無免許運転で逮捕される可能性・罰則・逮捕後の対応を解説
無免許運転をすると、行政処分を受けるだけでなく刑事責任も問われます。
有罪判決が下されると3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されるおそれがあります。逮捕後は今後の生活への影響を最小限に抑えられるように、不起訴や執行猶予を目指す必要があります。
この記事では、以下の点を解説します。
- 無免許運転の罰則
- 無免許運転で逮捕される可能性
- 無免許運転に対する刑事弁護の必要性
目次
無免許運転の概要
無免許運転とは
無免許運転には、主に以下の4パターンがあります。
純無免
純無免は、過去に1度も免許証の交付を受けたことがない人が車を運転することです。
取り消し無免
取り消し無免は、交通違反などによって免許が取り消され、再取得をしないまま車を運転することです。
免停中無免
免停中無免は、交通違反などで免許が停止されている期間に、車を運転することです。
免許外無免
免許外無免は、免許対象外の車種を運転することです。例えば、普通自動車免許で大型自動二輪は運転できません。
無免許運転の罰則
道路交通法第117条の2の2は、無免許運転の法定刑を3年以下の懲役または50万円以下の罰金と定めています。上記4パターンのいずれであれ、無免許運転であることには変わりなく、この条文が適用されます。
無免許運転の点数
無免許運転の違反点数は25点です。
軽微な交通違反であれば、通称青切符(交通反則告知書)が切られ、納付期限内に反則金を納付すれば刑罰は科されません(交通反則通告制度)。
一方、無免許運転では、通称赤切符(交通切符告知票)が切られます。赤切符の場合は交通反則通告制度を利用できず、刑事事件として処理されます。
無免許運転の行政処分
無免許運転は行政処分も伴います。過去に運転免許の取り消しや停止処分を受けたことがなくても、15点以上の点数がつくと免許は取り消されます。
無免許運転の違反点数は25点のため、一発で免許は取り消されます。
無免許運転の欠格期間
免許の取り消し処分を受けると、一定期間、免許を再取得できなくなります。この期間を欠格期間といい、欠格期間が何年になるかは違反点数や過去の行政処分回数に応じて変わります。
過去に行政処分を受けたことがない場合で、違反点数25点がつくと欠格期間は2年です。
無免許運転は本人以外も処罰される
無免許運転は、無免許で運転した本人以外も処罰されるおそれがあります。
同乗者
道交法第64条は、運転者が無免許であることを知りながら、自己を運送することを要求し、または依頼して、無免許運転の自動車または原動機付自転車に同乗してはならないと定めています。
この規定に違反した場合は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。
車両提供者
道交法第64条は、無免許運転をするおそれがある者に対し、自動車または原動機付自転車を提供してはならないと定めています。
この規定に違反して、実際に車両の提供を受けた者が無免許運転をした場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。
無免許運転の加重規定
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(自動車運転処罰法)には、無免許運転の加重規定(法第6条)があります。
危険運転致死傷罪(法第2条。同条3号を除く。負傷の場合のみ。)
15年以下の懲役⇨6月以上20年以下の懲役
危険運転致死傷罪(法第3条)
負傷の場合:12年以下の懲役⇨15年以下の懲役
死亡の場合:15年以下の懲役⇨6月以上20年以下の懲役
過失運転致傷アルコール等影響発覚免脱(法第4条)
12年以下の懲役⇨15年以下の懲役
過失運転致傷(法第5条)
7年以下の懲役⇨10年以下の懲役
無免許運転の時効
無免許運転の公訴時効は3年です。
最後に無免許運転をした日から3年が経過すると、起訴ないし処罰されなくなります。
無免許運転で逮捕されるか
無免許運転が発覚すると、必ず逮捕されるのでしょうか。
無免許運転で逮捕されないケース
無免許運転が発覚しても、飲酒や事故を起こしておらず、素直に取調べに応じていれば、逮捕されないことがあります。
ただし、逮捕されなかったからといって処罰されない保証はなく、在宅事件として捜査が進みます。在宅事件とは、被疑者の身柄を拘束せずに刑事手続きを進める事件のことで、在宅事件になれば、任意の取調べに応じる以外は、通常の生活を送れます。
在宅事件でも、起訴されたり懲役刑を言い渡されたりする恐れがあります。

無免許運転で逮捕されやすいケース
無免許運転かつ事故を起こしていたり飲酒をしていたりすると、逮捕されやすいです。
無免許運転で逮捕された場合の対応については、後の章で詳しく説明します。
無免許運転に対する刑罰
無免許運転に対しては、どのような処罰が下るのでしょうか。
初犯の場合
無免許運転の初犯の場合、飲酒や事故がなければ罰金刑のみで済むケースが多いです。罰金刑のみであれば、略式手続きがとられることがほとんどで、罰金を納付すれば刑事手続きは終了です。
略式手続きとは、事件を簡易裁判所で審査する手続きで、正式裁判よりも結論が早く出るのが特徴です。簡易裁判所で扱えるのは100万円以下の罰金または科料に相当する事件に限られており、略式手続きで懲役刑は言い渡されません。
再犯の場合
無免許運転の再犯の場合は略式手続きでは済まず、起訴され正式裁判になる可能性があります。正式裁判になれば、懲役刑を言い渡されるおそれがあり、執行猶予を獲得できるかがポイントになります。
無免許運転で逮捕された場合の弁護活動
無免許運転で逮捕された場合は、すぐに弁護士に刑事弁護を依頼しましょう。
逮捕された方との面会
弁護士はまず、逮捕された方に面会します。
この際、今後の刑事手続きの流れや取調べ時に注意すべき点などを説明し、逮捕された方の話を聞いて弁護方針を立てます。
早期釈放を目指した活動
弁護士は逮捕された方の早期釈放実現のために活動します。
無免許運転では、逮捕されても勾留という刑事手続きがとられず、釈放されるケースが多いです。
勾留とは逮捕後の被疑者の身柄拘束を継続する刑事手続きで、勾留が認められると身柄拘束は原則10日間、最長で20日間続きます。勾留されないためには、釈放後の逃亡・証拠隠滅のおそれは低いと認められることが重要で、身元引受人を用意するなど対策が必要です。

不起訴・略式命令を目指した活動
弁護士は、不起訴の獲得または略式命令で済むための活動も行います。
無免許運転で逮捕されても、免許を更新するのを失念して失効していたケースなどでは、不起訴になる可能性があります。
ただし、そのような不起訴処分が下るのは、免許が失効してから間がないケースで、免許の失効から一定期間以上が経過していると、不起訴の獲得は困難です。
不起訴を獲得できない場合は、略式命令による罰金刑のみで済むよう弁護活動を行います。
まとめ
無免許運転が発覚すると、免許が取り消されるだけでなく、刑事上の責任も問われます。初犯であれば、罰金刑のみで済む可能性がありますが、再犯の場合は起訴され、懲役刑が言い渡されるおそれもあります。
無免許運転で逮捕された際は、すぐに弁護士に刑事弁護を依頼することが重要で、早期釈放などの実現の可能性が上がります。無免許運転で刑事弁護が必要な方は、ネクスパート法律事務所にご相談ください。