痴漢で後日逮捕される可能性|逮捕に繋がる証拠や逮捕までの期間は?
痴漢で逮捕されるケースの多くは、現場で取り押さえられ、駅員から警察に引き渡される現行犯逮捕です。
痴漢で逮捕された場合は、次のいずれかの罪が成立します。
- 迷惑防止条例違反(6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金)
- 強制わいせつ罪(6ヶ月以上10年以下の懲役)
- 軽犯罪法違反(1日以上30日未満の拘留又は1,000円以上10,000円未満の科料)
痴漢の現場から逃げた場合、後日警察が来て逮捕される可能性はあるのでしょうか?
その場で逮捕されなかったとしても、逮捕できるだけの証拠があれば、後日逮捕される可能性は十分にあります。
この記事では、痴漢で後日逮捕されるケースについて、次のとおり解説します。
- 痴漢で後日逮捕の証拠になるもの
- 痴漢で後日逮捕されるまでの期間はどのくらい?
- 痴漢で後日逮捕された後の流れ
- 痴漢で後日逮捕されるか不安な場合にすべきことは?
痴漢で後日逮捕される不安がある方は、ぜひ参考になさってください。
痴漢で後日逮捕の証拠になるもの
ここでは、痴漢事件で後日逮捕の証拠となるものについて解説します。
後日逮捕につながる証拠となり得るものには、主に次の5つがあります。
- 被害者の供述
- 目撃者の供述
- 交通系ICカードの情報
- 駅のホームや電車内の防犯カメラ
- 繊維鑑定・DNA鑑定
ひとつずつ説明します。
被害者の供述
被害者が、不安や恐怖からその場で痴漢被害を言い出せなかったケースでも、後に駅員や警察に相談したり、被害届を提出したりする可能性があります。
このようなケースでは、過去の痴漢を理由に後日逮捕されるおそれがあります。
目撃者の供述
犯行現場に居合わせた目撃者の供述から犯人が特定される可能性があります。
通勤や通学に日常的に利用する電車であれば、犯人の顔に見覚えがあると申し出る目撃者がいる可能性は低くありません。目撃者の供述から警察が張り込んだ結果、後日逮捕につながるケースもあります。
交通系ICカードの情報
交通系ICカードの入出場記録などの情報から犯人が特定されることがあります。
電子マネーの使用履歴や定期券の履歴なども犯行現場にいたという証拠になります。
駅のホームや電車内の防犯カメラ
被害者や目撃者が犯人の顔や特徴をはっきり記憶していなくても、防犯カメラの映像から犯人を特定できることがあります。
駅構内や電車内には、多くの防犯カメラが設置されているからです。防犯カメラの映像にはっきりと顔が映っていて犯人が特定され、後日逮捕につながるケースも多くあります。
同じ電車や駅を使い続けていると、駅員や警察官の張り込みによって犯人が特定される可能性もあります。
繊維鑑定・DNA鑑定
被害者の体や衣類に着いた繊維や、被害者が抵抗して引っ搔いた爪の間に入った皮膚などが証拠になることもあります。
繊維や皮膚の鑑定結果と目撃情報等の複数の証拠を組み合わせることで、後日逮捕される可能性が高まります。
痴漢で後日逮捕されるまでの期間はどのくらい?
犯行の日からどのくらいで逮捕されるかは捜査状況によりケースバイケースです。何ヶ月逮捕されなければ安心という目安もありません。
ここでは、痴漢事件で後日逮捕されるまでの期間について、いくつかのパターンを紹介します。
犯人が特定している場合は数週間後が目安
犯人が特定しているような単純な事案では捜査にそれほど時間がかかることはありません。犯行から数週間程度で警察がきて逮捕されるケースが多くあります。
犯人が特定していない場合は半年以上かかることも
犯人が特定していない場合は、数ヶ月から1年後に逮捕されるケースもあります。
防犯カメラや目撃者の供述を精査して犯人を特定したり、被害者の証言を聞いて犯行態様を明らかにしたりするために時間がかかるからです。
公訴時効経過後は逮捕されない
公訴時効を経過すれば、検察官が起訴できなくなるため逮捕されません。
公訴時効とは、検察官が事件を起訴できる期限を指します。痴漢事件の公訴時効は、以下のとおりです。
- 強制わいせつ罪が成立する場合:痴漢行為を終えた時点から起算して7年
- 迷惑防止条例違反が成立する場合:痴漢行為を終えた時点から起算して3年
- 軽犯罪法違反が成立する場合:痴漢行為を終えた時点から起算して1年
警察が捜査していることを知ることはできるのか?
現行犯逮捕や緊急逮捕はもちろん、通常逮捕の場合も、基本的には何の前触れもありません。警察が捜査していることを知る術はなく、突然自宅などに令状を持った警察官が訪れるケースがほとんどです。
任意同行を求めるために逮捕前に呼び出されるケースを除き、警察から事前に逮捕の予定を知らされることもありません。
痴漢で後日逮捕された後の流れ
ここでは、痴漢で後日逮捕された後の流れを解説します。
警察での取り調べ
逮捕されると、警察署内の留置場や法務省所管の留置施設に身柄を留置され、警察官から取り調べを受けます。
検察官への送致
警察は、逮捕後48時間以内に事件を検察官に送致します。警察が刑事事件を捜査したときは、原則としてすべての事件を検察官に送致しなければならないからです。
ただし、検察官が指定している一定の犯罪について、警察が送致の必要なしと判断すれば微罪処分となり検察官へ送致されないことがあります。
勾留請求・勾留質問
事件の送致を受けた検察官は、送致から24時間以内に勾留するかどうかを決定します。
検察官が勾留請求すると、裁判官がその請求を許可するかどうかを判断するために、被疑者に勾留質問をします。
勾留・勾留延長
検察官の勾留請求に基づき、裁判官が勾留決定を出すと、原則10日間留置場に留め置かれます。10日間の勾留では捜査が完了しない場合は、さらに最長10日間勾留が延長されることがあります。
起訴・不起訴決定
検察官は、捜査の結果に基づいて、その事件を起訴するかどうか判断します。
検察官が、起訴すべきであると判断し、裁判所に対して起訴した場合は、刑事裁判が開始されます。
検察官が起訴しないと判断した場合は、不起訴処分となり、刑事事件は終了します。
痴漢で後日逮捕されるか不安な場合にすべきことは?
痴漢をしてしまい、その場から逃走したものの、逮捕されるか不安な場合はどうしたらいいのでしょうか。
ここでは、痴漢で後日逮捕されるか不安な場合にすべきことを解説します。
自首をする
後日逮捕されるかどうかは、目撃情報や防犯カメラの情報などから犯人が特定できるか、被害届が出されているかなどによるため、正確にはわかりません。
しかし、自首することで逮捕を免れる可能性もあります。
自首すれば、逮捕されずに在宅のまま捜査が進められるケースも少なくありません。自首することで刑が減軽される可能性もあります。
弁護士に相談する
いつ逮捕されるか不安な場合は、なるべく早く弁護士に相談することをおすすめします。
自首する場合、弁護士に依頼して被害者との示談交渉を進めることを伝えれば、在宅で捜査が進む可能性も高くなります。
逮捕された場合も、事情を把握している弁護士を呼べるのは大きなメリットになります。

まとめ
駅構内や電車内など、街中の至る所に防犯カメラが設置されています。犯行現場から逃げ出しても、後日逮捕される可能性がないとは言えません。
自分では少し触れただけの小さな犯行だと思っていても、被害者は非常に大きな精神的苦痛を受けています。
痴漢事件では、さらなる刺激を求めて犯行を重ねたり、大きな事件を起こしたりするケースも少なくありません。早い段階でしっかり反省をし、犯行を重ねないことが重要です。
後日逮捕されるか不安な場合には、早めに弁護士に相談することをおすすめします。