前科をつけたくない!前科を避けるためにできることを解説
前科とは、刑事裁判で有罪判決が確定し、刑罰を受けた履歴のことです。
前科がつくと、以下のようなリスクがあります。
- 職業・資格制限がある
- 就職に影響がでる可能性がある
- 家庭や身内に影響がでる可能性がある
- 海外渡航できない場合がある
- 前科がついた事実は一生消えない
ただし、起訴される前であれば、前科をつけずに済むかもしれません。
以下、前科をつけたくない方が最低限知っておきたい点と、前科を回避するための対応を解説します。
前科がつくのを避けたい方はぜひ最後までご参考ください。

目次
前科がつくのはいつ?

第一審の判決言渡しで有罪判決を受けたのち、控訴するかどうかを決めます。控訴期間は、判決言い渡しの翌日を1日目とし、2週間以内です。
控訴をせず、控訴期間が終了すると有罪判決が確定します。
控訴をすると引き続き裁判が行われるので、その裁判終了まで判決は確定しません。
第二審の判決言い渡しで上告するかどうかを決め、上告受理申立までの期間は控訴期間と同じく判決言い渡しの翌日を1日目とし、2週間以内です。
前科がつくのを避けるには不起訴が欠かせない
前科がつくのを避けるには、不起訴処分の獲得が最も重要です。
起訴されると99.9%有罪になるといわれているためです。
以下、起訴される確率・有罪判決が下される確率について少しご説明します。
起訴される確率は約30%
法務省の犯罪白書によれば、令和2年の終局処理された80万7,480人のうち、起訴された人は25万3,444人で、起訴率は約30%です。
出典:犯罪白書 令和3年版
※犯罪によって起訴率が異なります
平成13年からの起訴された内訳の推移を見てみると、略式命令が減り公判請求が増えています。不起訴処分の割合はすこしずつ増えてはいますが、それでも30%以上が起訴されています。
略式命令は、公判手続きを行わずに書面審理のみで刑を確定する手続きです。裁判が開かれないので誤解する方がいらっしゃいますが、罰金などの刑が確定し前科が付きます。
起訴されると99.9%有罪になる
日本の刑事裁判は、起訴後の有罪率が99%を超えており、一度起訴されてしまうと無罪を獲得するのは難しい状況です。
出典:犯罪白書 令和3年版
令和2年に裁判が確定した22万1,057人の内訳は、無罪・その他が369人で、有罪判決を受けた人が22万688人です。起訴され有罪判決がでた割合は約99.8%です。
不起訴を得るには時間制限がある(逮捕後最大23日以内)
逮捕されて起訴/不起訴決定までの手続きにはそれぞれ時間制限があります。この期間の間に不起訴処分を獲得しなければならないので、弁護士による迅速な対応が不可欠です。
逮捕から検察官送致まで:48時間
捜査機関に逮捕されると、警察官の取り調べをうけ、48時間以内に検察官に事件を引き継ぎます(検察官送致:送検)
送検から勾留まで:24時間
送致を受けた検察官は、警察官と自らが取り調べた結果をもとに、24時間以内に勾留請求をするかどうか判断します。勾留すべきだと判断した場合は、裁判官に勾留請求を行い、裁判官は被疑者に質問を行ったのち、勾留すべきかどうかを決定します。
勾留から起訴/不起訴の決定まで:10日間~最大20日間
勾留が決定すると10日間留置所に留まりさらに取り調べを受けます。取り調べの結果などにより、さらに10日間勾留が延長される場合もあります。検察官はこの勾留中の捜査や取り調べの結果により、起訴/不起訴を判断します。
前科がつくのを避けるには?今後の対応とは
前科がつくのを避けるには、起訴後の有罪率が99%を超えていることを考えると、不起訴処分を獲得することが大切です。
刑事事件になる前に被害者と示談交渉をする
被害者がいる犯罪の場合は、刑事事件化される前に被害者と示談交渉をし、成立させることが重要です。
示談交渉は自分でもできますが、被害者は加害者との直接の接触を拒否することが多く、捜査機関も被害者の個人情報を加害者には教えてくれません。
弁護士であれば被害者が了承すれば、捜査機関から連絡先を教えてもらえるので、弁護士が被害者の心情に配慮しつつ誠実に対応することで、示談が成立する可能性が高まります。
刑事事件になったらなるべく早く弁護士に依頼する
刑事事件化された場合は、なるべく早く弁護士に依頼することをお勧めいたします。
逮捕されてしまった場合、起訴/不起訴の判断には最大でも23日間という制限があるので、速やかに弁護活動を始めてもらうためです。
不起訴処分を獲得するための主な弁護活動は以下のとおりです。
- 勾留中の接見
- 示談交渉
- 捜査機関へ犯行に至った経緯や事情などの説明
- 犯罪の嫌疑が不十分であることの立証
- 不起訴意見書の作成・提出
詳しくご説明します。
勾留中の接見
勾留中は、接見禁止がついていなければ家族や友人と面会ができますが、警察官立ち合いのもと回数や時間の制限があります。弁護活動を行うためには、事件の詳細や被疑者の意向などをしっかりと確認しなければなりません。弁護士であれば回数や時間の制限がないため、詳しく話を聞き、取り調べについてもアドバイスできます。
示談交渉
示談交渉は勾留されてしまうとご自身ではできません。被害者の連絡先も弁護士であれば教えてもらえる可能性があるので、示談交渉は弁護士に任せるのが良いでしょう。
刑事事件化され逮捕された場合、謝罪や被害弁償などを被害者に対して何もしていない場合は不起訴処分になることはほとんどありません。そのため、弁護士に依頼し被害者との示談交渉をしてもらうことが必要です。
捜査機関へ犯行に至った経緯や事情などの説明
犯行に至った経緯や事情はご自身でも取り調べの中で説明できますが、取り調べの中で緊張し、うまく説明できない方もいらっしゃいます。弁護士ならば被疑者がした説明のサポートや、身元引受人の確保、関係者からの陳述書を提出するなど不起訴処分に向けた活動をスムーズに行えます。
犯罪の嫌疑が不十分であることの立証
必要に応じて裁判所へ証拠保全手続きを申請したり、関係者に話を聞いたりするなど、被疑者に有利な証拠を集めます。経験が豊富な弁護士であればこれまでの経験から適切な証拠を集められます。
不起訴意見書の作成・提出
上記の弁護活動の結果、不起訴処分が妥当であると弁護士が判断した場合は、意見書を作成し、提出することで、不起訴処分を獲得できる可能性が高くなります。
前科を避けるために、逮捕後は早めにご相談を
事件を起こしたことを反省し、前科をつけたくないと思うのであれば、なるべく早く弁護士に相談することをお勧めいたします。
ネクスパート法律事務所では、ご相談を24時間受け付けておりますので、まずはお電話、メール、お問い合わせフォームよりご連絡ください。