教員が逮捕された場合のリスク|教員免許を失わないために
教員は小中学校を始めとする教育機関で学生を指導する立場であることから、逮捕されると一般の方よりも報道されやすい可能性があります。
この記事では教員が逮捕された場合特有のリスクと、リスクを回避するための弁護活動についてご案内いたします。

有罪判決を避けるためには早期の刑事弁護が欠かせません。
逮捕された方やそのご家族の方は、無料相談にてご状況をお聞かせください。
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教員が逮捕された場合特有のリスクとは
逮捕されると刑事事件の責任と、被害者がいる場合は民事事件の責任が生じます。
これに加えて、教員の場合は教育者としての責任も問われます。
ここでは、教員特有のリスクや処分の内容についてご案内いたします。
教員免許を失う恐れがある
学校教育法第9条、および、教員職員免許法第10条に、禁錮以上の刑に処せられた場合は校長または教員になれない、免許状の効力を失うなどが定められています。
参考:学校教育法

起訴され刑事裁判で有罪判決が確定すれば前科が付きます。免職となり教員免許を取り上げられなくてもなんらかの処分は免れないでしょう。
公立学校の教員への処分とは
公立学校の教員は公務員としての地位もあるため、学校教育法や教員職員免許法以外にも、地方公務員法などにおける懲戒処分も適用されます。
公立学校の教員への懲戒処分は以下の4つです。
例には主なものを記載しましたが事件の内容などにより処分は異なります。
処分 | 説明 | 例 |
免職 | 教員・公務員の身分を失う
※退職金の全部又は一部が支給されない 年金も減額されるケースがある |
正当な理由がない一定期間の欠勤、
公金・公物の横領、 殺人、放火、 飲酒運転での交通事故 強制わいせつ など |
停職 | 一定期間、職務に従事させない
※その間の給与は支払われない |
休暇等の虚偽申請、
公物損壊、 傷害、 酒気帯び運転、 淫行 など |
減給 | 一定期間、給与を減額する | 勤務態度不良、
公金・公物の盗難・紛失、 暴行・けんか、 飲酒運転以外の人身事故 など |
戒告 | 規律違反の内容について
文書または口頭で厳重注意 |
勤務態度不良、
過失による公金・公物の盗難・紛失 指導監督不適正 など |


私立学校の教員への処分とは
同じ教員でも、公立学校と私立学校では立場に違いがあるため、処分についても違いがあります。公立学校の場合は公務員であるため国家/地方公務員法が適用されますが、私立学校の場合は、各学校の定める就業規則に従います。
日本で教員になるには必ず教員免許が必要ですから、教員職員免許法で定められている免許が失効されるケースに該当する場合は、それに従って処分されます。公立学校の教員が懲戒処分で免職となるような事案は私立学校の教員も免許状の取り上げとなります。
実名報道されやすい
教員が懲戒処分、特に免職の処分をうけるような事件の場合、逮捕されると実名報道される可能性が大きく、中でも児童・生徒・学生などに対する体罰やわいせつ行為などによる事件は大きく扱われるケースが多いでしょう。
マスコミによる報道以外にも、免職などの場合は懲戒処分の公表をホームページでしている自治体もあります。公表範囲は自治体の判断によります。
教員免許を懲戒処分等で失効したり、取り上げられたりした場合は、官報に氏名と本籍地、その事由が広告されます。官報は大きな書店や政府刊行物の売り場で購入したり、図書館やインターネット官報などで閲覧したりできるので、一般の人でも見られます。
文部科学省では、教員を採用する際に、過去に免許状の失効や取り上げとなった事実がないか確認する手段として、官報情報検索ツールを提供しています。2021年4月からは処分理由についても付記されるようになりました。
警察・マスコミが学校に行く(連絡する)ことも
個人で職務とは関係のない罪を犯し捜査機関の捜査対象になった場合は、学校へただちに連絡が行くとは限りませんが、事件の内容によっては連絡される可能性があります。
例えば、以下のような場合は、学校へ連絡が行く可能性が高くなります。
- 職務に関する犯罪(生徒などに対する暴行、傷害、わいせつ行為や、公金横領など)
- 事件の日時が学校にいる間でアリバイを証明するとき
教員特有のリスクを回避するための弁護活動とは
事件を起こしてしまったら、早急に弁護士にご相談ください。ご相談の時期が早ければ早いほど、効果的な弁護活動ができます。
教員免許を失わないためには不起訴獲得が最重要
罪を犯し、禁錮刑以上の刑が処せられると免許状の失効となり、禁錮刑以下の刑に処せられた場合もさまざまな処分を受けます。
教員免許を失わないためには、まずは刑事事件化を防ぎ、逮捕されてしまった場合は不起訴処分を獲得することが重要です。起訴されたら前科がつく可能性は非常に高いからです。
被害者がいる事件の場合は、示談が成立すれば逮捕されずに済む可能性があります。
捜査が進んだ後で弁護士に依頼をすると対策方法の選択肢が狭まるため、早い段階で弁護士にご相談いただくことで、刑事事件化を防ぐ弁護活動に着手できます。

実名報道を避けるために意見書を提出する
実名報道を回避するためには、示談を成立させ事件化される前に解決するのが一番ですが、示談交渉の前に逮捕され、実名報道される場合があります。
実名報道されることで加害者はもちろん、学校や被害者(主に生徒など)に影響がでることが予想される場合は、弁護士から捜査機関へ実名報道をしないよう意見書を提出する弁護活動を行います。意見書に法的効果はないため、必ずしも受け入れてもらえるとは限りませんが、実名報道される可能性は低くなります。
教員免許を失わないために今すぐご対応を
教員が事件を起こしてしまった場合は、懲戒処分を受けないために、まずは刑事事件化を防ぎ、逮捕されてしまった場合は、不起訴処分を獲得することが重要です。
例え刑事事件化されなかったとしても、噂が広まり生活そのものに支障がでる場合もあります。事件を起こしたことの反省と、真摯な対応をとり、教員を続けられる可能性を高めるために弁護士にご相談ください。
ネクスパート法律事務所では、ご相談を24時間受け付けておりますので、まずはお電話、メール、お問い合わせフォームよりご連絡ください。