更新日:2026年9月3日 (木)

公開日:2026年9月3日 (木)

盗撮の慰謝料相場はいくら?示談金の目安と高額になるケースを解説

盗撮の慰謝料相場はいくら?示談金の目安と高額になるケースを解説 盗撮の慰謝料相場はいくら?示談金の目安と高額になるケースを解説

サマリー

盗撮事件を起こしてしまった場合、刑事責任だけでなく、被害者から慰謝料や示談金の支払いを求められる可能性があります。

盗撮事件の示談金には法律で決められた相場はありませんが、一般的には10万円~50万円程度で解決するケースが多いといわれています。

一方で、犯行態様が悪質な場合や撮影データを拡散した場合、被害者の精神的苦痛が大きい場合などには、100万円を超える金額で示談が成立するケースもあります。

慰謝料を含む示談が成立すると、被害回復が図られた事情として、不起訴処分や刑の軽減に向けた有利な事情として考慮されることがあります。

この記事では、盗撮事件における慰謝料・示談金の目安や金額が高額になりやすいケース、示談交渉の流れ、不起訴を目指すうえで示談が重要となる理由について、実務を踏まえてわかりやすく解説します。

盗撮事件における慰謝料・示談金の相場

盗撮事件では、被害者に対して慰謝料や示談金を支払うことで示談が成立するケースがあります。

もっとも、示談金の金額は法律で一律に定められているものではなく、事件の内容や被害の程度などを踏まえて当事者間の交渉によって決まります。

一般的には10万円から50万円程度で示談が成立するケースが多いとされていますが、犯行態様が悪質な場合や被害者の精神的苦痛が大きい場合には、100万円を超える金額で示談が成立することもあります。

また、「慰謝料」と「示談金」は同じ意味で使われることもありますが、厳密には異なる概念です。

ここでは、盗撮事件における慰謝料・示談金の目安と、それぞれの違いについて解説します。

盗撮事件の示談金は10万円~50万円程度が一般的な目安

盗撮事件の示談金には法的な相場はありませんが、一般的には10万円から50万円程度で解決するケースが多いとされています。

例えば、初犯で撮影枚数が少なく、撮影データの拡散もなく、事件発覚後に早期の謝罪や示談交渉が進んだ事案では、比較的低額で解決することがあります。

一方で、撮影した画像や動画を長期間保管していた場合や、インターネット上へ公開・送信していた場合、被害者が強い精神的苦痛を受けている場合などには、100万円を超える示談金が提示されるケースもあります。

もっとも、示談金は当事者間の合意によって決まるため、同様の事件であっても金額が異なることは珍しくありません。

あくまでも一般的な目安として考えることが重要です。

「慰謝料」と「示談金」の違い

慰謝料とは、盗撮によって被害者が受けた精神的苦痛に対する損害賠償を目的として支払われる金銭です。

一方、示談金とは、事件を当事者間で解決するために支払われる金銭全体を指します。

示談金の中に慰謝料が含まれていることが一般的であり、慰謝料に加えて、事件を早期かつ円満に解決するための解決金として、個別の事情を踏まえた金額が合意されることもあります。

実務上は、慰謝料を含めた解決金として示談金が定められるケースが多く、「慰謝料」と「示談金」がほぼ同義で用いられることも少なくありません。

盗撮の慰謝料・示談金が高額になりやすい7つのケース

盗撮事件の慰謝料や示談金は、法律で一律に決まっているものではありません。

実際の金額は、被害者が受けた精神的苦痛の大きさや犯行の悪質性、被害の拡大状況など、さまざまな事情を踏まえて決定されます。

特に、被害者のプライバシー侵害が深刻なケースや、盗撮画像・動画が拡散したケースでは、一般的な相場を大きく上回る示談金となることがあります。

ここでは、慰謝料・示談金が高額になりやすい代表的なケースを紹介します。

① 被害者が未成年者である場合

被害者が未成年者、特に児童である場合には、慰謝料や示談金が高額になる傾向があります。

未成年者は精神的な影響を受けやすく、被害による心理的負担が長期化する可能性があるためです。

また、示談交渉は親権者を通じて行われることが多く、保護者の強い処罰感情が示談条件に反映されるケースも少なくありません。

② トイレ・更衣室・浴室など高度なプライバシー空間で盗撮した場合

トイレや更衣室、脱衣所、浴室など、高度なプライバシーが保護される場所での盗撮は、悪質性が高いと評価される傾向があります。

これらの場所では、被害者は無防備な状態にあり、精神的苦痛や羞恥心もより大きくなりやすいためです。

その結果、一般的な盗撮事件よりも高額な慰謝料や示談金となるケースがあります。

③ 常習的に盗撮を繰り返していた場合

盗撮画像や動画が大量に保存されていた場合や、長期間にわたって盗撮行為を繰り返していた場合には、犯行の常習性や悪質性が高いと評価される可能性があります。

こうした事情は、被害者の処罰感情にも影響し、示談交渉が難航したり、より高額な示談金が求められたりする要因となることがあります。

また、余罪が判明した場合には、複数の被害者との示談が必要になるケースもあります。

④ 画像や動画をSNS・インターネット上へ公開した場合

撮影した画像や動画をSNSやインターネット上へ公開・送信した場合には、慰謝料や示談金が大幅に増額される可能性があります。

インターネット上へ流出した画像や動画は完全に削除することが難しく、被害者は長期間にわたって精神的苦痛を受け続けるおそれがあります。

被害が広範囲に及ぶことから、一般的な盗撮事件よりも高額な示談金で解決するケースもあります。

⑤ 被害者に精神的な不調が生じた場合

盗撮被害をきっかけに、被害者がうつ病やPTSD(心的外傷後ストレス障害)などを発症し、その因果関係が認められる場合には、慰謝料が増額される可能性があります。

また、治療費や通院費などが損害として請求されることもあり、結果として示談金が高額になるケースもあります。

⑥ 住居侵入など別の犯罪も成立する場合

盗撮目的で他人の住居や建物へ侵入した場合には、撮影罪や迷惑防止条例違反だけでなく、刑法第130条の住居侵入罪や建造物侵入罪などが成立する可能性があります。

複数の犯罪が成立する事案では、犯行全体の悪質性が高いと受け止められやすく、被害者の処罰感情が強くなることから、示談交渉において高額な示談金が提示されるケースもあります。

⑦ 反省や謝罪の姿勢が十分に示されていない場合

示談交渉では、加害者の反省状況や謝罪の姿勢も重要な要素となります。

十分な謝罪がなく、責任を否定するような態度がみられる場合には、被害者の処罰感情が強まり、示談交渉が難航することがあります。

その結果、示談が成立しにくくなったり、解決のためにより高額な示談金が求められたりする可能性があります。

一方、早期に謝罪し、再犯防止策に取り組む姿勢を示すことで、被害者の理解が得られ、円滑な示談につながる場合もあります。

盗撮事件の慰謝料を含む示談を成立させる3つのメリット

示談は、被害者が受けた精神的被害の回復を図る重要な手続であるとともに、検察官が起訴・不起訴を判断する際や、裁判となった場合の量刑判断にも影響を与える可能性があります。

もっとも、示談が成立したからといって、必ず不起訴や身柄解放となるわけではありません。
実際の処分は、犯行の態様や前科前歴、反省状況などを含めた事案全体の事情を踏まえて判断されます。

ここでは、盗撮事件で示談が成立することによって期待できる主なメリットを紹介します。

① 刑事手続において有利な事情として考慮される可能性がある

事件発覚後の早い段階で示談が成立した場合には、被害者が被害届を提出しない、または処罰を望まない意思を示すことがあります。

こうした事情は、その後の捜査や刑事手続に影響を与える可能性があります。

もっとも、盗撮事件は被害届が提出されなくても、防犯カメラ映像や目撃証言などをもとに警察が事件を認知し、捜査を開始する場合があります。

そのため、示談が成立したからといって、必ず刑事事件化や逮捕を回避できるわけではありません。

② 不起訴処分となり前科を回避できる可能性がある

示談が成立し、被害回復が図られていることは、検察官が起訴・不起訴を判断する際の重要な事情の一つとなります。

特に、被害者が処罰を望まない意思を示している場合には、検察官が起訴・不起訴を判断する際に有利な事情として考慮されることがあります。

その結果、不起訴処分となれば刑事裁判は開かれず、有罪判決による前科も付きません。

③ 早期の身柄解放につながる可能性がある

逮捕・勾留されている場合には、示談が成立したことが身柄に関する判断へ影響する場合があります。

勾留は、逃亡や証拠隠滅のおそれがある場合に認められる制度ですが、示談が成立し被害回復が進んでいることは、勾留の必要性を判断する際の事情の一つとして考慮されることがあります。

その結果、事案によっては勾留請求や勾留延長が認められなかったり、早期の身柄解放につながったりする可能性があります。

盗撮事件を弁護士に依頼して示談を成立させるまでの流れ

盗撮事件の示談交渉は、被害者の心情への配慮や法的な手続の観点から、弁護士を通じて進められることが一般的です。

刑事事件では、加害者本人に被害者の連絡先が開示されないことも多く、本人だけで示談交渉を進めることは容易ではありません。

弁護士へ依頼することで、被害者の心情に配慮しながら適切な条件で交渉を進めることができ、示談成立後はその内容を検察官へ提出するなど、刑事手続を見据えた対応も行えます。

ここでは、一般的な示談成立までの流れを紹介します。

① 弁護士が被害者との連絡ルートを確保する

示談交渉を始めるためには、まず被害者と連絡を取る必要があります。

もっとも、刑事事件では、警察や検察が加害者本人へ被害者の氏名や連絡先を開示することは一般的ではありません。

そのため、弁護士が捜査機関を通じて被害者の意向を確認し、被害者が同意した場合に限り、示談交渉を開始します。

② 謝罪と示談の申し入れを行う

被害者が交渉に応じる意思を示した場合には、弁護士が代理人として謝罪の意思や反省の気持ちを丁寧に伝えます。

そのうえで、精神的苦痛に対する慰謝料の支払いや、示談による解決を提案し、被害者の意向を確認しながら慎重に交渉を進めます。

③ 示談金や示談条件について協議する

交渉では、示談金額だけでなく、示談成立後の条件についても話し合います。

例えば、慰謝料の金額や支払方法のほか、処罰を望まない意思(宥恕条項)の記載や、被害届が提出されている事案では被害届の取下げなどについて協議することもあります。

事案の内容や被害者の意向を踏まえながら、双方が合意できる条件を検討していきます。

④ 示談書を作成して合意内容を書面化する

条件について合意できた場合には、その内容を示談書として作成します。

示談書には、示談金額や支払方法、清算条項、宥恕条項など、合意内容を明確に記載します。

後日のトラブルを防ぐためにも、口頭ではなく書面で取り交わすことが重要です。

⑤ 示談成立後は捜査機関へ報告する

示談金の支払いなど、合意した内容を履行した後は、弁護士が示談書などを警察や検察へ提出することがあります。

示談が成立した事実は、検察官が起訴・不起訴を判断する際や、裁判となった場合の量刑を判断する際の事情として考慮されることがあります。

もっとも、示談が成立したからといって必ず不起訴や刑の軽減が認められるわけではなく、事案全体の事情を踏まえて最終的な処分が判断されます。

刑事事件の示談交渉については、以下の記事も合わせてご参照ください。
示談交渉とは?刑事事件の示談の流れや注意点・示談金相場を徹底解説

盗撮の示談交渉で注意すべきポイント

盗撮事件の示談交渉は、被害者の精神的苦痛や感情に十分配慮しながら進める必要があります。

対応を誤ると、示談交渉がまとまらないだけでなく、被害者とのトラブルが深刻化するおそれがあります。

また、示談が成立しなかった場合でも、それだけで刑事処分が重くなるわけではありませんが、被害回復が図られていない事情として、処分の判断に影響する可能性があります。

ここでは、示談交渉を進める際に特に注意したいポイントを解説します。

被害者へ直接連絡することは避ける

盗撮事件では、加害者本人が被害者へ直接連絡を取ることは避けるべきです。

被害者は強い不安や恐怖、羞恥心を抱えていることが多く、直接連絡を受けることで精神的負担がさらに大きくなるおそれがあります。
また、本人による接触が被害者との新たなトラブルにつながる可能性もあります。

刑事事件では、警察や検察が加害者本人へ被害者の連絡先を開示しないことが一般的であるため、示談交渉は弁護士を通じて進めるケースが多くみられます。

高額な慰謝料を請求された場合も感情的に対応しない

被害者の処罰感情が強い場合には、一般的な相場を上回る慰謝料や示談金を提示されることがあります。

もっとも、示談金には法的な基準額があるわけではなく、当事者間の合意によって決定されます。

そのため、高額な請求を受けた場合でも、その場で拒絶したり感情的に対応したりするのではなく、請求内容や事案の内容を踏まえて冷静に検討することが重要です。

弁護士が代理人として交渉することで、過去の裁判例や実務上の傾向も踏まえながら、双方が合意できる条件を探ることができます。

示談金の分割払いには被害者の同意が必要

示談金は、一括で支払われるケースが多くみられます。

もっとも、一括で支払うことが難しい場合には、分割払いについて交渉できる可能性があります。
ただし、分割払いは加害者が一方的に決められるものではなく、被害者が同意した場合に限り認められます。

分割払いとする場合には、支払時期や回数などを示談書へ明確に定め、確実に履行することが重要です。

盗撮はどのような犯罪に問われるのか

盗撮行為は、状況に応じて複数の法律や条例によって処罰される可能性があります。

適用される法令は、撮影場所や撮影対象、行為の態様などによって異なります。

2023年7月には性的姿態等撮影罪(いわゆる撮影罪)が施行され、従来は迷惑防止条例で対応されていた一部の盗撮行為についても、国の法律によって処罰されるようになりました。

ここでは、盗撮事件で問題となる代表的な犯罪について解説します。

2023年施行の「撮影罪(性的姿態撮影等処罰法)」

2023年7月13日に施行された性的姿態等撮影罪では、正当な理由なく、人の性的姿態等をひそかに撮影する行為などが処罰対象とされています。

この法律の制定により、従来は条例による対応が中心だった盗撮行為についても、全国共通の基準で処罰できるようになりました。

撮影罪の法定刑は、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。

また、撮影した画像や動画を提供したり、公然と陳列したりした場合には、別の処罰規定が適用されることもあります。

各都道府県の迷惑防止条例違反

盗撮行為は、各都道府県の迷惑防止条例違反に該当する場合もあります。

条例の内容は自治体によって異なりますが、公共の場所や公共交通機関などで、人の身体や衣服の内部を盗撮する目的でカメラやスマートフォンを差し向ける行為などを規制している例が多くみられます。

また、条例によっては、撮影行為だけでなく、盗撮目的で撮影機器を設置する行為なども処罰対象とされています。

適用される要件や法定刑は都道府県ごとに異なるため、事件が発生した地域の条例を確認する必要があります。

撮影罪と迷惑防止条例は、それぞれの適用範囲に応じて盗撮行為を規制しており、事案によってはどちらの規定が適用されるかが問題となります。

撮影罪のより詳しい内容は、以下の記事も合わせてご参照ください。
撮影罪とは|条文・構成要件・時効などをわかりやすく解説!

盗撮の慰謝料に関するよくある質問(FAQ)

ここでは、盗撮事件の慰謝料や示談について、よく寄せられる質問に回答します。

盗撮が未遂に終わった場合でも慰謝料を支払う必要はありますか?

盗撮が未遂に終わった場合でも、慰謝料の支払いが必要となる可能性があります。

実際に画像や動画の撮影に成功していなくても、盗撮行為によって被害者に恐怖や羞恥心、精神的苦痛を与えたと認められる場合には、不法行為に基づく損害賠償責任が生じることがあります。

もっとも、慰謝料が認められるかどうかや、その金額は、行為の内容や被害の程度など個別の事情によって判断されます。

示談交渉は逮捕前と逮捕後のどちらで進めるべきですか?

示談交渉は、できるだけ早い段階で進めることが望ましいといえます。

事件発覚後の早期に示談が成立した場合には、被害回復が図られた事情として、その後の刑事手続において考慮される可能性があります。
もっとも、示談が成立したからといって、必ず逮捕や起訴を回避できるわけではありません。

また、逮捕後であっても、示談が成立したことは、検察官が起訴・不起訴を判断する際や、裁判となった場合の量刑判断において考慮される事情となることがあります。

慰謝料を支払えば不起訴になりますか?

慰謝料を支払い、被害者との示談が成立したとしても、必ず不起訴になるわけではありません。

検察官は、示談の成立だけでなく、犯行の悪質性や前科前歴、反省の状況、再犯のおそれなど、さまざまな事情を総合的に考慮して起訴・不起訴を判断します。

もっとも、示談が成立し、被害回復が図られていることは、有利な事情として考慮される可能性があります。

まとめ

盗撮事件では、被害者に対する慰謝料や示談金の支払いが問題となることがあります。

示談金の額に法的な基準はありませんが、実務上は10万円から50万円程度で解決するケースが多くみられます。

ただし、被害者が未成年者である場合や、画像・動画の拡散があった場合、犯行態様が悪質である場合などには、これを上回る金額となることもあります。

示談は、不起訴処分や前科の回避を目指すうえで重要な事情となることがあります。
もっとも、被害者へ直接連絡することは避けるべきであり、示談交渉は弁護士を通じて進めるのが一般的です。

盗撮事件で慰謝料や示談についてお悩みの場合には、できるだけ早い段階で刑事事件に詳しい弁護士へ相談し、適切な対応を検討することが重要です。

ネクスパート法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が多数在籍しています。
初回相談は、30分無料です。
ぜひ一度ご相談ください。

コラム監修者

RUI SATO

RUI SATO

所属:代表(東京オフィス)

明治大学付属中野高校卒業、明治大学法学部・法科大学院修了。2012年弁護士登録(東京弁護士会)、2016年ネクスパート法律事務所を創設。一般民事・企業法務に加え、ブロックチェーン分野にも注力し、海外法人設立支援業務などにも取り組む。AIを活用した弁護士業務の改善・事業開発に取り組み、一般社団法人 イノベーション法務支援機構代表理事就任。公正取引委員会・中小企業庁講師、日弁連代議員、東京弁護士会常議員等を歴任。

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