配偶者の不倫が発覚した際、「不貞慰謝料を適切に請求できるかどうか」と不安に感じる方も少なくありません。
被害者として「配偶者と不倫相手の両者から不貞慰謝料を請求したい」と考えるのは自然な感情です。
しかし、実務上は「不貞慰謝料の二重取り」という問題がよく取り上げられ、配偶者や不倫相手のどちらから請求すべきか、またその金額や方法に迷うケースが少なくありません。
【本記事で解決できる疑問】
- 不倫相手に慰謝料を請求したいが、先に配偶者から受け取った場合でも請求可能か – 配偶者と不倫相手の双方から慰謝料を受け取った場合、返還リスクはあるか – 不貞慰謝料の二重取りは法律上問題になるのか
この記事では、不貞慰謝料の二重取りが可能かどうか、配偶者と不倫相手の双方に請求する際の法的ルール、さらに注意すべき「求償権」について、実務上の判断も踏まえてわかりやすく解説します。
| 【結論|不貞慰謝料の二重取りは原則できない】 ・原則:損害額を超える不貞慰謝料の二重取りは、民法・判例上認められません。 ・実務:配偶者と不倫相手双方に慰謝料を請求すること自体は可能ですが、合計額が損害額を超える場合には返還請求のリスクがあります。 ・注意:既に一方から損害の全額を受け取った場合、他方への請求は実務上困難です。 ・対策:示談書で名目を明確化し、求償権の取り扱いを工夫することで、慰謝料の回収を適正に最大化できる場合があります。 |
目次
不貞行為慰謝料の二重取りは可能?|配偶者と不倫相手への請求の原則
不倫問題を解決する際にまず理解しておくべきことは、「不貞行為は一人では成立しない」という点です。
とりわけ、
「不貞慰謝料の二重取りは可能か」「配偶者と不倫相手のどちらに請求すべきか」 といった疑問は、慰謝料請求を検討する多くの方が検索する重要なテーマです。
結論|不貞行為慰謝料の二重取りは原則できないが、双方に請求可能
原則として、裁判実務上認められる損害額を超えて不貞慰謝料を二重に受領することは、損害填補の原則(民法第709条・民法第719条)および不当利得(民法第703条)の法理に照らし、認められないと解されています。

例えば、裁判所が当該事案の婚姻関係の状況や不貞行為の態様などを踏まえて妥当と判断する慰謝料額(損害額)が300万円とされた場合、配偶者から300万円、不倫相手から300万円、合計600万円を受け取ることは、原則として損害額を超える受領となり、「不貞慰謝料の二重取り」と評価される可能性があります。
不貞慰謝料は、原則として配偶者と不倫相手の双方に請求することが可能ですが、合計受領額が客観的な損害額を超えた場合、超過部分については不当利得として返還請求を受ける可能性がある点に注意が必要です。
なぜ配偶者と不倫相手の双方に請求できる?|共同不法行為・連帯責任

不貞行為は、実務上「共同不法行為」にあたるとされています。
- 民法第709条(不法行為責任):故意または過失によって他人の権利を侵害した者は、損害を賠償する責任を負います。
- 民法第710条(精神的損害の賠償):財産以外の損害(精神的苦痛)に対しても賠償義務があります。
- 民法第719条(共同不法行為による連帯責任):数人が共同の不法行為によって損害を加えた場合、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負います。
配偶者と不倫相手の不貞行為は、この「共同不法行為」に該当するため、被害者は、連帯責任の法理に基づき、各加害者に対して損害額全額の支払いを請求することができると解されています。
連帯責任とは?|どちらにも全額請求できる理由と損害額の考え方
連帯責任とは、各加害者が損害額の全部について責任を負い、被害者はそのいずれに対しても損害額全額を請求できる法的構造をいいます(民法第719条)。
例えば、損害額が300万円の場合、被害者は不倫相手だけに300万円を請求してもいいですし、配偶者に300万円を請求しても構いません。
一方が「自分は半分しか支払わない」と主張しても、連帯責任の関係では被害者に対してその主張は原則として認められません。
それでも不貞行為慰謝料の二重取りができない理由
「なぜ配偶者と不倫相手それぞれに全額請求できるのに二重取りができないのか。」 それは日本の損害賠償制度が「損害の補填」を目的としているからです。
被害者が受けた精神的苦痛が「300万円分」であれば、加害者のいずれかがその全額を支払った時点で損害は補填されたとみなされます。
したがって、損害額を超えて受領した部分については、民法第703条に基づく不当利得として返還義務が生じる可能性があります。
【具体例】不貞行為慰謝料の二重取りになるケース・ならないケース
結論としては、「受領した慰謝料の合計額が、裁判実務上の客観的な損害額を超えているかどうか」が主な判断基準となります。
ケース①|【二重取りにならない】双方から分割して受け取る

損害額300万円に対し、A(配偶者)から150万円、B(不倫相手)から150万円
→ 合計が損害額の範囲内であれば原則として二重取りには該当しません。 #### ケース②|【二重取りにならない】一方が不足分を補填する

損害額300万円に対し、A(配偶者)から50万円受領。その後、B(不倫相手)から250万円受領
→ 先に一部を受け取っていても、残額を他方に請求するのは原則として二重取りには該当しません。
ケース③|【二重取りになる】一方が既に全額支払っている

損害額300万円に対し、A(配偶者)から300万円受領。さらにB(不倫相手)へ300万円請求
→ 既に損害が100%埋まっているため、追加の請求は原則として二重取りに該当します。 ## 不貞行為慰謝料の二重取りが問題とならない例外的ケース
原則として、不貞慰謝料の二重取り(損害額を超える受領)は認められません。
もっとも、当事者間の合意内容や慰謝料の法的性質によっては、形式上二重に支払われているように見えても、二重取りに該当しない例外的ケースもあります。
以下では、裁判実務や契約実務で問題となりやすい代表例を解説します。
①三者間で支払いを合意した場合
配偶者、不倫相手、被害者の三者が明確に合意し、「配偶者300万円、不倫相手300万円をそれぞれ支払う」といった内容を示談書として締結した場合、その合意は原則として民法上の契約として有効に成立します。
当事者が十分な事情説明のもとで任意に合意した金額であれば、合意額が裁判実務上想定される客観的な慰謝料額を上回っていたとしても、直ちに無効になるわけではなく、有効と評価されることが一般的です。
もっとも、公序良俗違反(民法第90条)に該当するような著しく過大な金額である場合には、別途問題となる可能性があります。
②配偶者の慰謝料に不貞以外の損害が含まれる場合
配偶者から受け取った金銭が「不貞行為の慰謝料」だけでなく、以下のような名目を含む場合、不倫相手への請求分とは別個のものとして扱われる可能性があります。
- 離婚による精神的苦痛(離婚慰謝料) – DVやモラハラに対する慰謝料 – 財産分与の意味を含む解決金
これらは、不倫相手が共同不法行為として責任を負う「不貞行為による精神的損害」とは法的性質が異なると整理されるため、損害の範囲が区別できる場合には、二重請求(重複)とは評価されにくい傾向があります。
不貞慰謝料は共同不法行為に基づく連帯責任であるため、被害者がどちらから回収したかにかかわらず、最終的には加害者間の内部的な負担割合(求償関係)が問題となります。
そのため、不貞慰謝料の回収方法や示談設計を検討する際には、将来的な「求償権の行使リスク」を踏まえた対応が重要です。
不貞行為慰謝料の支払後に生じる求償権と配偶者・不倫相手の負担割合
不倫相手に慰謝料全額を支払わせた場合でも、その後に思わぬトラブルとなり得るのが「求償権(きゅうしょうけん)」の問題です。
特に、「配偶者に請求がいくのか」「家計に影響はあるのか」といった点は、多くの方が不安に感じるポイントです。
求償権の法的根拠(民法第442条)
求償権とは、連帯責任を負う加害者のうち一引入が自己の内部的負担割合を超えて支払った場合に、他方の加害者に対して超過部分の返還を求めることができる権利をいいます。
求償権は、連帯債務者間の内部関係について定める民法第442条に基づき認められており、共同不法行為(民法第719条)により連帯責任を負う場合にも、その趣旨が類推適用されると解されています。

負担割合はどのように決まるか
内部的な負担割合は、不倫の主導性や不倫相手が既婚であること・子がいることを認識していたかといった事情を総合考慮して、裁判実務上判断される傾向があります(例:配偶者6:不倫相手4など)。
例えば、負担割合が配偶者6:不倫相手4のケースで、不倫相手が全額(10割)慰謝料を支払った場合、後から配偶者に対して内部的負担割合に応じた「4割分を返してほしい」と求償請求がなされる可能性があります。
そのため、慰謝料の回収方法を検討する際には、将来的な求償関係まで見据えた設計が重要になります。
求償権による被害者への影響
被害者が適法に慰謝料を受け取ること自体に、直ちに法的な影響が及ぶわけではありません。
しかし、離婚をせずに婚姻関係を継続する場合、不倫相手から配偶者に対して求償請求がなされると、結果として家計全体に影響が及ぶ可能性があります。
このような場合には、慰謝料の回収方法や求償権対策を事前に整理し、示談書における条項設計まで検討しておくことが重要です。
求償権についてより詳しい内容は、「図でわかる!不貞慰謝料の求償権とは?知っておくべきポイントを解説」の記事をご参照ください。
既に一方から不貞行為慰謝料全額を受け取った場合の対応
「配偶者からすでに不貞慰謝料の全額を受け取ったが、不倫相手にも請求できるのか」という相談は実務でも多く、法的評価は事案ごとに異なるため、慎重な検討が求められる場面です。
原則|他方への請求は困難(不貞慰謝料の二重取りは認められない)
裁判例の傾向や個別事情を踏まえ、損害額として相当と評価される不貞慰謝料の全額をすでに配偶者から受領している場合、不倫相手への請求は「損害が既に補填された」として認められない可能性が高いと考えられます。
ここでいう「全額」とは、単に支払額の大小だけでなく、
- 婚姻期間 – 不倫の期間・態様 – 離婚の有無 – 精神的苦痛の程度 などの個別具体的な事情を踏まえ、裁判所が損害額として相当と評価する水準に達しているかによって判断されます。
そのため、形式的に「満額をもらった」と思っても、法的に本当に「損害額の全額」が補填されたかどうかは慎重に確認する必要があります。
例外|示談書の内容次第で追加請求できる場合
ただし、次のような場合には、不倫相手への追加請求が法的に認められる余地が生じる場合があります。
①支払いが「一部弁済」と明記されている場合
示談書に
「本件慰謝料の一部として支払う」 といった記載がある場合、損害の全額が補填されたとは評価されにくくなります。
②離婚慰謝料や財産分与的要素が含まれている場合
配偶者から受け取った金銭が、
- 離婚自体の精神的苦痛 – 財産分与的解決金 などを含む包括的解決金である場合、「不貞慰謝料部分」がいくらかが争点になります。
この場合、不倫相手側が「すでに損害は全額補填されている」と主張・立証したとしても、その立証が十分でない場合には、追加請求が認められる可能性があります。
示談書・合意書で不貞行為慰謝料の二重取りトラブルを防ぐ方法
適切な慰謝料を確保し、後からの返還請求(求償権の行使)や裁判上のトラブルを防ぐためには、示談書の文言設計が実務上きわめて重要な役割を果たすとされています。
「不貞慰謝料の二重取り」と評価されるかどうかは、最終的には示談書の内容や条項設計の内容が大きく影響します。
特に、求償権放棄条項・清算条項の記載方法は、実務上も検索上も関心の高い論点です。
示談書・合意書に記載すべき条項
※以下の条項例では、甲を請求者(被害者)、乙を支払者、丙をもう一方の不倫当事者とします。
①支払金額と名目
| 【例】 乙は、甲に対し、不貞行為に対する慰謝料として○○○万円の支払い義務があることを認める。 |
支払いの趣旨や請求名目を明確に記載します。
離婚慰謝料や財産分与的要素を含む場合は、慰謝料内訳を分けて示すことが実務上重要です。
②清算条項
| 【例】 甲及び乙は、甲と乙の間には、本示談書に定めるもののほか、何らの債権債務がないことを相互に確認する。 |
清算条項とは、示談書で定めた条項以外に、当事者間に一切の権利義務関係がないことを確認する条項です。
清算条項を入れることで、原則として当事者間の追加請求を制限する効果が期待できます(もっとも、第三者との関係には当然には及びません)。
③求償権の扱い
| 【例】 乙は、丙に対する、本件不貞行為に基づく求償権を放棄する。 |
不倫相手との示談では、求償権放棄の条項を盛り込むことが実務上重視されます。
これを盛り込まない場合、後日、配偶者が求償請求される可能性があり、家計全体に影響が及ぶ可能性があります。
④接触禁止条項
| 【例】 乙は、丙との交際を解消し、今後いかなる理由があろうと、丙と電話やメール、SNS等の手段を用いて連絡や接触を一切しないことを約束する。 |
再発防止や精神的平穏の確保のため、連絡禁止・接触禁止条項もあわせて定めるのが一般的です。
実務上の注意点|求償権放棄は“当然”には成立しない
求償権放棄の特約は、自動的に成立するものではありません。
なぜなら、求償権の放棄は支払う側にとってデメリットとなるからです。
交渉によって明確に合意し、その内容を書面化することで、原則として法的効力が認められると解されています。
そのため、
- テンプレートの安易な流用 – 当事者間のみで作成した簡易な覚書 – 口頭合意のみ で済ませることは、将来的な紛争が生じるリスクを高めます
示談書の作成についてより詳しい内容は、「不倫の示談書の書き方と自分で作成する際の注意点【テンプレート付】 」の記事をご参照ください。
不貞行為慰謝料の相場と増減要素
慰謝料はいくら請求できるのか、慰謝料の相場はいくらなのかは、多くの方が最初に疑問に持つポイントです。
「不貞慰謝料の二重取り」が問題となる前提としても、まずは慰謝料の相場を正しく理解しておくことが重要です。
慰謝料には、法律上の明確な基準額は存在せず、過去の裁判例や判決傾向の積み重ねによって形成された相場を参考に判断されます。
不貞行為慰謝料の相場はいくら?【ケース別の目安】
事案の内容によって変わりますが、裁判例上みられるおおよその目安は次のとおりです。
- 離婚しない場合:50万円〜150万円程度 – 別居に至った場合:100万円〜200万円程度 – 離婚する場合:150万円〜300万円程度 ※もっとも、具体的な事情により大きく変動するため、あくまで参考にすぎません。 なお、これらはあくまで総額の目安であり、配偶者と不倫相手の双方から受け取る金額の合計がこの範囲内に収まる傾向にあります。
不貞行為慰謝料の増額要素・減額要素
慰謝料額は、以下の事情を総合的に考慮して決まります。
増額要素
- 期間・頻度:不倫期間が長く、回数が多いほど慰謝料が増額方向に考慮される傾向があります。
- 悪質性:妊娠・出産に至った事情、家庭破壊を目的とした行為、開き直りと評価される態度などは、慰謝料が増額方向に考慮されることがあります。
- 未成年の子の存在:子どもへの影響が大きい場合、慰謝料が増額方向に考慮される傾向があります。
- 主導性:不貞行為を積極的に主導した側の慰謝料が増額方向に考慮される傾向があります。
減額要素
- 婚姻関係の破綻:不倫前から別居状態や実質的破綻があった場合、慰謝料が減額または認められない可能性があります。
- 期間・頻度:不倫期間が短期、回数が数回程度の場合は、慰謝料が減額方向に考慮されることがあります。
- 反省の有無:真摯な謝罪や早期解決がなされた場合、慰謝料が減額方向に考慮されることがあります。
不貞行為慰謝料の裁判相場と示談金の違い
一般的に、交渉段階では一定の上乗せを前提に請求が行われることもあるため、結果として裁判で認定される金額のほうが低くなるケースもあります。 ただし、事案によっては裁判のほうが高額となる場合もあり、一概にはいえません。
そのため、交渉段階では
- 証拠の強さ – 相手の支払能力 – 早期解決のメリット などを踏まえて金額を検討することになります。
不貞行為慰謝料の相場を知ることが「二重取り」問題の前提になる
「不貞慰謝料の二重取り」が問題となるのは、損害額の上限を超えるかどうかが判断基準となるためです。
つまり、
- そもそも慰謝料の相場はいくらか – どの事情によって増減する傾向があるか – 配偶者と不倫相手のどちらに対して、どの範囲で請求できるのか を整理しておかない限り、「不貞慰謝料の二重取りかどうか」は実務上判断が難しいと考えられます。
具体的事案については弁護士への相談が望ましいでしょう。
不貞慰謝料の相場についてより詳しい内容は、「15の判例から見る不倫慰謝料の相場と増額のための3つのポイント」の記事をご参照ください。
不貞行為慰謝料の時効|請求できなくなる前に確認を
不貞慰謝料の時効は、原則として「損害及び加害者を知った時から3年」、または「不法行為の時から20年」とされています(民法第724条)。
いずれも改正民法上は消滅時効と整理されています。
「まだ時間がある」と思って放置している間に、請求権が消滅してしまうケースも少なくありません。
不貞慰謝料の二重取りを検討する前提としても、まず請求権が時効により消滅していないかを確認する必要があります。
民法第724条|不貞行為慰謝料の消滅時効と起算点
不法行為に基づく損害賠償請求権の時効は、民法第724条(消滅時効)に定められています。
知った時から3年
「損害および加害者を知った時」から3年間で、請求権は時効にかかります。
ここで重要なのは、
- 不倫の事実を知ったこと 2. 不倫相手が誰か特定できたこと の両方が必要とされる点です。
単なる疑いでは不十分で、通常は客観的証拠により加害者や不倫の事実が把握できたと認められる時点が、時効の起算点となるとされています。
ただし、事案ごとに判断が異なるため、専門家に相談することが推奨されます。
不法行為時から20年
不倫があった時から20年が経過すると、知っていたかどうかに関係なく、請求権は時効が完成すれば消滅します。
継続的な不倫の場合には、各不貞行為ごとに損害が発生すると整理されることが多く、実務上は最後の不貞行為時を基準に判断されるケースが一般的です。ただし、具体的事情により異なります。
※もっとも、裁判上の請求などにより「時効の完成猶予」や「時効の更新」がなされれば、時効の進行を止めることができます。
不貞慰謝料の時効についてより詳しい内容は、「不貞行為の慰謝料請求はいつまで?起算点や時効が近い時の対処法」の記事をご参照ください。
不貞行為慰謝料の時効を止める方法|更新・完成猶予
「示談交渉をしているから時効は止まる」と思い込むのは危険です。
原則として、単なる示談交渉のみでは時効の完成は猶予されず、進行します(特段の合意がある場合を除きます)。
そのため、時効完成を防ぐには、以下のような法的手続・裁判上の措置が必要です。
- 裁判上の請求をする(民法第147条第1項第1号:時効の完成猶予・更新) – 調停を申し立てる(民法第147条第1項第3号:時効の完成猶予・更新) – 催告をする(内容証明郵便を送る・民法第150条:6か月間の時効の完成猶予) – 慰謝料請求についての協議を行う旨の合意を書面で残す(民法第151条:時効の完成猶予) – 慰謝料の支払い義務があることを承認させる(民法第152条:時効の更新) 不貞慰謝料の時効を止める方法についてより詳しい内容は、「不倫慰謝料請求の時効を止める方法|焦りによる失敗を避けるには? 」の記事をご参照ください。
時効は「知らなかった」では止まらない
「精神的に辛くて何もできなかった」「証拠が十分に集められなかった」といった事情があっても、原則として時効は進行します。
そのため、
- 不倫相手が判明した – 証拠を確保できた – 示談がまとまらない といった段階に至ったら、実務上も早期に法的手続や弁護士相談で時効管理を進めることが推奨されます。
不貞慰謝料は弁護士に依頼すべき?二重取り・求償権リスクを防ぐ方法
不貞慰謝料請求を自己判断で進めた結果、思わぬトラブルに直面するケースがあります。
不倫相手から配偶者に求償請求が来た – 示談や交渉を放置したため、時効が完成し請求権が消滅した こうした失敗を避けるためには、最初から法的設計を考慮して請求戦略を立てることが重要です。
慰謝料の請求は、単に金銭を受け取る手続きではなく、以下の法的設計のポイントを整理することが重要です。不貞慰謝料の二重取りにあたるか – 誰にどの名目でいくら請求するか – 示談書に何を記載すべきか といった法的設計を誤ると、本来得られる慰謝料を失う可能性があります。
二重取りの指摘を回避し、適正な慰謝料を確保
不貞慰謝料の請求では、相手方から
「それは二重請求ではないか」
と反論されることが少なくありません。
弁護士が介入することで、以下の対応が可能です。
- 損害額の算定根拠を整理する – 共同不法行為(配偶者と不倫相手が連帯責任を負う構造)を踏まえた請求設計を行う – 示談書の名目・内訳を明確化する これにより、法的に認められる範囲で慰謝料請求を検討できる場合があります。
求償権放棄の交渉
不倫相手に慰謝料を支払わせても、その後に配偶者に対する求償権(返還請求)が行使されれば、家計全体で実質的な負担が残る可能性があります。
弁護士は、以下の対応を検討することが一般的です。
- 求償権放棄特約を示談書に組み込む – 放棄条項の法的有効性を確保する – 示談書の文言整合性をチェックする これにより、将来の紛争リスクを軽減できる可能性があります。
感情的交渉を避け、法的に優位な立場を確保
当事者同士では感情が先行し、交渉が硬直化しやすくなります。
弁護士が介入した場合、事案に応じて以下のような対応が検討されることが一般的です。
冷静かつ法的根拠に基づいた主張を行う – 不必要な対立を回避する – 示談交渉を迅速に進める – これにより、法的に有利な立場を検討できる可能性があります。 ## まとめ|不貞行為慰謝料の二重取りで後悔しないために
「不貞慰謝料の二重取り」は、単に2人から請求できるかという問題ではなく、共同不法行為や連帯責任の法的構造を踏まえた整理が必要なテーマです。
請求方法や示談書の内容によっては、想定より低額での解決となる – 求償権の問題が後から生じる – 時効の完成により請求が困難になる といった可能性もあります。
慰謝料問題では、初期段階での法的整理が重要です。
配偶者と不倫相手の双方への請求を検討している場合や、示談交渉を進めている場合には、具体的事情に応じた判断が必要となります。
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この記事の監修弁護士

はじめまして。ネクスパート法律事務所 東京オフィス弁護士の石田志寿です。
これまで家事事件をはじめ、不倫慰謝料や離婚など男女問題に特化した事件に携わってまいりました。その中でも、夫婦関係や不倫問題のご相談は、法律論だけでなくお気持ちへの配慮が重要となる分野だと強く感じております。
私が大切にしているのは、まずお話を丁寧に伺うことです。ご相談者様が抱えている不安や葛藤を正確に理解したうえで、法的に適切かつ現実的な解決策をご提案いたします。
「相談したら気持ちが落ち着いた」「話しやすかった」といったお声をいただくことも多く、心に寄り添う姿勢と、解決に向けた冷静な判断の両立を常に意識しております。
一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。












