盗撮で逮捕されたら解雇される?公務員・会社員のリスクについて詳しく解説

盗撮をすると解雇されてしまうのでしょうか?

加害者の立場によって、少し事情が異なります。

  • 会社員の場合…就業規則の内容によっては懲戒解雇
  • 公務員の場合…禁錮刑以上の処分で失職になる

ただし、仮に懲戒解雇されなかったとしても、退職を勧められたり、職場にいにくくなったりする恐れがあります。

今の職場で働き続けるためには、できる限り職場に知られる前に事件を解決する必要があります。この記事では、以下の内容について解説します。

  • 盗撮で懲戒解雇されるかどうか
  • 盗撮が職場に知られるきっかけ
  • 盗撮で懲戒解雇された事例
  • 盗撮で懲戒解雇されないためにできること

会社員|盗撮で懲戒解雇されるのか?

会社員の懲戒解雇について解説します。

就業規則次第では懲戒解雇される

  • 犯罪行為を行なったとき
  • 企業の秩序を乱したとき
  • ハラスメント行為をしたとき

 

必ずしも懲戒解雇されるわけではない

企業が労働者を懲戒解雇できる場合については、以下の条文で定められています。

使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。

引用元:労働契約法15条

使用者が労働者を懲戒することができる場合とは、懲戒解雇について定めのある就業規則がある場合のことです。加えて、懲戒解雇に対して合理性と相当性が必要です。

例えば職場での盗撮は企業の秩序を乱す悪質なものなので、合理性と相当性が認められる可能性があります。

盗撮をした状況も懲戒解雇に影響する

業務中に盗撮をした場合

職場での盗撮は企業の秩序を乱すものなので、懲戒解雇に合理性と相当性が認められる可能性があります。

私生活上で盗撮をした場合

社員が業務時間外の私生活で盗撮をしたとしても懲戒解雇ができるとは限りません。

基本的には私生活上での盗撮は企業の秩序とは無関係なので、原則、懲戒解雇はできません。ただし、それが企業秩序と関係がある場合には懲戒解雇の対象となります。

解雇以外の懲戒処分が下されることも

諸事情を総合考慮し、懲戒解雇に合理性と相当性が認められなければ、以下の懲戒処分が下されることもあります。

  • 戒告、訓戒、譴責
  • 減給
  • 出勤停止、停職、懲戒休職
  • 降格、降職
  • 論旨解雇、論旨退職

公務員|盗撮で失職するのか?

公務員の懲戒免職と失職について解説します。

懲戒免職について法律に定められている

公務員の懲戒免職について、以下の条文で定められています。

職員が、次の各号のいずれかに該当する場合においては、これに対し懲戒処分として、免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。

1 この法律若しくは国家公務員倫理法又はこれらの法律に基づく命令(国家公務員倫理法第5条第3項の規定に基づく訓令及び同条第4項の規定に基づく規則を含む。)に違反した場合

3 国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合

引用元:国家公務員法82条1項1号・3号

職員が、次の各号の一に該当する場合においては、これに対し懲戒処分として、戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。

1 この法律若しくは第57条に規定する特例を定めた法律又はこれに基く条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規定に違反した場合

3 全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合

引用元:地方公務員法29条1項1号・3号

公務員の場合、業務中の盗撮だけでなく、私生活上の盗撮も悪質であれば懲戒免職の対象となります。

禁錮刑以上の処分で失職になる

公務員の失職について、以下の条文で定められています。

職員が第38条各号(第2号を除く。)のいずれかに該当するに至ったときは、人事院規則で定める場合を除くほか、当然失職する。

引用元:国家公務員法76条

次の各号のいずれかに該当する者は、人事院規則で定める場合を除くほか、官職に就く能力を有しない。

1 禁固以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者

引用元:国家公務員法39条1号

職員は、第16条各号(第2号を除く。)のいずれかに該当するに至ったときは、条例に特別の定めがある場合を除くほか、その職を失う。

引用元:地方公務員法28条4項

次の各号のいずれかに該当する者は、条例で定める場合を除くほか、職員となり、又は競争試験若しくは選考を受けることができない。

1 禁固以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者

引用元:地方公務員法16条1号

禁固以上の刑に処せられる場合は、懲戒処分による免職とは異なり、自動的に職を失います。

盗撮が職場に知られるきっかけ

盗撮が職場に知られる原因として、よくあるものは以下の4つです。

  • 被害者・目撃者が会社に相談する
  • 実名報道を職場の人が見る
  • 警察から職場に連絡がいく
  • 無断欠勤の長期化をきっかけに知られる

対策は『盗撮で解雇されないためにできること』にてまとめて後述します。

被害者・目撃者が会社に相談する

会社が盗撮の現場になった場合、被害者や目撃者が会社に通報することがありえます。

例えば…

  • 従業員が相談窓口に報告する
  • 客が店にクレームを入れる

相談を受けた会社は調査を始めます。盗撮の加害者が不明な場合は加害者の特定を図るでしょう。特に客相手の盗撮の場合は企業の信用に関わりますので、より徹底的に調査せざるを得ません。

実名報道を職場の人が見る

逮捕されると、実名入りで犯行の概要を報道されることがあります。

実名報道がなされれば、職場の人に犯行事実を知られてしまう可能性が高くなります。

実名報道されるかどうかはケースバイケースですが、公務員の犯行の場合は実名報道されやすい傾向があります。実名報道される基準についてより詳しく知りたい方は、下記の記事をご参照ください。

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警察から職場に連絡がいく

かならずしも警察が職場に連絡をするわけではありません。ただし、捜査をするために必要な場合は連絡がなされる恐れがあります。

捜査上必要な場合とは例えば…

  • 職場に関係する場所や人に対して盗撮がされた
  • 職場の協力がないと加害者の特定が難しい

無断欠勤の長期化をきっかけに知られる

無断欠勤が続くと、会社から自宅に連絡がくることがあります。同居されている方が無断欠勤の理由を説明する際に、逮捕されたことを話さざるを得なくなることがあります。

逮捕されると最大で23日間身柄を拘束されます。職場に知られるのを防ぐためには、早めに釈放を得るべきです。

盗撮で懲戒解雇されないためにできること

懲戒解雇を防ぐためには、盗撮が会社に知られる前に、なるべく早めに被害者と示談交渉をする必要があります。

以下、懲戒解雇を防ぐためにできることを確認していきましょう。

  1. 早めに刑事弁護を依頼する
  2. 刑事事件化を防ぐ
  3. 実名報道を防ぐ
  4. 長期身柄拘束を防ぐ
  5. 不起訴獲得を目指す

早めに刑事弁護を依頼する

刑事事件でできるだけ有利な結果を得るためには、弁護士への早期依頼が欠かせません。

以下で解雇されないための対策をご説明しますが、これらを進めるためには弁護士の力が必要です。

弁護士によるサポート内容を詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。

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刑事事件化を防ぐ

警察や会社に知られる前に被害者と和解できればベターです。

今後警察に被害届を提出しない旨の条項を示談書に盛り込み、被害者の同意が得られれば、今後逮捕されるリスクを小さくできます。

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また、犯罪事実が警察に知られる前であれば、自首が成立します。自首をした場合、罪が軽減されることがあります(刑法42条1項)。

ただし犯行事実が警察に知られてしまうので、自首をするかどうかは弁護士に相談して検討するのが安心です。

実名報道を防ぐ

最終的に実名報道をするかどうかは警察や報道機関次第です。

少しでも実名報道を避けるためにできることは以下の2つです。

  • 刑事事件になる前に被害者と和解する
  • 実名報道をしないよう警察や報道機関に意見書を提出する

長期身柄拘束を防ぐ

逮捕後の身柄拘束が長引かないように対応する必要があります。

  1. 在宅事件化を目指す
  2. 早期釈放を目指す

在宅事件化を目指す

在宅事件になった場合は、無断欠勤を原因に会社に盗撮を知られることはありません。

在宅事件とは、加害者を身柄拘束しないで事件の捜査を進めることです。

逮捕をするためには逮捕状が必要です。逮捕状が発行されるのは、加害者に逃亡や証拠隠滅の恐れがある場合です。

盗撮事件の場合は在宅事件で捜査が進められることも少なくありません。弁護士は警察や裁判所に対して、逮捕の必要性がない旨を主張します。

早期釈放を目指す

逮捕されてしまうと最大で23日間身柄を拘束されます。

釈放されるタイミングは…

  1. 逮捕後勾留前の釈放
  2. 勾留後起訴前の釈放
  3. 起訴後の釈放(保釈)

1のタイミングで釈放を得られた場合は、欠勤を3日以内に抑えられます。

釈放のタイミングと弁護活動の内容については、以下の記事をご参照ください。

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不起訴獲得を目指す

不起訴になれば刑事裁判が開かれず、前科がつきません。禁錮刑以上の罪に問われることもないので、公務員の方はできる限り不起訴を目指したいところです。

ただし、不起訴を得られれば必ず解雇を回避できるわけではありません。

一般企業の場合、就業規則の解雇事由の記載内容によって解雇されるかどうかが決まります。解雇されなかったとしても、退職を促されたり、職場に残りにくくなったりすることもあります。

これまでのように働き続けるためには、不起訴に加えて、職場に犯行事実が知られる前に解決を図る必要があります。

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まとめ

懲戒解雇を防ぐためには、職場に知られる前に、早期の対応が必要です。

盗撮をして、職場を解雇されてしまう不安がある場合には、早い段階で弁護士に相談しましょう。

逮捕されてしまっても、長期身柄拘束を防ぐことや、不起訴処分を目指すために被害者と示談を進めるなど、懲戒解雇を防ぐために対応できることがあります。

もし家族が盗撮で逮捕されてしまった場合にも、早い段階から弁護士に相談することをおすすめします。

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