【補導歴と非行歴の違い】デメリットや前科との違いについても詳しく解説

補導歴、非行歴という言葉を聞いたことがある方もおられると思います。

今回は、両者がどう違うのか、前科とはどう違うのかなどについて解説します。

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「補導」とは

「補導」とは、主に「街頭補導」のことを指します

街頭補導が行われる場所

街頭補導が行われる場所は

  • 道路その他の公共の場所
  • 駅その他の多数の客の来集する施設
  • 風俗営業の営業所その他の少年の非行が行われやすい場所

です。

街頭補導の対象となる少年(20歳未満の者)

街頭補導の対象となる少年は、

  • 非行少年:犯罪少年、触法少年、ぐ犯少年 ※詳細は「非行歴とは」で解説します
  • 不良行為少年:非行少年には該当しないが、飲酒、喫煙、深夜徘徊その他自己又は他人の徳性を害する行為(不良行為)をしている少年

【17種類の不良行為】

  • 飲酒
  • 喫煙
  • 深夜はいかい
  • 薬物乱用
  • 粗暴行為
  • 刃物等所持
  • 金品不正要求
  • 金品持ち出し
  • 性的いたずら
  • 暴走行為(自動車等の運転に関し、交通の危険を生じさせ、若しくは他人に迷惑を及ぼすおそれのある行為又はこのような行為をする者と行動をともにする行為)
  • 家出
  • 無断外泊
  • 怠学(正当な理由がなく、学校を休み、早退するなどの行為)
  • 不健全性行為
  • 不良交友(犯罪性のある者その他少年の健全育成上支障のある者と交際する行為)
  • 不健全娯楽(少年の健全育成上支障のある娯楽に興じる行為)
  • 指定行為(不健全就労)
  • 被害少年:犯罪その他少年の健全な育成を阻害する行為により被害を受けた少年
  • 要保護少年:児童虐待を受けた児童、保護者のない少年その他の児童福祉法による福祉のための措置又はこれに類する保護のための措置が必要と認められる少年

です。

「非行少年」に対して行われる措置

事件の捜査、調査です。

「犯罪少年」は、取調べや場合によっては逮捕など、成人と同様の捜査を受けます。

他方で、触法少年、ぐ犯少年が逮捕されることはありませんが、事件の事実、原因・動機並びに少年の性格、行状、経歴、教育課程、家庭環境、交友関係等について警察官から聴取等を受けます。

「不良行為少年」に対して行われる措置

非行を防止するための助言又は指導、保護者(学校又は職場の関係者に連絡することが特に必要であると認められる場合は、保護者及び当該関係者)への連絡。

「被害少年」に対して行われる措置

助言その他必要な支援、カウンセリング、関係者への助言、その他の継続的支援

「要保護少年」に対して行われる措置

児童福祉法に基づく児童相談所への通告、一時保護実施のための措置、本人又は保護者に対する助言、学校関係者等に対する連絡 など

補導歴とは

以上が「補導」の意味ですが、補導歴の「補導」には「非行少年」に対する補導は除かれるのが一般的です。

非行少年に対する補導は非行歴となるからです。

したがって、補導歴という場合は、主に「不良行為少年」に対する補導の経歴だと考えるとよいです。

補導歴の情報は警察で管理され、警察が作成する書類には掲載されますが、公にならないとされています

非行歴とは

補導歴に対して、非行歴とは「非行少年」が補導あるいは検挙(逮捕など)された経歴のことです。

非行歴の情報も警察で管理され、警察が作成する書類には掲載されますが、公にならないとされています。

非行少年の種類(犯罪少年、触法少年、ぐ犯少年)については既にご紹介しましたが、それぞれの具体的な意味は以下のとおりです。

  • 犯罪少年:罪を犯した少年
  • 触法少年:14歳未満の刑事法令に触れる行為をした少年
  • ぐ犯少年:次に掲げる事由があって、少年の性格又は環境に照らして、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をする虞(おそれ)のある少年

ぐ犯少年とは

  • 保護者の正当な監督に服しない性癖のあること
  • 正当な理由がなく家庭に寄り附かないこと
  • 犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し、又はいかがわしい場所に出入りすること
  • 自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること

犯罪少年は警察・検察の捜査を受けた後、事件を家庭裁判所へ送致され、調査期間を経て、少年審判を受けるのが基本です。

少年審判では非行事実に関する審理、要保護性に関する審理などが行われた上で、少年に対して保護処分(保護観察、児童自立支援施設・児童養護施設送致、少年院送致)を出すかどうか、出すとしていかなる保護処分を出すかどうかを決めます。

また、触法少年、ぐ犯少年についても、犯罪少年と同様に、非行事件を家庭裁判所に送致され、少年審判を受け、保護処分を受けることがあります。

補導歴、非行歴の影響

補導歴、非行歴を有することで影響があるのは、再犯した場合です

つまり、再犯した場合は、補導歴、非行歴が逮捕するか否か、少年審判を開くか否か、いかなる保護処分とするかという判断に影響を与えるでしょう。

なお、就職への影響を懸念される方もおられます。

しかし、前述のように、補導歴、非行歴が一般の民間企業に公になることはありません。

また、補導歴、非行歴は履歴書の賞罰欄に記載する必要はありません(少なくとも「前科」については記載が必要です)。

もっとも、非行等によって退学処分を受けた場合には、履歴書の記載内容等から面接などで問われる可能性があり、非行歴を有することが明らかになってしまう可能性が考えられます。

前科とは?~非行歴との違い

前科とは、刑事裁判を受け、判決(又は命令)で懲役、禁錮、罰金などの刑罰を受けた証のことです。

こうした刑罰は、原則として20歳以上の成人に対して科されるものです。

したがって、20歳未満の「少年」につくのはあくまで非行歴であって、前科ではありません。

もっとも、例外的に少年にも前科がつく場合があります。それが、家庭裁判所に送致された事件を検察庁に送致された逆送事件の場合です。

現在の少年法では、

  • 家庭裁判所送致後に少年の年齢が20歳を超えること(年齢超過)が判明した場合
  • 犯罪少年が「死刑、懲役又は禁錮に当たる罪」を犯したときに14歳以上の場合において、調査の結果、事件の内容及び情状に照らし、その少年に保護処分よりも刑罰を科すことが相当と認められる場合
  • 犯罪少年が「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪」を犯したときに16歳以上の場合(ただし、一定の事情が認められる場合は逆送とならない例外あり)

に逆送事件となるとしています。

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まとめ

補導歴は「不良行為少年」に対する補導歴、非行歴は「非行少年」に対する検挙、補導歴と覚えておくとよいでしょう。

また、前科は、逆送の場合を除き、懲役、罰金などの刑罰を受けた成人につくものであって、保護処分を基本とする少年にはつきません。

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