債務整理にかかる期間はどのくらい?ブラックリストから消えるのはいつ?
債務整理には、次の4つの種類があります。
- 任意整理
- 特定調停
- 自己破産
- 個人再生
債務整理にかかる期間は、手続期間とその後の返済期間(破産を除く)に分けられます。信用情報機関に事故情報が登録される期間もそれぞれ異なります。
この記事では、次の期間について手続きごとに詳しく解説します。
- 債務整理にかかる期間(手続期間と返済期間)
- 債務整理のブラックリスト登録期間
債務整理にどのくらいの期間がかかるか気になる方はぜひ参考になさってください。
目次
債務整理にかかる期間
ここでは、債務整理にかかる期間を手続ごとに説明します。
任意整理にかかる期間
任意整理は、裁判所を通さず借主と貸主が直接話し合い、返済方法を変更する手続です。
任意整理の手続期間【3〜6ヶ月】
任意整理の手続期間は概ね3~6ヶ月程度です。以下が任意整理の流れです。
- 受任通知の発送
- 手続債権調査・利息の引き直し計算
- 返済案の策定・交渉
- 合意書の締結
- 返済開始
任意整理の返済期間【3~5年】
任意整理は、返済期間を3年から5年と定めるのが一般的です。
任意整理にかかる期間(目安) | |
手続期間 | 3~6ヶ月 |
返済期間 | 3~5年 |
特定調停にかかる期間
特定調停は、簡易裁判所の調停委員が仲裁役となり、借主と貸主で返済方法の変更の合意ができるよう支援する手続です。
特定調停の手続期間【3〜6ヶ月】
特定調停終了までの期間は概ね3~6ヶ月です。特定調停は次の流れで進められます。
- 特定調停の申立て
- 調停委員を交えた話し合い
- 調停の成立・不成立
- 返済開始
申立て後3~4回の調停を経て調停が成立(又は不成立)します。
特定調停の返済期間【3~5年】
特定調停では、返済期間を原則3年(貸主の合意が得られれば5年)と定めます。
特定調停にかかる期間(目安) | |
手続期間 | 3~6ヶ月 |
返済期間 | 3~5年 |
自己破産にかかる期間
自己破産は、裁判所の許可を得て借金の返済義務を免除(非免責債権を除く)してもらう手続です。破産手続は、同時廃止事件と破産管財事件に分けられます。破産管財事件には少額管財と通常管財(特定管財)の2つの手続があります。
自己破産の手続期間【3ヶ月〜1年】
各手続の申立てから免責許可決定確定までの期間は、次のとおりです。
- 同時廃止:3~4ヶ月程度
- 少額管財:4~6ヶ月程度
- 通常管財:1年以上
同時廃止に比べて管財事件は手続に時間がかかります。申立てまでの準備期間には3~6ヶ月程度要します。
自己破産の流れは次のとおりです。
同時廃止 | 管財事件 |
①破産手続開始申立
②破産手続開始決定 ③免責許可決定 ④免責許可決定の確定 |
①破産手続開始申立
②破産管財人候補者との面談 ③破産手続開始決定 ④引継予納金の納付 ⑤財産調査・処分 ⑥債権者集会の開催 ⑦免責許可決定 ⑧免責許可決定の確定 |
自己破産の返済期間【0年】
自己破産は、非免責債権を除き借金の返済が免除されます。免責許可を得た場合は返済不要です。
自己破産にかかる期間(目安) | |
準備期間 | 3~6ヶ月 |
手続期間 | 3ヶ月~1年以上 |
返済期間 | - |
個人再生にかかる期間
個人再生は、裁判所の認可を受けて概ね5分の1(最大10分の1)圧縮した借金を3~5年で返済する制度です。住宅ローンの支払いをしながら、マイホームを残すこともできます。
個人再生の手続期間【6ヶ月〜1年】
個人再生手は提出書類も多く手続が複雑で、通常6ヶ月~1年を要します。
裁判所により流れが異なりますが、概ね次のとおり進行します。
- 個人再生の申立て
- 履行テストの開始
- 債権の届出・調査
- 個人再生手続の開始手続
- 再生計画案の作成・提出
- 再生計画案の決議
- 再生計画の認可・不認可
- 再生計画に基づく返済開始
申立てまでの準備期間には3~6ヶ月程度要します。
個人再生の返済期間【3~5年】
再生計画に基づき3年~5年かけて返済します。
個人再生にかかる期間(目安) | |
準備期間 | 3~6ヶ月 |
手続期間 | 6ヶ月~1年 |
返済期間 | 3~5年 |
債務整理にかかる期間の比較表
まとめると次のとおりです。
(目安) | 任意整理 | 特定調停 | 自己破産 | 個人再生 |
準備期間 | 3~6ヶ月 | 3~6ヶ月 | 3~6ヶ月 | 3~6ヶ月 |
手続期間 | 3ヶ月~1年以上 | 6ヶ月~1年 | ||
返済期間 | 3~5年 | 3~5年 | ― | 3~5年 |
債務整理のブラックリスト登録期間
債務整理をすると、信用情機関に事故情報が登録されます。いわゆるブラックリストに載ることです。
ここでは、債務整理のブラックリスト登録期間について解説します。
債務整理の種類別ブラックリスト登録期間
新規借入・クレジットカードの発行に際し、各信用情報機関に加盟する金融機関は、個人信用情報を照会して審査します。事故情報の登録があると(ブラックリストに載ると)審査に通りにくくなります。
各信用情報機関の主な登録期間を確認してみましょう。
CIC | JICC | KSG | |
利用情報 | 利用日から6ヶ月間 | 利用日から6ヶ月以内 | 利用日から1年以内 |
遅延情報 | 延滞・保証履行・破産 | 債権回収・債務整理・保証履行・強制解約・破産申立・債権譲渡等 | 延滞・代位弁済・強制回収手続 |
契約期間中および契約終了後5年以内 | 当該事実の発生日から5年以内 | 契約期間中および契約終了後5年以内 | |
官報情報 | - | - | 破産手続開始決定等を受けた日から10年を以内 |
債務整理の手続ごとの登録期間を確認してみましょう。
任意整理【5年】
どの信用情報機関でも完済後概ね5年は遅延情報が登録されます。
信用情報機関 | CIC | JICC | KSG |
登録期間 | 5年 |
特定調停【5年】
どの信用情報機関でも完済後概ね5年は遅延情報が登録されます。
信用情報機関 | CIC | JICC | KSG |
登録期間 | 5年 |
自己破産【5~10年】
CIC及びJICCでは遅延情報として事実発生の日から5年間、KSGは官報情報として破産手続開始決定から10年間登録されます。
信用情報機関 | CIC | JICC | KSG |
登録期間 | 5年 | 5年 | 10年 |
個人再生【5~10年】
CIC及びJICCでは遅延情報として事実発生の日から5年間、KSGは官報情報として官報情報として破産手続開始決定から10年間登録されます。
信用情報機関 | CIC | JICC | KSG |
登録期間 | 5年 | 5年 | 10年 |
ブラックリスト登録期間の比較表
各信用情報機関の債務整理ごとの登録機関を以下表でまとめます。
信用情報機関 | CIC | JICC | KSG |
任意整理 | 5年 | 5年 | 5年 |
特定調停 | 5年 | 5年 | 5年 |
自己破産 | 5年 | 5年 | 10年 |
個人再生 | 5年 | 5年 | 10年 |
信用情報機関とは
信用情報とはクレジットカードやローンの契約や申し込みに関する取引の事実を登録した個人情報です。信用情報機関は、加盟している金融機関(会員)から信用情報を収集・管理し、会員に提供する機関です。
個人の信用情報機関は3つあります。
- 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
- 株式会社日本信用情報機構(JICC)
- 全国銀行個人信用情報センター(KSC)
信用情報機関により異なりますが、概ね以下の情報が登録されています。
申込み内容に関する情報 | 氏名、生年月日、郵便番号、電話番号、照会日、商品名、契約予定額、支払予定回数、照会会社名等 |
クレジット情報 | 氏名、生年月日、性別、郵便番号、住所、電話番号、勤務先名、勤務先電話番号、公的資料番号、契約日、契約の種類、商品名、支払回数、契約額(極度額)、契約終了予定日、登録会社名等 |
クレジットの支払状況に関する情報 | 報告日、残債額、請求額、入金額、入金履歴、異動(延滞・保証履行・破産)の有無、異動発生日、延滞解消日、終了状況等 |
割賦販売法対象商品の支払状況に関する情報 | 割賦残債額、年間請求予定額、遅延有無等 |
貸金業法対象商品の支払状況に関する情報 | 確定日、貸付日、出金額、残高、遅延の有無等 |
取引事実に関する情報 | 債権回収、債務整理、保証履行、強制解約、破産申立、債権譲渡等 |
民事・官報に公告された情報 | 破産手続開始決定、再生開始決定等 |
まとめ
債務整理の種類によって、手続にかかる期間・ブラックリスト登録期間はそれぞれ異なります。債務整理をすると最低でも8年間は新規貸し付けやクレジットカードの発行ができなくなります。
債務整理は、これらの期間も踏まえて検討しましょう。
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