更新日:2026年3月5日 (木)

公開日:2024年11月27日 (水)

転職で年収に変動が生じたら養育費の金額は変更できるか?

転職で年収に変動が生じたら養育費の金額は変更できるか? 転職で年収に変動が生じたら養育費の金額は変更できるか?

サマリー

養育費を支払う側が転職したことで年収に変動があった場合、養育費の金額を変更できるのでしょうか?

この記事では、養育費の金額の変更が可能なケースと養育費の減額を目的として意図的に転職をした場合の対処法について解説します。

転職で年収に変動が生じたら養育費の変更は可能か?

養育費の支払義務者が転職したことにより年収に変動が生じた場合、養育費を変更できるのでしょうか?

以下で解説します。

当事者が合意できれば可能

当事者間の話し合いで、養育費の変更について合意ができれば可能です。

養育費の増額・減額を希望する理由を相手方に説明し、協議による解決を試みましょう。

合意した場合は、変更した条件を記載した契約書を作成しましょう。

養育費を受け取る側にとっては、変更後の金額が不払いとなった際に備えて、執行認諾文言付公正証書を作成するとより確実です。

合意できなければ裁判所の判断による

当事者間の話し合いで解決できない場合は、家庭裁判所に養育費増額調停または養育費減額調停を申立てます。

調停を申立てると調停委員が双方の言い分を聞き、合意を目指して話し合いを行います。

調停で合意に至らない場合は審判に移行します。審判では、当事者双方の主張および提出した収入資料や証拠書類から、一度取り決めた養育費の金額を変更することが相当といえる事情の変更が存在するかどうかを裁判官が審理し、審判を出します。

裁判所はどのような場合に養育費の変更を認める?

養育費の増減は、合意または審判で養育費が決まった後に事情の変更が生じた場合に認められます。

事情の変更が認められるための判断要素は、以下のとおりです。

  • 養育費を取り決める基礎となった事情に変更が生じたこと
  • 養育費を取り決めた時点では、事情変更を予見できなかったこと
  • 当初の取り決めを維持することが相当でないと認められる程度に重要な事情の変更であること

例えば、養育費の支払義務者が病気やけがをしたり、これまで勤務していた会社が倒産したりするなど、思いがけない事態に陥って転職を余儀なくされた場合などは、通常、合意または審判当時には予見できなかったものと考えられるでしょう。
このような場合、義務者からの養育費の減額請求が認められる可能性があります。

逆に養育費の支払義務者が転職・起業等により年収が大幅に増えた場合、養育費を取り決めた当時に予測しえなかった重要な事情変更があったと考えられるでしょう。
この場合、権利者からの養育費の増額請求が認められる可能性があります。

養育費の支払義務者が転職して意図的に年収を減らした場合の対処法は?

収入の増減が認められる場合でも、その経緯について、養育費の支払義務者に責任があるような場合には、減額請求が認められないケースもあります。

例えば、養育費の支払義務者が養育費の支払いを免れるために転職して、意図的に年収を減らした場合などです。

このような場合、権利者はどのように対処すればいいか解説します。

義務者が意図的に減収を操作した事実を主張立証する

養育費の支払義務者が意図的に減収を操作した事実を立証し、義務者が潜在的稼働能力を有していることを前提として養育費を算定することが相当であると主張しましょう。

潜在的稼働能力とは、その人の就労歴や健康状態など諸般の事情を総合的に考慮し、本来ならこのぐらい働いてこのぐらいお金を稼げるだろうという能力です。

義務者があえて低い収入に甘んじている場合には、現実の収入ではなく、本人の年齢・学歴・資格などの潜在的稼働能力から収入を算定し、そのうえで、養育費を算出するのが相当です。

支払義務者が意図的に収入を操作した事実潜在的稼働能力を証明する資料としては、以下のようなものがあります。

  • 義務者に収入を減らす意図があったことが分かる資料(支払義務者のメールやLINE、陳述書等)
  • 資格・職歴等が分かる資料

この種の事例として、養育費の支払いを逃れるために勤務先を退職したケースで、潜在的稼働能力を前提に勤務を続けていれば得られたはずの収入に基づいて養育費を算定した判例があります(福岡家裁平成18年1月18日)。

転職で養育費の支払いが滞ったら財産開示手続をする

養育費の支払義務者が転職して養育費の支払いを滞らせた場合、財産開示手続を申立てる方法があります。

2020年5月から改正民事執行法が施行され、財産開示手続の要件が緩和されました。改正によって、債務名義の種類によらず申立てができるようになったため、執行認諾文言付公正証書で養育費の取り決めをした場合も財産開示手続が利用できます。

財産開示の申立ては、養育費の支払義務者の住所地を管轄する地方裁判所に書面により行います。財産開示手続により債務者(養育費の支払義務者)の財産を明らかにできた場合は、強制執行を申立てることで養育費を回収できる可能性があります。

養育費を変更すべき事情が生じたり支払いが滞ったりしたら弁護士に相談を!

一度取り決めた養育費を変更すべき事情が生じたり、養育費の支払いが滞ったりしたら、弁護士に相談をしましょう。

養育費の増額・減額については、話し合いでの解決が見込めないことも多いです。裁判所の手続きを利用する場合、養育費の金額を変更することが相当といえる事情の変更が生じていることが必要となりますが、ご自身の状況が事情の変更にあたるかどうか判断することは難しいでしょう。

弁護士に相談すれば、あなたのケースで養育費の増額・減額ができるのか、できる場合にはどのような主張をすべきなのか適確なアドバイスを得られるでしょう。

支払いが滞っている場合も、弁護士が介入することで、相手方にプレッシャーをかけられ、支払いに応じてもらえる可能性があります。

それでも支払いに応じない場合には、養育費を回収するための法的措置(支払督促や履行勧告・履行命令、強制執行)も検討できます。

あなたの置かれている状況に応じて、弁護士であれば的確なアドバイスができますので、一人で抱え込まずに早めに弁護士に相談しましょう。

まとめ

養育費の支払義務者が転職して年収に変動が生じた場合、これまでの養育費が適正なものかどうか、改めて検討するきっかけになります。特に義務者側から養育費を減らしてほしいと求められた場合、養育費を受け取る側にとっては簡単に応じられることではないでしょう。

話し合いでの解決が難しいと思われた場合は、できるだけ早い段階で弁護士に相談をしてください。

ネクスパート法律事務所には、離婚全般を得意とする弁護士が在籍しています。初回相談は30分無料です。養育費に関して経験豊富な弁護士がサポートさせていただきますので、ぜひ一度お問合せください。

コラム監修者

SHIZU ISHIDA

SHIZU ISHIDA

所属:東京本店

広島県広島市出身。青山学院大学心理学科、東海大学法科大学院卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、刑事、民事、法人案件等幅広い分野の専門知識を習得。弁護士登録10年目にしてネクスパート法律事務所に入所し、現在は主に離婚事件に注力している。

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