更新日:2026年9月1日 (火)
公開日:2026年9月1日 (火)
盗撮未遂で逮捕される?後日逮捕の可能性や成立する罪・示談金相場を解説
サマリー
盗撮を試みたものの、撮影に失敗した場合でも、罪に問われる可能性があります。
実際に画像や動画の撮影に成功していなくても、スマートフォンやカメラをスカートの下に差し向けるなど、盗撮行為に着手したと認められれば、撮影罪の未遂や迷惑防止条例違反などが成立する可能性があります。
また、その場で発覚しなかったとしても、防犯カメラ映像や目撃者の証言、施設側からの通報などをきっかけに後日捜査が開始され、逮捕や書類送検に至るケースもあります。
もっとも、すべての事案で未遂犯が成立するわけではなく、撮影場所や行為の内容、撮影対象などによって適用される法令は異なります。
この記事では、盗撮未遂で成立する可能性がある犯罪や後日逮捕のリスク、前科を回避するために重要となる示談のポイントや示談金の目安について、実務を踏まえてわかりやすく解説します。
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盗撮未遂は撮影に失敗しても罪に問われる可能性があります

盗撮を試みたものの撮影に至らなかった場合でも、行為の内容によっては犯罪が成立する可能性があります。
2023年7月に施行された性的姿態等撮影罪(いわゆる撮影罪)では、一定の盗撮行為について未遂犯も処罰の対象とされています。
そのため、撮影前に発覚した場合や、撮影を試みたものの画像や動画が保存されていなかった場合などであっても、盗撮行為に着手したと認められれば、未遂犯として処罰される可能性があります。
また、各都道府県の迷惑防止条例では、盗撮目的でカメラやスマートフォンを差し向ける行為などを処罰対象としている場合があり、実際に撮影が成功していなくても条例違反が成立することがあります。
もっとも、撮影に失敗したすべてのケースで未遂犯や条例違反が成立するわけではありません。
適用される法令や犯罪の成否は、撮影場所や行為の内容、撮影対象など、具体的な事情を踏まえて個別に判断されます。
盗撮未遂で成立する可能性がある3つの犯罪

盗撮未遂では、撮影が成功していなくても、行為の内容や状況によって複数の犯罪が成立する可能性があります。
2023年7月に施行された性的姿態等撮影罪(撮影罪)の未遂が問題となる場合があるほか、各都道府県の迷惑防止条例違反や、盗撮目的で立入禁止区域などへ侵入した場合には刑法第130条の建造物侵入罪が成立することもあります。
どの犯罪が適用されるかは、撮影場所や撮影対象、盗撮の方法、犯行時の状況などを踏まえて個別に判断されます。
2023年施行の「撮影罪」では未遂も処罰対象
2023年7月13日に施行された性的姿態等撮影罪では、正当な理由なく性的姿態等をひそかに撮影する行為などが処罰対象とされています。
同法には未遂犯を処罰する規定が設けられているため、撮影に失敗した場合や、撮影データが保存されていなかった場合などであっても、盗撮行為に着手したと認められれば、未遂犯として処罰される可能性があります。
撮影罪の法定刑は、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。
未遂であっても刑事責任を問われる可能性があります。
迷惑防止条例違反に問われる可能性もある
各都道府県の迷惑防止条例では、公共の場所や公共交通機関などにおける盗撮行為や、盗撮目的の一定の行為を処罰対象としています。
条例の内容は自治体によって異なりますが、盗撮目的でカメラやスマートフォンを人の身体や衣服の内部へ差し向ける行為や、盗撮目的で撮影機器を設置する行為などが規制されている場合があります。
そのため、実際に画像や動画の撮影が成功していなかった場合でも、行為の内容によっては迷惑防止条例違反が成立する可能性があります。
なお、具体的な処罰対象や罰則は自治体ごとに異なるため、事件が発生した都道府県の条例を確認する必要があります。
盗撮目的で立ち入った場合は建造物侵入罪が成立することもある
盗撮を目的として、更衣室や関係者以外立入禁止区域など、管理者の意思に反して建物や施設内へ立ち入った場合には、刑法第130条の建造物侵入罪が成立する可能性があります。
建造物侵入罪は、正当な理由なく、管理者の意思に反して建造物へ立ち入った場合に成立する犯罪です。
盗撮を目的とした立入りは、通常、正当な理由があるとは認められません。
そのため、盗撮が未遂に終わった場合であっても、立入り行為自体について建造物侵入罪の責任を問われる可能性があります。
建造物侵入罪の法定刑は、3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金です。
盗撮未遂で後日逮捕されるケースと捜査のタイミング
盗撮未遂は、その場で現行犯逮捕されなかったとしても、後日警察の捜査対象となる可能性があります。
事件直後は犯人が特定できなくても、防犯カメラ映像や目撃証言などをもとに捜査が進み、後日になって事情聴取や逮捕に至るケースは少なくありません。
ここでは、盗撮未遂事件で後日捜査が行われる主なケースや、警察から連絡が来るまでの流れについて解説します。
防犯カメラ映像などから身元が特定されることがある
盗撮未遂事件では、防犯カメラ映像が重要な証拠となるケースが少なくありません。
駅や商業施設、エレベーター、路上などには多数の防犯カメラが設置されており、事件発生後に警察が映像を収集・解析することがあります。
現場だけでなく、周辺の防犯カメラ映像をたどることで移動経路や利用した交通機関などが判明し、身元の特定につながる場合もあります。
そのため、その場で発覚しなかったとしても、後日になって警察から事情聴取を求められたり、逮捕状に基づいて逮捕されたりする可能性があります。
ICカードの利用履歴や目撃証言などから捜査が進む場合もある
防犯カメラ映像以外にも、交通系ICカードの利用履歴や電子決済の記録、目撃者の証言などが捜査資料として利用されることがあります。
警察は、必要に応じて令状や捜査関係事項照会などの法的手続を経て、事件に関連する情報を収集します。
これらの客観的な証拠を組み合わせることで、事件当日の行動状況や現場への立入りが裏付けられ、容疑者の特定につながることがあります。
後日逮捕ではなく在宅事件として捜査されるケースもある
盗撮未遂事件では、必ず逮捕されるわけではありません。
証拠隠滅や逃亡のおそれが小さいと判断された場合には、逮捕されずに在宅事件として捜査が進むこともあります。
この場合、警察から電話や書面で出頭を求められ、事情聴取や取調べを受けながら捜査が続けられます。
もっとも、在宅事件であっても最終的には検察官が起訴・不起訴を判断するため、適切な対応を取ることが重要です。
在宅事件については、以下の記事も合わせてご参照ください。
在宅事件になるとどうなる?捜査の流れや身柄事件との違いを解説
警察から連絡が来るまでの期間は事件によって異なる
事件発生から警察から連絡が来るまでの期間は、事案の内容や証拠の収集状況によって大きく異なります。
防犯カメラ映像の解析や関係者への事情聴取に時間を要する場合には、事件から数週間から数か月程度経過してから警察から連絡を受けることもあります。
一方で、証拠が十分にそろっている事件では、比較的早い段階で事情聴取や逮捕が行われるケースもあります。
そのため、「その場で捕まらなかったから大丈夫」と考えるのは適切ではありません。
盗撮未遂であっても、後日捜査が開始される可能性があるため、警察から連絡を受けた場合には、取調べへの対応や今後の見通しについて、できるだけ早く刑事事件に詳しい弁護士へ相談することが重要です。
盗撮未遂で前科を避けるためには不起訴処分を目指すことが重要
盗撮未遂で警察の捜査を受けた場合でも、必ず刑事裁判になるわけではありません。
検察官が事件を起訴しないと判断すれば、不起訴処分となり、刑事裁判は開かれず前科も付きません。
一方、起訴されて有罪判決が確定すると、拘禁刑だけでなく罰金刑であっても前科となります。
そのため、盗撮未遂事件では、起訴を回避し、不起訴処分を目指すことが重要です。
特に、被害者との示談や反省の態度、再犯防止に向けた取組みなどは、検察官が起訴・不起訴を判断する際に考慮される事情となることがあります。
不起訴を目指すうえで重要となる被害者との示談
盗撮未遂事件では、被害者との示談が成立しているかどうかが、不起訴処分を目指すうえで重要な事情の一つとなります。
示談とは、加害者が謝罪や慰謝料の支払いなどを行い、当事者間で事件の解決を図る手続きです。
検察官は、犯行態様や前科前歴、反省の状況、再犯のおそれなどとあわせて、被害回復が図られているかどうかも考慮します。
特に、示談が成立し、被害者が加害者の処罰を望まない意思を示している場合には、不起訴処分に向けた有利な事情として評価されることがあります。
もっとも、示談が成立したからといって必ず不起訴になるわけではなく、事案全体を踏まえて総合的に判断されます。
刑事事件の示談交渉については、以下の記事も合わせてご参照ください。
示談交渉とは?刑事事件の示談の流れや注意点・示談金相場を徹底解説
盗撮未遂の示談金は事案ごとに異なる
盗撮未遂事件の示談金は、10万円から50万円程度で解決するケースが多いといわれています。
もっとも、法的に定められた相場はなく、実際の金額は個別の事情によって大きく異なります。
例えば、
- 撮影が成功していたか
- 被害者が受けた精神的苦痛の程度
- 行為の悪質性
- 被害者との関係
- 前科前歴の有無
などの事情を踏まえ、当事者間の交渉によって決定されます。
示談交渉は弁護士へ依頼するのが一般的
盗撮未遂事件では、示談交渉を弁護士へ依頼するケースが一般的です。
刑事事件では、被害者の氏名や連絡先は加害者側に開示されないことが多く、本人だけで示談交渉を進めることは難しい場合があります。
また、加害者本人が直接連絡を取ると、被害者の不安や処罰感情を強めてしまうおそれもあります。
弁護士が代理人として交渉を行うことで、被害者の心情に配慮しながら適切な条件で示談を進められるほか、法的に有効な示談書の作成や、示談成立後の検察官への報告なども適切に行うことができます。
盗撮未遂を弁護士に相談するメリット
盗撮未遂事件では、事件発覚後の対応によって、その後の処分や生活への影響が大きく変わることがあります。
早い段階で弁護士へ相談することで、取調べへの対応や示談交渉、不起訴処分を目指すための弁護活動について、事案に応じたサポートを受けることができます。
早期の身柄解放に向けた弁護活動を受けられる
逮捕・勾留された場合には、弁護士が逃亡や証拠隠滅のおそれが小さいことや、家族による監督体制が整っていることなどを主張し、早期の身柄解放に向けた活動を行います。
その結果、勾留請求が却下されたり、勾留決定に対する刑事訴訟法第429条の準抗告が認められたりすることで、身柄拘束の期間を短縮できる場合があります。
早期に社会生活へ復帰できれば、仕事や学校、家庭への影響を抑えられる可能性があります。
被害者に配慮した示談交渉を進められる
盗撮未遂事件では、示談交渉の進め方が事件の結果に影響することがあります。
弁護士が代理人となることで、被害者の心情に配慮しながら謝罪や賠償の意思を適切に伝えられるほか、法的な観点から示談条件を整理し、円滑な解決を目指すことができます。
示談が成立した場合には、不起訴処分や量刑判断において有利な事情として考慮される可能性があります。
社会生活への影響を抑えられる可能性がある
弁護士へ早期に相談することで、警察からの呼び出しや取調べへの対応について具体的な助言を受けられます。
また、在宅事件では、捜査状況に応じた適切な対応を進めることで、事件による生活への影響を最小限に抑えられる可能性があります。
もっとも、会社や学校に事件が知られるかどうかは、逮捕の有無や報道の有無など、個別の事情によって異なります。
そのため、弁護士へ依頼したからといって必ず秘密を維持できるわけではありませんが、早期から適切な対応を行うことで、不利益を軽減できる可能性があります。
盗撮未遂に関するよくある質問(FAQ)
ここでは、盗撮未遂事件について特によく寄せられる質問に回答します。
撮影データが残っていなくても盗撮未遂で処罰されることはありますか?
はい、撮影データが残っていなくても処罰される可能性があります。
防犯カメラ映像や目撃者の証言などから、盗撮行為に着手したと認められれば、撮影罪の未遂や迷惑防止条例違反などが成立する可能性があります。
もっとも、実際に犯罪が成立するかどうかは、証拠の内容や事案ごとの事情を踏まえて判断されます。
スマートフォンのデータを削除すると不利になりますか?
事件に関係するデータを削除した場合には、証拠隠滅を疑われる事情として評価される可能性があります。
例えば、捜査開始後や事件発覚後に画像や動画を削除した場合には、捜査機関がその経緯を確認することがあります。
もっとも、データを削除したという事実だけで処分が決まるわけではなく、事件全体の事情を踏まえて総合的に判断されます。
盗撮未遂で自首するメリットはありますか?
刑法第42条の自首が法律上認められる場合には、刑が減軽される可能性があります。
また、自ら警察へ申告し、反省の意思を示すことは、その後の処分を判断する際に考慮される事情となることがあります。
もっとも、自首が成立するかどうかや、その効果は、警察がすでに犯人を把握しているかなど、事件の状況によって異なります。
自首を検討している場合には、事前に刑事事件に詳しい弁護士へ相談したうえで対応を決めることをおすすめします。
盗撮未遂でも前科が付くことはありますか?
盗撮未遂であっても、起訴されて有罪判決が確定した場合には前科が付きます。
一方、不起訴処分となった場合には刑事裁判は開かれず、前科は付きません。
そのため、前科を避けたい場合には、示談交渉や再犯防止への取組みなどを進め、不起訴処分を目指すことが重要です。
まとめ
盗撮未遂は、撮影が成功していなかった場合であっても、行為に着手したと認められれば、撮影罪の未遂や迷惑防止条例違反などに問われる可能性があります。
また、その場で発覚しなかったとしても、防犯カメラ映像や目撃者の証言などをもとに後日捜査が行われ、事情聴取や逮捕につながるケースもあります。
もっとも、盗撮未遂事件では、被害者との示談や事件後の対応などによって、不起訴処分となる可能性もあります。
そのため、盗撮未遂で警察の捜査を受けている場合や、今後の対応に不安がある場合には、できるだけ早い段階で刑事事件に詳しい弁護士へ相談し、事案に応じた適切な対応を進めることが重要です。
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コラム監修者
RUI SATO
所属:代表(東京オフィス)
明治大学付属中野高校卒業、明治大学法学部・法科大学院修了。2012年弁護士登録(東京弁護士会)、2016年ネクスパート法律事務所を創設。一般民事・企業法務に加え、ブロックチェーン分野にも注力し、海外法人設立支援業務などにも取り組む。AIを活用した弁護士業務の改善・事業開発に取り組み、一般社団法人 イノベーション法務支援機構代表理事就任。公正取引委員会・中小企業庁講師、日弁連代議員、東京弁護士会常議員等を歴任。