不貞行為の事実を第三者へ開示したことを慰謝料額の算定に考慮して慰謝料80万円を認めた事例

不二夫が不二子と愛之助が不貞行為に及んだことにより精神的苦痛を被ったとして連帯して慰謝料500万円及び弁護士費用50万円の支払いを求めたところ、不二子が不二夫に対し、不二夫が不二子の両親に対して送付した手紙の内容は名誉を棄損し、人格権を侵害するとともに脅迫に当たるとして慰謝料100万円および弁護士費用10万円の支払いを求めた事案である。


愛之助と不二子は、同じ会社で勤務する上司と部下の関係であり、肉体関係を持つようになり、不二子から不二夫に対し離婚を求めるようになった。


不二子が不二夫に対して離婚を申し出るより以前に愛之助との不貞関係を開始したことを正当化できるものはなく、愛之助には少なくとも過失が認められたが、不貞関係の継続は比較的短期間といえ、その態様がことさら悪質であったとまでは評価することができないこと、また、協議離婚が成立してから約3カ月後に不二子の両親に送ったとされる不二夫の手紙は、不二子らが婚姻期間中に不貞行為に及んでいた事実、判明した経緯や証拠、不二子の職歴、愛之助へ損害賠償請求をした事実等を詳細に述べた上で、不二夫の所感や推論を不二子の両親に伝えるもので、その内容は不二子の両親にとって拡散を望まないものであり、不特定多数の第三者に開示することは想定しがたく、公然性を欠くというべきであり名誉棄損を構成せず、直ちに不二子の人格権を侵害するものとは認められないし、脅迫を構成するものとも認められず不法行為は成立しないとされたが、慰謝料額の算定に当たって考慮されるべき事情というべきであり、慰謝料額は80万円、弁護士費用は8万円が相当とされた。

当事者の情報

不貞期間約4カ月
請求額連帯して550万円
認容額連帯して88万円
子供人数なし
婚姻関係破綻の有無不妊治療や旅行や登山に同行するなどしており、不貞関係前より夫婦関係が円満でなくなったとは認められない

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