更新日:2026年10月22日 (木)
公開日:2026年10月22日 (木)
【元消費者庁・執行担当の弁護士が解説】布団乾燥機の除菌・ダニ効果表示とSNS投稿転載に措置命令|優良誤認・ステマ規制に違反しないための実務上の勘所
サマリー
消費者庁は令和8年10月20日、株式会社giobaiに対し、布団乾燥機「FLEURISTE」の表示について、景品表示法に基づく措置命令を行いました。
違反とされたのは、ダニの死滅や除菌等の効果をうたう表示が合理的な根拠を欠く優良誤認表示(景品表示法5条1号)と、インフルエンサーに依頼した投稿を自社サイトに転載したステマ告示違反の表示(同条3号)の2つです。
本記事では、元消費者庁 執行担当の視点から、措置命令の概要を確認したうえで、①優良誤認表示(不実証広告規制)、②ステマ告示の順に、本件の認定内容、事業者が押さえるべきポイントを整理します。
この記事のポイント
- 消費者庁は、布団乾燥機について、「ダニ死滅」「ダニ忌避」「黄色ブドウ球菌99.99%除菌」等の効果をうたう表示を、不実証広告規制(景品表示法7条2項)に基づき調査しました。giobaiは資料を提出しましたが、合理的な根拠を示すものとは認められず、優良誤認表示とみなされました。
- インフルエンサーに無償提供と対価(報道では数千~数万円)を提供して投稿させ、その一部を「User’s Voice SNSでも大人気」との見出しで自社サイトに転載した表示は、「事業者の表示」であるのに依頼した投稿であることが明らかでなく、ステマ告示違反とされました。
- 対象となった表示は令和6年7月から12月までのもので、措置命令は約2年後です。過去の表示であっても措置命令の対象になります。
- 雑貨品も景品表示法の対象です。効果・効能を訴求する場合は、表示どおりの効果を立証できる資料を、表示の前に用意する必要があります。
措置命令の概要
消費者庁の公表資料によると、giobaiは、「FLEURISTE」と称する布団乾燥機(以下「本件商品」といいます。)を自ら一般消費者に販売していました。
消費者庁は、giobaiが自社ウェブサイトで行っていた本件商品の表示について、ダニの死滅・忌避や除菌の効果に関する表示を優良誤認表示(景品表示法5条1号)に、インフルエンサーに依頼した投稿の転載表示をステマ告示(同条3号)に、それぞれ該当するとして、同法7条1項に基づく措置命令を行いました。
表示から約2年後に出された措置命令
本件でまず目を引くのは、対象とされた表示物の古さです。優良誤認表示の対象は令和6年7月から9月と12月、ステマ告示の対象は令和6年7月から12月の表示で、最後の表示(令和6年12月16日まで)から数えても、措置命令まで約1年10か月が経過しています。
なぜ、これほど古い表示が、令和8年10月になって措置命令の対象となったのかは、公表資料では明らかにされていませんが、不実証広告規制では、資料の提出を求める文書の発出、提出期限(原則として提出を求めた日から15日後)、提出された資料が合理的な根拠に当たるかの検討という手続を踏むことになります。
ステマ告示でも、依頼や対価の提供といった事業者と第三者との関係を、客観的な資料で確認する必要があります。そのため、これらの調査・検討に相応の時間を要した可能性があります。
企業にとって重要なのは、表示をすでにやめていたり、相当以前の表示物であったとしても、措置命令の対象になるという点です。景品表示法7条1項は、措置命令は違反行為がすでになくなっている場合においても行うことができると定めています。
サイトから該当ページを削除したり、表示を修正したりしたからといって、過去の違反が問われなくなるわけではありません。表示に「時効」はないのです。現在の表示だけでなく、過去に掲載した表示(特に、効果をうたう表示や、インフルエンサーの投稿を転載した表示)についても、必要に応じて見直しが必要です。
優良誤認表示(不実証広告規制)
優良誤認表示と不実証広告規制
景品表示法5条1号は、商品・サービスの品質、規格その他の内容について、実際のものよりも著しく優良であると一般消費者に示す表示(優良誤認表示)を禁止しています。ダニの死滅や除菌のように、商品の「効果」「性能」をうたう表示は、典型的な優良誤認表示の対象です。
もっとも、効果・性能に関する表示は、商品そのものや契約書を見ても、表示どおりの効果があるかを判断できません。表示が実際と異なることを、消費者庁が専門機関による調査・鑑定で一つひとつ立証していては、処分までに時間がかかり、その間に消費者被害が拡大するおそれがあります。
そこで、景品表示法7条2項の不実証広告規制では、消費者庁が、期間を定めて、事業者に対し、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができ、事業者が資料を提出しないとき、または提出された資料が合理的な根拠と評価できないときは、その表示は優良誤認表示とみなすとされています。
消費者庁の「不当景品類及び不当表示防止法第7条第2項の運用指針」(以下「運用指針」といいます。)によると、資料の提出期限は、提出を求めた日から原則として15日後とされています。
「合理的な根拠」と認められるための2つの要件(運用指針)
- ①提出資料が、客観的に実証された内容のものであること(試験・調査によって得られた結果、又は専門家等の見解若しくは学術文献)
- ②表示された効果、性能と、提出資料によって実証された内容が、適切に対応していること
①の試験・調査は、学術界または産業界において一般的に認められた方法、または関連分野の専門家多数が認める方法で実施する必要があります。運用指針は、その例として、日用雑貨品の抗菌効果試験について、JIS(日本産業規格)に規定する試験方法によって実施したものを挙げています。そのような方法が存在しない場合は、社会通念上および経験則上妥当と認められる方法で実施する必要があります。
②について、運用指針は、提出資料自体は客観的であっても、表示された効果と実証された内容が対応していなければ、合理的な根拠とは認められないとしています。例えば、家庭用害虫駆除器について、試験用のアクリルケース内で害虫に一時的な回避行動を取らせることを確認したにすぎない試験結果は、人の通常の居住環境における実用的な害虫駆除効果を実証するものではない、と整理されています。
本件の認定内容
公表資料(別表1)によると、giobaiは、自社ウェブサイトにおいて、例えば令和6年7月11日から同年9月26日までの間、サーモグラフィーのグラフ等の画像と共に「POINT01 ダニが死滅する50度まで 急速に熱し、乾燥させる」と表示し、「『3D温風』を採用 3方向から温風を送り、隅々まで行きわたる『3D温風』」「POINT02 \アロマ成分配合した/ ダニ忌避作用」などと表示していました。
消費者庁は、これらの表示によって、あたかも本件商品を使用することにより、次の効果が得られるかのように示す表示をしていたと認定しています。
消費者庁が認定した「効果」(措置命令の別表1)
【令和6年7月11日から9月26日までの表示】「布団の隅々まで温風が行きわたり、50度まで急速に熱することによるダニ死滅効果及び本件商品に含まれるアロマ成分による著しいダニ忌避効果」
【令和6年12月7日から16日までの表示】「布団の隅々まで温風が行きわたり、50度まで急速に熱することによるダニ死滅効果及び黄色ブドウ球菌を99.99%除菌する効果並びに本件商品に含まれるアロマ成分による著しいダニ忌避効果」
注目すべきは、令和6年12月の表示にのみ、「黄色ブドウ球菌を99.99%除菌する効果」が加えられている点です。表示内容の欄を見ると、7月から9月の表示にも「99.8%徹底除菌」「寝床除菌」といった除菌に関する記載はありますが、消費者庁が「効果」として認定したのは、ダニ死滅効果とダニ忌避効果にとどまっています。
これに対し、12月の表示では、「\赤ちゃんも安心/ 黄色ブドウ糖球菌99.99% 除菌」(原文ママ)と除菌効果をうたっています。7月から9月の表示だけでなく、12月の表示まで措置命令の対象に加えられているのは、この「黄色ブドウ球菌99.99%除菌」という効果を対象に含めるためであった可能性が高いと推察されます。
消費者庁は、これらの表示について、景品表示法7条2項に基づく消費者庁の資料提出要求に対し、giobaiは期間内に資料を提出しました。しかし、消費者庁は、提出された資料はいずれも表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められないと判断しました。
本件は、「資料を出さなかった」事案ではなく、「資料を出したが、合理的な根拠とは認められなかった」事案です。報道によれば、試験方法や結果が表示を裏付けるものとは認められなかったとされています。
なお、これらの表示には、「ダニよけ効果87.4%」「すべての箇所で生存0匹」「99.99%除菌」など、試験機関名と試験結果の数値が付されていました。もっとも、当然のことながら、第三者機関の試験結果を表示に引用していれば足りるわけではありません。運用指針のとおり、試験の方法が妥当か、そして、表示された効果と試験で実証された内容が対応しているかが問われます。
過去の除菌・殺菌効果に関する措置命令事例
除菌・殺菌の効果をうたう表示は、過去にも、優良誤認表示として繰り返し措置命令の対象になっています。例えば、次の事例があります(消費者庁の公表ページです)。
- 亜塩素酸による空間除菌を標ぼうするスプレーの販売事業者2社に対する措置命令(令和3年4月9日公表)
- 二酸化塩素による空間除菌を標ぼうする商品の製造販売業者2社に対する措置命令(令和3年12月17日公表)
- 二酸化塩素による空間除菌を標ぼうする商品の販売事業者4社に対する措置命令(令和6年1月31日公表)
これらは、本件の布団乾燥機とは商品の種類が異なりますが、「除菌・殺菌という目に見えない効果について、優良誤認表示として措置命令の対象になった」という点は共通または類似しています。
ポイント:優良誤認表示で事業者が押さえるべきこと
雑貨も、当然、景品表示法の対象です
布団乾燥機のような雑貨・生活用品は、医薬品や医療機器と異なり、効果・効能の表示について承認を受ける仕組みがありません。そのため、「ダニ対策」「除菌」「効果証明済み」といった言葉が、十分な検討のないまま使われがちです。しかし、景品表示法は、商品・サービスの種類を問わず適用されるため、注意が必要です。
不実証広告規制では、「実使用空間で効果を立証できるか」がポイントです
運用指針の例のとおり、試験用の容器内など、実験室的な条件で得られた結果は、人が通常使用する環境での効果を実証したことになりません。本件の表示は、「布団の隅々まで」「寝床」「ダニが死滅する50度まで」など、実際に布団(寝具)に使用する場面での効果を示すものでした。
報道によると、本件では、広告では布団の隅々まで温風が行き渡ってダニが死滅するかのようにうたっていた一方、試験ではダニを逃げられないようにして温風を当てていたとされています。商品の効果・効能を訴求する場合は、実使用空間での立証ができるかどうかに注意する必要があります。
表示の文言・数値・注記が、資料で実証された範囲に収まっているか
「実証済み」「効果証明済み」「99.99%」といった強い言葉や数値は、表示全体から一般消費者が受ける印象で評価されます。試験が特定の条件(菌の種類、測定か所、吹き出し口からの距離、時間など)で行われたものであれば、その範囲を超える効果を示す表示は、資料と対応しないと判断されるおそれがあります。
根拠資料は表示の前に準備
資料の提出期限は、原則として提出を求められた日から15日後です。求められてから試験をやり直すことはできません。
古い表示も対象
本件の対象は、令和6年の表示です。すでに掲載をやめた表示であっても、措置命令の対象になります。
ステマ告示違反(ステルスマーケティング)
本件では、優良誤認表示とは別に、ステマ告示違反も認定されています。以下、ステマ告示の一般論、本件の認定内容、事業者が点検すべきポイントの順に見ていきます。
ステマ告示とは
ステルスマーケティング(ステマ)とは、広告であることを隠して、第三者の感想や口コミのように見せる宣伝手法をいいます。一般消費者は、事業者の広告には誇張が含まれ得ると考えて割り引いて受け止める一方、第三者の感想であれば中立的な評価として信用しやすくなります。広告であることを隠すと、この受け止め方の違いを利用して商品選択をゆがめることになります。
もっとも、従来の景品表示法は、表示の内容が実際より著しく優良・有利であるかを問題にするもので、内容に誤りがなければ、広告であることを隠しているだけでは規制できませんでした。
そこで、景品表示法5条3号に基づき、取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示として、「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」(令和5年内閣府告示第19号。以下「ステマ告示」といいます。)が指定され、令和5年10月1日から施行されています。対象となるのは、次の2つを満たす表示です。
- 事業者の表示であること
事業者が自ら行う表示のほか、第三者に依頼して投稿させた表示も、事業者が内容の決定に関与していれば当たります。第三者が自分の意思で書いた感想は、事業者の表示に当たりません。運用基準は、事業者が第三者に対してSNS上に自らの商品に係る表示をさせる場合を「事業者の表示」の例として挙げています(運用基準第2の1(2)ア・イ)。
依頼の有無にかかわらず、対価(金銭、物品、イベント招待などの経済上の利益を含みます)の提供など、客観的な状況から第三者の自主的な意思による表示と認められない場合、事業者の表示となります。
- 広告であることが判別しにくいこと
「広告」「宣伝」「PR」などの文言で、事業者の表示である旨が明瞭に示されていない表示です。大量のハッシュタグの中に「PR」を紛れ込ませるなど、表示があっても目立たない方法では明瞭とはいえません。
このように、ステマ告示は、第三者が書いた投稿でも、事業者が依頼したものであるならば、「広告」であることを明示しなければならないという考え方です。逆に言うと、「広告」であることを明示していれば、表示することは可能なのです。
どのような表示が事業者の表示に当たり、どのような表示なら明瞭といえるかは、消費者庁の運用基準(「『一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示』の運用基準」(令和5年3月28日消費者庁長官決定))とステルスマーケティング告示ガイドブックに具体例が示されています。当事務所のステマ規制の解説記事もあわせてご覧ください。
本件の認定内容
消費者庁の公表資料によると、giobaiは、本件商品の無償提供および対価の提供を条件に、第三者にInstagramへの投稿を依頼していました。そのうえで投稿の一部を抜粋し、自社サイトに「User’s Voice SNSでも大人気」との見出しとともに、「布団干すの やめました おしゃれで 家事ラク」などの文言と画像を、令和6年7月11日から12月6日までの間、掲載していました。
公表資料の別表2では、表示は、令和6年7月11日から10月2日までと、同年10月3日から12月6日までの2つの期間に分けて整理されています。いずれの期間も、「User’s Voice SNSでも大人気」との見出しの下に、投稿の一部を抜粋して掲載していました。
転載された表示の例(措置命令の別表2)
- 「User’s Voice SNSでも大人気」(見出し)
- 「布団干すの やめました おしゃれで 家事ラク」(令和6年7月11日から10月2日まで)
- 「めんどうな布団干し&ダニ対策 辞めたのに・・・ 99.8%除菌かつ干したてのような ポカポカお布団で毎日眠れている件」(同上)
- 「\9割が知らない/ 赤ちゃんの おふとん 対策」(令和6年10月3日から12月6日まで)
- 「\1年中使える/ 布団乾燥機が 最高すぎた」(同上)
転載された投稿の中には、「99.8%除菌」のように、効果をうたう文言を含むものもあります。本件では、当該投稿内容は優良誤認の認定対象となっていないようですが、依頼した投稿は事業者自身の表示として、優良誤認の認定対象となることに注意が必要です。
報道によると、giobaiは、複数のインフルエンサーに、数千円から数万円の報酬を条件に、Instagramへの投稿を依頼していたとのことです。
まず、インフルエンサーは、その業務の性質上、事業者に好意的な内容を投稿する傾向がありますので、インフルエンサーに自社商品の投稿を依頼しているというだけで、「事業者の表示」とみなされやすいでしょう。さらに本件では、商品の無償提供に加えて、報酬という対価まで提供されています。よって、当該投稿自体が「事業者の表示」に該当することは明らかと考えられます。
そのうえ、自社サイトに投稿を抜粋して掲載する行為は、giobai自身が掲載する内容を選び、決定する行為であり(命令書は、giobaiが表示内容の決定に関与していると認定しています)、「事業者の表示」に当たることも、また当然といえるでしょう。
消費者庁は、giobaiが投稿内容の決定に関与しているため転載表示は事業者の表示に当たり、依頼した投稿であることを明らかにしていないため広告であることが判別しにくいと判断しています。
本件で、特に問題と思われるのは、「User’s Voice SNSでも大人気」という見出しです。「User’s Voice」は「利用者の声」を意味し、一般消費者は、この見出しの下に並ぶ投稿を、商品を実際に使った一般の利用者が、自発的にSNSに投稿した感想だと受け取るでしょう。
つまり、この見出しは、実際には、giobaiが無償提供と報酬を条件に依頼した投稿であるにもかかわらず、投稿が自発的なものであり、事業者は関与していないという誤った印象を与えます。また、「SNSでも大人気」という文言も、自然に広がった人気があるかのような印象を強めます。
消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」では、自社サイトに転載する場面についても、「『お客様の声』という場合、通常、顧客の自主的な意思に基づく感想等が記載されていると理解されるため、『事業者の表示』に当たるインフルエンサーの投稿を、『お客様の声』として自社のウェブサイト上に掲載することは適当ではありません。」としており(Q16)、今回の事案は、まさにこの点も問題となったものと思われます。
ポイント:ステマ告示で事業者が点検すべきこと
今回問題とされたのは、SNS上の元の投稿ではなく、投稿を自社サイトに転載した表示ですが、どのようなことに注意すれば良いのでしょうか。
投稿依頼を行う事業者は、次の点をご確認ください。
- 転載先でも依頼に基づく投稿である旨を明示しているか
第三者の投稿を自社サイトやECモールに載せる行為も、ステマ規制の対象となります。元の投稿に「PR」とあっても、転載先に表示がなければステマ告示の対象になります。
- 抜粋によって広告である旨の表示が落ちていないか
画像だけを切り出すと、ハッシュタグや依頼の明示が消えてしまう場合があります。また、投稿の本文ではなくツリー(リプライ)に「PR」などの記載がされている場合も事業者の表示であることが明瞭ではない場合が多いとされるため、注意を要します。
- 転載先の見出し・文言が、事業者の関与を打ち消していないか
仮に「PR」等を記載していたとしても、「User’s Voice」「お客様の声」「リアルな口コミ」などの見出しは、第三者が自発的に投稿したものであり、事業者は関与していないという印象を与えます。依頼した投稿を転載する場合は、このような見出しを用いるべきではないでしょう。
- 転載する投稿に、優良誤認となるような文言がないか
上述のとおり、インフルエンサーなどは、事業者に好意的な内容を投稿する傾向があります。そのため、転載する投稿に商品の効果をうたう文言があるときは、広告である旨の明示に加えて、その効果を裏付ける資料があるかも確認してください。本件でも、転載された投稿には「99.8%除菌」といった文言を含むものがありました。
- 依頼の記録を社内で保存しているか
無償提供の事実、対価、投稿内容の指定範囲を記録し、転載時に表示を確認する手順を社内フローに組み込むことが望ましいでしょう。
- 古い投稿・古い転載も対象になります。
ステマ告示違反とされた表示も、令和6年7月から12月までのものです。過去にインフルエンサーの投稿を転載したページが残っていないか、投稿依頼の記録とあわせて確認してください。
なお、ステマ告示のパブリックコメントNO196では、「事業者が施行日前に第三者に行わせた表示であっても、施行日後も、当該表示の作成者と連絡がつくなど事業者が表示を管理できる状態にあるなど施行日後において事業者の表示であると判断される実態にある場合は、施行日後の表示が本告示の対象となる可能性があります。 」との解釈が示されているため、注意が必要です。
関連する実務は、ステマ規制を弁護士が解説した記事もあわせてご覧ください。
まとめ・ご相談はネクスパート法律事務所へ
本件のような措置命令は、「悪質な広告を出した企業」だけが受けるものではありません。社内では適法と思っていた表示が、消費者庁の目線では違反とされることがあります。措置命令を受けるような事態を防ぐため、企業は次のことに気を付ける必要があります。
- 資料提出を求められてからでは間に合いません
不実証広告規制の提出期限は、原則として15日です。本件でも、giobaiは期間内に資料を提出しましたが、合理的な根拠とは認められませんでした。表示された効果と、試験で実証された内容が対応しているかは、表示を出す前に、執行の視点で点検しておく必要があります。
- 表示の言葉・数値・注記の一つひとつが、判断の対象になります
違反かどうかは、表示全体から一般消費者が受ける印象で判断されます。本件でも、「ダニが死滅する50度まで」「99.99%の除菌効果を実証」「ダニ対策 効果証明済み」といった文言、「ホース吹き出し口の半径30cm」といった注記、そして「User’s Voice」という見出しが、表示全体の印象を形づくっていました。広告の制作現場では見落としがちな細部が、違反かどうかを左右します。
- インフルエンサー・代理店の適切な管理が求められます
無償提供や報酬を伴う投稿依頼は、事業者の表示になります。依頼書・契約書で、「広告」「PR」などの表記義務、投稿内容の確認・修正権限、自社サイトやECモールへの転載条件、表示が欠けた場合の是正義務を定め、依頼から転載までの記録を残す体制が必要です。これは、広告担当者だけでは判断しにくい法務の領域です。
- 過去の表示の棚卸しが必要です
本件の対象は、約2年前の表示でした。過去のLP、自社サイト、SNS、ECモール、メルマガなどに残る効果表示や転載表示を洗い出し、必要な是正と再発防止策を講じる必要があります。
- 調査が始まってからの初動で、結果が変わり得ます
資料提出要求への対応、事実関係の整理、弁明、確約手続の活用の検討など、初動の方針で結果が大きく変わる可能性があります。
特に、令和6年10月施行の改正景品表示法で、確約手続が設けられているため、消費者庁の調査が始まった場合には、確約手続の利用の方向で進めるのかなど、早急な検討・対応が必要です。
ネクスパート法律事務所では、景表法・薬機法・医療法に関連した広告法務を強みとし、企業の法律問題に関する幅広い分野に関するご相談を承っております。とりわけ、消費者庁表示対策課で景品表示法の執行(事件調査班長として、措置命令、課徴金納付命令、確約手続等)を担当した弁護士の石橋勇輝(弁護士紹介)が在籍しています。
執行担当者の目線で、表示の事前チェックから、調査への対応、再発防止策の策定まで、一貫してサポートいたします。また、ご要望を踏まえた内容での社内セミナーの実施も承っております。
自社の広告表示にご不安をお持ちの方は、ぜひ一度、お気軽にお問い合わせください。
※本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。具体的な対応については弁護士にご相談ください。
コラム監修者
Yuki Ishibashi
所属:東京オフィス
これまで個人・法人問わず幅広い分野の相談、訴訟等に取り組む。 また、任期付き国家公務員として消費者庁に出向した際は、デジタルプラットフォームに関する法律の立案、事件調査班の班長として景品表示法の執行、審査請求の審理員や国側の指定代理人などに従事。 「法律の立案(ルールメイキング)」から「執行」、そして「訴訟対応」という一気通貫した実務経験を踏まえた戦略的なリーガルアドバイスを心掛けている。