更新日:2026年10月14日 (水)

公開日:2025年4月23日 (水)

リベンジポルノとは|防止法の構成要件・罰則や対処法を解説

リベンジポルノとは|防止法の構成要件・罰則や対処法を解説 リベンジポルノとは|防止法の構成要件・罰則や対処法を解説

サマリー

元交際相手などから私的な性的画像や動画を流出させられたり、トラブルによって公表の不安を抱えたりする問題は深刻です。

いわゆるリベンジポルノは重大な権利侵害であり、法律によって厳格な処罰が定められています。

インターネット上に拡散した情報は急速に広がるため、法的枠組みの正確な理解と速やかな初動が欠かせません。

この記事では、リベンジポルノ防止法の構成要件や関連する犯罪の罰則、生じうる法的リスクに加え、被害発生時の証拠保全や削除要請、当事者双方における法的な対応手順を解説します。

リベンジポルノとは?法律上の定義と制定の背景

リベンジポルノとは?法律上の定義と制定の背景

リベンジポルノの一般的な概念と該当する行為

一般に「リベンジポルノ」とは、元交際相手や元配偶者などとの破局や関係の破綻に際し、腹いせや嫌がらせ、復讐などを目的に、相手の私的な性的画像や動画をインターネット上などに公開する行為を指します。

交際関係にあった当事者間で撮影された画像だけでなく、SNSやマッチングアプリなどを通じて知り合った面識の浅い相手の性的な画像を、第三者が閲覧できる状態に置く行為も該当します。

被害の対象は女性に限られず、男性が被害を受けるケースも存在します。

個人の極めて秘匿性の高いプライバシー情報が悪用される点に重大な問題性があります。

近年の相談件数と被害実態の動向

警察庁の公表データによると、2023年におけるリベンジポルノに関する相談件数は1,812件に達し、関連法令の施行以降で過去最多を記録しました。

相談内容の内訳を見ると、「画像を所持されている・撮影された」という相談が35.9%、「画像を公表すると脅された」という相談が31.5%を占めています。

このように、実際に画像が外部へ流出してしまう前の段階や、所持・公表を示唆された脅迫の段階での相談が全体の半数以上を占めている傾向がうかがえます。

被害者の年代としては、20代が約40%、10代が約30%を占めており、スマートフォンやSNSの利用頻度が高い若年層においてトラブルが生じやすい状況が報告されています。

加害者と被害者の関係性については、交際相手(元交際相手を含む)が48.6%と半数近くを占め、次いでインターネット等で知り合った知人・友人が21.1%となっています。

項目 主な割合・内訳
相談件数(2023年) 1,812件(施行以降最多)
主な相談内容 画像を所持・撮影(35.9%)/公表の脅し(31.5%)
被害者の年代層 20代(約40%)/10代(約30%)
当事者の関係性 交際相手・元交際相手(48.6%)/ネットの知人等(21.1%)

リベンジポルノ防止法が制定された経緯と目的

私的な性的画像の流出被害を防止するため、2014年に「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」(通称:リベンジポルノ防止法)が施行されました。

この法律が制定された背景には、2013年に発生したストーカー殺人事件があります。

同事件では、加害者が被害者からの連絡拒否に逆上し、私的な画像をネット上に公開した行為が大きな社会問題となりました。

それまでの刑法では、名誉毀損罪やわいせつ物頒布罪等の適用が検討されていたものの、要件該当性や保護法益の観点から、被害者のプライバシー侵害を直接的かつ迅速に処罰・救済する枠組みとして不十分な面がありました。

一度インターネット上に流出した画像や動画は短時間で広範囲に拡散し、完全な回収や削除が極めて困難になるという性質を有しています。

そのためリベンジポルノ防止法は、私事性的画像記録の提供や陳列を直接規制し、個人の性的プライバシーの保護と被害の未然防止・拡大防止を図ることを目的に定められています。

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リベンジポルノ防止法の構成要件と定められている罰則

リベンジポルノ防止法(正式名称:私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律)では、どのような行為が処罰の対象となるのかについて明確な構成要件が定められています。

処罰の対象行為を正確に把握するためには、規制される対象である「私事性的画像記録」の具体的な範囲や、提供行為の態様、さらには法定刑の体系を整理して理解することが重要です。

規制対象となる「私事性的画像記録」の範囲

リベンジポルノ防止法において保護の対象となる「私事性的画像記録」とは、個人の私的な領域における性的な姿態を記録した画像や映像などを指します。

法律上、主に以下のいずれかに該当するものが対象とされています。

  • 性交または性交類似行為を行っている人の姿態
  • 他人が人の性器等(性器、肛門または乳首)に触れる行為やその姿態であって、性欲を興奮させまたは刺激するもの
  • 衣服の全部または一部を着けていない人の姿態であり、殊更に人の性的な部位(性器等やその周辺部位、臀部または胸部)が露出されまたは強調されているものであって、性欲を興奮させまたは刺激するもの

これらの記録は、スマートフォンやカメラで撮影されたデジタルデータだけでなく、データが保存されたUSBメモリやSDカード、CD-ROMなどの記録媒体、さらには紙に印刷された写真なども広く含まれます。

一方で、撮影当初から広く一般に公開されることを前提として撮影された商業用のグラビア写真や映像作品などは、私的な領域を保護するという法の趣旨から「私事性的画像記録」には該当しません。

提供行為の態様と撮影対象者の「特定性」の判断基準

同法では、私事性的画像記録を「不特定または多数の者」に向けて提供・陳列する行為が禁じられています。

不特定または多数とは、知り合いに限られない不特定の人や、多数の人物が閲覧できる状態に置くことを意味します。

提供の方法としては、SNSや電子掲示板、動画共有サイトなどへの投稿が代表的ですが、インターネット上の送信に限らず、印刷した写真を屋外に散布・掲示するような物理的な陳列行為も含まれます。

また、構成要件の一つとして「第三者が撮影対象者を特定することができる方法」であることが求められます。

これは、対象者の顔や本名が直接写っている場合に限定されません。

たとえ顔部分が隠されていても、投稿文に付随するニックネーム、勤務先、学校名、背景の室内風景や特徴的な所持品などから、友人や知人といった周囲の人物が「特定の誰であるか」を識別できれば要件を満たすと解釈されます。

顔や氏名が直接表示されていなくても、周囲の人物が本人と識別できる情報が含まれていれば違法と判断される可能性があります。

法定刑と親告罪の規定

リベンジポルノ防止法では、自ら公表する行為だけでなく、第三者に公表させる目的で画像等を提供する行為についても処罰規定を置いています。

罪名 対象行為の概要 定められている法定刑
公表罪

(第3条1項・2項)

電気通信回線を通じた不特定・多数への提供、記録物の提供・公然陳列 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
公表目的提供罪

(第3条3項)

公表罪の行為をさせる目的での、電気通信回線を通じた提供または記録物の提供 1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金

なお、刑法等の一部改正に伴い、従来の懲役刑および禁錮刑は「拘禁刑」へと一本化されています。

同法第3条に定める各罪は「親告罪」と規定されています。親告罪とは、検察官が起訴(刑事裁判の提起)を行うにあたり、被害者等による正式な刑事告訴が必要となる犯罪です。

公開の法廷で刑事手続きが進められることで、被害者のプライバシーがさらに侵害される事態を防ぐため、被害者本人の処罰意思を尊重する仕組みとして親告罪が採用されています。

リベンジポルノ防止法違反について加害者の刑事責任を追及する場合、被害者による刑事告訴が重要な法的手続きとなります。

押収された画像データ等の消去・廃棄制度

従来の刑事手続きにおいては、押収された記録媒体について、加害者が刑事裁判で有罪判決を受けない場合や不起訴となった場合、所有権の放棄がなければ画像データが加害者に返還されてしまうという課題が存在していました。

こうした被害者側の強い懸念を解消するため、性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(性的姿態撮影等処罰法)などの整備を通じ、新たな消去・廃棄制度が導入されました。

この制度により、起訴・不起訴を問わず、検察官の判断に基づく行政手続きとして、押収された記録媒体から対象となる性的画像データを消去したり、媒体そのものを廃棄したりすることが可能となっています。

これにより、事件処理後に加害者の手元へ被害画像が戻り二次流出が引き起こされるリスクを防ぎ、被害者の権利と平穏な生活を保護する実効的な運用が図られています。

リベンジポルノに関連して成立する可能性がある主な犯罪

元交際相手などの私的な性的画像や動画をめぐるトラブルでは、リベンジポルノ防止法違反にとどまらず、行為の態様や前後の経緯によって刑法や他の特別法上のさまざまな犯罪が成立する可能性があります。

画像の取得過程や公表に至るまでのやり取り、被害者の年齢などに応じて適用される条文が異なり、複数の罪責を問われる場合もあります。

無断撮影に関わる性的姿態撮影等処罰法(撮影罪)

画像を公表する前段階として、本人の同意なく性的な姿態を撮影していた場合には、2023年7月に施行された性的姿態撮影等処罰法における「撮影罪」に問われる可能性があります。

性的な部位や下着、性行為の様子などを密かに撮影する行為のほか、相手がアルコールや睡眠、心理的影響などで抵抗や拒絶が困難な状態に乗じて撮影する行為も規制対象です。

また、自分しか見ないと相手を誤信させて撮影させた場合なども含まれます。撮影罪の法定刑は、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金と定められています。

刑法上のわいせつ物頒布等の罪および名誉毀損罪

刑法第175条のわいせつ物頒布等の罪は、わいせつな文書、画像、電磁的記録などを不特定または多数に向けて頒布したり、公然と陳列したりした場合に成立します。

法定刑は2年以下の拘禁刑もしくは250万円以下の罰金、または科料であり、拘禁刑と罰金が併科されることもあります。

リベンジポルノ防止法とは異なり、復讐などの動機を問わず成立しうる点が特徴です。

さらに、性的画像を公開して個人の社会的評価を低下させた場合には、刑法第230条の名誉毀損罪が成立する余地があります。

名誉毀損罪は公然と事実を摘示して人の名誉を毀損した場合に成立し、事実の有無にかかわらず3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科される可能性があります。

対象者が18歳未満である場合の児童ポルノ禁止法違反

画像や動画に写っている対象者が18歳未満である場合、児童買春・児童ポルノ禁止法(児童ポルノ禁止法)の適用対象となります。

同法では、児童ポルノの公表や第三者への提供だけでなく、自己の性的好奇心を満たす目的での所持や保管自体も禁止されています。

行為類型 成立要件の概要 法定刑
所持罪・保管罪 自己の性的好奇心を満たす目的での所持・保管 1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金
提供罪 第三者に対して児童ポルノデータ等を提供 3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金
陳列罪 不特定または多数の者が認識できる状態に置く行為 5年以下の拘禁刑又は500万円以下の罰金

画像を口実にした脅迫罪・強要罪・恐喝罪

所持している私的な画像を口実にして相手に迫る行為は、刑法上の脅迫罪や強要罪、恐喝罪に該当する場合があります。

「画像を周囲にばらまく」などと名誉や身体などに害を加える旨を告知した場合は、刑法第222条の脅迫罪(2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金)に問われる可能性があります。

さらに「拡散されたくなければ復縁しろ」「要求に応じろ」などと義務のないことを行わせた場合は、刑法第223条の強要罪(3年以下の拘禁刑)が成立します。

同様の脅しで金銭を要求した場合は恐喝罪に問われます。

執拗な連絡や監視行為に伴うストーカー規制法違反

恋愛感情や好意の感情が満たされなかったことに対する怨恨等に基づき、元交際相手に対して執拗な接触を繰り返す行為は、ストーカー規制法違反に該当する可能性があります。

つきまとい、待ち伏せ、連続したメッセージ送信、監視していることの告知などに加え、拒絶されているにもかかわらず性的な写真を送りつける行為も同法の規制対象に含まれます。

ストーカー規制法におけるストーカー行為に対しては、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金という罰則が設けられています。

私的な性的画像を拡散・公表した場合に生じるリスク

元交際相手への感情のもつれや腹いせなどから私的な性的画像をインターネット上に公開したり、知人等へ送信したりした場合、民事・刑事の双方において極めて重大な法的責任を負うリスクが生じます。

刑事事件化に伴う逮捕・勾留と日常生活への影響

被害者が警察へ被害を相談したり告訴を行ったりした場合、刑事事件として捜査が開始され、被疑者として逮捕される可能性があります。

警察庁の公表資料によると、2023年中にはリベンジポルノ防止法違反で62件が検挙されたほか、性的画像に関連する事案として脅迫や強要、名誉毀損など他の罪名でも253件が検挙されています。

逮捕は逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断された際に行われます。ネット上の投稿や保存データを慌てて削除する行為が証拠隠滅とみなされ、身柄拘束の判断に影響を及ぼすことも考えられます。

逮捕された場合は、48時間以内に警察から検察官へ身柄が送致され、さらに24時間以内に裁判官へ勾留請求を行うかどうかが判断されます。

裁判官によって勾留決定が下されると、原則として10日間、勾留延長が認められた場合にはさらに最長10日間、合計で最大20日間にわたり警察署の留置場などに身柄が拘束されます。

身柄拘束中は外部との連絡が厳しく制限されるため、長期間の無断欠勤や欠席を余儀なくされ、勤務先や学校、同居する家族に事件の事実が知られるリスクが高まります。

刑事裁判における有罪判決と前科が付くリスク

検察官によって刑事裁判の提起(起訴)がなされた場合、略式命令による罰金刑や、法廷で審理が行われる公判請求の手続きへと進むことになります。

リベンジポルノ防止法違反の罪は被害者の告訴が必要な親告罪ですが、悪質性が高いと判断された場合や、示談が成立していない場合には起訴される可能性が十分にあります。

日本の刑事裁判では起訴された場合の有罪率が極めて高く、有罪判決が言い渡されて刑が確定すると、拘禁刑や罰金刑などの刑罰が科されるとともに前科として記録に残ります。

前科が付くことにより、一定の国家資格の取得制限や剥奪が生じるほか、就業規則に基づく懲戒解雇や将来的な再就職への影響など、社会生活上の不利益を被るおそれがあります。

さらに、画像を拡散する行為に加えて脅迫や強要などを併せて行っていた場合には、刑法上の併合罪として処理され、重い罪の刑期の長期にその2分の1を加えたものが上限となるなど、処罰が一段と重くなる可能性があります。

不法行為(民法第709条)に基づく損害賠償・慰謝料請求

私的な性的画像を公表・拡散する行為は、刑事責任にとどまらず、民事上も故意によって他人の権利を侵害する不法行為(民法第709条)に該当します。

性的画像の流出は、被害者のプライバシー権や名誉権、人格権を深刻に害する行為であるため、被侵害者が被った著しい精神的苦痛に対する損害賠償請求(慰謝料請求)を受けることになります。

民事上の慰謝料の金額は、公表された画像の露出度や撮影状況、拡散の規模、被害者の受けた心理的影響などを総合的に考慮して算定されます。

過去の裁判例や一般的な目安としては、おおよそ50万円から100万円前後の範囲で認められるケースが多く見られます。

仮に刑事事件において不起訴処分や執行猶予となった場合であっても、民事上の不法行為責任が当然に免除されるわけではありません。

被害者側から別途民事訴訟を起こされ、高額な賠償責任を負うリスクは残ります。

リベンジポルノ防止法違反等に関する裁判例・報道事例

リベンジポルノ防止法や刑法などの関連法令がどのように適用されるかは、実際の摘発事例や裁判例を見ることで具体的に把握できます。

どのような状況や手口において刑事責任が追及されているのかを知ることは、トラブルの重大性を理解するうえで有益です。

過去の事例からは、専用の投稿サイトへの流出にとどまらず、SNSの機能利用や関係修復の強要、営利目的での公開など、多様な態様に対して警察の捜査や司法判断が下されていることが確認できます。

SNSのプロフィール画像設定による摘発事例

SNSのプロフィール欄に知人の性的な画像を設定し、不特定多数の閲覧が可能な状態にしたとして、リベンジポルノ防止法違反の疑いで男性が逮捕された事例が報じられています。

この事案では、知人女性の顔や胸部が撮影された画像がアカウントのプロフィールに登録されていました。

投稿機能での発信だけでなく、誰でも確認できるプロフィール画面への設定も、同法における公表行為と判断された点が特徴的です。

発覚の端緒は、被害女性がSNS上で知り合った第三者から「画像が拡散されている」との連絡を受け、警察へ被害を相談したことによるものでした。

知人や友人に限定したつもりであっても、公開範囲や設定次第で広く第三者の目に触れる状態になれば、速やかに刑事事件として立件される可能性があることを示しています。

関係修復の要求や脅迫を伴う画像送信事案における判決例

交際や面会を強要する目的で性的な画像を悪用し、脅迫と公表に及んだ事案において、リベンジポルノ防止法違反および脅迫罪の成立が認められた裁判例が存在します。

この事件の被告人は、被害女性に対して性的な画像を多数回送信したうえで面会を要求しました。

要求に応じない場合は職場や知人に画像をばらまくと告げて脅迫し、実際に計7回にわたって画像を送信しました。

さらに、発覚を免れるために複数の携帯電話端末やSNSアカウントを使い分けて連絡を行うなど、周到かつ計画的な犯行態様が認められています。

裁判所は、女性の気を引くためという動機や犯行の経緯には酌量の余地がないと厳しく指摘しました。

一方で、被告人が法廷で事実を認めて反省の態度を示していることなどの事情も考慮され、懲役(現:拘禁刑)3年・執行猶予4年の有罪判決が言い渡されています。

相手の意思に反して性的画像を交渉材料に使う行為は、公表に至る前であっても脅迫罪等の対象となり、重い処罰の対象となることが示されています。

不正に撮影した性的な動画の投稿・販売行為に対する刑事責任

相手に無断で性的な姿態を撮影し、動画共有サイト上で公開や販売を行っていた事案では、リベンジポルノ防止法違反に加えてわいせつ電磁的記録記録媒体陳列罪が問われ、重い有罪判決が下されています。

この事件では、被告人の男性が出会い系アプリを通じて知り合った10代から30代の女性8人との性行為を無断で隠し撮りしていました。

手口としては、ホテルの部屋の壁に掛けた小さな絵画に穴を開け、そこにスマートフォンを設置して隠し撮りを行うという巧妙なものでした。

撮影された映像は、被害女性の顔が識別できる状態で動画投稿サイトにアップロードされていました。

審理の結果、被告人に対しては懲役(現:拘禁刑)3年・執行猶予5年に加え、100万円の罰金刑が併科される判決が言い渡されました。

プライベートな空間であっても無断で撮影したデータを公表・陳列する行為は、被害者の尊厳を著しく害するものとして、自由刑と財産刑の双方が科される厳しい司法判断が下されています。

事例の類型 主な適用罪名 判断・判決内容の概要
SNSプロフィール設定事案 リベンジポルノ防止法違反の疑い 顔や胸の画像を閲覧可能な状態にし逮捕
面会要求・脅迫事案 リベンジポルノ防止法違反、脅迫罪 懲役(現:拘禁刑)3年・執行猶予4年(計画性や悪質性を指摘)
隠し撮り動画の投稿・販売事案 リベンジポルノ防止法違反、わいせつ電磁的記録記録媒体陳列罪 懲役(現:拘禁刑)3年・執行猶予5年・罰金100万円併科

被害を受けた場合の主な対処法と相談手順

自身の性的な画像や動画がインターネット上に投稿されたり、第三者へ送信されたりしていることを知った場合、速やかに適切な初動をとることが重要です。

精神的なショックからすぐに投稿を消したいと考えがちですが、手順を誤ると加害者の特定や法的責任の追及が困難になる場合があります。

被害状況の証拠保全

被害の拡大を防ぐ対応と並行して、まずは被害の客観的な証拠を確保しておく必要があります。

証拠が残っていない場合、警察への申告や法的な請求が難しくなるためです。

投稿の削除を求める前に、客観的な記録を残すことがその後の手続きにおいて重要となります。

具体的には、掲載されているWebページのURL全体、投稿された日時、加害者のアカウント名やIDなどが確認できる状態で画面全体のスクリーンショットを保存します。

動画が掲載されている場合は、該当動画をダウンロードして保存するか、再生画面全体の録画を行って内容とURLを記録に残す方法が考えられます。

また、SNSやメッセージアプリ等で脅迫や要求を受けている場合は、送信元の情報、メッセージの送受信日時、文面全体の履歴も消去せずにそのまま保存しておくことが大切です。

プラットフォームへの削除申請と公的・民間窓口の活用

証拠を保全した後は、画像や動画がさらに拡散することを防ぐために、掲載されているWebサイトやSNSの運営者に対して削除要請を行います。

多くの主要なプラットフォームでは、利用規約でプライバシー侵害や性的なコンテンツの無断投稿を禁じており、通報フォームから削除依頼を出すことが可能です。

サイト管理者への直接の連絡が難しい場合や海外のサイトに転載された場合は、一般社団法人セーファーインターネット協会が運営する「セーフライン」などの窓口に相談する方法があります。

セーフラインでは、違法・有害情報に関する通報を受け付け、プロバイダ等への削除要請を無償で支援する活動を行っています。

なお、インターネット上のアクセスログなどの通信記録は、プロバイダ側で保管される期間が3か月から半年程度と限られているケースが多いため、加害者を特定したい場合は迅速な対応が求められます。

警察への被害申告と刑事告訴の手順

加害者に対して刑事上の処罰を求めたい場合や、身の危険を感じる脅迫を受けている場合は、速やかに警察署へ相談することが検討されます。

警察署のサイバー犯罪相談窓口や生活安全課などに相談する際は、あらかじめ印刷・整理したスクリーンショット等の証拠や、時系列をまとめたメモを持参すると状況が伝わりやすくなります。

リベンジポルノ防止法違反の公表罪などは親告罪と定められているため、検察官が起訴を行って刑事裁判にかけるためには、原則として被害者側による正式な告訴状の提出(刑事告訴)が必要です。

ただし、警察などの捜査機関は犯罪の捜査や犯人の検挙を行う組織であり、インターネット上に流出した画像や動画そのものの削除作業を代行してくれるわけではない点に留意する必要があります。

民事上の損害賠償請求の検討と留意点

刑事手続きとは別に、画像の無断公表によって被った精神的苦痛に対して、加害者に民法第709条の不法行為に基づく損害賠償(慰謝料)を請求することも可能です。

リベンジポルノ事案における慰謝料の金額は、公表された画像の態様、拡散の範囲、被害者の受けた精神的影響などの諸事情を考慮して判断されます。

相手方が匿名のアカウントを利用して投稿している場合は、損害賠償を請求する前提として、プロバイダ責任制限法等に基づく発信者情報開示請求の手続きが必要になる場合があります。

法的な手続きを通じて請求を行うにあたっては、相手方の支払能力や手続きにかかる費用面も含めて総合的に判断することが大切です。

画像を公表・送信してしまった側の適切な対応

突発的な感情のもつれや復讐心から、相手の私事性的画像をインターネット上に公開したり第三者に送信したりしてしまった場合、重い刑事責任や民事上の損害賠償義務を問われる事態に直面します。

自身の行った行為が違法であると認識した段階において、被害のさらなる拡大を抑え、誠実な対応を速やかに進めることが極めて重要となります。

被害拡大を防ぐための迅速なデータ削除と状況確認

私的な性的画像をSNSや掲示板などに投稿してしまった際には、不特定多数の人物によって無断で保存・再転載される前に、自らの手で速やかに削除手続きを行うことが最優先の課題となります。

投稿したアカウントから当該画像や動画を取り下げるとともに、もし電子掲示板等で自身による削除が困難な仕様であれば、管理者に対して直ちに削除申請を送信するなどの措置が求められます。

あわせて、自身がどのような画像や付随情報(相手の氏名、ニックネーム、勤務先など)を、どの範囲に送信・投稿してしまったのかについて、客観的な事実関係を正確に整理しておく必要があります。

なお、捜査機関の介入が想定される局面において、自己の関与を隠蔽する目的で不自然なデータ消去や端末の破棄を行うと、証拠隠滅のおそれがあると判断され身柄拘束のリスクを高める要因になり得ます。

当事者同士の直接接触を避けるべき理由と二次トラブルのリスク

事態の重大さに動揺し、被害者に対して直接謝罪しようとしたり、投稿の取り下げを口実に連絡を試みたりする行為は、事態を一層悪化させる危険性を伴います。

流出の被害に遭った相手方は、極めて強い精神的ショックや加害者に対する強い恐怖心を抱いていることが多く、加害者からの直接の接触そのものが重大な精神的圧迫と受け止められかねません。

たとえ謝罪の目的であっても、連続したメッセージ送信や自宅・職場周辺での待ち伏せなどを行うと、強要罪や脅迫罪、あるいはストーカー規制法違反といった別の犯罪の成立を疑われるリスクが生じます。

当事者同士での話し合いは感情的な反発を招きやすく、条件交渉の過程で二次的なトラブルへと発展しやすいため、本人同士での直接の接触は避けることが原則とされています。

被害者への真摯な謝罪と示談交渉の進め方

生じさせてしまった被害に対して法的・道義的な責任を果たすためには、被害者の心情に配慮しながら真摯に反省の意を示し、民事上の損害賠償を含めた示談交渉を進めることが検討されます。

示談とは、加害者が被害者に対して謝罪文や慰謝料などの示談金を支払い、被害感情の宥恕(許し)や刑事処罰を望まない旨の合意を取り付ける法的な契約手続きです。

リベンジポルノ防止法違反の公表罪は親告罪に定められているため、検察官による起訴の判断前に示談が成立し刑事告訴が取り下げられれば、起訴を回避できる可能性が高まります。

示談契約を締結する際は、金銭の支払いだけでなく、所持している画像データの完全消去、今後の接触禁止、秘密保持義務などを明確に条項化することが不可欠です。

もっとも、被害者が加害者本人との対話を拒絶することは通常であるため、示談の申し入れや条件面の協議は、中立的立場で対話を進められる弁護士を介して実施することが現実的な手段となります。

リベンジポルノに関するよくある質問(FAQ)

リベンジポルノを巡るトラブルでは、法律上の責任や示談の手続きに関して多くの疑問が生じます。

ここでは、よく寄せられる質問について一般的な法解釈や留意点を解説します。

Q. リベンジポルノ防止法に未遂罪の規定はありますか?

リベンジポルノ防止法(私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律)には、公表罪や公表目的提供罪の未遂を直接処罰する規定は設けられていません。

ただし、実際に公表に至っていない場合であっても、公表を告げて相手を脅した場合には脅迫罪や強要罪が成立する可能性があります。

公表前であっても刑事責任を問われないわけではありません。

Q. インターネット上に公表していなくても罪に問われることはありますか?

不特定または多数の者へ公表していなくても、撮影行為そのものが無断であれば性的姿態撮影等処罰法(撮影罪)に問われる可能性があります。

また、撮影対象者が18歳未満である場合には、児童ポルノ禁止法に基づき、自己の性的好奇心を満たす目的での所持や保管自体が処罰の対象となることがあります。

Q. 撮影時に相手の同意があった画像でも公表すれば違法になりますか?

撮影自体に相手方の承諾があった場合でも、第三者への提供やインターネット上への公表に同意していなければ、リベンジポルノ防止法違反が成立し得ます。

リベンジポルノ防止法は、私的な領域にとどめることを前提に提供・撮影された画像が意図に反して拡散される被害を防ぐことを目的としているためです。

Q. 当事者間だけで示談を進めることは法的に可能ですか?

民事上の合意形成として、弁護士などを介さずに当事者同士で示談契約を締結すること自体は法的に禁止されているわけではありません。

示談書を作成し、被害弁償の支払いやデータの完全消去、今後の接触禁止などの条件を取り交わすことで民事上の紛争解決を図る形式自体は成立します。

Q. 当事者同士で示談交渉を進める際に生じやすい懸念点やリスクは何ですか?

リベンジポルノ事案は感情的な対立が激しく、加害者からの直接の連絡が被害者にとって強烈な精神的威圧となり、交渉自体を拒絶される傾向があります。

また、示談を持ちかける行為が執拗な連絡とみなされ、ストーカー規制法違反や脅迫罪といった新たな法的トラブルに発展する危険性も潜んでいます。

さらに、個人間のみで合意書を作成した場合、データ廃棄の確認方法や口外禁止条項の文言が不十分となり、将来的な再拡散を巡る紛争が再燃するリスクも残ります。

Q. 画像の公表を口実に関係修復や面会を求める行為はどのような罪になりますか?

「言う通りにしなければ画像をばらまく」などと告げて復縁や面会を強いる行為は、刑法上の脅迫罪や強要罪に該当する可能性が極めて高くなります。

加えて、恋愛感情のもつれに基づく執拗なメッセージ送信や押しかけが伴う場合は、ストーカー規制法違反による取り締まりの対象にもなり得ます。

リベンジポルノ問題における弁護士への相談

リベンジポルノ問題における弁護士への相談

リベンジポルノの問題は、個人の尊厳やプライバシーに直結する重大な事態であり、放置すると被害が急速に拡大するおそれがあります。

当事者間での直接のやり取りは感情的な衝突を招きやすく、事態を一層悪化させることが珍しくありません。

そのため、法律を扱う弁護士を介して適切に対応を進めることが選択肢の一つとなります。

被害者側における法的支援の内容

被害に直面した場合、迅速な画像データの拡散防止と法的責任の追及が主な課題となります。

弁護士は、インターネット上の投稿に対する削除請求や発信者情報開示請求などの法的手続きを代理することが可能です。

サイト管理者に対する任意の削除申請に応じてもらえない場合でも、裁判所への仮処分申立てなど実効性のある法的措置を検討できます。

投稿の記録や証拠の保全を適切に行いながら手続きを進めることが重要です。

また、刑事手続きにおいては、警察への被害届提出や告訴状の作成・提出を代理・支援します。リベンジポルノ防止法違反の多くは親告罪であるため、処罰を求める意思を法的に明確な書類として整える作業が求められます。

さらに、民事上の不法行為に基づく損害賠償請求の代理も行います。

被った精神的苦痛に対する慰謝料の算定や相手方との交渉、必要に応じた訴訟提起を通じて、権利回復に向けた手続きを一体的に進めることができます。

加害者側における法的支援の内容

画像や動画を送信・公表してしまった側においても、弁護士による法的な助言や代理交渉は重要な役割を果たします。

警察から呼び出しを受けたり事件化が懸念されたりする局面では、取り調べに対する法的なアドバイスを提供します。

加害者本人による被害者への直接の連絡は、さらなる脅迫やストーカー行為と受け止められるリスクが高く、示談交渉の拒絶につながる傾向があります。

弁護士が代理人として間に入ることで、客観的な立場から真摯な謝罪の意思を伝え、冷静な話し合いを行う環境を整えやすくなります。

画像データの確実な消去や拡散防止の誓約を盛り込んだ示談書の作成など、再発防止を含めた解決条件の調整を行います。

起訴前の段階で適切な示談が成立し被害届や告訴が取り下げられれば、不起訴処分となる可能性を検討する余地が生まれます。

プライバシーへの配慮と早期相談の有用性

性的画像の流出や脅迫といった事案は、相談すること自体に強い羞恥心や抵抗感を覚える方が少なくありません。

しかし、弁護士には法律上の守秘義務が課されており、相談内容や個人情報が外部に漏れることはありません。

プライバシーが厳格に守られた環境で状況を整理し、客観的な法的見通しを把握することは、当事者の精神的な負担を軽減することにもつながります。

インターネット上のデータは時間の経過とともに複製・転載される危険が高まるため、早期に相談することが被害の最小化や適切な法的手続きの選択において極めて有益です。

被害の拡大を防ぎ、法に則った適正な解決を目指すためには、早い段階で弁護士へ事情を説明し、今後の進め方について助言を求めることが推奨されます。

コラム監修者

寺垣 俊介

寺垣 俊介

所属:代表(東京オフィス)

広島県広島市出身。修道中学・高校を経て、慶應義塾大学商学部で経営・会計・商取引を学ぶ。その後、青山学院大学法科大学院を修了して2011年に新司法試験に合格し、最高裁判所司法研修所を修了(65期)。2013年1月に第二東京弁護士会に弁護士登録し、都内法律事務所で個人・法人を問わず幅広い分野の相談・交渉に取り組む。

2016年1月に佐藤塁と共にネクスパート法律事務所を創業し、共同代表として、東京オフィスを拠点に、企業のコーポレート法務、M&A・事業承継、薬事・医事法務を中心に取り扱う。商学部で培った経営の視点を生かし、法的な可否にとどまらず、事業への影響や実行可能性まで含めた選択肢を示すことを重視している。

また、一般社団法人薬機法医療法規格協会の代表理事、一般社団法人日本美容サロン協議会の監事、一般社団法人睡眠ヘルスケア協議会の外部有識者(認証評価委員)を務め、医療・美容・ヘルスケア分野の広告規制や業界の自主的なルールづくりにも関わっている。依頼者に最適な見通しと戦略的な解決策を示すことを信条とし、丁寧かつ粘り強い対応で信頼を築いている。

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