更新日:2026年2月26日 (木)

公開日:2025年12月3日 (水)

貞操権侵害の時効は3年?20年?時効を止める方法も解説

貞操権侵害の時効は3年?20年?時効を止める方法も解説 貞操権侵害の時効は3年?20年?時効を止める方法も解説

サマリー

既婚者であることを告げられず交際していた場合、大きな精神的負担を感じることがあります。
その怒りと悲しみを抱える中、多くの方が直面するのが「慰謝料請求はもう時効ではないか?」との切実な不安です。時間が経過するほど、権利が失われるのではないかとの焦燥感に駆られるでしょう。
しかし、自己判断で諦めるのはおすすめしません。
貞操権侵害を理由とした慰謝料請求は、原則3年です。
この記事では、貞操権侵害の慰謝料請求について、その時効の考え方をわかりやすく解説します。
ぜひ参考にしてください。

貞操権侵害の時効は何年?

貞操権侵害に基づく慰謝料請求の時効は、以下のとおりです。

  • 貞操権侵害の事実および相手の氏名・住所を知った時から3年
  • 貞操権侵害の事実があった時から20年


貞操権侵害が成立する場合、あなたは交際相手に対して慰謝料請求ができます。
しかし、上記のとおり、3年または20年が経過すると慰謝料請求が認められない可能性があります。
この3年と20年では、民法で定められている要件が異なります。3年と20年の要件の違いについて、詳しく見ていきましょう。

貞操権侵害の事実および相手の氏名・住所を知った時から3年

原則として、貞操権侵害の事実を知った時および相手の氏名・住所を知った時から3年が過ぎると、慰謝料を請求する権利が時効により消滅します。
貞操権侵害の事実を知った時とは、相手が既婚者だと知った時・騙されていたと知った時です。
ここで重要なのは、たとえ長期間にわたり相手を疑っていたとしても、相手が既婚者であることを否定し続け、あなたが具体的な証拠を把握できていない・確信を得られていない期間は、時効のカウントが開始されていない可能性があります。
時効は複雑な点が多いため、迷う場合は一度弁護士に相談し、法的判断をしてもらうことをおすすめします。

貞操権侵害の事実があった時から20年

貞操権侵害の事実があった時から20年が過ぎると、慰謝料を請求する権利が時効により消滅します。
これは、貞操権侵害を受けたこと(相手が既婚者だったこと等)を知らないまま20年が過ぎても慰謝料請求権が時効で消滅します。
ただし、事案によっては例外もあり得るため、個別の検討が必要です。自己判断は避け、弁護士に相談することを検討しましょう。

貞操権侵害の時効3年はいつから進行する?|時効の起算点

貞操権侵害の慰謝料請求の時効3年は、貞操権侵害の事実を知った時と相手の氏名・住所を知った時の2つの時点の遅い方から進行します。つまり、そのどちらか遅い方の時点が時効の起算点になります。

したがって、相手の氏名・住所は交際当初から知っており、その後しばらくしてから相手が既婚者であることを知った場合には、相手が既婚者であることを知った時から時効はスタートします。

貞操権侵害に基づく慰謝料請求をする際にあなたがとるべき3つの行動

貞操権侵害に基づく慰謝料請求をしようと思った時にあなたがとるべき行動は、次の3つです。

  • 貞操権侵害が成立するかどうか確認する
  • 時効の起算点がいつなのかを確認する
  • 時効が完成する前に慰謝料を請求する

以下、詳しく解説します。

貞操権侵害が成立するかどうか確認する

貞操権侵害を理由に慰謝料請求する際、その可否を判断する要素として、次の4つが挙げられます。

  1. 肉体関係の存在
  2. 積極的な独身偽装の有無
  3. 結婚を前提とした真剣交際
  4. 既婚者に騙されたことの落ち度の有無

①肉体関係の存在

貞操権侵害を理由とする慰謝料請求では、肉体関係があったことが基本的な前提となります。
貞操権とは、誰と性的関係を持つかを自分で選択する自由に他なりません。したがって、相手との間に性交渉やそれに準ずる行為が実際に発生して初めて、この権利の侵害が具体的に生じたと法的に認められます。基本的に、精神的な交際やデートのみでは、慰謝料請求は難しいケースが多いでしょう。

②積極的な独身偽装の有無

交際相手が意図的に独身であると偽っていたかどうかは、行為の悪質性を測る重要な指標です。
既婚者が自ら「独身だ。」「バツイチだ。」と積極的に虚偽の事実を述べて、関係を継続させた場合には、慰謝料請求が認められる可能性が高まります。

③結婚を前提とした真剣交際

交際が単なる遊びではなく、将来的な結婚を見据えた真摯なものであった場合、慰謝料請求が認められやすい傾向にあります。

④既婚者に騙されたことの落ち度の有無

慰謝料請求が認められるためには、あなたが、相手が既婚者だと知らなかったこと、および知ることに過失がなかったことが必要です。
既婚者だと疑う客観的な状況があったにもかかわらず、それを看過した過失(落ち度)が認められた場合、慰謝料請求が認められないか、認められたとしても金額が減額されるリスクが生じます。

【過失がない(無過失)と判断されやすい具体的なケース】

  • 婚活を前提とした出会いの場:婚活パーティーやマッチングアプリなど、利用者が独身であることを前提としたサービスを通じて知り合った場合
  • 独身である旨の明確な明言:相手が「独身である」または「バツイチである」と明確に断言していた場合
  • 相手の私生活の自由度が高い:深夜や休日に制約なく自由に会えていた、宿泊を伴う旅行をしていた、あるいは相手の自宅に招かれたなど、既婚者では困難な行動が頻繁にあった場合
  • 結婚に向けた具体的な準備:お互いの両親や親しい友人に紹介をしていた、結婚式場の見学に行ったなど、具体的な結婚準備を進めていた場合

貞操権侵害が認められるケースについて、詳しくは「貞操権侵害が認められるケースや慰謝料の相場をわかりやすく解説 」の記事をご参照ください。

時効の起算点がいつなのかを確認する

時効の起算点がいつなのかを確認しましょう
慰謝料を請求するには、時効がいつ成立するかが重要です。
時効が迫っている場合には、時効の起算点や時効の完成の有無について相手と争うことも多く、専門的な知識が必要です。
したがって、時効の起算点については早めに弁護士に相談することをおすすめします。

時効が完成する前に慰謝料を請求する

時効が完成する前に慰謝料を請求しましょう
時効が完成した相手に対して慰謝料請求をした場合、相手は時効の成立を主張してくる可能性が高いです。この場合には、原則、慰謝料請求は認められません。
したがって、時効が完成する前に早めの行動を開始しましょう。

貞操権侵害の時効間近!時効を止める5つの方法

貞操権侵害の時効を止める方法は、次の5つです。

  • 訴訟を提起する
  • 調停を申し立てる
  • 催告をする(内容証明郵便の送付)
  • 慰謝料請求についての協議を行う旨の合意を書面で残す
  • 慰謝料の支払い義務があることを承認させる

それぞれの手続きの内容やメリット・デメリットを解説します。

訴訟を提起する

訴訟を提起する方法です。
訴訟の提起により、時効の完成が猶予され、裁判が終了するまで時効期間は完成しません(完成猶予)。そして、判決の確定や裁判上の和解など、権利を確定させる手続きが完了すると、その時点をもって時効がリセットされ、新たに時効期間がスタートします(更新)

メリット

裁判所が関与する公的な手続きであるため、時効を確実に中断・更新できる点が強みです。

デメリット

証拠の準備や手続きに多大な時間と手間がかかり、ご自身の力だけでは勝訴判決を得るのが難しい場合があります。

調停を申し立てる

家庭裁判所などに調停を申し立てる手続きです。
申し立てが受理された時点で時効の進行が一時停止し、調停期間中は時効が完成しません(完成猶予)

メリット

裁判よりも手続きが簡易であるため、比較的容易に時効の停止措置をとれます。

デメリット

調停は当事者双方の合意がなければ成立しません。調停が不成立に終わった場合、時効はリセットされず、その終了時点から6か月間猶予されるにとどまります。この6か月の間に次の法的手続きに進む必要があります。

催告をする(内容証明郵便の送付)

相手方に対し、慰謝料請求の意思を明確に伝える方法です。
実務では、意思表示をしたことを証拠として残すために内容証明郵便を利用するのが一般的です。
内容証明郵便を送付した時点で時効の進行が一時的に停止し、その時から6か月間、時効の完成が猶予されます(完成猶予)

メリット

裁判所を介する必要がなく、ご自身での作成も可能であるため、容易かつ迅速に行える手段です。

デメリット

催告(内容証明郵便の送付)は一時的な措置に過ぎません。この6か月の間に示談を成立させるか、訴訟を提起するなど、次の法的な行動をとる必要があります。
催告による時効の完成猶予は一度のみであり、催告を繰り返しても、時効期間がさらに延長されることはありません。
催告による6か月の猶予期間中に訴訟や調停へ移行すれば、さらに時効が猶予・更新されます。

協議を行う旨の合意を書面で残す

慰謝料請求に関する話し合い(協議)を行う旨を、当事者間で書面または電磁的記録で確認し、合意する方法です。
この書面による合意があった時点で時効の完成が猶予され、以下のうち最も早く到来する時点まで時効は完成しません(完成猶予)

  • 合意から1年間
  • 合意で定めた協議期間(ただし1年未満に限る)
  • 一方から相手方に対し協議の続行を拒否する通知を書面で送付した時から6か月

メリット

示談交渉が長期化し、時効が迫っている場合の一時的な緊急措置として有効です。

デメリット

既に交渉が始まっている段階での便宜的な手段であり、交渉が全く始まっていない段階でこの合意のみを取り交わすことは、効率的ではありません。

慰謝料の支払い義務があることを承認させる

相手方に、自身の慰謝料の支払い義務を認める旨を表明させる方法です。
相手が支払い義務を認めた時点で、時効はリセットされ、新たな時効期間がスタートします(更新)

メリット

承認の事実は、その後の交渉や訴訟において、支払い義務の存在を証明する強力な証拠となります。承認は、口頭でも有効ですが、後の争いを避けるためにも、書面(「慰謝料を支払う意思がある」旨など)で残すことが推奨されます。

デメリット

交渉が始まっていない段階や、争っている最中に、相手方が自ら進んで支払い義務を認める可能性は低いでしょう。

まとめ

貞操権侵害に基づく慰謝料請求の時効は、以下のとおりです。

  • 貞操権侵害の事実および相手の氏名・住所を知った時から3年
  • 貞操権侵害の事実があった時から20年

慰謝料請求をする場合、時効について相手と争うことはよくあります。
慰謝料請求の時効が迫っているときは、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
ネクスパート法律事務所では、貞操権問題に強い弁護士が多数在籍しています。仕事が忙しくて相談に行けない人や遠方にお住まいの方のためにオンライン法律相談サービスも実施しています。
初回の相談は30分無料ですので、ぜひ一度ご相談ください。

コラム監修者

SHIZU ISHIDA

SHIZU ISHIDA

所属:東京オフィス

広島県広島市出身。青山学院大学心理学科、東海大学法科大学院卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、刑事、民事、法人案件等幅広い分野の専門知識を習得。弁護士登録10年目にしてネクスパート法律事務所に入所し、現在は主に離婚事件に注力している。

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