送検とは?書類送検、身柄送検との違いなどについて解説
皆さまも、事件のニュースなどで「〇〇が身柄送検された」、「〇〇が書類送検された」などというアナウンスを聞いたことがあるかと思います。
以下では、送検や身柄送検と書類送検の違いなどについて解説してまいります。
送検とは
送検とは、一般的に、警察が捜査によって収集した証拠書類や証拠物(物的証拠)を検察官に送致することをいいます。
実は、送検という言葉は法律上使われている用語ではなく、あくまで俗称です。
送致の「送」と検察官の「検」の文字を取って送検と呼ばれています。
もっとも、「送致」という用語は刑事訴訟法第246条に出てきます。
刑事訴訟法第二百四十六条
(司法警察員から検察官への事件の送致)
司法警察員(※)は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。但し、検察官が指定した事件は、この限りではない。※司法警察員
司法警察職員の中の一部の職員のことをいいます。司法警察職員には警察官である「一般司法警察職員」と労働基準監督官、自衛隊の警務官などの「特別司法警察職員」とがあります。
司法警察職員は司法警察員と司法巡査に分かれます。警察官の場合、基本的に、巡査部長以上の階級を持つ警察官が司法警察員です。
したがって、巡査階級の警察官には、基本的に送致権限が認められていません。
なお、「この法律に特別の定(さだめ)」とは、司法警察員が通常逮捕、緊急逮捕、現行犯逮捕された被疑者(身柄事件の身柄被疑者)を送致する際の規定のことを指しています。
逮捕された被疑者を送致することを「身柄送検」と言われています。
身柄送検に関する規定は刑事訴訟法第246条とは別に設けられています。
書類送検とは
書類送検とは、警察官(司法警察員)が証拠書類や証拠物を検察官へ送致することをいいます。
書類送検という言葉は在宅事件、つまり、送致段階において逮捕されていない事件について使われる用語です。
送致段階において逮捕されていない事件とは、そもそも捜査を受ける段階から逮捕されていない事件のほか、一度逮捕されたものの、送致前(逮捕されてから48時間以内)に釈放された事件も含みます。
ここまで読まれて気づかれた方も多いと思いますが、刑事訴訟法第246条は主に書類送検、在宅事件の送致(送検)に関する規定だということが分かります。
在宅事件扱いとなった場合は、警察の捜査で収集された証拠書類と証拠物のみを検察官へ送られます。
その後は、主に検察庁から出頭するよう要請を受け、検察官の取調べなどを受けることとなります。
身柄送検とは
身柄送検とは、警察官(司法警察員)が証拠書類や証拠物に加えて、逮捕した被疑者を検察官へ送致することをいいます。
身柄送検は文字通り、身柄事件、つまり、警察が被疑者を逮捕(通常逮捕、緊急逮捕、現行犯逮捕)した場合に使われる用語です。
身柄送検に関する規定は、刑事訴訟法第246条に「この法律に特別の定」とあったように、同条とは別に設けられています。
すなわち、通常逮捕の場合の送致については同法第203条、緊急逮捕の送致については同法第211条、現行犯逮捕の送致については同法第216条に規定されています。
刑事訴訟法第二百三条
(司法警察員の手続、検察官送致の時間)
司法警察員は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、(略)は、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から四十八時間以内に書類及び証拠物とともにこれ(被疑者)を検察官に送致する手続をしなければならない。
※( )は筆者が記入
なお、刑事訴訟法第211条と第216条は上記の規定を準用しています。
つまり、緊急逮捕された場合も、現行犯逮捕された場合も、送致の手続き、流れは通常逮捕された場合と同じということになります。
身柄送検前後の流れ
逮捕から身柄送検、身柄送検から勾留決定までの流れは以下のとおりです。
- 逮捕
- 警察官による弁解録取→釈放?
- 身柄送検
- 検察官による弁解録取→釈放?
- 検察官による勾留請求
- 裁判官による勾留質問→釈放?
- 勾留請求許可(勾留決定)
①逮捕されると、②警察官による弁解録取を受けます。
弁解録取とは、被疑者から犯罪事実に関する言い分を聴くための手続きです。
その後、警察官が身柄拘束の理由、必要がないと判断した場合は釈放されますが、必要があると判断した場合は逮捕から48時間以内に③身柄送検されます。
身柄送検後は、④検察官による弁解録取を受けます。身柄送検では、証拠書類や証拠物とともに「被疑者」も送致しなければならないとされています。
これは検察官の弁解録取が必要だからです。
検察庁で弁解録取を受けた後は、逮捕時に収容された留置場へ戻ります。
そして、検察官が身柄拘束の理由、必要がないと判断した場合は釈放されますが、釈放されない場合は⑤勾留請求されたと考えてよいでしょう。
なお、検察官は身柄送検から24時間以内(逮捕から72時間以内)に勾留請求しなければなりません。
したがって、この24時間で釈放されない場合は勾留請求されたことになります。
検察官による勾留請求後は、留置場から裁判所まで護送され、裁判所の勾留質問室で⑥裁判官による勾留質問を受けます。
勾留質問後は、いったん待機場所(通常、検察庁内の収容場所)に戻され、裁判官の判断を持ちます。
ここで裁判官が身柄拘束の理由、必要がないと判断した場合は検察官の勾留請求が却下されます。
その後、検察官の不服申立てがない限り釈放されます。
他方で、裁判官が身柄拘束の理由・必要があると判断した場合は⑦勾留請求が許可されます。
もっとも、この判断に対して、弁護人から不服を申立ててもらうことは可能です。
書類送検・身柄送検と弁護士の選任
書類送検された段階では国選弁護人を選任できる制度はありません。
そのため、書類送検後、刑事処分(起訴、不起訴など)が下る前に弁護活動が必要な場合は、私選の弁護人を選任する必要があります。
なお、起訴された後は、国選弁護人を選任できる制度がありますが、任意的国選弁護事件の場合は資力要件等を満たす必要があります。
他方で、身柄送検された場合は資力要件等を満たせば、勾留決定後に国選弁護人が選任される制度があります。
もっとも、上記の流れの①から⑦までの間は、国選弁護人は選任されません。
この段階から弁護活動が必要な場合は私選弁護人を選任する必要があります。

まとめ
送検とは事件の証拠書類等が検察官の元に送致されたことを意味します。
もっとも、書類送検後と身柄送検後の手続きの流れはまったく異なる点に注意が必要です。