暴行罪は何年で時効が成立するのか?時効の種類と効果について解説
知り合いと言い争いになり、思わず手が出てしまい、暴力事件を起こした人は、その場で逮捕されなくても不安な日々を過ごすことになります。もしかしたら時効が成立すれば逃げ切れる…と思っている人がいるかもしれません。
今回の記事では、暴行罪は何年で時効が成立するのか、時効の種類と効果について解説します。
目次
暴行罪の時効は何年で成立するか?
ここでは、暴行罪の時効は何年で成立するのかについて解説します。
暴行罪の時効は、刑事の時効と民事の時効の2種類があります。
公訴時効(刑事)の場合
暴行罪の公訴時効は3年です。時効が成立すれば、暴行罪について公訴の提起(起訴)ができなくなります。公訴時効が成立すれば、逮捕や捜査されることはありません。
消滅時効(民事)の場合
暴行罪に該当する行為を行った場合は、不法行為による損害賠償や慰謝料請求といった民事的な責任を問われることもあります。こうした民事責任の消滅時効は5年です。
なお、被害者が暴行による損害と加害者のいずれかを知らないまま20年経過した場合も時効が成立します。消滅時効が成立すれば、被害者は加害者に対して損害賠償や慰謝料請求はできません。
暴行罪の時効の起算点はいつか?
ここでは、暴行罪の時効の起算点(時効がスタートする時)はいつになるのかについて解説します。
公訴時効(刑事)の場合
暴行罪の公訴時効が開始する起算点は、暴行が終了した時です。例えば2023年10月4日の23時59分に暴行を始めて10月5日0時5分に終了したら、10月5日が公訴時効の起算点となります。
消滅時効(民事)の場合
消滅時効は、被害者が暴行による損害と加害者の両方を知った時から時効がスタートします。見知らぬ人に暴行をした場合、被害者が加害者のことを知るまでは、時効の進行は開始しません。
暴行罪の時効に関するQ&A
ここでは、暴行罪の時効に関して、よくなされる質問について解説します。
3年間国外に逃亡すれば時効は成立する?
暴行罪の公訴時効は加害者が国外にいる場合、時効の進行が停止します。これは海外旅行のように短期間の渡航にも当てはまります。
例えば2023年5月5日に暴行事件を起こし、5月10日から6月10日まで海外渡航をした場合は、時効は一時停止され、帰国した日から残りの時効の進行が再開します。
暴行事件を起こしたら、時効成立を待つべきか?
令和4年版犯罪白書によれば、暴行事件の検挙率は88.0%と非常に高い数字を示しています。このことから暴行罪は検挙されやすい犯罪といえるかもしれません。
暴行事件は親告罪ではないので、被害者が被害届を出さなくても加害者を逮捕・捜査ができます。時効成立を待つのは、賢明な選択肢ではありません。
暴行罪の時効を待たずにすべきこととは?
暴行罪の時効を待たずに加害者がすべきことは、被害者との示談交渉です。
示談交渉が成立すれば、被害者が被害届を出す可能性は低くなりますし、そうなれば逮捕・捜査の可能性も低くなります。
被害者がひどい言いがかりをつけてきたので、カッとなってつい暴力をふるってしまっても、先に手を出した人が加害者となります。自分が加害者になることを認めたくないかもしれませんが、客観的に自分の行動を振り返って、被害者との示談交渉に臨みましょう。
被害者がどこの誰なのか分からず、示談交渉ができない場合もあります。その際はいつ逮捕されるかとビクビクして過ごすよりは、罪を認めて自首をしましょう。自首をすれば情状がよくなるので、不起訴となる可能性があります。
暴行事件を起こしたら、早めに弁護士に依頼するメリット
ここでは、暴行事件を起こしたら早めに弁護士に依頼するメリットについて解説します。
必要な場合は、自首に同行してもらえる
通りすがりの人と暴力沙汰になり、示談交渉をしたくてもできない場合は、すぐに弁護士に依頼をしましょう。弁護士であれば状況を把握して、どのような対応をすればいいかアドバイスができます。弁護士が必要だと判断すれば、自首に同行してもらえることもあります。
被害者との示談交渉を任せられる
暴力をふるわれた被害者が、加害者と会って示談交渉をするのは難しいものです。被害者には暴力を振るわれた時の恐怖心が残っているため、もう一度会う気にはなれないからです。しかし、被害者と会わないことには、示談交渉は進められません。そんなときに弁護士が間に入ることで、被害者の気持ちも少しは落ち着き、示談交渉が進められる可能性があります。加害者にとって非常に重要な被害者との示談交渉は、弁護士に任せたほうがよいです。
まとめ
暴行罪の公訴時効は3年と聞いて、長いと考えるか短いと考えるか、人それぞれです。
しかし、3年なら何とかなるかもしれないと公訴時効成立を待つ選択はおすすめできません。
どのような事情があっても先に暴力をふるってしまったら罪を償わなければいけません。暴行事件に関わったら、すぐに弁護士に相談をしましょう。