更新日:2023年8月1日 (火)

公開日:2023年8月1日 (火)

ペット用品に欠陥があった場合の事業者の責任について

ペット用品に欠陥があった場合の事業者の責任について ペット用品に欠陥があった場合の事業者の責任について

サマリー

ペット用品に欠陥があった場合、事業者は契約不適合責任として修補や代替物の引渡し、代金減額に応じる必要があります。さらに、製造業者等は過失がなくても製造物責任を負い、欠陥によってペットが負傷したときは治療費等の賠償義務が生じます。ただし損害が製品自体にとどまる場合は製造物責任法の対象外です。

ご相談の内容

Q:ペット用のおもちゃを製造・販売しています。販売した商品に欠陥があり、これで遊んでいた犬が怪我をしてしまったと購入者から連絡がありました。事業者はどのような責任を負いますか?

回答の結論

A:民法上の契約不適合責任として、修補や代替物の引渡し、代金の減額、契約の解除に応じる必要があります。加えて、製造業者等は、欠陥の作出に過失がなくても、製造物責任法により治療費等の損害賠償責任を負います。

民法上の責任について

商品の売買契約は、通常何らの欠陥のない商品を渡すという内容になっているため、何らかの欠陥がある場合には、契約不適合として買主が追完請求等をできることになります。

民法562条(買主の追完請求権)

第五百六十二条

1 引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。

2 前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、同項の規定による履行の追完の請求をすることができない。

商品の売買契約は、通常何らの欠陥のない商品を渡すという内容になっているため、何らかの欠陥がある場合には、民法562条1項における、「引き渡された目的物が…契約の内容に適合しないものである」として、商品の修補、代替物の引渡し等を請求することができます。

民法563条(買主の代金減額請求権)

第五百六十三条 前条第一項本文に規定する場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。

2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、買主は、同項の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる。

一 履行の追完が不能であるとき。

二 売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき。

三 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、売主が履行の追完をしないでその時期を経過したとき。

四 前三号に掲げる場合のほか、買主が前項の催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。

3 第一項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、前二項の規定による代金の減額の請求をすることができない。

また、購入者から相当期間を定めて、上記代替物の引渡しの請求等がされた場合においても、事業者がこれに対応しない場合には、売買代金の減額を請求されるほか、売買契約自体を解除され、売買代金の全額を返還しなければならなくなる危険もあります(民法541条・542条)。

加えて、商品の欠陥につき、事業者に過失が認められる場合には、事業者は、商品の欠陥に伴い生じたペットの怪我についての責任も負うこととなり、治療費等を支払う責任が生じます(民法415条・709条)。

製造物責任について

上記のとおり、民法上の損害賠償責任については、事業者側に商品の欠陥作出につき過失がなければ、これは認められません。

もっとも、商品の欠陥が事業者の過失に基づかないものといえる場合にも、製造物責任法(以下「PL法」といいます。)上の一定の要件を満たした場合には、ペットの治療費等の責任も負う必要があります。

製造物責任法2条(定義)

第二条 この法律において「製造物」とは、製造又は加工された動産をいう。

2 この法律において「欠陥」とは、当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう。

3 この法律において「製造業者等」とは、次のいずれかに該当する者をいう。

一 当該製造物を業として製造、加工又は輸入した者(以下単に「製造業者」という。)

二 自ら当該製造物の製造業者として当該製造物にその氏名、商号、商標その他の表示(以下「氏名等の表示」という。)をした者又は当該製造物にその製造業者と誤認させるような氏名等の表示をした者

三 前号に掲げる者のほか、当該製造物の製造、加工、輸入又は販売に係る形態その他の事情からみて、当該製造物にその実質的な製造業者と認めることができる氏名等の表示をした者

製造物責任法3条(製造物責任)

第三条 製造業者等は、その製造、加工、輸入又は前条第三項第二号若しくは第三号の氏名等の表示をした製造物であって、その引き渡したものの欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が当該製造物についてのみ生じたときは、この限りでない。

PL法は、上記のとおり、次の3点が認められた場合、欠陥作出につき製造者に過失がなくとも、損害賠償責任が生じる旨規定しております。

  1. 製造物に欠陥があったこと
  2. 他人の生命、身体または財産を侵害したこと
  3. 損害が製造物の欠陥により生じたこと

ただし、3条ただし書により、損害が当該製造物についてのみ生じたときは製造物責任は成立しません。おもちゃが壊れただけで犬に怪我がない場合は、製造物責任ではなく契約不適合責任の問題となります。

製造物とは、「製造又は加工された動産」をいうため(PL法2条1項)、ペット用のおもちゃは製造物に当たります。

次に、「欠陥」とは、製造物の特徴や、その使用方法、当該製造物を引き渡した時期等の事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいい、ペット用のおもちゃがそのような事情を考慮して、通常有すべき安全性を欠いていると認められる場合には、「欠陥」があるものといえます(PL法2条2項)。

そして、当該製造物の欠陥により、ペットという財産に損害が生じた場合には、上記1から3までの要件が満たされる以上、製造業者には、損害賠償責任が生じることとなります。

なお、自ら製造していない事業者であっても、製品に自社の氏名・商号・商標を表示していれば「製造業者等」に当たり、製造物責任を負います(PL法2条3項2号)。OEMで製造を委託し自社ブランドで販売している場合も対象です。

このようにして、製造物責任が認められた場合、事業者に多額の損害賠償責任が生じる可能性が出てきます。

まとめ・ご相談はネクスパート法律事務所へ

以上のとおり、ペット用品に欠陥がある場合には、製造業者には、民法上の責任の他、製造物責任が生じるおそれがあります。

このうち民法上の責任については、契約書や利用約款等で、その責任を一部免責することができる場合があります。

かかる契約書の作成等においては、消費者契約法等の諸規制がかかるため、リーガルチェックをおすすめしております。

購入者が個人の場合、責任の全部を免除する条項は無効となり(消費者契約法8条1項1号・3号)、故意・重大な過失がある場合の一部免除条項も無効です(同項2号・4号)。軽過失の場合に限る旨を明記していない一部免除条項も無効となります(同条3項)。

ネクスパート法律事務所ではこのようなペット事業者向けの法務について専門チームで対応させていただいています。

また、日頃分からないことがあれば、チャットワーク等でご相談いただき、弁護士からすぐに返答させていただくサービスも提供しております。

ぜひ一度無料相談のお問い合わせをください。

※本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。具体的な対応については弁護士にご相談ください。

コラム監修者

HIROTO OMATA

HIROTO OMATA

所属:東京オフィス

弁護士登録後、企業法務・一般民事事件を扱う都内の法律事務所に入所。2023年にネクスパート法律事務所に入所、企業法務部に所属。

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