謝料は減額されます。

 

自身の非を認めて謝罪し、関係を解消すれば、反省の意を示したとして帰責性は小さくなると考えられます。

 

不貞行為が事実で、慰謝料を支払うこと自体は免れない状況であれば、謝罪し関係を解消することで減額を望めます。

 

ポイント④:交際継続にAが積極的/YがAからXA間の婚姻関係は破綻していると聞かされていたこと

YよりもAが不貞関係になることに積極的で、Yは不貞関係に消極的だった場合、慰謝料の減額事由になります。

 

Aから、すでに夫婦の関係は冷めている、離婚する予定がある等言われしつこく誘われた結果不貞関係になってしまった場合、Yの帰責性は小さいとされるからです。

 

ポイント⑤:不貞関係開始時点で婚姻関係が悪化していた

不貞関係開始時点ですでにXA間の婚姻関係が悪化していた場合、慰謝料の減額事由になります。

 

不貞のみが原因で、夫婦の婚姻共同生活に悪影響が及ぼされたわけではないからです。

 

不貞関係と夫婦の婚姻破綻にまったく因果関係がなければそもそも慰謝料は認められないと考えられますが、まったく因果関係がないと証明することは、難しいでしょう。

 

とはいえ、不貞関係開始時点でXAがすでに別居していた、同居しつつもXA間で離婚の協議をしていた等の事情がある場合は慰謝料の減額事由になるでしょう。

 

慰謝料300万円を請求された時にとるべき行動

慰謝料300万円を請求されたら、すぐに弁護士に相談しましょう。

 

なおかつ、信頼できる弁護士であればそのまま減額交渉を依頼しましょう。

 

弁護士に相談する

これまで述べてきたとおり、慰謝料300万円を請求されたとしても、300万円を支払わなければいけないケースはそのうちの5、6%です。

 

約95%慰謝料の減額に成功しているのですから、減額交渉のプロである弁護士に相談し、減額交渉を依頼するべきです。

 

弁護士費用がかかったとしても、半数以上が200万円未満で解決していることを考えれば、損をすることはないでしょう。

 

弁護士に依頼すべき理由

弁護士に依頼すべき大きな理由は下記2つです。

 

  1. 交渉の窓口になってもらえる
  2. 弁護士は減額交渉の専門家である

 

①交渉の窓口になってもらえる

弁護士に依頼すれば、慰謝料減額交渉の窓口になってもらえます。

 

相手方に減額してほしいと交渉することを含め、すべて弁護士が代わりに対応してくれます。

 

慰謝料を請求されただけでもストレスなのに、お金をいくら支払うのか、いつまでに支払うのか、不貞相手や相手方と交わす約束事等、慰謝料以外の和解条件等、すべてのやりとりをあなた自身で行うことを想像してみてください。

 

昼間仕事をしている時、夜自宅でくつろいでいる時、休日家族と過ごしている時、相手方からの連絡は、いつ来るかわかりません。

 

その場は適当に回答をして時間稼ぎができたとしても、相手方はいつまでも待っていてはくれません。

 

時間稼ぎだけでは減額交渉はできませんし、他方、一方的に支払える金額を提示したとしても、相場観からずれた提示をすれば相手方の気持ちを逆なですることになり交渉決裂となるかもしれません。交渉が決裂すれば、訴訟を提起されることになります。

 

相手方が納得する慰謝料を支払って解決するまで、いつ来るかわからない相手方からの連絡を待つ日々は、考えている以上にストレスフルです。

弁護士に窓口になってもらい、ストレスフルな毎日から解放されましょう。

 

②弁護士は減額交渉の専門家である

弁護士は減額交渉の専門家です。

 

餅は餅屋。交渉事は弁護士に任せましょう。

 

慰謝料300万円以上を請求されて減額できたケースについて減額のポイントを4で述べましたが、あなたのケースがこのポイントにあてはまるのか、仮にあてはまらないとしてそれでも減額できるのか、判断することも実際交渉することも、法的な知識も経験もない本人で対応することは困難です。

 

実際の裁判例でも、適切な主張と証拠をそろえれば減額できたのに、それらが不足していたため減額できなかった事案もあります。

 

弁護士は、専門書や過去の裁判例を調べたり、自身や所属する法律事務所(の他の弁護士)の経験と照らし合わせ、あなたのケースで減額できる事情を探し、証拠を集めます。

 

専門書は専門用語が多数でてきます。

裁判例は、当事者双方の主張が整理されたものと、裁判所の判断が記載されています。

いずれも、慣れていない人にとっては読みづらい構造です。

 

あなたの大切な時間は、あなたのために使い、減額交渉は弁護士に任せましょう。

 

弁護士の選び方

慰謝料300万円以上を請求されたら減額交渉を依頼するため、弁護士を選びましょう。

 

弁護士の選び方は、「不倫慰謝料の減額を狙えるケースと狙えないケース」を参考にしてください。

 

慰謝料300万円請求された時のNG行動

慰謝料300万円を請求された時の主なNG行動は下記4つです。

 

  1. 無視する
  2. ただ支払う
  3. 支払う約束をする(合意書等にサインする)
  4. 感情的な行動をとる

 

無視する

慰謝料300万円を請求されて、仮に支払う理由はない!と考えたとしても、無視をしてはいけません。

 

請求を無視された請求者として次に起こすアクションとして考えられる正当な手続きは訴訟の提起です。

 

正当な」と書いたのは、「不当な」手続きに進んでしまう可能性もあるからです。

不当な」手続きとは、不貞の事実をあなたの就業先や、家族知人にばらすなどの強硬手段に出てしまうことです。

 

請求者は、婚姻生活の破綻の原因を作ったあなたに対して悪感情を持っていることがほとんどです。

 

その上、慰謝料請求を無視されれば、あなたに対してさらなる悪感情を抱くことになるでしょう。

 

正当な」手続きに進んでくれたとしても、訴訟対応となると訴訟前の交渉に比べ専門性が高くなり、本人対応はより困難となるでしょう。

 

慰謝料請求されて無視したした場合の悲惨な結末については、「不倫慰謝料請求を無視し続けたらどうなる?悲惨な顛末を紹介」を参考にしてください。

 

ただ支払う

慰謝料300万円を請求されて、そのまま指定された口座に300万円を振り込んではいけません。

 

仮に、減額の交渉をせず、請求額どおり支払う予定だとしても、支払う前に書面を作成しましょう。
書面には、当事者間の約束事を記載します。

 

記載すべき主な約束事は、下記5つです。

 

  1. 双方合意の支払金額
  2. 支払時期、支払方法
  3. 接近禁止、連絡先の消去等
  4. 口外禁止
  5. 当事者双方債権債務なし(清算条項)

 

慰謝料を支払って不貞相手と別れたのに、以後も不貞相手から連絡が来たり、さらに金銭を請求されたりすることは未然に防ぐ必要があります。

 

支払った後に減額できたのではないか…と思っても支払い済みの金銭を取り戻すことは難しいです。

 

トラブルを未然に防ぐためにも、支払う前に、弁護士に相談しましょう。

 

支払う約束をする(合意書等にサインする)

慰謝料300万円を請求されて、相手方の主張や証拠を確認せず支払う約束をしたり支払うことについて合意する内容の書面にサインしてはいけません。

 

支払うという合意は、書面がなくても成立します。
一旦合意してしまうと、不貞行為の内容について争いがあったとしても、合意に基づく支払い義務が発生します。

 

慰謝料を支払う合意が成立した後は、減額の交渉の難易度が上がるので、支払う約束をする前に弁護士に相談しましょう。

 

感情的な行動をとる

慰謝料300万円を請求されると動揺すると思いますが、感情に任せた行動をとってはいけません。

 

感情に任せた行動とは、不貞相手や請求者の悪口を相手に伝える、SNS等に投稿する、請求者の自宅や就業先に押しかけるなどの行為です。

 

あなた自身、不貞に至る経緯等で反論したい事情もあるかもしれませんが、感情的な言動を請求者にぶつけても減額交渉のプラスにはなりません。

 

上記のような行動に出れば、不貞行為とは別の不法行為として追加で慰謝料を支払うことになるかもしれません。

 

慰謝料300万円を請求されたら、すぐに弁護士に相談しましょう。

まとめ

慰謝料300万円を請求されても約95%のケースで減額に成功しています。

 

半数以上のケースでは200万円未満の支払いで解決しています。

 

減額に成功した後も、ただ支払うだけでは根本的な解決にはなりません。

 

将来的なトラブルに備えることも考え、慰謝料300万円を請求されてもあわてず、弁護士に相談しましょう。

コラム監修者

SHIZU ISHIDA

SHIZU ISHIDA

所属:東京オフィス

広島県広島市出身。青山学院大学心理学科、東海大学法科大学院卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、刑事、民事、法人案件等幅広い分野の専門知識を習得。弁護士登録10年目にしてネクスパート法律事務所に入所し、現在は主に離婚事件に注力している。

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