更新日:2026年10月1日 (木)

公開日:2026年10月1日 (木)

「ヴァンビ」白井容疑者が逮捕された事件から学ぶ、強制わいせつ容疑での逮捕後の刑事手続きの流れ

「ヴァンビ」白井容疑者が逮捕された事件から学ぶ、強制わいせつ容疑での逮捕後の刑事手続きの流れ 「ヴァンビ」白井容疑者が逮捕された事件から学ぶ、強制わいせつ容疑での逮捕後の刑事手続きの流れ

サマリー

YouTuber「ヴァンビ」白井竜樹容疑者が強制わいせつ容疑で現行犯逮捕された事件を題材に、刑事事件における逮捕後の手続きの流れや今後の見通しを弁護士が解説します。

2026年10月1日、東京・六本木のクラブ内で女性の下半身を触ったとして、YouTuberの「ヴァンビ」こと白井竜樹容疑者が警視庁に現行犯逮捕されたと報じられました。

「ヴァンビ」 白井容疑者を逮捕
出典:Yahoo!ニュース(TBS NEWS DIG Powered by JNN)

報道によれば、白井容疑者は現場で現行犯として身柄を拘束されており、容疑の具体的な法的構成や今後の手続きの流れに関心が集まっています。本コラムでは、今回の事件を題材に、刑事事件における逮捕後の手続きの流れと、強制わいせつ罪の成立要件について弁護士の視点から解説します。

現行犯逮捕とは何か

今回のケースでは「現行犯逮捕」という形態が用いられたと報じられています。現行犯逮捕は刑事訴訟法212条・213条に規定されており、犯罪を行っている最中、または犯罪を行い終わった直後の者を指す「現行犯人」については、逮捕状がなくても何人でも逮捕することができるとされています。通常の逮捕と異なり、裁判官が発する令状を事前に取得する必要がない点が大きな特徴です。

現行犯逮捕は、犯行の現場性・時間的近接性が高いことから誤認逮捕のリスクが低いとされ、令状主義の例外として認められています。ただし、現行犯逮捕されたからといって有罪が確定したわけではなく、あくまで捜査段階の身柄拘束に過ぎない点には注意が必要です。報道段階では「〜の疑いで逮捕された」という表現にとどまり、刑事裁判で有罪判決が確定するまでは無罪が推定されます(憲法31条・刑事訴訟法336条の趣旨)。

強制わいせつ罪・不同意わいせつ罪の成立要件

今回報じられている「女性の下半身を触った」という行為が事実であれば、問題となり得るのは刑法176条の不同意わいせつ罪(旧強制わいせつ罪)です。2023年の刑法改正により、従来の「暴行・脅迫」を要件とする強制わいせつ罪は「不同意わいせつ罪」へと改められ、同意がない性的行為を広く処罰対象とする構成に変更されました。

刑法176条では、暴行・脅迫のほか、アルコール等による心身の障害、驚愕、不意打ち、地位の利用など、同意形成を困難にする8類型の事由のいずれかにより、同意しない意思の形成・表明・全うが困難な状態にさせて、またはその状態に乗じてわいせつな行為をした場合に成立するとされています。法定刑は6か月以上10年以下の拘禁刑と定められています。

クラブなど多くの人が密集し、アルコールが提供される場での接触行為は、被害者が明確に抵抗や拒絶の意思を示しにくい状況にあることから、不同意性の有無が捜査・公判で重要な争点となります。防犯カメラの映像、現場の目撃証言、被害者の供述の一貫性などが立証の鍵を握ることになります。

逮捕後の手続きの流れと今後の見通し

現行犯逮捕された場合、警察は48時間以内に事件を検察官に送致するかどうかを判断しなければなりません(刑事訴訟法203条)。送致を受けた検察官は、さらに24時間以内に被疑者を勾留するか釈放するかを裁判官に請求するかどうかを決定します(同法205条)。勾留が認められれば、原則10日間、さらに延長で最大10日間、合計で最長20日間の身柄拘束が可能となります(同法208条)。

勾留期間中に検察官が起訴・不起訴を判断し、起訴されれば刑事裁判へと移行します。不起訴となれば前科はつかず、身柄も釈放されます。今回の事件も、今後の捜査の進展次第で、被害者との示談の成否や証拠関係によって処分結果が左右される可能性があります。

被疑者段階では、できるだけ早期に弁護士を選任し、取調べへの対応方針を確認するとともに、事実関係に争いがない場合は被害者との示談交渉を進めることが、不起訴処分や寛大な判決を得るための重要なポイントとなります。特に性犯罪類型では、被害者の処罰感情や示談の有無が検察官の起訴・不起訴判断や裁判所の量刑判断に大きく影響する傾向があります。

まとめ

今回の「ヴァンビ」こと白井竜樹容疑者の逮捕報道は、現行犯逮捕という身柄拘束の初期段階にとどまり、今後の捜査や検察官の処分、場合によっては刑事裁判を経て事実関係が明らかにされていくことになります。報道段階での「容疑者」という立場はあくまで嫌疑がかけられている状態であり、有罪が確定したものではない点に留意が必要です。

強制わいせつ・不同意わいせつ容疑での逮捕は、被疑者・被害者いずれの立場であっても、早期の法的対応が今後の展開を大きく左右します。刑事事件の加害者・被害者双方の立場でご不安がある、刑事手続きの流れが分からずお困りの場合は、弁護士法人ネクスパート法律事務所までご相談ください。

コラム監修者

RUI SATO

RUI SATO

所属:代表(東京オフィス)

明治大学付属中野高校卒業、明治大学法学部・法科大学院修了。2012年弁護士登録(東京弁護士会)、2016年ネクスパート法律事務所を創設。一般民事・企業法務に加え、ブロックチェーン分野にも注力し、海外法人設立支援業務などにも取り組む。AIを活用した弁護士業務の改善・事業開発に取り組み、一般社団法人 イノベーション法務支援機構代表理事就任。公正取引委員会・中小企業庁講師、日弁連代議員、東京弁護士会常議員等を歴任。

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