労役場とは|労役場留置の日当や留置期間や労役場の生活とは?

刑事罰で科された罰金が払えない場合、労役場という所に留置されて、作業に従事することになります。

労役場や労役場留置という言葉を聞いたことがない人も多いでしょう。

この記事では、あまり馴染みのない労役場や労役場留置について、次の点を解説します。

  • 労役場とは
  • 労役場の労役期間や日当・仕事内容
  • 労役場留置までの流れと生活

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労役場とは

罰金が払えない場合に留置される場所

労役場とは、刑事裁判で科された罰金が払えない場合に留置され、強制労働をさせられる場所のことです。

罪を犯した罰として罰金が科されたにも関わらず、罰金まで支払わないとなると、罰金を納付した人と比べて不公平です。

そのため、罰金が払えない場合、労役場での労働を金銭に換算して、罰金刑を執行するのが労役場留置です。

労役場は、専用の施設が用意されているわけではなく、全国の刑務所や拘置所といった刑事施設に併設されています。

検察統計調査によると、2022年に罰金刑が執行された件数は約16万6,596件でした。そのうち、2,731件、1.6%が労役場留置になっています。

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労役場の留置期間と日当

労役場留置では、労働を換金して罰金を納付しますが、留置される期間は法律で決められています。

(労役場留置)

第十八条罰金を完納することができない者は、一日以上二年以下の期間、労役場に留置する。

2科料を完納することができない者は、一日以上三十日以下の期間、労役場に留置する。

3罰金を併科した場合又は罰金と科料とを併科した場合における留置の期間は、三年を超えることができない。科料を併科した場合における留置の期間は、六十日を超えることができない。

4罰金又は科料の言渡しをするときは、その言渡しとともに、罰金又は科料を完納することができない場合における留置の期間を定めて言い渡さなければならない。

6罰金又は科料の一部を納付した者についての留置の日数は、その残額を留置一日の割合に相当する金額で除して得た日数(その日数に一日未満の端数を生じるときは、これを一日とする。)とする。

引用:刑法第18条 – e-Gov

労役場に留置される期間は、罰金と科料(1,000以上1万円未満の罰金)で異なります。

刑罰 労役場留置の期間
罰金 1日以上2年以下
科料 1日以上30日以下
罰金と科料が併科された場合 1日以上3年以下

労役場は最長でも2年までしか収容されません。そのため、留置される期間と罰金に応じて、裁判所が日当を決定します。

日当は、判決を言い渡す際に、次のように一緒に伝えられます。

被告人を罰金〇円に処する。罰金を完納できないときは、○○円を1日に換算した期間、被告人を労役場に留置する

罰金が数十万円程度であれば、日当が5,000円に換算されることが多いです。

例えば罰金が30万円の場合は、60日間収容されることになります。

ただし、罰金が数百万円に及ぶような場合は、2年では完納できないため、日当も高額に設定されます。

労役場と刑務所の違い

前述のとおり、労役場は全国の刑務所や拘置所に併設されています。

労役場留置は刑罰ではありませんが、基本的には刑務所と同じスケジュールやルールで管理されることになります。

労役場に留置されるまでの流れ

労役場に留置されるまでの流れはおおよそ次のとおりです。

  1. 裁判で罰金刑が科される、または略式裁判で罰金刑になる
  2. おおよそ1週間で罰金の納付用紙が届く(支払い期限は約2週間後)
  3. 罰金が支払われない場合、検察の徴収担当事務官から督促状が届く(督促状の支払い期限は約3週間後)
  4. それでも支払われなければ、再度督促状が届く(期限は同様に約3週間後)
  5. それでも納付されない場合は、徴収担当事務官から呼出状が届く
  6. 呼出状に応じない場合、収容状が発付される
  7. 警察や検察に身柄拘束され、留置場に留置される

督促状が届いて支払いがされない場合は、支払い義務者の財産を調査し、財産があれば強制執行(差し押さえ)が行われることもあります。

⑤の呼出状は、〇月〇日〇時に検察庁に出頭するようにとの通知です。出頭すれば身柄拘束を受け、労役場に留置されます。

なお、必ずしもこの流れで労役場に留置されるとは限りません。納付義務者が生活保護を受給していて支払いができない場合などは、すぐに収容手続きに入るケースもあります。

労役場の生活

労役場は、刑務所や拘置所に併設されているため、刑務所のルールにしたがって生活することになります。

ここでは、労役場の生活を紹介します。

労役場の仕事内容

労役場での仕事は軽作業です。民間企業から委託された紙袋の作成などを行います。

過酷な肉体労働を強制されるわけではありません。

しかし、刑務所のルールを強いられたり、時計がない部屋で終わる時間がわからないまま黙々作業させられたりと、軽作業以外の部分できついと感じる人がいるようです。

日当が5,000円程度と考えると作業内容と見合っていないと言えます。

1日のスケジュール

労役場の1日のスケジュールは、刑務所のスケジュールと同様です。

例えば、府中刑務所の1日の流れは次のとおりです。

  • 6:45 起床
  • 6:45~7:05 清掃・整頓・洗面・点検
  • 7:05~7:35 朝食
  • 7:40 作業開始
  • 9:50~10:00 休憩
  • 11:20~11:40 昼食
  • 14:30~14:40 休憩
  • 16:20 作業終了
  • 16:50~17:00 点検
  • 16:20~16:50 夕食
  • 17:30~17:40 居室清掃
  • 18:00 仮就寝
  • 21:00 就寝

参考:府中刑務所「所内生活の手引」 – 法務省

土日は作業が行われませんが、その分収容日数が増えるということもありません。

労役場の部屋

労役場の部屋は、基本的に4~6名が収容される共同室です。

テレビドラマなどで見られるように、部屋の中にはトイレや洗面台が設置されていますが、トイレも中が丸見えであるため、プライバシーは一切ありません。

共同生活なので、人間関係で気をつかうこともあるでしょう。

当然ながら、スマホなどの持ち込みはできません。収容する際に没収されます。私物は持ち込めず、飲酒や喫煙も禁止されており自由はありません。

労役場の食事と入浴

労役場の食事は、基本的には1,020カロリーと決められており、作業内容や体格によって食事のカロリーが異なります。

基本的には麦飯と汁物、おかずです。人によっては少ない、味が薄いと感じる人もいるようです。

入浴は通常週2回15分、夏季は週3回です。

労役場での面会

労役場に留置されても、受刑者同様に家族などとの面会が可能です。

面会には次のルールが設けられています。

  • 面会できる人:家族の他、更正に必要と認められる友人や恋人
  • 面会時間:5~30分以内
  • 一度の面会人数:3人程度
  • 面会受付:平日午前8:30~午後4:00まで

現金や日用品、書籍などを差し入れてもらうこともできます。

日用品の差し入れは、施設によって物品ごとの規格が決められているため、差し入れ業者から購入したものを差し入れましょう。

労役場留置を回避する方法

罰金が払えないのなら検察に分割払いを相談する

労役場留置を回避する方法の一つは、検察庁に分割払いを相談することです。

ただし、特別な事情がない限り、分割払いは認められません。罰金は刑罰であり、一括払いが原則とされているからです。

罰金の支払いが困難であるからといって容易に分割払いを認めると、刑罰や抑止力としての意味が失われるおそれがあります。

なお、期日までの納付ができない場合は、徴収事務担当者に相談することで、事情によっては、納付期限を延ばしてもらえる可能性はあります。

いずれにしても、分割払いや納付期限の延長はそう容易に認められるものではありません。

しかし、どうしても支払いができないのであれば、相談だけしてみるのも一つの方法です。

参考:徴収事務規程 – 法務省

罰金の一部を納付して留置期間を短くする

罰金を全額納付できず、労役場に留置するのが避けられないのであれば、罰金の一部だけ納付することで、労役期間を短縮できる可能性があります。

刑法や検察の徴収事務規程など法律では、罰金の一部の納付が認められています。

例えば30万円の罰金について、10万円だけ納付することで、留置期間を60日から40日に短縮できることも考えられます。

いずれにしても、罰金が払えない場合は、まず検察の徴収事務担当者に相談してみましょう。

労役場についてよくある質問

労役場の場所はどこにある?

前述のとおり、労役場専用の施設は用意されていません。労役場は、全国の刑務所や拘置所に併設されています。

労役場ではスマホを使える?

労役場ではスマホやPC、タブレットなど、それ以外の私物も一切持ち込みできません

労役場に収容される際に、スマホなどの私物は没収され、釈放される際に返却されます。

書籍や日用品であれば、家族などに差し入れしてもらえます。

生活保護や病気で罰金が払えなくても労役場に留置される?

生活保護を受給していても、罰金の支払いは免除されません。そのため、支払いができなければ、労役場留置になります。

病気で罰金が払えない場合は、検察庁に相談することで、分割払いや納付期限の延長が認められる可能性もあります。

病気で払えない場合は、診断書などを提示して相談してみてください。

まとめ

罰金は一括納付が原則で、支払いができなければ、労役場に留置されます。

罰金が数十万円であれば、1日当たりの労働が5,000円に換算されて、完納するまで収容されることになります。

一度労役場に留置されてしまうと、今の仕事にも影響します。

罰金が科されてしまった場合は、可能な限り金策を行い、納付することが大切です。

検察から呼び出されて取り調べを受けたりしている段階であれば、罰金が科されてしまう前に、不起訴が得られるように弁護士に相談してください。

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