離婚調停の呼び出し状が届いた場合は、決められた日に裁判所に出向き、調停委員を通して離婚の話し合いをしていくことになります。突然、見慣れない書類が裁判所から届き、不安に感じる方も多いでしょう。この記事では、離婚調停の呼び出し状が届いた方に向けて対処法や今後の流れをご紹介していきます。
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目次
離婚調停の呼び出し状が届いたときの対処法
裁判所から「離婚調停」の呼び出し状が届き、どう対応すれば良いのか不安に思う方も多いでしょう。そもそも、離婚調停とは正式名称を「夫婦関係調整調停」と言い、文字通り夫婦間の問題について話し合う場になります。
呼び出し状が届いたという事は、パートナーは裁判所に申し立てを行い、離婚の条件などをどうするのか話し合うことを望んでいます。呼び出し状が届いてからの対応としては、以下のような流れとなります。
- 各種書類・期日の確認
- スケジュール(期日)の調整
- 各種書類の提出
- 調停期日に出席
各種書類の確認・提出
呼び出しと一緒に届く書類としては、以下のようなものがあります。
- 呼び出し状(調停期日通知書)
- 申立人が家庭裁判所に提出した離婚調停申立書の写し
- 夫婦間の問題に関する意見、事件等の照会書
- 調停についての説明書、裁判所までの地図
呼び出し状(調停期日通知書)には、家庭裁判所に来るように求められている日時や、事件などが記載されています。また、書類の中には必要事項を記入し、提出を求められるものもあります。返送が指示されている書類は、指定された日時までに提出する必要があります。
スケジュール(期日)の調整
離婚調停を申し立てられた側は、決まった期日に家庭裁判所に行かなければなりません。しかし、一方的に期日を決められても、都合によっては出席できない場合もあります。
そういった場合は事前に裁判所に連絡することで、期日の変更が可能です。しかし、正当な理由がない場合は、変更できない可能性があります。(詳しくは後述します)
調停期日に出席
調停期日が決まったら、指定された日時に必要書類を持って家庭裁判所に行きます。離婚調停では調停委員が間に入るため、パートナーと直接話し合うことはありません。
また、離婚調停では調停委員を味方に付けることも大切ですので、身だしなみや言葉使いにも気を付けるようにしましょう。
仕事などで離婚調停に出席できない場合
離婚調停は平日に行われるため、仕事などで出席できない方も多いでしょう。もし仕事や体調不良・病気などで決められた期日に出席できない場合は、できるだけ早く裁判所に連絡し、別日に変更することを申し出てください。また、正当な理由がない場合には、期日を変更することができない可能性もあります。
離婚調停に出席が難しい場合は弁護士を代理人にする
離婚調停は原則当人が出席しなければなりませんが、代理人のみが出席して話を進めるケースもあります。代理人にできるのは弁護士だけでなく、自分の親族を代理人にすることも可能です。
しかし、弁護士以外の方を代理人とする場合には「代理人許可申請書」を提出し、事前に裁判所から許可を貰う必要があります。(最近ではコロナウイルスの影響で、代理人のみの出頭でも良いと言われるケースもあります)
弁護士であれば、離婚調停に同席し、自分にとって最大限有利となるように主張してくれますので、心強い味方となります。また、話し合いがスムーズに進み、離婚調停成立までにかかる時間を短くできる可能性もあります。
離婚調停の呼び出し状を無視したらどうなる?
離婚調停の呼び出し状は原則無視はできません。しかし、もしこれらを無視したらどうなるのでしょうか?起こりうる3つの問題についてご紹介します。
離婚調停は不成立になり訴訟に進む
離婚調停の呼び出し状を無視して調停を欠席した場合、調停は不成立となります。不成立になった場合、申立人は即座に離婚訴訟を提起することができるようになります。
また、婚姻費用の分担請求調停が申し立てられている場合は、自動的に審判手続きに移行し、裁判官が支払うべき額を決定します。
そのため、呼び出し状を無視した場合は、申立人のみの意見で裁判官が婚姻費用分担請求の判断をすることになってしまいます。
自分にとって不利な判決になる可能性がある
呼び出し状を無視して裁判になると、離婚条件などは最終的に判決で決まります。その際「調停の呼び出しを無視し続けた」ことで印象が悪くなり、自分にとって不利な判決が下される可能性が高くなります。
また、訴訟になっても無視した場合は、申立人の全面勝訴となります。いずれにしても無視をするデメリットは大きいので、自分ひとりでの対応が難しい場合は、弁護士に依頼することをおすすめします。
5万円以下の過料の制裁が科される
離婚調停の呼び出しに正当な理由なしに無断欠席した場合、家事事件手続法第258条1項、同法51条3項の規定に基づき、裁判所から5万円以下の過料を徴収される可能性があります。
しかし、実際に過料を徴収されるケースは稀ですが、ペナルティを課される行為だということを認識しておきましょう。
離婚調停を申し立てられた側がやるべき事
離婚調停を申し立てられた側がまずやるべき事、考えるべき事とはなんでしょうか?整理すべき重要な事を3つを説明します。
希望の条件を整理する
離婚調停の申立書には、相手側が望む離婚条件などが記載されています。しかし、その条件は相手側が望んだ条件であって、ご自身が望む条件は考慮されていません。ですので、まずはご自身が望む離婚の条件を整理してメモしておきましょう。
考えるべき事としては、そもそも離婚を受け入れるのか、離婚する場合は相手側が提示している条件をどこまで許容できるのか、譲れない部分はどこか、子供の親権や養育費、財産分与や慰謝料などはどうするのか、これらの問題を可能な限り明確にしておきましょう。
もし一人で考えるのが難しい場合は、弁護士に依頼し、アドバイスを貰いながら進めていくことをおすすめします。
調停で話すことや証拠を準備する
離婚調停では、希望する条件が一方的に通るケースは少なく、双方の意見を調停委員が取りまとめ、お互いが納得のいく解決を目指していきます。しかし、お互いが条件を譲りたくないというケースも多いでしょう。
ご自身の希望する条件を通したい場合は、その主張に根拠や証拠があるかが重要となります。例えば、不貞行為を理由に離婚請求をするようであれば、不貞行為を証明できる証拠が必要となります。
そういった証拠も事前に用意しておくことで、調停を有利に進めることができます。
答弁書を用意する
答弁書とは、ご自身の主張をまとめた書面となります。呼び出し状が入っている封筒の中に一緒に答弁書のひな型が入っています。また、答弁書は指定された期日までに、調停が開催される裁判所に提出する必要があります。
答弁書のひな型は簡潔なフォーマットになっていますので、ご自身が主張したいことを書ききれない場合は、別の書面に主張をまとめ、答弁書に添付しておきましょう。
答弁書に記載する内容
答弁書には具体的にどのような内容を記載すれば良いのでしょうか?離婚に同意し、離婚条件について争う場合と、離婚をしたくない場合に分けて説明していきます。
離婚する場合
まず話し合う内容について主に、①慰謝料、②財産分与、③子どもの親権、④子どもの養育費の4種類あります。
①慰謝料
慰謝料は、浮気・不倫、DV・モラハラなど、さまざまな理由があります。どのような理由であったとしても、ケースによって慰謝料の金額は大きく異なります。例えば、不貞行為が原因で離婚する場合は、慰謝料相場は50~300万円程度です。
請求されている慰謝料について、納得できない部分がある場合は、慰謝料の減額交渉を行います。また、実際には一括で慰謝料を支払えないケースもあるでしょうから、その際は分割で支払っていくなどの交渉も可能です。
②財産分与
離婚時の財産分与は原則「2分の1ルール」に基づいて分与を行います。ですので、相手から高額の請求を受けている場合は、交渉することで妥当な金額まで減額することができます。
また、財産分与はあくまで夫婦が婚姻生活時に共同で築いた財産が対象となりますので、婚姻前から所有していた財産などは対象外となります。詳しくは「離婚時に財産分与をしない方法とは|財産分与は拒否できる?」をご覧ください。
③子どもの親権
子どもの親権は、子どもの成長にとって父母どちらが望ましいかという点で判断されます。親権は基本的に母親になるケースが多いですが、これまでの監護実績などによっては父親が親権者として認められるケースもあります。
親権を獲得したい場合は、親権者として相応しいことをアピールする必要がありますので、これまでの監護実績や経済的な状況、子供と過ごす時間を十分取れるのか、などを答弁書に書いておきましょう。
④子どもの養育費
養育費は裁判所の「養育費算定表」により、金額が決められることが殆どです。子供の人数や年齢、双方の収入の状況によって金額は上下します。
養育費に関しても高額な請求をされている場合は、妥当な金額にするよう答弁書に記載しておきましょう。
離婚したくない場合
離婚調停はどちらかが離婚を拒否する場合、離婚が成立することはありません。そもそも離婚をしたくないという場合は、その意思を調停でもはっきり伝える必要があります。また、夫婦関係が修復可能なこともなるべく具体的に示しましょう。
しかし、相手が離婚を望んでいる段階で、夫婦関係をやり直すのは容易なことではありません。まず、相手がなぜ離婚をしたいと思っているのかを明確にし、ご自身に落ち度がある場合は、どのようにこれから改善していくのかをしっかりと伝えましょう。
まとめ
離婚調停は人生においてなかなかない出来事で、実際に家庭裁判所から呼び出し状が届いた時は焦ってしまうでしょう。離婚調停は精神的な負担も大きく、慣れない書類の作成なども大変です。
ご自身ひとりで対応するのが難しい場合は、弁護士へ一度相談してみることをおすすめします。弁護士は依頼者の心強い味方となってくれます。当事務所も離婚調停のご相談を受け付けていますので、ぜひ一度無料相談でご連絡ください。
呼び出し状や離婚調停を申し立てられた側のよくある質問
呼び出し状は相手方にいつ届く?
申立て書が裁判所に受理されてからおおよそ2週間程度で届きます。第一回目の調停期日に関しては、申立から約1ヵ月~2ヵ月後となります。
呼び出し状は普通郵便で届きますか?
離婚調停の呼び出し状は普通郵便で届きます。なお離婚訴訟の場合は特別送達で送られます。
離婚調停を申し立てられた側は不利になりますか?
離婚調停では、申立人、相手方どちらかが有利または不利になることはありません。