ジェネラティブNFTとリビール(Reveal)方式の適法性|NFTと賭博罪について

海外では、ジェネラティブNFTをリビール方式で販売する方法が主流です。しかし日本でこの方式をとると、賭博罪に該当してしまう可能性があります。

このコラムでは、ジェネラティブNFTとリビール(Reveal)方式の適法性について解説します。

ジェネラティブNFT+リビール方式での発行に悩まれている方は、ぜひ最後までご確認ください。

目次

ジェネラティブNFTとリビール方式

ここでは、ジェネラティブNFTとリビール方式について解説します。

ジェネラティブNFTとは

ジェネラティブNFTとは、コンピューターに組み込まれたアルゴリズムによって、複数のパーツをランダムに組み合わせ、生成されたNFT作品をいいます。

有名なものでは、Bored Ape Yacht Club、CLONE X – X TAKASHI MURAKAMI、日本発の作品ですと、CryptoNinja Partnersなどがあります。

リビール方式とは

リビール方式とは、購入時点では、どのNFT作品を取得できたか分からず、その後のリビールで初めて取得したNFT作品がわかるという仕組みを備えた販売方式です。いわゆる(有償)ガチャやランダム型販売といわれるような販売方式です。

海外では、このジェネラティブNFTをリビール方式で販売する方法が主流ですが、日本でこの方式をとると、以下のように賭博罪に該当してしまう可能性があるので、個別具体的に慎重な判断をすることが必要です。

賭博罪とは

賭博罪に該当すると、最大で、50万円以下の罰金又は科料(刑法185条本文)となります。また、主催者として賭博をさせる場所を設けると、3月以上5年以下の懲役(刑法186条2項)となる可能性があるため、賭博罪該当性の判断には慎重な検討が必要です。

賭博罪の構成要件は、次のとおりです。

  1. 2人以上の者が
  2. 偶然の勝敗により
  3. 財物や財産上の利益を
  4. 得喪を争う行為をする
  5. 一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまらない

ジェネラティブNFT+リビール方式は賭博罪にあたるか?

上記の①~⑤の要件の中で、一般的に販売されるジェネラティブNFTについては、①②③⑤の要件を満たすことがほとんどです。

一番問題となるのは、④得喪を争う行為です。
この点が不明確なため、日本でNFTコレクションを運営しようとする方々は、ジェネラティブNFT+リビール方式での発行に二の足を踏んでいる状況です。

権利の得喪を争うとは

権利の得喪を争うとは、勝者が財物等を得て、その反面、敗者がそれを失うことをいいます。
得喪を争うといえるためには、当事者の一方が取得した利益が、他方の経済的負担に基づくと評価できる関係が必要と考えられています。
NFT発行者と取得者の間にこのような関係があるといえるためには、取得者は販売価格に応じた価値を有しないNFTを取得する可能性があり、他方で、発行者が利益を得る可能性があるような場合です。

一般論として賭博罪の成立可能性が高い

ネクスパート法律事務所も所属する、一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)が策定した「NFTビジネスに関するガイドライン」では、有償NFTガチャと賭博罪について以下のような見解を示しています(ブロックチェーンゲーム内での有償NFTを前提としています)。

「ガチャとは、ゲーム内通貨等を消費し、ランダムに貴重なアイテムを得られる仕組みです。そのため、例えば、専らプログラムによって獲得するアイテムがランダムに決定され(①)、当該獲得可能なアイテムが財産的価値を有し(②)、かつゲーム内通貨等を消費して当該ゲーム内通貨等と価値の異なるアイテムを獲得するような場合(③)、賭博罪が成立する可能性が高いと思われます。」

NFTビジネスに関するガイドライン|一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)

このように、一般論としては、ジェネラティブNFT+リビール方式については、賭博罪の成立可能性が高いと考えられています。

もっとも、JCBAのガイドラインでは、「NFTサービスにおいてガチャを行うことは、当該NFTサービスの仕組み次第では、賭博に該当する可能性があるため、ガチャの実装について慎重な検討を要します。」としており、必ずしもすべてが違法であるとはしていません。

賭博罪にあたらない場合とは?

当事者の一方が危険を負担し、他方が利益を取得するだけの場合には、賭博罪は成立しません。

例えば、フリーミント(無料でNFTを取得できる方法)によって、ジェネラティブNFT+リビール方式を採用する場合には、発行者のみが危険を負担し、取得者は利益を取得するだけなので、賭博罪とはなりません。

NFTで賭博罪にあたらないようにするためには??

まだ国内でジェネラティブNFT+リビール方式の適法性について争われた事案はありませんが、発行するNFTに価値の差を生じさせないようにしたり、NFTに付加価値をつけることで、支払った対価に応じた価値を取得出来ていることになるので、適法になる可能性も十分にあります。

例えば、リビールするNFTのレアリティに差をつけない、NFTホルダー限定コミュニティへの参加権を付与する、他のNFTなどの優先WLを付与する(ただし、景表法との兼ね合いはあります)、二次流通を想定させないなど、様々な要素を組み合わせることにより、ジェネラティブNFTとリビール方式の組み合わせであっても、適法とされる可能性は十分にあると考えられます。

もっとも、その判断は極めて慎重に行う必要がありますので、弁護士に個別具体的に相談することをお勧めします。

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