「離婚」を円滑に行うための手段のひとつとして「離婚調停」があります。実際に調停に進んだ際には、調停委員が間に入り離婚の話し合いを進めていきます。その話し合いを進めていく中で、自分にとって不利になるような発言は控えた方が良いでしょう。この記事では、どのような発言を控えた方が良いのか解説します。

離婚・不倫問題の初回30分無料相談実施中

離婚や不倫問題にお悩みの方は、おひとりで抱え込まず、ネクスパート法律事務所にご相談ください。ご相談者様の問題解決に向けて、当事務所の弁護士が全力でサポートいたします。

離婚調停で不利になる発言とは

当事者同士での話し合いだけで離婚時の条件に折り合いがつかない場合に行われるのが「離婚調停」です。離婚調停を行うことで、利害関係の絡まない第三者を間に入れることができ、冷静な話し合いができるようになるのです。離婚調停の際には、自分の言い分を冷静に伝えることが重要です。逆に下記のような発言を続けていると、自分にとって望まない結果になってしまう可能性もあります。

具体的ではない発言

たとえば、証拠がないなかで「この人は、ほかの女性と不倫をしている」「妻のしている育児や家事などは、やったことのない俺でもできる」などのような発言です。離婚調停の場では、発言に「具体的な事実による裏付け」が求められます。

証拠もある具体的な話ができるのならば別ですが、そうではなない根拠のない話は、調停員に悪い印象を抱かせてしまいます。

嘘や矛盾のある発言

当然ですが、嘘や矛盾のある発言をしてはいけません。また、憶測で相手を貶めるような発言も控えた方が良いでしょう。嘘や矛盾が発覚すると、発言に説得力がなくなってしまいます。

たとえば、事実ではないのに「不倫をしている」「夫婦のお金を使い込んだ」などと言ったり、「生活費をまったく渡さない」と言った後で「お金の管理は自分がしている」といった矛盾のある発言です。

相手の悪口や批判をするような発言

感情的になって相手を批判するような攻撃的な発言も控えましょう。感情的な発言を繰り返すと話し合いがスムーズに進まなくなったり、調停委員からの心証も悪くなってしまいます。

その他

上記以外にも「相手に直接会わせろ!」というような身の危険を感じるような発言、「絶対に条件は譲れない!」と態度を硬化させることも控えた方が良いでしょう。離婚調停ではあくまで「すりあわせ」「合意」を目的とします。

条件の折り合いや話し合いに進展がない場合は、調停が長引き自分にとっても精神的・身体的な負担は増してしまいます。

関連:離婚調停申し立ての手続きや流れ|有利に進める3つのポイント

離婚調停中にやってはいけないこと

離婚調停にかかる期間や回数は、ご家庭によってさまざまですが、大体3ヵ月~1年程度の時間を要します。(参考:離婚調停にかかる平均期間と期日の回数

離婚調停中はもう夫婦関係ではないという気持ちの方が多いとは思いますが、調停中はまだ婚姻関係にありますので、下記のような行動は控えた方が良いでしょう。

異性と会う(交際や同棲など)

離婚調停中にやってはいけないことの一つ目が「異性と交際や同棲」などをすることです。ただし「すでに婚姻関係が破綻していた場合」、異性と交際や同棲をしたとしても不貞行為とは判断されません。

しかし、「まだ別居していない」「相手が離婚したくないと言っている」というような状況で、ほかの異性と交際などを行った場合、不貞行為だと判断される可能性があります。不貞行為をした方は「有責配偶者」となり、原則有責配偶者からの離婚請求は認められません。また、慰謝料も請求される可能性があるため、離婚調停中に異性と交際・同棲を始めることは控えましょう。

関連:【不貞行為の定義とは】どこからが不倫?簡単にわかりやすく解説
関連:不倫(不貞行為)の慰謝料相場と過去の判例

相手に対して嫌がらせをしたり文句を言ったりする

離婚調停中にやってはいけないことの2つ目が「相手に対して嫌がらせをしたり文句を言ったりする」ことです。事務的な連絡であれば問題ありませんが、離婚調停中は調停員を仲介して話すのが原則です。

相手の要求に納得ができず直接文句を言ったり、嫌がらせなどの行為をすることは控えましょう。このような発言を繰り返すことで相手の態度をさらに硬化させてしまいます。

一方的に別居をする

離婚調停中にやってはいけないことの3つ目が「一方的に別居をする」です。夫婦には同居義務(第752条)があり、相手の承諾を得ずに一方的な別居をした場合は、同居義務違反となる可能性があります。

(同居、協力及び扶助の義務)
第七百五十二条 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。

引用元:民法 | e-Gov法令検索

場合によっては「正当な理由なく、夫婦の協力・扶助の義務を怠った」として「悪意の遺棄」と判断されることもあります。悪意の遺棄に相当すると判断された場合、慰謝料が発生することになります。離婚調停中こそ冷静になり、慎重に行動するようにしましょう。

離婚調停で聞かれること

最後に「離婚調停で聞かれること」も知っておきましょう。

離婚の経緯や理由

「なぜ離婚を考えたのか」「ここに至るまでの経緯はどのようなものなのか」は非常によく聞かれます。これは、調停委員がどのような流れで話し合いを進めていくかの指標ともなります。これまでの経緯を調停委員にスムーズに伝えられるように、メモなどにまとめておくことをおすすめします。

夫婦関係の修復可能性と現在の状況

夫婦関係を修復できる可能性・現状の状況についてもよく聞かれます。離婚調停は離婚を成立させることが目的ではなく、夫婦関係を調整することが目的です。また、片方が離婚することを望んでいないケースでは、調停委員も夫婦関係を修復できる可能性があるか模索するでしょう。

現在の状況については、別居の有無や生活費などについて聞かれます。夫婦には婚姻生活で必要な費用を分担する義務がありますので、別居をして片方が生活費を支払ってくれないという場合、婚姻費用を請求することも可能です。

(婚姻費用の分担)
第七百六十条 夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。

引用元:民法 | e-Gov法令検索

財産分与や養育費などのお金に関すること

離婚調停では財産分与や養育費などのお金に関することもどうするか決めなければなりません。財産分与は原則半々で分けることになりますが、家や土地などは分けることが難しいものです。

そのため、「だれがどのくらい受け取るのか」「分けられないものはどうするのか」の話し合いが必要となります。財産分与や養育費は、離婚後生活する上で大切なお金ですので、可能な限り明確に条件を決めておく必要があります。なお養育費は基本的に子どもが成人するまで支払うのが原則です。

関連:養育費はいつまで請求できる?支払い義務は何歳まで?

子どもの親権や面会交流について

18歳未満の子どもがいる場合、その子どもの親権者がどちらになるのか必ず決める必要があります。親権者にならかった方も「離婚後、子どもに会わせてもらえない」ということにならないよう、面会交流についても取り決めておいた方が良いでしょう。

離婚した後の生活全般について

離婚後にどのように生活していくのかも聞かれます。特に「住まいはどうするか」「生活費をきちんと確保できるのか」は聞かれるものと考えておきましょう。また、自分が子どもを引き取る側になった際には、「自分が働いているときの子どもの預け先」にアテをつけておくことも求められます。

まとめ

多くの人にとって、離婚調停は初めての経験です。離婚調停に至る状態のときには、お互いに感情が高ぶっており、なかなか冷静になれないかもしれません。しかしそのようなときでも落ち着いて対応することで、結果的には自分にとって有利な別れ方ができる可能性が高くなります。

また、一人だけで戦い続けていくのは心細いものです。そのようなときには、弁護士に依頼することも選択肢のひとつです。

関連:離婚調停の弁護士費用の相場と依頼するメリット