夫婦関係を終えるための手続きである離婚ですが、双方の意見が衝突してしまっている場合には離婚調停を行い、解決を目指す方法があります。

しかし、離婚調停は家庭裁判所で行われるため、敷居の高さを感じる人も少なくありません。そこで、この記事では離婚調停や有利に進める方法などについて詳しく解説します。

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家庭裁判所で行われる調停とはどんな手続き?

裁判所で行われる手続き、と耳にした時にほとんどの人は「訴訟」を想像するのではないでしょうか。しかし、裁判所で行われる手続きとは訴訟だけではありません。紛争化している当事者同士の意見を聞き、解決を目指す「調停」という方法があります。

調停は円満な解決を目指す方法であり、非公開で行われるため秘密もしっかりと厳守されます。調停には民事調停と家事調停があり、離婚や相続問題など家族内に関する紛争は家庭裁判所で調停が行われています。

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離婚調停申し立ての流れ

夫婦内での離婚に関する話し合いがまとまらない場合、調停を検討する方も多いでしょう。では実際に離婚調停を申し立てるにはどのように行えば良いのでしょうか。手続き方法や申し立ての流れをご紹介します。

①申し立ての準備

まずは離婚調停を申し立てる前に準備を行います。申し立てを行うに至った理由を証拠として集めておきましょう。例えば相手方の不貞行為が理由なら、出来るだけ有利な証拠を用意しておくことが理想です。

写真や音声、メールを証拠として保存しておくなどの方法が考えられるでしょう。財産分与や親権、養育費についてなど、夫婦間の協議が難航している場合には、調停中に協議を行うことになります。申し立てよりも前に少しでも証拠を残し、準備を進めておくことが重要です。DVによる離婚の場合にケガの写真や通院履歴、診断書なども証拠となります。

②必要書類の作成

離婚調停の申し立ては「夫婦関係調整調停申立書」を作成し、家庭裁判所に提出することになります。書式は家庭裁判所のHP上(夫婦関係調整調停(離婚)の申立書 | 裁判所)でもダウンロードが可能です。

この他に離婚に至った理由を述べるための事情説明書、お子様が居る場合には子どもに関する事情説明書、進行に関する照会回答書や夫婦の戸籍謄本、年金の分割を求めていく場合には年金分割のための情報通知書を用意します。なお、情報通知書に関しては年金事務所や共済組合に問い合わせて取得します。

家庭裁判所では調停の書き方のアドバイスも実施しており、必要書式を対面で受け取ることも可能です。離婚成立前に生活費に関しての請求を行う場合には離婚調停とは別に「婚姻費用分担請求調停」を申し立てることになります。

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③申し立て

離婚調停の申し立て原則として相手方が住んでいる場所を管轄する家庭裁判所へ申し立てを行います。(住民票の所在地ではなく、住まいの場所です)当事者間で合意ができている場合には別の家庭裁判所でも申し立てが可能です。

申し立てには印紙代や郵券代が必要です。なお、家庭裁判所によって郵券代や必要書類が異なります。申し立ての際には確認を行っておきましょう。DVが起きているケースでは事前に裁判所へ上申書を提出することで調停の進行に配慮を求めることが可能です。

離婚調停を有利に進める3つのポイント

既に離婚の協議が難航し、調停に解決を求める場合には出来る限り有利に調停を進めたいはずです。では、離婚調停を有利に進める方法はあるのでしょうか。次の3つのポイントで解説します。

①申し立てる側・申し立てられる側にはどちらが有利か

離婚調停は夫婦のどちらかが裁判所に申し立てを行うことでスタートします。この場合、申し立てる側と申し立てられる側に別れることになりますが、どちらが有利なのでしょうか。

結論から言うと「調停の結果にはあまり影響しない」でしょう。申し立てる側の方が事前に準備はしっかり出来る可能性はありますが、調停中に相手側も準備をしっかり整えることも多いのです。調停は先手必勝な仕組みではないので、どちらの立場に置かれてもしっかりと準備して臨むことが大切です。

②自分の主張と証拠を調停委員にわかりやすく伝える

離婚は当事者同士で話し合っていると感情論に陥りやすく、紛争が激化しがちです。しかし、離婚調停は当事者同士が膝を付き合わせるのではありません。調停委員に何故離婚をしたいと思ったのか、どの点を争いたいのかを明確に伝えて判断してもらう必要があります。

親権や養育費など様々な争点がありますが、どのような場合でも自分の主張をはっきりさせ、感情に訴えるのではなく証拠も準備し調停委員に伝える努力をしましょう。例として高額の養育費を求める場合には、その理由が明確であることが重要です。医療費や学習に関する費用など、証拠を提出することで主張が認められやすくなります。

但し、調停委員がすべての主張を認めてくれるわけではありません。あくまでも調停委員は解決への調整役のため、場合によっては対立せざるを得ない場合もあります。

③不成立を後ろ向きに捉えないこと

離婚調停はあくまでも話し合いによる解決を目指す1つのステージに過ぎません。調停の中には残念なことに相手方が嘘ばかりを主張するケースもあります。

会話が上手な相手の場合、調停委員が嘘の主張を信じてしまう可能性も十分にあります。このような場合、無理に相手方の主張に沿う結果に従う必要はありません。調停を不成立にさせることも可能です。自分の主張をはっきりと伝えるためには調停の場ではなく訴訟に移行させれば良いので、必要以上に不成立を後ろ向きに捉える必要はありません。

訴訟は証拠がある方が有利なため、嘘に対してもストレスを感じることなく主張を行うことができます。また、訴訟の場合には嘘の発言には過料が課せられます。

離婚調停は女性が有利?性別の有利・不利はあるのか

ネット上で離婚調停について調べると、おそらく親権や面会交流については女性側が有利で男性側が不利になる、などの情報に触れる機会があるでしょう。では離婚調停において性別による結果の有利・不利はあるのでしょうか。

結論から言うと、性別によって離婚調停が有利・不利になることはありません。しかし、例えば親権などは母親が獲得するケースが圧倒的に多いのが実情です。また、男性側の方が収入が高いケースが多く、その結果親権・婚姻費用・養育費などの観点で男性側が不利と感じてしまうこともあるでしょう。

子どもや夫婦の状況を背景に男性・女性によって調停の結果が偏る可能性は否定できないのですが、ケースバイケースであることもまた事実です。性別にこだわり過ぎず自身の主張をしっかりと伝えることが大切です。

弁護士に離婚調停を依頼するメリット2つ

ほとんどの方は離婚調停の場に挑むことは初めてでしょう。調停の流れを知っても、実際に準備に取り掛かろうと思うとどうしたらよいのか悩まれても無理はありません。では、離婚調停はやはり弁護士に相談をするべきでしょうか。そこで、離婚調停を弁護士に依頼するメリットを2つご紹介します。

①法的なアドバイスの下で調停を進めることができる

調停を申し立てる場合も申し立てられた場合も、弁護士はどちらの場合でも事件を受任しています。代理人として証拠の集め方を助言し書類の作成や提出も行うほか、相手方への連絡も代行してくれます

特にDVなどの理由で相手方に住所を知られずに調停を進めたい場合には、弁護士の協力の下で進めることが望ましいでしょう。女性でも安心して身を潜めつつ調停を進めることが可能です。

②調停期日へ弁護士も同行する

調停は緊張してしまい、必要以上に感情的に話してしまいがちです。特に調停委員からこちらが不利になるような内容の質問を受けた場合には、どのように答えるべきか悩んでしまいます。

弁護士に依頼をすると事前に調停のリハーサルを行い、当日も同行してくれます。また、調停委員に話す際にも誤解が無いようにサポートを行うので、安心して話すことができます。

【関連】離婚調停の弁護士費用の相場と依頼するメリット

離婚調停に悩んだら弁護士へ相談を

離婚調停は弁護士に依頼をしなくても、ご自身で申し立てや進行させることが可能です。しかし、どのように準備を進め、調停委員に対応していくべきか全て一人でこなすことはとても難しく、調停の途中で弁護士を慌てて探す人も少なくありません。

まずは準備の段階で弁護士がサポートをすることにより、不成立になったとしても安心して訴訟に移行できます。離婚調停に悩んだら、まずは気軽に弁護士に相談をしてみましょう。

離婚調停の申し立てでよくある質問

離婚調停の申立て書は郵送で提出できる?

離婚調停の申立書と必要書類が用意できたら、裁判所に直接持参して提出するか、郵送での申立ても可能です。

離婚調停は申し立てからどれくらいで行われますか?

離婚調停を申し立て裁判所に受理された場合、2週間程度で調停期日通知書が届き、第一回目期日は申立後から約1ヵ月~1カ月半後に行われるケースが多いです。詳しくは「離婚調停にかかる平均期間と期日の回数」をご覧ください。