サマリー
盗撮事件で検挙された場合でも、必ず起訴されるわけではありません。
事案の内容によっては、不起訴処分となり、刑事裁判を受けることなく事件が終了するケースもあります。
もっとも、初犯だからという理由だけで不起訴になるわけではなく、犯行態様や被害の内容、被害者との示談の成立状況、反省の態度、再犯防止に向けた取組みなど、さまざまな事情を総合的に考慮して判断されます。
そのため、盗撮事件では、事件発覚後の対応が処分に大きく影響することがあります。
特に、被害者との示談や早期の弁護士対応は、不起訴処分を目指す上で重要なポイントとなります。
この記事では、盗撮事件で不起訴となる主なケースや、検察官が不起訴を判断する際に考慮する事情、不起訴処分を目指すために重要な対応について、実務を踏まえてわかりやすく解説します。
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盗撮事件で不起訴になる可能性はある?|不起訴処分の基礎知識
盗撮事件で検挙された場合でも、必ず起訴されるわけではありません。
事案の内容や事件発覚後の対応によっては、不起訴処分となる可能性があります。
不起訴処分とは、検察官が被疑者を刑事裁判にかけないと判断し、事件を終了させる処分です。
不起訴となれば刑事裁判は開かれず、有罪判決を受けることもないため、前科は付きません。
もっとも、不起訴になるかどうかは、被害者との示談の成立状況や反省の態度、前科前歴の有無、犯行態様の悪質性など、さまざまな事情を総合的に考慮して判断されます。
ここでは、不起訴処分の概要や種類、不起訴処分を目指すメリットについて解説します。
そもそも不起訴処分とは?|前科が付かない刑事手続
不起訴処分とは、検察官が捜査結果や証拠を踏まえ、被疑者を起訴しないと判断する処分です。
日本では、検察官だけが起訴する権限を有しています。
そのため、不起訴処分となった場合には刑事裁判は開かれず、有罪判決を受けることもありません。
その結果、前科が付くこともありません。
もっとも、不起訴となった場合でも、事件について捜査を受けた事実は「前歴」として捜査機関に記録されます。
前歴は前科とは異なり、有罪判決を受けたことを意味するものではありませんが、その後の事件で捜査や処分判断の際に考慮される場合があります。
「不起訴処分とは」については、以下の記事も合わせてご参照ください。
不起訴処分とは|不起訴になる理由や無罪との違い
不起訴処分は主に3種類|起訴猶予・嫌疑不十分・嫌疑なし

不起訴処分にはいくつかの種類がありますが、代表的なものとして「起訴猶予」「嫌疑不十分」「嫌疑なし」があります。
起訴猶予とは、犯罪の成立が認められる場合でも、犯行の軽重や反省の状況、被害者との示談の成立状況、前科前歴などを総合的に考慮し、検察官の裁量によって起訴を見送る処分です。
盗撮事件で不起訴となる場合は、この起訴猶予によるケースが多く見られます。
一方、嫌疑不十分は、証拠が十分ではなく有罪を立証することが困難な場合、嫌疑なしは、犯罪の事実が認められない場合などに下される不起訴処分です。
不起訴処分を目指すメリット
不起訴処分となった場合には、有罪判決を受けることがないため、前科は付きません。、
前科が付くと、職業や保有資格の内容によっては資格制限などの影響を受ける場合があるほか、就職や社会生活に支障が生じるケースもあります。
そのため、盗撮事件では、被害者との示談の成立や再犯防止に向けた取組みなどを進め、不起訴処分となる可能性を高めることが重要です。
盗撮事件で不起訴処分を目指すために重要な3つのポイント

盗撮事件で不起訴処分を目指すためには、検察官に「刑事処分を科さなくても更生が期待できる」と判断されることが重要です。
そのためには、被害者との示談の成立や真摯な反省、再犯防止に向けた具体的な取組みなどを通じて、犯行後の対応を適切に進める必要があります。
ここでは、盗撮事件で不起訴処分となる可能性を高めるために重要な3つのポイントを解説します。
① 被害者との示談を成立させる
盗撮事件で不起訴処分を目指す上で、重要な事情の一つが被害者との示談です。
示談とは、被害者に謝罪するとともに慰謝料などを支払い、被害回復を図ることで当事者間の紛争を解決する手続です。
示談が成立すると、被害者の処罰感情が一定程度和らいだものとして評価されることがあり、検察官が起訴・不起訴を判断する際の重要な事情として考慮されます。
もっとも、示談が成立したからといって必ず不起訴になるわけではなく、犯行態様や前科前歴なども含めて総合的に判断されます。
- 誠実な謝罪と被害回復が重要
示談交渉では、慰謝料を支払うだけではなく、真摯に反省していることを伝える姿勢も重要です。
謝罪文の作成や被害弁償への対応などを通じて誠意を示すことで、示談成立につながる可能性があります。 - 示談金は事案によって異なる
盗撮事件の示談金は10万円から50万円程度となるケースが多いといわれていますが、法的な相場が定められているわけではありません。
犯行態様や撮影内容、被害の程度、被害者の処罰感情などによって金額は大きく異なるため、個別の事情に応じて決まります。 - 示談交渉は弁護士を通じて行うのが一般的
盗撮事件では、被害者の連絡先は加害者側に開示されないことがほとんどです。
また、加害者本人が直接連絡すると、被害者の不安や処罰感情を強めてしまうおそれもあります。
そのため、示談交渉は弁護士を通じて行うのが一般的です。
刑事事件の示談交渉については、以下の記事も合わせてご参照ください。
示談交渉とは?刑事事件の示談の流れや注意点・示談金相場を徹底解説
② 反省と再犯防止への取組みを示す
検察官は、被疑者に再犯のおそれがあるかどうかも重要な判断材料としています。
そのため、単に反省の意思を述べるだけではなく、再犯防止に向けた具体的な行動を示すことが重要です。
- 専門機関で治療やカウンセリングを受ける
盗撮行為を繰り返している場合や、性的嗜好に起因する問題が背景にある場合には、専門機関で治療やカウンセリングを受けることが再犯防止策として評価されることがあります。 - 家族による監督体制を整える
家族が監督・支援することを約束した身元引受書や監督誓約書を提出することで、更生環境が整っている事情として考慮される場合があります。 - 贖罪寄付を行うケースもある
被害者との示談が成立しない場合には、贖罪寄付を行うことがあります。
贖罪寄付だけで不起訴になるわけではありませんが、反省の意思や更生への取組みを示す事情の一つとして考慮される可能性があります。
③ できるだけ早く弁護士へ相談する
盗撮事件では、事件発覚後の初動対応が、その後の処分に大きく影響することがあります。
早い段階で弁護士に相談することで、取調べへの対応について助言を受けられるほか、被害者との示談交渉や再犯防止策の検討を進めることができます。
また、事案に応じて、検察官に有利な事情を適切に伝えるための弁護活動を行うことで、不起訴処分となる可能性を高められる場合があります。
【状況別】盗撮の初犯や再犯で不起訴の可能性はどう変わる?
盗撮事件で不起訴処分となるかどうかは、犯行態様や被害の程度だけでなく、前科・前歴の有無や事件発覚後の対応など、さまざまな事情を踏まえて判断されます。
一般的には、初犯の事件は不起訴処分となる可能性が比較的高い一方で、再犯や余罪があるケースでは、起訴される可能性が高まる傾向、があります。
もっとも、初犯だから必ず不起訴になるわけではなく、再犯だから必ず起訴されるわけでもありません。
最終的には、被害者との示談の成立状況や反省の態度、再犯防止への取組みなどを含めた事情が総合的に考慮されます。
ここでは、状況別に不起訴となる可能性について解説します。
初犯の盗撮事件は不起訴となる可能性が比較的高い
盗撮が初犯である場合には、検察官が起訴猶予処分を選択するケースも少なくありません。、
特に、被害者との示談が成立し、被害回復が図られている場合には、起訴して刑事裁判に付すまでの必要はないと判断される可能性があります。
また、初犯であれば常習性が認められにくく、更生の機会を与えるべき事情として考慮されることもあります。
もっとも、犯行態様が悪質である場合や、盗撮画像・動画をインターネット上で公開・提供していた場合などには、初犯であっても起訴される可能性があります。
再犯や前科がある場合は不起訴のハードルが高くなる
過去にも盗撮事件や性犯罪で処分を受けた経歴がある場合には、検察官は再犯のおそれを重く評価する傾向があります。、
特に、前回の事件で不起訴処分や執行猶予付き判決を受けた後に再び盗撮を行った場合には、更生の見込みが乏しいと判断される可能性があります。
そのため、同様の事件内容であっても、初犯の場合と比べて起訴される可能性は高くなる傾向があります。
再犯事件では、示談の成立に加え、専門医療機関への通院やカウンセリングなど、具体的な再犯防止策を講じていることも重要な事情となります。
余罪がある場合は処分が重くなる傾向がある
今回発覚した事件以外にも盗撮行為が認められたり、余罪が疑われる事情が判明したりした場合には、常習性や悪質性が高いと評価される可能性があります。、
例えば、スマートフォンやパソコンの解析によって過去の盗撮画像や動画が多数見つかり、余罪が認められた場合や、複数の被害者が判明した場合には、単独の事件よりも厳しい処分となる可能性があります。
不起訴の可能性は「初犯か再犯か」だけでは決まらない
不起訴となるかどうかは、初犯か再犯かだけで決まるものではありません。、
実際には、
- 被害者との示談が成立しているか
- 被害者の処罰感情はどの程度か
- 犯行態様や被害の程度
- 真摯な反省や再犯防止への取組み
- 前科・前歴や余罪の有無
など、さまざまな事情を総合的に考慮して検察官が判断します。
そのため、「初犯だから不起訴になる」「再犯だから不起訴は難しい」と自己判断するのではなく、できるだけ早い段階で刑事事件に詳しい弁護士へ相談し、事案に応じた適切な対応を進めることが重要です。
盗撮事件の発生から不起訴処分の決定までの基本的な流れ
盗撮事件で不起訴処分を目指すためには、刑事手続きがどのような流れで進むのかを理解しておくことが重要です。
どの段階で示談交渉や弁護活動を行うかによって、その後の処分に影響する可能性があります。
警察による捜査・取調べが行われる
盗撮事件が発覚すると、警察による捜査が開始されます。
現行犯で逮捕されるケース、もあれば、防犯カメラ映像などをもとに後日捜査が進み、任意の呼び出しを受ける在宅事件、として扱われることもあります。
捜査では、防犯カメラ映像や撮影データなどの客観的証拠の収集に加え、被疑者や被害者からの事情聴取が行われます。
事件が検察庁へ送致される
警察が一定の捜査を終えると、事件は検察庁へ送致されます。
送致後は、検察官が改めて証拠関係を確認し、必要に応じて被疑者の取調べを行います。
この段階で示談が成立している場合には、示談書や宥恕文言などが提出されることがあり、不起訴判断における重要な資料となります。
検察官が起訴・不起訴を判断する
検察官は、収集された証拠や事件の内容を踏まえ、起訴するか不起訴にするかを最終的に判断します。、
判断にあたっては、主に以下の事情が総合的に考慮されます。
- 犯罪事実を十分に立証できるか(証拠の有無・信用性)
- 被害回復がどの程度なされているか(示談の成立状況)
- 被害者の処罰感情の強さ
- 被疑者の反省状況
- 再犯のおそれ(前科前歴・生活状況など)
盗撮事件では、示談の成立や再犯防止に向けた取組みが評価され、起訴猶予として不起訴処分となるケースも少なくありません。
不起訴処分が決定すると前科は付かない
検察官が不起訴処分を選択した場合、刑事裁判は開かれず事件は終了します。
不起訴処分は有罪判決ではないため、前科が付くことはありません。
もっとも、捜査対象となった事実は前歴として記録され、後の捜査や処分判断において考慮される場合があります。
そのため、盗撮事件で前科を回避するためには、捜査段階の早期から適切に対応し、不起訴処分を目指すことが重要です。
盗撮事件の不起訴に関するよくある質問(FAQ)
盗撮事件では、「示談が成立しなかったら起訴されるのか」「不起訴になるまでどれくらいかかるのか」など、多くの疑問が寄せられます。
ここでは、盗撮事件で不起訴処分を目指す方から特によくある質問について、実務を踏まえて解説します。
被害者と示談ができなかった場合でも不起訴になる可能性はありますか?
はい、示談が成立しなくても不起訴処分となる可能性はあります。、
盗撮事件では、被害者との示談成立は不起訴を目指すうえで重要な事情の一つですが、示談が成立しなかったからといって必ず起訴されるわけではありません。、
例えば、初犯であること、真摯に反省していること、専門機関でのカウンセリングや治療を受けていること、贖罪寄付を行っていることなどが総合的に考慮され、検察官が起訴猶予による不起訴処分を選択するケースもあります。
もっとも、示談が成立している場合と比べると、不起訴となるためのハードルは高くなる傾向があります。
そのため、可能な限り被害者との示談成立を目指すことが重要です。
家族や会社に知られずに盗撮事件を解決することはできますか?
在宅事件として捜査が進み、不起訴処分となった場合には、家族や勤務先に知られずに事件が終了する可能性があります。、
一方で、逮捕・勾留によって長期間帰宅できなくなった場合や、家宅捜索が行われた場合、事件が報道された場合などには、家族や勤務先に知られる可能性があります。
事件の状況によって対応は異なりますが、早い段階で弁護士へ相談することで、取調べへの対応や示談交渉などについて適切な助言を受けることができます。
不起訴処分が決まるまでどれくらいかかりますか?
不起訴処分が決まるまでの期間は、事件の内容や捜査の進み具合によって異なります。、
逮捕された事件では、原則として最大23日間の身柄拘束期間内、に、検察官が起訴するか不起訴にするかを判断することが一般的です。
一方、在宅事件では、捜査や示談交渉の状況などによって異なりますが、処分が決まるまで数か月程度かかるケースも珍しくありません。
弁護士への相談はどのタイミングで行うのがベストですか?
できるだけ早い段階で相談することをおすすめします。、
警察から連絡を受けた時点や、盗撮行為が発覚した直後に弁護士へ相談すれば、取調べへの対応方法や今後の見通しについて助言を受けられるほか、被害者との示談交渉も早期に進められる可能性があります。
盗撮事件では、初動対応がその後の処分に影響することもあるため、不起訴処分を目指すのであれば、早期に刑事事件に詳しい弁護士へ相談することが重要です。
盗撮事件の不起訴率は公表されていますか?
盗撮事件だけを対象とした不起訴率は公表されていません。、
不起訴になるかどうかは、示談の成立状況、犯行態様、前科前歴、反省や再犯防止への取組みなど、個別の事情を踏まえて検察官が判断します。
そのため、一般的な不起訴率だけで見通しを判断することはできません。
まとめ
盗撮事件では、事件の内容や事後対応によっては、不起訴処分となるケースがあります。、
特に、被害者との示談成立、真摯な反省、具体的な再犯防止への取組みなどは、検察官が起訴・不起訴を判断する際の重要な事情として考慮される可能性があります。
一方で、不起訴になるかどうかは、犯行態様や被害の程度、前科前歴の有無なども含め、さまざまな事情を総合的に考慮して判断されます。
そのため、盗撮事件で不起訴処分を目指すのであれば、できるだけ早い段階で刑事事件に詳しい弁護士へ相談し、示談交渉や再犯防止策など、事案に応じた適切な対応を進めることが重要です。
ネクスパート法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が多数在籍しています。
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ぜひ一度ご相談ください。
コラム監修者
RUI SATO
所属:代表(東京オフィス)
明治大学付属中野高校卒業、明治大学法学部・法科大学院修了。2012年弁護士登録(東京弁護士会)、2016年ネクスパート法律事務所を創設。一般民事・企業法務に加え、ブロックチェーン分野にも注力し、海外法人設立支援業務などにも取り組む。AIを活用した弁護士業務の改善・事業開発に取り組み、一般社団法人 イノベーション法務支援機構代表理事就任。公正取引委員会・中小企業庁講師、日弁連代議員、東京弁護士会常議員等を歴任。