冗談ではすまされない!飲食店での迷惑行為で問われうる罪とは?
昨今問題になっている飲食店の迷惑行為。SNSに載せることを目的に、ほんのいたずらのつもりで迷惑行為をする人がいます。
今回は飲食店で迷惑行為をするとどんな罪に問われる可能性があるのか、解説します。
目次
飲食店での迷惑行為の事例
ここでは、飲食店での迷惑行為の事例について解説します。
回転寿司チェーン店などで実際に起こった迷惑行為とその後
回転寿司チェーン店で、湯飲みや醤油さしを舐めまわす姿や、牛丼チェーン店で卓上の紅ショウガを自分の箸で食べる姿をSNSに載せる迷惑行為が実際に起きました。その様子がニュースで報道され多くの人に衝撃を与えましたが、こうした飲食店への迷惑行為が増えています。
いたずらのつもりでやった行為かもしれませんが、これによって飲食店は多大な損害を被ります。先述の回転寿司チェーン店の場合、この迷惑行為をきっかけに全国で客が大幅に減り親会社の株価も急落、損失は160億円以上になったといわれています。
こうしたことを踏まえて運営会社は、迷惑行為をした客に対して6700万円あまりの損害賠償請求訴訟を提起し、先日和解が成立しました。
気付かずにやっているかもしれない 飲食店での迷惑行為とは
回転寿司チェーン店や牛丼チェーン店で起こった行為が飲食店にとって迷惑行為になることは明らかですが、知らず知らずのうちに行っていることが迷惑行為にあたる場合があります。
長時間の居座り
飲食店は、多くの客が来店することで売り上げが上がります。そのため長時間にわたって居座ることは、客の回転率を下げ売り上げに影響を及ぼします。
座席を独占する
少人数で来店したにもかかわらず、大人数のテーブル席を独占することも迷惑行為です。さらに来店したのに注文をしないなどの行為も迷惑行為にあたります。
備え付けの備品を持ち帰る
飲食店にはあらかじめ備え付けられている備品があります。これらを持ち帰る行為は迷惑行為で、刑事罰に該当します。
従業員に対するカスタマーハラスメント行為
従業員に対して、暴言、脅迫、不当な要求をするカスタマーハラスメント行為は迷惑行為にあたります。場合によっては刑事罰に問われることがあります。
飲食店の従業員による迷惑行為
飲食店の従業員による迷惑行為も問題視されています。かつて食材や調理器具を使って悪ふざけする様子を動画で投稿した人がいて波紋を呼びました。飲食店側はこのような従業員に対して、法的措置をとるなどの厳しい対応をしています。
なぜ飲食店での迷惑行為が増えているのか
飲食店での迷惑行為が増えている背景には、下記の理由が考えられます。
人手不足による無人化
昨今の飲食店は、人手不足を解消するために無人化を進めています。人の目が届かないところで迷惑行為をする客がいる可能性があります。
犯罪行為であることの意識がない
軽い気持ちでやった、冗談のつもりだったなど、迷惑行為が犯罪であることの意識がない人が一定数います。これが迷惑行為を増長させる原因の一つです。
飲食店での迷惑行為で発生する法律問題は?
ここでは、飲食店での迷惑行為で発生する法律問題について解説します。
損害賠償責任に問われる
回転寿司チェーン店の例であげたように、迷惑行為をすると損害賠償請求をされる可能性があります。迷惑行為をSNSにあげるだけで、その店に与える損害は莫大なものとなります。これを踏まえ、企業側も迷惑行為に対しては厳しい態度で臨んでいます。
従業員であれば、解雇処分になることも
飲食店の従業員であれば解雇処分になり、場合によっては飲食業界で二度と就職できなくなる可能性があります。
飲食店での迷惑行為は刑事事件になる可能性もある
飲食店での迷惑行為は、下記のような罪に問われる可能性があります。
信用棄損及び業務妨害罪
刑法233条に定められている信用棄損及び業務妨害罪のうち、信用棄損罪は、虚偽の風説を流布したり、偽計を用いたりして人の信用を棄損したとき成立する犯罪です。他方、業務妨害罪は、虚偽の風説を流布したり、偽計を用いたりして人の業務を妨害したとき成立する犯罪です。
例えば飲食店に入り、店を中傷する内容のことを大声で叫んだりSNSに投稿したりする行為が該当します。3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
威力業務妨害罪
刑法234条に定められている威力業務妨害罪は、威力によって人の業務を妨害したときに成立する犯罪です。ここでいう威力とは、身体的な暴力行為だけではなく脅迫行為も該当します。店にクレームをしつこく伝え続けるといった行為が該当します。3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
窃盗罪
刑法235条に定められている窃盗罪は、他人の財産を侵害する犯罪の一つです。飲食店にある備品を盗む行為が該当します。10年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
器物損壊罪
刑法261条に定められている器物損壊罪は、他人の物を損壊し、または傷害したときに成立する犯罪です。食器を割るなどの物理的な行為だけでなく、食品に大量のわさびをつける、唾液をつける行為も器物損壊罪に該当します。3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処せられます。
まとめ
飲食店での迷惑行為は犯罪となり得る行為です。ちょっとした冗談のつもりでやったとしても、多額の損害賠償請求や刑事事件になる可能性があります。モラルのある行動をとることを心掛けましょう。