養育費が高すぎて払えない、もしくは払いたくないという方もいるでしょう。実際に「平成28年度のひとり親世帯の調査結果」では、母子家庭の半数以上が養育費を受け取っていないのが実状です。養育費は、離婚する夫婦にとってトラブルになりやすいことの一つです。この記事では、養育費算定表の相場について、養育費が高すぎて払えない場合の対処法などをご紹介します。

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養育費算定表の金額は高すぎる?

基本的に養育費の金額を決める際は、家庭裁判所が公表している「養育費算定表」をもとに金額が算出されます。養育費算定表では、双方の年収、子どもの年齢・人数によって金額が算出され、養育費の相場を簡単に確認することができます。いくつか例をあげます。

義務者の年収が0円、子どもが14歳未満の場合の養育費
支払う側の年収 子1人 子2人
年収400万 4~6万 6~8万
年収500万 8~10万 8~10万
年収600万 6~8万 10~12万

上記の表は受け取る側の年収が0円で、子どもが14歳未満の場合の養育費相場です。この養育費算定表の金額が高すぎると思うかどうかは人によって異なりますが、高すぎて払いたくないという方もいるでしょう。

また、この養育費算定表は令和元年に改定されています。それまで「算定表の金額は低すぎる」という指摘もあり、ケースにもよりますが基本的には養育費が増額される方向で改定されています。

しかし、そもそも養育費を支払わず未払いになるケースも多く、養育費の相場を上げることによって未払いが加速してしまう懸念もあります。養育費は算定表の金額どおりに絶対払わなければならないという訳ではありませんので、高すぎて払えないという場合は減額を求めることも可能です。

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養育費が高すぎて払えない!減額できるケースとは

養育費が高すぎて払えない場合は、相手と交渉し養育費を減額してもらうことが可能です。養育費を減額できるケースをご紹介いたします。

相場以上の養育費を払っている

養育費は夫婦が合意して取り決めた金額であれば、相場以上の金額にすることも可能です。上述の算定表を大幅に超えて、相場以上に養育費を支払っている場合は減額できる可能性があります。

支払う側の収入が減る

養育費を支払う側の収入が下がった場合、養育費を減額できる可能性があります。例えば、「会社の業績が悪化し給料が下がった」「病気になり働くことが難しくなった」というようなケースでは、これまで通り養育費を支払うことが困難になるため減額できる可能性は高いでしょう。

しかし、注意が必要なのは、あくまでも収入の減少理由が本人に責任のない要因での減少によります。「働けるのに働かない」などの場合は、減額が認められない可能性もあります。

養育費を受け取る側の収入が増える

支払う側の収入が減った場合と同様、受け取る側の収入が増えた場合も養育費を減額できる可能性があります。婚姻時には専業主婦やパートで働いていたが、離婚後にフルタイムの正社員になり、収入が大きく上がったケースなどが考えられます。

受け取る側・支払う側が再婚した

離婚した夫婦のどちらか、あるいは両方が再婚したケースも養育費に影響が出る可能性があります。例えば、養育費を受け取る側が再婚し、再婚相手と子どもが養子縁組をしたケースでは、再婚相手が子どもの扶養義務者になるため、養育費の支払いが免除・減額になる可能性があります。

再婚したケースの養育費については「養育費は再婚したら貰えない?相手が再婚した場合や減額になるケース」をご覧ください。

養育費を払えないときの具体的対処法

養育費の減額できる可能性があるケースは前途にある通りです。では実際養育費を支払えない場合はどのような対処を行えばよいのでしょうか。

対処①相手と直接話し合う

養育費はお互いが合意すれば金額は自由です。何らかの事情によって養育費を支払うことが困難になったら、まずは相手に事情を説明し、減額は可能か話し合いましょう。また、合意した内容については、書面などに残しておくことが重要です。

対処②養育費減額請求調停

話し合いで折り合いがつかない、話し合いを相手に拒否された場合は、家庭裁判所に養育費の減額請求調停を申し立てる事になります。ここでは調停委員がお互いの主張を聞き、妥当な線での解決を目指します。調停の期間はおおよそ6か月~1年もの期間を要します。調停でも決める事が出来ず決裂してしまうと、その後は裁判所の審判に委ねられます。

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養育費を払えない状況でも義務は消えない

養育費の支払い義務は民法766条で定められています。養育費が払えないという場合も、養育費の支払い義務がなくなる訳ではありません。では支払わなかったらどうなるのでしょうか?

養育費の支払い義務を怠った場合

養育費を公正証書などで取り決めしているのにも関わらず支払いを怠った場合、親権者が裁判所に申し立てを行うと強制執行により給料等を差し押さえることができます。給料を差し押さえられれば会社にも養育費を支払っていないことがバレてしまいます。

また、資産を隠していた際にも裁判所で「財産開示手続」を行う事で開示しない違反者に対して「6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処するとの刑事罰」が適用されます。養育費を払わないのはリスクがある行為ですので、軽く考えず誠実に対応していくことが大切です。

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まとめ

養育費が支払えない場合の対処はまず減額交渉・請求を行う事から始まります。感情的になってしまうと、交渉が長期化し、時間と体力を消費してしまいます。また、養育費を払えない場合でも支払い義務が消える訳ではありませんので、子どものためにも養育費は支払いましょう。自分で交渉するのが難しい場合は、弁護士に依頼することで交渉を代行してもらうことも可能です。当事務所も無料相談を受け付けておりますので、養育費でお悩みの方はまずはご相談ください。