養育費の支払いは離婚後にトラブルとなりやすい問題の1つです。離婚時に養育費の取り決めを行ったにも関わらず、収入の変化や再婚などさまざまな理由で養育費を払ってくれなくなった、あるいは払えなくなったといった問題が起きてしまうことがあります。

そこで、この記事では「養育費を払わなくなった場合」に考えられるリスクや減額が認められるケースに関しても紹介しますので、ぜひご参考ください。

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養育費の支払いは義務

養育費の支払い義務については「民法877条1項」において定められています。親は子どもを扶養する義務があり、離婚をしてもこの義務はなくなりません。この扶養義務がある限り、養育費を支払うことは親の義務なのです。

第877条(扶養義務者)
直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。

引用元:民法第877条 – Wikibooks

養育費に関しては、離婚後に「別れた相手にはお金を支払いたくない」という感情を持つ方もおられます。しかし、養育費は別れた相手に支払うものではなく、あくまで自分の子どもに支払うものです。子どもが健やかに成長し、自立をするためには養育費は欠かせない存在です。

親権者にならなかった側も、子どものために必要なお金を養育費として支払う義務があります。また、養育費はたとえ自己破産をした場合でも非免責債権として扱われ、支払いの義務が無くなるものではないため注意しましょう。

養育費はいつまで請求できる?支払い義務は何歳まで?

養育費を払わない人の割合

養育費の支払いを受けられていないひとり親がたくさんいることをご存じでしょうか。厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査」を参照にすると、養育費を受給できている世帯は2割強に過ぎず、多くのひとり親世帯が養育費をもらえていない現状があります。それだけ養育費を払わない人は多いのです。

また、そもそも離婚時に養育費の取り決めをしていないケースも多いです。離婚をする際には「相手ともうこれ以上関わりたくない」「すぐに離婚したい」などの理由で養育費の取り決めを行わない方も多く、ひとり親世帯の困窮の原因にもつながっています。

養育費を払わないことによる罰則やリスク

養育費は本来民法に定められた義務にもかかわらず、養育費を払わない人が多い現状について解説しました。では、養育費が払われない場合には、何か罰則やリスクなどはあるのでしょうか。

法改正による罰則の強化

養育費の未払い問題は子どもの困窮にもつながってしまうため、社会問題の1つと言っても過言ではありません。しかし、養育費の未払いに関しては直接的な刑事罰はありません。ただ罰則自体は強化されています。

令和元年5月10日に民事執行法の改正が成立し「財産開示の請求に応じない」場合には刑事罰が導入されました。(参考:民事執行法及び国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律の一部を改正する法律について|法務省

こちらの法律は令和2年の4月1日から施行されています。具体的にどんな内容か解説をすると、養育費の強制執行を求める際に、別れた元パートナーの財産開示に応じない場合には「6か月以下の懲役または50万以下の罰金」という罰則が設けられました。

民事執行法の改正前は30万円以下の罰金に過ぎなかったことを踏まえると、刑事罰が加わったことにより養育費の強制執行は効果が高まることが期待されています。養育費の支払いに応じず、財産開示にも応じていない方は今後刑事罰が科されるリスクがあるため注意が必要です。

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強制執行による財産の差し押さえ

養育費の支払いに応じない場合には、別れた元パートナーから強制執行を受ける可能性があります。強制執行とは、いわゆる「差し押さえ」です。養育費を支払う義務がある人に対し、裁判所を通して強制執行の申立てを行うことで、預貯金や給与を差し押さえることができる制度です。

債務名義があることや相手の現住所を把握している必要などいくつかの条件がありますが、養育費を支払わず放置しているとある日突然財産が差し押さえられる可能性があります。支払いを受けられていない方からすると、泣き寝入りをする必要はなく裁判所を経由して強制的に養育費が回収できるのです。

養育費の未払い分を請求する方法と差し押さえできる条件

遅延損害金も請求される可能性

遅延損害金と聞くと借金の返済が遅れた時をイメージするかもしれませんが、実は養育費に関しても遅延損害金は発生します。支払期限を超えている養育費に関しては、遅延損害金を上乗せして請求をすることが可能です。

離婚時に養育費の遅延損害金に関する取り決めを行っていることが理想ですが、弁護士を挟まずに離婚した場合にはほとんどのケースで遅延損害金を決めていません。その場合でも遅延損害金の金利は民法に基づき法定利率の3%(民法改正前は5%)の請求が可能です。

なお、養育費支払いの取り決めが離婚時になされていない場合には請求ができません。離婚時には、たとえ手間がかかってもきちんと養育費に関して取り決めをしておくことが重要です。

養育費を払わない方法はない?減額・免除が認められるケース

養育費の未払いに関しては民法の改正もあり罰則が強化されましたが、その一方で収入の減少など、やむを得ない事情で養育費の支払いが厳しい方がいるのも事実です。また、収入の減少以外の理由でも養育費の減額や免除が認められるケースもあります。下記にて詳しく解説します。

未婚で子どもを認知していない場合

養育費を支払う必要がある、ということは子の扶養義務があることを意味します。つまり、未婚で出産し、父親が子どもを認知していない場合には法的に親子関係を証明するものがないため、父親側に養育費の支払い義務は発生しません。

しかし、「認知をしなければ養育費から逃れられる」と考えることはおすすめしません。認知には任意で認知をする方法以外にも、認知調停や強制認知という方法があります。

認知調停 | 裁判所

再婚相手と養子縁組をした場合

養育費を受け取っていた方が再婚し、新たなパートナーと子どもが養子縁組をした場合には、新しく養親となった方が扶養義務を負います。そのため、養子縁組をした時点で養育費を支払わなくてもよくなります。

しかし、実親であることには変わりがないため相続の権利が消えることはありません。もしも養親の収入が足りない場合には、実親側に再度養育費を請求することも可能です。なお、養子縁組をしていない再婚の場合には養育費の支払い義務は元パートナー側に残されます。内縁関係の場合も同様です。

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支払う側の収入が減った場合

社会情勢の変化や勤務先の倒産、病気などの事情で収入が減少してしまい養育費が支払えないこともあります。養育費の金額は常に一定額である義務はないため、減額することも可能です。

こういったケースでは、当事者間で話し合ったり調停や審判で新たに金額を決め直すことになります。一般的には収入の2割程度の減少で養育費の減額ができるとされています。

受け取る側の収入が増えた場合

養育費を受け取る側の収入が増えた場合にも養育費の支払いの減額が認められています。養育費の金額は、双方の年収によって大きく変動します。

養育費の相場は月いくら?養育費の計算方法や平均受給金額

まとめ

この記事では養育費を支払わなかった場合に想定されるリスクや、支払いが減額になる場合の事例について触れていきました。養育費の支払いは離婚後も長期間続くため、さまざまなトラブルが起きやすいものです。支払いを受けられずに悩んでいる方も、やむを得ない事情で減額を求めたい方も、まずは養育費問題に精通した弁護士へ相談をすることがおすすめです。