ストーカーで逮捕される基準は?警告・禁止命令の流れと回避策を解説
「元交際相手に何度も連絡してしまった」「警察から連絡が来た」
こうした状況は、ストーカー行為として逮捕される典型的なきっかけです。
たとえ悪意がなくても、
- 相手が拒絶した後の連絡
- しつこいLINE・電話
- 自宅付近への訪問
などが続けば、警察はストーカー行為に該当する可能性が高いと判断し、逮捕に進む場合があります。
まずは、あなたの行為がストーカー規制法違反による逮捕の基準に当てはまるのか、以下のチェックリストで確認してください。

いかがでしたか? もしチェック項目に該当していても、逮捕を回避できる可能性は十分にあります。
特に、
- 警察からの連絡
- 警告の通知
といった初期段階であれば、弁護士が早期に対応することで、逮捕回避につながるケースが多いのが実務です。
この記事では、ストーカーで逮捕されるリスクを抱える方のために、次のポイントを解説します。
- ストーカーで逮捕される明確な基準と境界線
- 警察がストーカー捜査で動き出す流れ|警告・禁止命令
- ストーカーで逮捕・勾留・前科を避けるために今すぐ取るべき対処法
ストーカー事件は、初動対応の速さで結果が大きく変わります。まずは状況を正しく把握しましょう。
目次
ストーカーで逮捕される行為とは?|警察が動く基準と逮捕ライン
「復縁のために何度も連絡してしまった」「心配で相手の家の近くまで行ってしまった」
こうした行動が、すぐストーカーで逮捕になるとは限りません。
しかし、ストーカー規制法が定める逮捕される行為のラインを超えると、警察は本格的に動き、【警告 → 禁止命令 → 逮捕】へ進むおそれがあります。
まずは、どのような行為が逮捕につながる境界線なのか正確に理解することが重要です。
法律上の【つきまとい等】と【ストーカー行為】の違い
ストーカーで逮捕されるかどうかは、まず当該行為が【つきまとい等】か【ストーカー行為】かによって変わります。
【つきまとい等】|ストーカー行為の前段階
【つきまとい等】とは、特定の相手に対する、恋愛感情やその他の好意の感情またはそれが満たされなかった恨みに基づく、嫌がらせ行為のことで、具体的には次の8つの行為類型を指します。
| 行為の類型 | 具体的な内容と例 |
|---|---|
| ①つきまとい・待ち伏せ | 自宅や職場、学校での見張り、うろつき、進路妨害など。 ※「偶然会った」と主張しても、頻回であれば偶然であるとは認められません。 |
| ②監視の告知 | 「今○○にいるね」「帰宅したね」などと伝え、監視していることを知らせる行為。 ※帰宅直後の「おかえり」LINEなども該当します。 |
| ③面会・交際の要求 | 「会ってくれないと死ぬ」「復縁しないならバラす」など、拒絶されているのに強要する行為。 |
| ④乱暴な言動 | 自宅前で大声を出す、車のクラクションを鳴らす、乱暴な言葉を浴びせるなど。 |
| ⑤無言電話・連続連絡 | 拒絶後の電話、FAX、メール、SNSメッセージの連続送信。 ※不在着信を大量に残す行為も含まれます。 |
| ⑥汚物等の送付 | ゴミや動物の死体などを送りつける、または自宅敷地内に置く行為。 |
| ⑦名誉を傷つける行為 | 中傷ビラを撒く、ネット掲示板に悪口を書き込むなど。 |
| ⑧性的羞恥心の侵害 | わいせつな画像を送りつける、電話で卑猥な言葉を言う、ネットに晒すなど。 |
【ストーカー行為】|逮捕の対象
【ストーカー行為】とは、上記の【つきまとい等】を反復して(繰り返して)行うことで、ストーカー規制法違反となり、警察が逮捕を検討する段階に入ります。
つまり、一度きりの待ち伏せやメール送信は、【つきまとい等】として警察からの警告対象になる場合はありますが、それ自体でいきなりストーカー規制法違反として逮捕されるケースは多くありません(※住居侵入など他の罪に問われる場合は除く)。
しかし、それを繰り返した時点でストーカー行為となり、逮捕の要件を満たすことになります。
反復性が判断されるポイント|回数・期間・相手の恐怖
ストーカー規制法には【何回以上で逮捕】という明確な数字はありません。
警察は次の要素を総合して、反復性=ストーカー行為かを判断します。
①短期間における集中度(執拗さ)
たとえ数回の連絡でも、それが「1時間の間に10回電話をかけた」「深夜に連続してメッセージを送った」という場合、相手に与える恐怖が大きいため、反復性が認められる可能性が高まります。
②行為の密度と期間
「1か月に1回の手紙」であれば警告で済む場合でも、それが「毎日」「昼夜問わず」になれば、悪質性が高いと判断され、より厳しい対応が取られる可能性があります。
③内容の過激さと相手の恐怖心
「死ね」「殺す」といった脅迫的な文言や、「今、家の前にいるよ」といった監視をほのめかす内容は、回数が少なくても、内容によっては強い恐怖を与えるため、反復性の認定や脅迫罪の検討など、厳しい判断につながる場合があります。
| 【ポイント】 「回数が少ないから問題ない」という自己判断は危険です。 客観的に見て、相手が怖がって逃げたくなる頻度かどうかが判断基準になると考えてください。 |
【法改正で厳罰化】GPS・紛失防止タグの規制と職権警告の導入
ストーカー規制法は、手口の巧妙化に合わせて何度も改正されています。
特に、2021年及び2025年における改正により、警察の介入スピードと逮捕に至る基準は大幅に強化されました。
① 2021年改正|GPS機器の無断使用が規制対象に
2021年の改正では、
- 車両などにGPS機器を無断で取り付ける行為
- 位置情報を無断で取得する行為
が、明確に規制の対象となりました。
これにより、“見張る”だけでなく“位置情報を知る”行為自体がストーカー規制法の対象となりました。
②【最新】2025年改正|紛失防止タグの規制と職権警告
さらに、2025年最新の改正法では、以下の2点が強化されました。
紛失防止タグ(AirTag等)も規制対象に
GPS(衛星)だけでなく、Bluetooth式紛失防止タグ(AirTag等)についても、無断で取り付ける行為や位置情報を取得する行為が明確に処罰対象となりました。
「GPSではないから大丈夫」といった法の抜け穴を探すような解釈は一切通用しなくなっています。
被害者の申し出がなくても警告が可能に(職権警告)
従来の警告は、原則として被害者の申し出が前提でした。
しかし今回の改正により、被害者の申し出がなくても、警察の独自の判断(職権)で警告を出せるようになりました。
したがって、被害者が被害の申告を迷っている段階でも、警察が危険と判断すればいきなり警告が出され、即座に事件化する可能性があります。
逮捕までの猶予期間は、以前よりも大幅に短くなっています。
LINE連投やブロック後のSNS接触はストーカーで逮捕される?
LINEの連投やSNSでの接触がストーカー行為として逮捕につながるかどうかは、相手からの拒絶の有無が最も重要な判断基準になります。
【リスクが高いLINE・SNSの例】
- 相手から「もう連絡しないで」「ブロックします」と言われた後に、別のアカウントやSMS(ショートメール)を使って繰り返し連絡する。
- 返信がない(既読無視・未読無視)にもかかわらず、「なんで無視するの?」「話を聞いて」と数十件のメッセージを送り続ける。
- SNSの投稿に執拗にコメントや「いいね」を繰り返す。
あなたにとっては「誤解を解きたい」「謝罪をしたい」という一心からの行動でも、相手が明確に拒絶した後に連絡を続ける行為は、客観的にストーカー行為と判断され、逮捕に発展するリスクが高くなります。
ストーカーで逮捕されるまでの流れ|警告・禁止命令・逮捕
「警察から連絡が来た」と聞くと不安に感じるかもしれませんが、直ちに逮捕されるケースは多くありません。
ストーカー規制法では、行為を止めさせるための段階的な措置(行政処分)を設けています。
あなたが今、どの段階にいるのかを正確に理解すれば、逮捕を回避できる可能性は十分にあります。
【ステージ1】警告|逮捕前の注意・ここで止まれば収束しやすい
被害者が警察に相談し、つきまとい等の事実が確認された場合、最初に行われる措置が【警告】です。
状況
警察署へ呼び出され、口頭または書面(警告書)で「相手への接触・連絡をやめなさい」と注意を受けます。
逮捕リスク
まだ逮捕に直結する段階ではなく、早期対応により収束が期待できる段階です。
この段階での最重要ポイント
警察の指示を守り、今後一切接触・連絡をしない姿勢を示すことが重要です。
弁護士が介入することで、警告で終了となる可能性が高まります。
【ステージ2】禁止命令|違反すれば逮捕目前
警告後もストーカー行為が続いた場合、または緊急性が高い、危険性が大きいと判断された場合、公安委員会から【禁止命令】が発令されます。
状況
警告より重い、法的拘束力のある行政処分です。
接近禁止やSNSでの連絡禁止など細かい禁止事項が設定されます。
逮捕リスク
極めて高い状態です。
これに違反することは、単なるストーカー行為とは別の【禁止命令等違反罪】という独立した犯罪になり、警察が逮捕を検討し、実際に逮捕されるケースが多くなります。
この段階での最重要ポイント
禁止命令に入った段階では、「もう一度連絡したら終わり」という認識が必要です。
【ステージ3】逮捕|警告なしでいきなり逮捕されるケースも
以下のいずれかに該当すると、警察は逮捕状の請求をし、裁判所が発付すれば逮捕となります。
- 禁止命令に違反した
- 警告・禁止命令の有無にかかわらず、ストーカー行為の内容が執拗である、または強い危険性が認められる
- 脅迫・住居侵入など他の犯罪を伴う
近年はストーカー事案が重大事件に発展するケースが増えていることから、危険性が高いと判断される場合には、警告や禁止命令を経ずに、初動段階で逮捕されることもあります。特に以下のような行為がある場合は注意が必要です。
- 「殺す」などの脅迫メッセージを送っている
- 凶器を携帯している、または準備している
- GPS機器を無断で取り付ける、または位置情報を繰り返し取得している
ストーカー逮捕後の身柄拘束期間と刑罰
「逮捕されても、少し事情を聞かれてすぐに帰れるだろう」
実際には、そのように簡単に帰宅できるとは限りません。
ストーカー規制法違反で逮捕されると、一定期間、身柄拘束が続く可能性があります。
最大23日間の身柄拘束|勤務先や学校への影響

逮捕されると、法律上、最大で23日間もの身柄拘束が続く可能性があります。
逮捕(最大72時間)
警察署の留置施設に収容されます。この期間は家族であっても原則として面会は認められません(弁護士のみ接見可能)。
勾留(最大20日間)
検察官が逃亡や証拠隠滅のおそれを理由に勾留を請求し、裁判所が認めた場合には、さらに身柄拘束が続きます。
ストーカー事案は、「釈放すると被害者のところへ行くかもしれない」と判断されやすく、勾留が認められやすい傾向にあります。
23日間も無断欠勤・無断欠席が続けば、勤務先や学校に逮捕された事実が知られる可能性が高まります。
ストーカー規制法違反の刑罰|禁止命令違反はさらに重い
ストーカー規制法違反の刑罰は次のとおりです。
- 通常のストーカー行為:1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
- 禁止命令に違反したストーカー行為:2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金
日本の刑事裁判では、起訴されれば99.9%有罪となります。
また、正式な裁判を開かずに罰金を払って終わる略式命令であっても、それは前科になります。前科がつくと、社会生活にも影響が生じる可能性があります。
ストーカーで逮捕を回避するために必要なこと|弁護士ができる対応
ストーカーで逮捕や前科を避けるためには、
①被害者がどの程度処罰を望んでいるか
②再び同じ行為を行うおそれがないと示せるか
この2点が特に重要になります。
被害者へ直接連絡してはいけない理由
「謝れば許してもらえるかもしれない」と考え、自分で被害者に連絡を取ろうとすることは避けてください。
- その連絡自体が新たな【つきまとい等】と評価される可能性がある
- 被害者の不安や恐怖心が強まり、示談が困難になる
- 証拠隠滅や被害者への働きかけの懸念が生じ、逮捕の要件を満たすリスクが高まる
このため、加害者本人が動くことは状況を悪化させる原因となることが非常に多く、必ず弁護士を通す必要があります。
被害者との示談交渉の重要性
2017年の法改正により、ストーカー規制法違反は非親告罪(被害者の告訴がなくても起訴できる)となりました。
ただし実際には、被害者の意向は警察・検察の判断に大きな影響を与えています。
弁護士はあなたの代理人として、次のポイントを目指します。
- 示談の成立(謝罪・賠償/民事上の解決)
- 被害届の取下げ
- 今後一切関わらない旨の誓約書の作成
これらが整うことで、警察は逮捕の必要性が低いと評価しやすく、検察でも不起訴処分となる可能性が高まります。
再犯防止策の提示|信用を得るために必要なこと
単に「もうしません」と言うだけでは不十分です。
物理的に再犯できない環境を作ることが重要です。
- 連絡手段の完全遮断:連絡先削除・電話番号変更・SNSアカウント削除等
- 生活圏の変更:相手と距離を置くための引っ越し等
- 心療内科やカウンセリングによる治療:再犯可能性の低さの証明
再犯防止策は、警察・検察・裁判所が重視するポイントです。
ストーカー逮捕に関するよくある質問(FAQ)
ストーカー逮捕に関するよくある質問にお答えします。
相手にブロックされていますが、謝罪の手紙やプレゼントを送るのは大丈夫ですか?
謝罪の手紙やプレゼントを送るのはおすすめしません。
相手が着信拒否やブロックをしている場合、これは法的に拒絶の意思表示とみなされます。その状態で手紙やプレゼントを送る行為は、つきまとい等やストーカー行為と判断される可能性があり、逮捕リスクが高まります。
直接の連絡や物の送付は控え、まず弁護士に相談してください。
警察から電話が来ましたが、怖いので無視してもいいですか?
警察からの連絡は無視してはいけません。
無視すると、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれと判断される可能性があり、逮捕リスクが高まります。
都合がつかない場合は、折り返し電話で日程を調整してください。心配な場合は、弁護士に同行してもらうことも可能です。
ストーカー行為の示談金はいくらくらい必要ですか?
示談金の相場は30万円~100万円程度といわれますが、行為の内容や期間、被害者の処罰感情などにより大きく変動します。
また、被害者が厳罰を望む場合もあるため、示談の成立には弁護士による慎重な交渉が不可欠です。
まとめ|ストーカーで逮捕されたくないなら今すぐ弁護士へ相談を
ストーカー規制法違反の疑いがある場合、放置する時間が最も危険です。
警察の捜査は進み、被害者の処罰感情は強まり、逮捕リスクが高まります。
逮捕回避や不起訴処分には、早期の弁護士介入が有効です。
弁護士が示談交渉や再犯防止策を整えれば、逮捕・前科・実名報道・社会生活への影響を防げる可能性が高まります。
ネクスパート法律事務所では、ストーカー事件に強い弁護士が多数在籍しています。
特に、被害者との示談においては、経験豊富な弁護士が迅速丁寧に示談成立を目指します。
初回相談は30分無料です。
ぜひ一度ご相談ください。



