関係自体は約9年と長期間だが、不法行為を構成するのは約6年であり不貞行為の回数・頻度も少ないことを考慮して慰謝料200万円を認めた事例

愛之助が不二子と不貞行為に及んだとして、不二夫が愛之助に対して慰謝料等の損害の賠償を請求した事案である。
愛之助は、平成19年の春頃、勤務先に派遣されてきた不二子と知り合い、共通の趣味があったことから親しくなり、同年の年末頃から交際するようになり、不二子と関係を持った。

不二夫らは約5年にわたり同居しただけでなく、生活費を負担し合い、またお互いの家族との交流を行っており、婚姻前の不二夫らの関係は内縁もしくは事実上の婚姻関係と評価する余地は多分にあるが、愛之助は不二子と交際する前から、不二夫はただの同居人である、夫でも夫候補でもないなどと聞かされおり、不二子の言葉のみを聞いていた愛之助が、不二子と男女関係を有するに際し、不二夫が内縁ないし事実上の婚姻関係と評価すべき関係にあると認識していたと認めるべき証拠が存しないのはもちろんのこと、かかる認識を抱かなかったことにつき過失があると認めることもできないとし、不二子から渡米に際して不二夫と婚姻する意向を告げられた以前の事実婚状態の時期においては、愛之助において不法行為が成立しないとされた。


不二夫が、愛之助らの不貞行為をしり、精神的にも肉体的にも大きな負担と衝撃を受けたものと認められ、アメリカ本社への転籍を断ったことに不貞行為の存在が影響していることを否定できるものではないとしたが、愛之助らの関係自体は約9年の長期間にわたるものであるが、不法行為を構成するのはそのうち約6年に限られるが不二子が結婚を機に渡米した後、帰国したのは3回ないし4回程度であり、愛之助は帰国の都度、滞在期間のうちの1、2日ほど不二子と会っていたにとどまるり、不貞行為の回数なり頻度としてもこの日数を超えることはなく、不法行為の対象期間が約6年であることと対比しても、多くの回数であるとか高い頻度であること、渡米後にも愛之助との関係を維持すべく積極的に行動していたのは不二子の方であること、不二夫が、愛之助のみに対して本訴を提起して不二子を当事者とせず、今後の賠償請求についても明確な考えを有するに至っていない状況にあることを考慮し、慰謝料は200万円、弁護士費用20万円の220万円が相当とされた。

当事者の情報

不貞期間約6年
請求額3300万円
認容額220万円
子供人数
婚姻関係破綻の有無

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