更新日:2026年10月22日 (木)

公開日:2026年10月22日 (木)

山田まりやさん離婚発表から考える、共同親権制度が離婚協議に与える影響

山田まりやさん離婚発表から考える、共同親権制度が離婚協議に与える影響 山田まりやさん離婚発表から考える、共同親権制度が離婚協議に与える影響

サマリー

山田まりやさんの離婚発表と共同親権制度を題材に、2026年4月施行の改正民法が離婚協議に与える実際の影響を弁護士が解説します。

タレントの山田まりやさんが離婚を発表したことが報じられ、話題となっています。報道によれば、離婚協議がスピード成立した背景には2026年4月に施行された「共同親権」制度の存在があったとされています。

【山田まりや】離婚を発表 スピード成立の背景は4月施行の「共同親権」 〝導入されなかったら夫婦で話し合いに進めなかった〟グラビア復帰へも意欲
出典:TBS NEWS DIG

山田さん自身も「共同親権が導入されなかったら夫婦で話し合いに進めなかった」という趣旨のコメントを寄せたと報じられており、新制度が離婚協議の進め方そのものに影響を与えた事例として注目されています。本コラムでは、この報道を手がかりに、改正民法で導入された共同親権制度の内容と、実際の離婚協議における注意点を弁護士の視点から解説します。

共同親権制度とは何か

2024年に成立した改正民法が2026年4月に施行され、離婚後も父母双方が親権を持つ「共同親権」を選択できるようになりました。従来の民法819条では、離婚の際に父母の一方のみを親権者と定める単独親権制度が採られていましたが、改正後は父母の協議により共同親権・単独親権のいずれかを選択できるようになっています。

協議が調わない場合は家庭裁判所が親権者を定めますが、その際も家庭裁判所は子の利益を最優先に考慮し、父母の関係性やDV・虐待の有無などを踏まえて単独親権とすべきか共同親権とすべきかを判断する仕組みとなっています。共同親権は「離婚後も両親がともに子に関われる」という選択肢を増やす制度であり、必ずしも共同親権を選ばなければならないわけではない点に注意が必要です。

なぜ共同親権が「離婚協議を進めやすくする」のか

従来の単独親権制度では、離婚の際に「どちらが親権を持つか」という点が最大の争点となり、これが原因で協議が長期化したり、調停・訴訟に発展したりするケースが少なくありませんでした。親権を失うことへの心理的抵抗から、離婚そのものに踏み切れない夫婦も一定数存在していたと考えられます。

共同親権という選択肢が加わったことで、「親権を失う・奪われる」という対立構造を回避しながら離婚条件の話し合いに入れるケースが出てきている点が、今回の報道で示唆されている実際の影響といえるでしょう。もっとも、共同親権を選んだ場合でも、子の居所指定や進学・医療などの重要事項については原則として父母双方の同意が必要になるため(改正後の民法824条の2関連規定)、離婚後の意思決定方法をあらかじめ具体的に取り決めておかないと、かえって新たなトラブルの火種になりかねません。

共同親権を選ぶ際に離婚協議書で定めるべき事項

共同親権を選択する場合、単に「共同親権とする」とだけ定めて終わりにするのは危険です。実務上は、少なくとも次のような事項を離婚協議書・公正証書で具体的に取り決めておくことが望ましいとされています。

①子の監護を主に行う「監護者」をどちらにするか(民法824条の2第3項により監護者の定めが可能)、②日常的な事項(習い事・通院など)は監護者が単独で決定できるとする範囲、③進学・転居・大きな医療行為など重要事項について父母双方の協議を要する範囲、④協議が調わない場合の解決手段(家庭裁判所への申立てなど)、⑤養育費・面会交流の具体的な条件です。養育費は民法766条に基づき子の監護に要する費用として定められるべきものであり、共同親権であることと養育費支払義務の有無は直接連動しない点も誤解されやすいポイントです。

共同親権制度導入後も変わらない離婚協議の注意点

共同親権が選べるようになったとはいえ、民法770条に定める離婚原因(不貞行為、悪意の遺棄、3年以上の生死不明、強度の精神病、婚姻を継続し難い重大な事由)の判断枠組みや、財産分与(民法768条)、慰謝料請求の考え方自体が変わったわけではありません。協議離婚であれば親権の定め方にかかわらず、離婚届に記載する親権者欄(戸籍法上の要件)を正確に記載する必要があります。

また、共同親権を選んだ場合でもDVや虐待のリスクがある事案では家庭裁判所が単独親権を選択すべきと判断する運用が想定されており、共同親権は「円満な協議離婚を促す選択肢」であると同時に、父母間の継続的な協力関係が前提となる制度であることを理解しておく必要があります。協力関係の構築が難しいケースでは、無理に共同親権を選ぶことでかえって子の利益を損なうおそれもあるため、個別の家族状況に応じた慎重な判断が求められます。

まとめ

山田まりやさんの離婚報道は、2026年4月に施行された共同親権制度が、親権をめぐる対立を回避し、夫婦間の話し合いをスムーズに進める一助となり得ることを示す事例として注目されます。もっとも、共同親権を選択する場合には、監護者の指定、重要事項の決定方法、養育費・面会交流の条件などを具体的に取り決めておかなければ、離婚後に新たな紛争が生じるリスクも否定できません。

共同親権を選ぶべきかどうかの判断や、離婚協議書・公正証書の具体的な条項の作成、養育費・財産分与の取り決めなど、離婚協議の進め方でお困りの場合は、弁護士法人ネクスパート法律事務所までご相談ください。

コラム監修者

RUI SATO

RUI SATO

所属:代表(東京オフィス)

東京都杉並区出身。明治大学付属中野高校、明治大学法学部を経て、明治大学法科大学院を修了。2011年に新司法試験に合格し、最高裁判所司法研修所を修了(65期)。2012年12月に弁護士登録(東京弁護士会)し、都内の法律事務所での勤務を経て、2016年1月に寺垣俊介とともにネクスパート法律事務所を創業。代表弁護士として一般民事から企業法務まで幅広い分野を手がけるとともに、全国に拠点を持つ事務所の経営にあたる。

早くからテクノロジーと法務の融合に取り組み、2021年にはAIを利用した法律文書作成サービスを開発するLegal AI株式会社の代表取締役に就任(現在は退任)。当時はAI技術が発展途上で技術的な壁に直面したが、この挑戦を通じて「法務業務こそAIの力を借りれば飛躍的に変わる」という確信を得る。以来そのビジョンを持ち続け、生成AIが広く普及した現在は事務所の業務全体でAIの活用を進めている。2026年には日本弁護士連合会「弁護士業務改革シンポジウム」にパネリストとして登壇した。ブロックチェーン・Web3分野の法務や海外法人の設立支援にも取り組み、公益法人主催のセミナー等で講師を務める。

公正取引委員会・中小企業庁「適正取引推進講習会」講師、日本弁護士連合会代議員、東京弁護士会常議員を歴任。弁護士業務のかたわら、2014年に東京青年会議所に入会して以来、10年以上にわたりボランティア活動に取り組む。2017年からは国際的な社会奉仕団体であるライオンズクラブに所属し、2022年には東京数寄屋橋ライオンズクラブ第57代会長を務めた。献血の呼びかけ、障がい者スポーツ大会の支援、保護犬活動のほか、弁護士として小中学生への法教育や薬物乱用防止教育にも携わっている。

弁護士詳細を見る

関連記事を見る

養育費公正証書は自分で作成できる?流れや費用・注意点を解説

2024.11.13

養育費

養育費公正証書は自分で作成できる?流れや費用・注意点を解説

NISA・iDeCoは財産分与の対象になる?離婚時の金融資産の扱いを弁護士が解説

2026.10.21

NEW

財産分与

離婚

NISA・iDeCoは財産分与の対象になる?離婚時の金融資産の扱いを弁護士が解説

共同親権の導入から半年、何が課題か ― 離婚後の親権行使と弁護士相談のポイント

2026.10.19

NEW

親権・面会交流

離婚

共同親権の導入から半年、何が課題か ― 離婚後の親権行使と弁護士相談のポイント

托卵の意味とは?人間関係における問題や法律上のリスクを解説

2024.12.17

慰謝料

不倫

托卵の意味とは?人間関係における問題や法律上のリスクを解説

熟年離婚と財産分与|増加の背景と手続きで押さえるべきポイント

2026.10.16

NEW

熟年離婚

財産分与

離婚

熟年離婚と財産分与|増加の背景と手続きで押さえるべきポイント

PREV
NEXT