経営者・取締役が逮捕された場合4つのリスク|会社への損害を減らすには
会社の経営者や取締役が逮捕・勾留されると、経営者としての業務ができないので、事業がストップする恐れがあります。逮捕が社会に知られてしまえば、会社の評判を下げかねません。
この記事では会社経営者や取締役が逮捕された場合特有のリスクと、リスクを回避するための弁護活動についてご案内いたします。
目次
経営者が逮捕された場合特有のリスクとは
会社経営者が逮捕された場合特有のリスクは、主に以下の4点です。
- 禁錮刑以上の罪で取締役に就けなくなる
- 取締役を解任される恐れがある
- 業務が止まることも
- 実名報道されれば会社の評判を下げかねない
禁錮刑以上の罪で取締役に就けなくなる
会社法第331条(取締役の資格等)に、取締役の欠格事由が定められています。該当する場合、定められた期間は取締役になれません。
参照:会社法

取締役を解任される恐れがある
会社法第339条(解任)では、役員及び会計監査人は、いつでも、株主総会の決議によって解任できると定められています。
参照:会社法
禁錮刑以上の刑が科せられなかった場合でも、罪を犯し会社に大きな損害を与えたとなれば、株主総会によって解任される可能性があります。これは逮捕されたかどうかは関係ありません。
代表取締役だった場合は、取締役会によって代表取締役を解任される恐れもあります。代表取締役の解任であれば取締役として会社に残れますが、取締役の解任となれば、従業員の地位を有していない場合は職を失うことになります。
取締役会がある会社かどうかや、取締役を解任される正当な自由があるかどうかなども関係するので、詳細は弁護士にご確認ください。


業務が止まることも
逮捕されてから起訴か不起訴の処分が決定するまでは、最大23日間身柄が拘束される可能性があり、起訴されてしまうと数カ月身柄が拘束されるケースもあります。
会社の経営に携わっている者が1人しかいない場合は、業務に関する決定や判断ができなくなるため大きな影響がでます。起訴され裁判になればその準備に関する時間も必要になり、最悪の場合は業務がストップしてしまう可能性があります。
実名報道されれば会社の評判を下げかねない
事件の内容や話題性が高い場合は、実名報道される可能性が高くなります。実名報道をするか、どのタイミングで報道するかは、マスコミが独自に判断します。
軽微な事件であれば実名報道の可能性は低いと思われますが、会社の役員が被疑者として逮捕された場合は、会社名も報道される可能性があります。
個人で会社の業務とは関係がない罪を犯した場合、本来は会社とは関係がありません。しかし、さまざまな媒体を通じて会社名が報道されると、会社にも不利益がでる可能性があります。特に上場企業は知名度が高いため、大きく報道される可能性が高く、会社の信用が傷つきブランドイメージが損なわれるため、業績に影響がでることがあります。
経営者特有のリスクを回避するための弁護活動とは
経営者特有のリスクを回避するための主な弁護活動は以下の3点です。
- 逮捕回避・早期釈放を目指す
- 不起訴獲得により前科の回避を目指す
- 実名報道しない旨の意見書を提出する
逮捕回避・早期釈放を目指す
刑事事件化を防ぐ
刑事事件化しなければ禁錮刑以上の刑が科せられることもないので、取締役として働き続けられます。
被害者がいる事件の場合は、示談が成立すれば逮捕されずに済む可能性があります。
捜査が進んだ後で弁護士に依頼をすると対策方法の選択肢が狭まるため、早い段階で弁護士にご相談いただくことで、刑事事件化を防ぐ弁護活動に着手できます。
在宅事件化を目指す
在宅事件とは、逮捕などで身柄を拘束されず、日常生活を送りながら取り調べなどの捜査を受ける事件です。刑事事件では、すべての犯罪で逮捕されるわけではありません。
被疑者となっても、事件の内容や、逃亡・証拠隠滅などのおそれがないなど条件を満たせば、在宅事件になる可能性があります。
在宅事件になると、取り調べのために何度か捜査機関へ出向く必要がありますが、それ以外の時間は会社の業務も行えます。会社の業務を止めないためにも、在宅事件を目指す弁護活動を行います。

早期釈放を目指す
逮捕され身柄が拘束されると最大3日間は弁護士以外とは面会できません。その後勾留が決定された場合、ご家族や会社の人と面会はできますが、面会時間や回数も制限されるため事業が滞る可能性があります。
事件の内容によって異なりますが、勾留時に接見禁止命令が出ると弁護士以外とは面会や手紙のやり取りもできません。他の役員や従業員と連絡をとって経営について指示するにしても、弁護士を介すことになるため、時間がかかり経営が滞ることになります。そのような事態を防ぐために、早期の身柄開放について弁護活動を行います。
不起訴獲得により前科の回避を目指す
取締役として業務を続けるためには、前科がつかないように不起訴処分を目指すことが大切です。不起訴処分になれば、刑事裁判にはならないので前科はつきません。
罪を犯したことが事実ならば、容疑を認め真摯に捜査に協力することで情状が良くなり、軽微な事件であれば不起訴処分になる可能性が高くなります。弁護士に依頼すれば、被害者への損害賠償や謝罪の方法などについてもサポートいたします。
実名報道しない旨の意見書を提出する
実名報道を回避するためには、示談を成立させ事件化される前に解決するのが一番ですが、示談交渉の前に逮捕され、実名報道される場合があります。
実名報道されることで会社に影響がでることが予想される場合は、弁護士から捜査機関へ実名報道をしないよう意見書を提出する弁護活動を行います。意見書に法的効果はないため、必ずしも受け入れてもらえるとは限りませんが、実名報道される可能性は低くなります。


刑法第230条の2(公共の利害に関する場合の特例)には、以下のように定められています。
- 公共の利害に関する事実の場合は、これを罰しない
- 公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす
したがってこの条文を満たしたマスコミの報道に関しては、名誉棄損で責任を追及するのが難しいのです。
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経営者や取締役特有のリスクを回避するためには、刑事事件化される前に示談を成立させるなどの早急な対策が必要です。
刑事事件を多く扱っている弁護士ならば、経営者として業務を続けられ、会社の損失を少しでも減らすために有効な弁護活動に速やかに着手できます。
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