浮気相手に対する慰謝料請求の仕方・手順と離婚しない場合の注意点

  • 最終更新日: 2024.08.2

夫の不倫を知ってしまったあなたは、夫の裏切りを許すことができず、今後どうするべきか迷い苦しんでいることとお察しします。
信じていた夫に裏切られ、離婚が頭をよぎることでしょう。しかし、子どもに与える影響や今後の生活を考えると、離婚を躊躇してしまうのも無理もありません。
夫と離婚しない場合、浮気相手だけに慰謝料請求を検討する方も多いでしょう。

この記事では、浮気相手に対する慰謝料請求の仕方・手順や、離婚せず浮気相手だけに慰謝料請求する場合の注意点などを紹介します。

夫の不倫が発覚!離婚せずに浮気相手に慰謝料請求できる?

夫が不倫していたけれど離婚したくない場合、離婚せずに浮気相手だけに慰謝料を請求できます

不倫(不貞行為)は、不倫をした配偶者と相手の共同不法行為にあたり、あなたの夫と浮気相手は、あなたに対して共同して慰謝料を支払う義務を負うからです。

この場合の夫と浮気相手の関係は、不真正連帯債務の関係となり、あなたは夫と浮気相手のどちらに対しても慰謝料全額の支払いを請求できます。

ただし、浮気相手に慰謝料請求するためには、いくつかの条件があります。

次章で、浮気相手に対する慰謝料請求の仕方・手順を紹介します。
慰謝料請求が認められるケースや、慰謝料請求に必要となる情報や証拠についてご確認いただければと存じます。

浮気相手に対する慰謝料請求の仕方・手順

浮気相手に対する慰謝料請求の仕方・手順として、主に以下の5つの段階があります。

  • 浮気相手に慰謝料を請求できるかどうか確認する
  • 浮気相手の氏名や住所を特定し、不倫の証拠を集める
  • 浮気相手と交渉する
  • 浮気相手との交渉がまとまったら示談書を作成する
  • 浮気相手との交渉がまとまらなければ訴訟を提起する

以下で、詳しく紹介します。

浮気相手に慰謝料を請求できるかどうか確認する

第1段階として、浮気相手に慰謝料を請求できるかどうか確認することが挙げられます。

浮気相手に不倫慰謝料を請求するためには、原則として以下の4つの要件を満たす必要があります。

  • 夫と浮気相手が性的関係を持った
  • 浮気相手が、夫が既婚者だと知っていた
  • 不倫及び浮気相手を知った時から3年以上経過していない
  • 不倫が始まった時点で夫婦関係は破綻していなかった

夫と浮気相手が性的関係を持った

浮気相手に不倫慰謝料を請求するためには、夫と浮気相手が性的関係を持ったことが必要です。

不倫(不貞行為)とは、既婚者が配偶者以外の人と性的関係を持つことです。性的関係にはセックス(性行為)のほか、オーラルセックスなどの性的類似行為も含まれます。

性的関係を持っていない場合、原則として不倫慰謝料を請求できません。ただし、性的関係を持っていなくても、性的関係があったと推認させる証拠がある場合は、不貞行為があったと認められることがあります。

不貞行為の定義については、「【不貞行為の定義とは】どこからが不倫?簡単にわかりやすく解説」をご参照ください。

浮気相手が、夫が既婚者だと知っていた

浮気相手に不倫慰謝料を請求するためには、浮気相手が、夫が既婚者だと知っていたことが必要です。

不倫慰謝料の発生には、相手方の故意・過失が必要になります。つまり、浮気相手が、交際相手が既婚者だと知らなかった、かつ知らなかったことに落ち度がない場合、不法行為は成立しません。不法行為が成立しない場合、不倫慰謝料は発生しません。

不倫及び浮気相手を知った時から3年以上経過していない

浮気相手に不倫慰謝料を請求するためには、不倫及び浮気相手を知った時から3年以上経過していないことが必要です。

不倫慰謝料を請求できる権利は、以下のいずれか短い時点で時効が完成し、消滅します。

  • 不貞行為があったこと、及び相手を知ったときから3年
  • 不貞行為があったときから20年

なお、浮気相手の顔だけ知っているなど、浮気相手の氏名・住所が特定されていない場合は、時効のカウントは開始されません。浮気相手の顔だけ知っていても、慰謝料を請求できないためです。

不倫慰謝料請求の時効については「不貞行為の慰謝料請求はいつまで?起算点や時効が近い時の対処法」をご参照ください。

不倫が始まった時点で夫婦関係は破綻していなかった

浮気相手に不倫慰謝料を請求するためには、不倫が始まった時点で婚姻関係が破綻していなかったことが必要です。

慰謝料とは、不法行為が原因で被った精神的苦痛に対して支払われる金銭です。

不倫慰謝料は、不倫という不法行為により平穏な夫婦生活が侵害されたことにより被った精神的苦痛に対して支払われます。そのため、不倫が始まる前から婚姻関係が破綻していた場合、保護されるべき権利や利益がないため、不倫慰謝料請求は認められません。

夫婦関係の破綻については、弊所離婚サイトの「夫婦関係の破綻とは|夫婦関係の破綻が認められる夫婦の特徴」をご参照ください。

上記の4つの要件を満たさないにもかかわらず浮気相手に慰謝料を請求した場合、請求を拒否される可能性が高いでしょう。不倫慰謝料を請求するための条件については、「一瞬でわかる!不倫慰謝料を請求するための条件」もご参照ください。

浮気相手の氏名や住所を特定し、不倫の証拠を集める

第2段階として、浮気相手の氏名や住所を特定し、不倫の証拠を集めることが挙げられます。

慰謝料を請求する場合、まずは浮気相手に対して具体的な請求内容を記載した書面を送付するケースが多いです。そのため、浮気相手の氏名、住所もしくは勤務先などの個人情報を特定する必要があります。

電話番号、LINEのIDなどの連絡先のみ判明している場合は、弁護士会照会制度(23条照会)を利用すれば浮気相手を特定できる可能性がありますので、弁護士への依頼も視野に入れることをお勧めします※23条照会は、弁護士が受任した事件に関してのみ、依頼人のために必要な照会を申し出られるものなので、調査のみは依頼できません)。

浮気相手の個人情報を特定して慰謝料を請求しても、不倫の証拠がなければ慰謝料請求が認められない可能性が高いです。言い訳や言い逃れを封じるためにも、夫と不倫相手が性的関係を持ったことが証明または推認できるものを集めましょう

不倫の証拠として、以下のようなものが挙げられます。

  • 性的関係を持ったことがわかる動画や写真、ドライブレコーダーの映像
  • 性的関係を持ったことがわかるLINEやメールなどのやり取り
  • ラブホテルに出入りする写真やラブホテルの領収書

ご自身で夫の不倫の証拠を集めるのが難しい場合は、探偵に浮気調査を依頼するのもひとつの方法です。

不倫の証拠については、「浮気・不倫の慰謝料請求で有効な証拠|LINEやメールだけでも請求できる?」をご参照ください。

浮気相手と交渉する

第3段階として、浮気相手と交渉することが挙げられます。

浮気相手と交渉する方法は、主に以下の2つです。

浮気相手と直接話し合って交渉する

電話やメール、直接会うなど当事者同士で話し合って交渉する方法です。

浮気相手が慰謝料の支払い義務を認め実際に支払ってくれるのであれば、請求書を準備する必要もなく、迅速な解決が期待できます。金銭的な負担が少なく済むのもメリットといえるでしょう。

しかし、浮気相手が交渉に応じてくれるとは限りません。交渉の場では慰謝料の支払義務を認めたとしても、後になって「脅された」などと言いがかりをつけて支払いを拒否されるおそれがあります。

浮気相手と直接やり取りすることで感情的になってしまい、事態を悪化させるおそれもあります。また、心理的負荷も大きいでしょう。

内容証明郵便などの書面で交渉する

不貞慰謝料の請求書などを作成して、浮気相手と書面で交渉する方法です。

不貞慰謝料の請求書は、テンプレートを用いることで簡単に作成できるでしょう。請求書を送付する際は、内容証明郵便の利用をお勧めします

内容証明郵便は、いつ・誰から誰宛てに・どのような内容の文書が差し出されたか、謄本によって証明される郵便です。

内容証明郵便を利用することで、浮気相手に対して慰謝料請求をした証拠を残せます。

ただし、内容証明郵便を利用して請求書を送付しても、記載した請求金額が振り込まれるケースは多くありません。振り込みがない場合は交渉を継続することになるため、請求書を作成する段階から交渉の見通しを考えておく必要があるといえます。

浮気相手との交渉がまとまったら示談書を作成する

第4段階として、浮気相手との交渉がまとまったら示談書を作成することが挙げられます。

裁判外で不倫慰謝料について交渉し、示談が成立したら、示談書を作成することをお勧めします。

示談書に慰謝料の金額や支払い方法、支払い期限などについて記載することで、合意内容を客観的に明確にできるため、将来起こり得るトラブルを未然に防ぎやすいです。

浮気相手との関係の解消や正当な理由のない連絡・接触の禁止、再度不倫をした場合の違約金なども示談書に記載することで、不倫の再発防止も期待できます

不倫慰謝料に関する示談書については、「不倫慰謝料に関する示談書の書き方と作成時のポイント・注意点を解説」をご参照ください。

浮気相手との交渉がまとまらなければ訴訟を提起する

第5段階として、浮気相手との交渉がまとまらなければ訴訟を提起することが挙げられます。

浮気相手と交渉してみたものの話し合いがまとまらない、そもそも浮気相手が交渉に応じない場合は、慰謝料請求訴訟の申し立ても検討しましょう。

訴訟に発展し解決する場合、法的効力を有する判決または和解調書が作成されます。そのため、慰謝料の支払いが滞った場合は、給料や財産の差し押さえを申し立てられます

ご自身でも訴訟を提起できますが、裁判には時間や専門的な知識を要するため、弁護士に依頼することをお勧めします。

浮気相手だけに慰謝料請求する場合の注意点

浮気相手だけに慰謝料を請求する場合の主な注意点として、以下の2つが挙げられます。

  • 求償権を行使される可能性がある
  • 求償権放棄と引き換えに慰謝料の減額を求められることも

以下で、詳しく解説します。

求償権を行使される可能性がある

浮気相手だけに慰謝料を請求する場合、求償権を行使される可能性があります。

求償権とは、当事者のどちらか一方が自分の責任割合を超えて慰謝料を支払った場合、もう一方に対して負担割合に応じた金銭の支払いを要求できる権利です。

不倫慰謝料は、当事者2 人が共同で負担すべきものです。浮気相手が慰謝料を全額負担した場合は夫に対して求償権を行使できるため、浮気相手の責任割合を超えた部分の支払いを要求されるおそれがあります

例えば、あなたが浮気相手に対して200万円の慰謝料を請求し、浮気相手が全額を支払った場合、夫に対して100万円を支払うよう要求してくる可能性があります(負担割合50:50の場合)。

求償権放棄と引き換えに慰謝料の減額を求められることも

浮気相手との交渉において、求償権の放棄を求めると、その引き換えに慰謝料の減額を求められる可能性があります。

浮気相手が慰謝料を支払った後に、夫に対して自分の責任を超える部分の支払いを要求する権利を放棄することを条件として、慰謝料を減額するよう求められるケースは少なくありません。

もっとも、慰謝料の減額と引き換えであっても、求償権を放棄させると後から求償されるかもしれないと思わずに済むため、合理的に慰謝料の精算ができるといえます。

浮気相手だけに慰謝料請求する場合の相場

浮気相手だけに慰謝料請求する場合の相場は、不倫発覚後の夫婦関係により大きく異なります。

夫と離婚しない場合は50100万円程度夫と離婚する場合は100300万円程度です。

夫と離婚しない場合は、不倫が夫婦関係に与えた影響は小さいと判断されやすいため、慰謝料が低額になる傾向にあります。

ただし、不倫慰謝料は不倫期間や不倫の悪質性など、それぞれの状況を総合的に考慮して算定されるため、相場を超える高額な慰謝料が認められる可能性もあります

不倫慰藉料の相場や裁判例については、「不倫(不貞行為)の慰謝料相場と過去の判例」をご参照ください。

浮気相手に対する慰謝料請求を弁護士に依頼するメリット

浮気相手に対する慰謝料請求を弁護士に依頼する主なメリットとして、以下の4つが挙げられます。

  • あなたのケースに合わせた適正なアドバイスをもらえる
  • 浮気相手との接触を避けられる
  • 交渉を有利に進められる可能性が高まる
  • 訴訟を見据えた対応ができる

以下で、詳しく紹介します。

あなたのケースに合わせた適切なアドバイスをもらえる

浮気相手に対する慰謝料請求を弁護士に依頼するメリットとして、あなたのケースに合わせた適切なアドバイスがもらえることが挙げられます。

不倫の証拠や請求する慰謝料額など、ご自身では判断しがたい事項について、法的観点から適切なアドバイスをもらえるため、効率よく交渉を進められるでしょう。

浮気相手との接触を避けられる

浮気相手に対する慰謝料請求を弁護士に依頼するメリットとして、浮気相手との接触を避けられることが挙げられます。

慰謝料請求の交渉のためとはいえ、浮気相手と接触すると、大きな精神的ダメージを受ける人は少なくありません。浮気相手と接触すると、つい感情的に対応してしまい、事態が悪化することも予想されます。

弁護士に依頼すると弁護士が交渉の窓口となるため、あなたの心理的負荷が最小限で済むでしょう

交渉を有利に進められる可能性が高まる

浮気相手に対する慰謝料請求を弁護士に依頼するメリットとして、交渉を有利に進められる可能性が高まることが挙げられます。

ご自身でも慰謝料請求の交渉を進められますが、弁護士に依頼することで、あなたの本気度を浮気相手に気付かせられるでしょう。法的措置も辞さないという意思を示すことで浮気相手にプレッシャーを与えられるため、任意で支払いに応じるケースも少なくありません

交渉のプロである弁護士に依頼することで、交渉を有利に進められる可能性が高まるでしょう。

訴訟を見据えた対応ができる

浮気相手に対する慰謝料請求を弁護士に依頼するメリットとして、訴訟を見据えた対応ができることが挙げられます。

弁護士は、交渉がまとまらず訴訟となった場合も、引き続きあなたの代理人として訴訟に対応できます。

訴訟でも認められやすい証拠を集めておくなど、交渉の段階から訴訟を見据えた対応ができるでしょう。

まとめ

信じていた夫に裏切られ、とても動揺していることとお察ししますが、まずは落ち着きましょう。夫の不倫が発覚したら、冷静に今後について考え、行動する必要があります。

子どもへの影響や今後の生活を考えて離婚はしないと決めたとしても、泣き寝入りする必要はありません。不倫は不法行為です。不倫によって平穏な夫婦生活を侵害され精神的苦痛を被ったなら、浮気相手に慰謝料を請求できる可能性があります。

ネクスパート法律事務所には、男女問題に精通した弁護士が数多く在籍しています。豊富な経験と知識で、夫の不倫に悩むあなたを全力でサポートいたします。

初回相談は30分無料です。浮気相手への慰謝料請求をお考えの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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