更新日:2026年2月26日 (木)

公開日:2024年7月17日 (水)

不貞を隠して離婚はできる?離婚後に慰謝料請求された場合の対処法

不貞を隠して離婚はできる?離婚後に慰謝料請求された場合の対処法 不貞を隠して離婚はできる?離婚後に慰謝料請求された場合の対処法

サマリー

「妻(夫)には不倫がバレていないので、このまま不倫を隠して離婚したい。」
「現在不倫をしていて、将来的には不倫相手との結婚を考えている。」
妻(夫)に不倫がバレていないことから、このように考えている方も居るでしょう。

不貞を隠したまま離婚は可能です。しかし、不貞を隠して離婚した場合には、いくつかのリスクを伴うことにもなります。ですから、リスクを考慮したうえで決断しましょう。

この記事では、不貞を隠して離婚した場合に発生しうるリスクや離婚後に慰謝料請求された場合の対処法について解説しています。ぜひ参考にしてください。

不貞を隠して離婚は可能?離婚したいなら正直に話すべき?

不貞を隠して離婚するか、正直に話して離婚するかは、あなたの自由です。実際に、不貞を隠したまま離婚したといったケースも少なくないでしょう。

離婚後に不貞が発覚した場合には、慰謝料請求される可能性もあります。

「それなら、離婚する前に不貞を正直に話すべき?」という疑問を持つ方もいらっしゃることと思います。もちろん、不貞を正直に話したうえで、配偶者が離婚を受け入れてくれるのであれば、それが一番スムーズな解決方法でしょう。

しかし、不貞を正直に話したことによって、離婚できなくなるケースもあります。

離婚は、原則夫婦の合意があれば成立する

離婚は、原則夫婦の合意があれば成立します。

夫婦が話し合って離婚に合意し、離婚届を役所に提出することで離婚を成立させることを、協議離婚といいます。一番シンプルかつ多くの人が協議離婚で離婚をしています。

不貞を隠したまま離婚を切り出したとしても、配偶者が離婚を受け入れれば離婚ができます。

ですから、不貞がバレていない、かつ離婚の話し合いもスムーズに進んでいるような場合には、不貞を隠したまま離婚するのもひとつの選択肢にはなるでしょう。

ですが、次章で詳しく解説しているとおり、不貞を隠して離婚した場合には、相応のリスクを伴うことにもなります。

不貞を正直に話した場合、離婚できなくなる可能性も

不貞を正直に話した場合、離婚できなくなる可能性もあります

そもそも、離婚は夫婦の合意で成立しますが、夫婦の一方が離婚を拒否した場合には、裁判所の手続きを利用することになるでしょう。

裁判所の手続きには、調停離婚と裁判離婚があります。

調停離婚

調停離婚とは、離婚について夫婦間での話し合いがまとまらない場合に、家庭裁判所の調停手続きを利用して、離婚の成立を目指すものです。

調停離婚では、調停委員と呼ばれる人が話し合いに入り、離婚の条件等を決めていくことになります。調停離婚は、あくまで話し合いによる解決を目指しますから、話し合いがまとまらない場合には、調停不成立として終了します。

裁判離婚

裁判離婚とは、調停離婚でも話し合いがまとまらない場合に、最終的に裁判で離婚を請求し、裁判所に離婚を認めてもらうことで、離婚の成立を目指すものです。

あなたが、配偶者に対して、不貞の事実を正直に話し、そのうえで「離婚したい。」と言ったところ、配偶者が離婚を拒否した場合には、話し合いでの離婚は難しくなるでしょう。

この場合に、最終的には裁判離婚を検討することになりますが、不貞をした配偶者からの離婚請求は、原則認められません

なぜなら、不貞をした配偶者は有責配偶者、つまり婚姻関係の破綻原因を作った配偶者に該当するからです。これは民法で定められている法定離婚事由にあたります。

(裁判上の離婚)
第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
参照:民法 | e-Gov法令検索

不貞をした側が離婚請求の裁判を起こしても、相手が受け入れない限り、原則、離婚請求が認められませんから、不貞を正直に話す場合には、このことに注意しましょう。

詳しくは、「不貞行為をした側は離婚できない?離婚できる場合や対処法を紹介!」の記事をご参照ください。

不貞を隠して離婚に踏み切る前に考えるべき2つのこと

不貞を隠して離婚に踏み切る前に考えるべきことは、次の2つです。

  • 離婚後でも慰謝料請求される可能性がある
  • 不貞を隠して決めた離婚条件の変更を求められる可能性がある

以下、詳しく見ていきましょう。

離婚後でも慰謝料請求される可能性がある

離婚後に不貞が発覚した場合には、元配偶者から慰謝料請求される可能性があります。

離婚をすれば、慰謝料の支払い義務がなくなるわけではありません。
離婚時に発覚していなかった不貞が、離婚後に判明した場合、配偶者が不貞の事実を知った時から3年であれば、慰謝料を請求できます。

不貞を隠して離婚できた!とホッとしていたとしても、急に慰謝料請求されたなんてこともあるでしょう。
離婚できさえすれば後は問題ないだろうと安易に考えるのは危険です。

不貞を隠して決めた離婚条件の変更を求められる可能性がある

不貞の事実を隠して、配偶者に清算条項を含む離婚条件を示し、合意させた場合は、その清算条項が錯誤により取り消される可能性もあります。

協議離婚であれば離婚合意書の中で、調停離婚であれば調停調書の中で、慰謝料請求しない旨の合意をしている場合があります。

このような場合であっても、あなたが配偶者に不貞を隠していたという事実がある場合には、慰謝料請求が認められる可能性があります。

離婚をする際には、慰謝料以外にも、通常、以下のことについて夫婦間で取り決めをします。

  • 財産分与
  • 養育費
  • 面会交流
  • 親権

財産分与

財産分与とは、夫婦が婚姻中に協力して取得した財産を分けることをいいます。

養育費

養育費とは、子どもを養育するために必要な生活費や学費にかかる費用です。

子どもを扶養する義務は両親にありますので、両親が離婚した場合であっても、双方がその経済力に応じて子どもの養育費を分担することになります。

面会交流

面会交流とは、離婚後に子どもを直接、養育・監護していない方の親が子どもと面会を行うことです。

親権

親権とは、子どもの利益のために、監護・教育を行ったり、子の財産を管理したりする一切の権限・義務のことです。

離婚をする場合には、両親のうち一方を親権者と定める必要があります。

これら離婚時に取り決めた離婚条件の変更は原則として認められませんが、例えば、離婚時に財産分与について特に取り決めていなかった場合、不貞を知ったことで、元配偶者が財産分与の請求をしてくる可能性があるでしょう。

親権があなたにある場合には、不貞を知ったことで、元配偶者が親権者変更の申立てをしてくる可能性もあるでしょう。

不貞を隠して離婚した後に、不倫相手と再婚は可能?

不貞を隠して離婚した後に、不倫相手と再婚は可能です。

しかし、離婚後すぐに再婚した場合には、不貞を疑われる可能性が高いでしょう。

不貞が発覚した場合には、あなただけでなく不倫相手も慰謝料請求される可能性があります。新婚生活を楽しんでいたのに、慰謝料請求されたことで生活が苦しくなるなんてことも考えられるでしょう。

あなただけでなく不倫相手の社会的信用が低下する可能性もあるでしょう。

周囲にも不貞が発覚した場合には、周囲の人の人間関係を壊しかねません。

不倫相手との再婚を考えている場合には、これらのリスクも踏まえてよく考えましょう。

不倫相手と再婚するリスクについては、「離婚して不倫相手と再婚したいと思ったら考えたい4つのリスク」をご参照ください。

不貞を隠して離婚した後に慰謝料請求された!支払うべき?

不貞が事実であるならば、離婚後でも慰謝料を支払う義務があります

しかし、次の場合には、慰謝料請求が認められない可能性があります。

  • 時効が成立している
  • 証拠がない

以下、詳しく見ていきましょう。

時効が成立している

時効が成立している場合には、慰謝料の支払い義務が生じません。

不貞慰謝料の時効は、次のいずれかの期間が経過すると成立します(民法724条)。

  • 損害及び加害者を知った時から3年
  • 不法行為があった時から20年

損害及び加害者を知った時から3年

損害及び加害者を知った時から3年です。

損害を知った時とは、不貞行為があったことを知った時です。

加害者を知った時とは、加害者の氏名及び住所を知った時です。

不法行為があった時から20年です。

不法行為があった時から20年です。不法行為があった時とは、不貞行為があった時です。

この20年は、3年とは要件が異なり、不貞行為があったことを知らなくても、慰謝料請求の権利が当然に消滅します

離婚後に慰謝料請求された場合には、時効が成立する可能性があります。

詳しくは、「不貞行為の慰謝料請求はいつまで?起算点や時効が近い時の対処法」の記事をご参照ください。

証拠がない

証拠がない場合には、慰謝料の請求が認められない可能性があります

不貞慰謝料を請求する場合には、請求をする側が不貞を証明する必要があります。

不貞を証明する証拠がない場合には、慰謝料請求が認められない可能性が高いでしょう。

離婚した後の慰謝料相場

不貞慰謝料の相場は50万円〜300万円程度です。

最終的な慰謝料額は、交際当時の態様や不貞によって夫婦に与えた影響等のあらゆる要素を考慮して、総合的に決まります。

一般的に、被害者の精神的苦痛が大きい夫婦の婚姻生活への影響が大きいほど、慰謝料額も高くなる傾向にあります。

不貞が原因で夫婦が離婚に至った場合には、離婚しない場合と比較して、夫婦の婚姻生活への影響が大きいことから、慰謝料額も高くなります。

しかし、不貞を隠して離婚した場合には、不貞と離婚との間に因果関係がないとして、慰謝料額が低くなる場合があるでしょう。

なぜなら、不貞を隠して離婚した場合は、離婚後に不貞が発覚し、慰謝料請求されるという流れになります。この場合、離婚が成立した時点で不貞を知らなかったわけですから、不貞が離婚に影響を与えていない(不貞が原因で離婚に至ったわけではない)として、慰謝料の減額要素となり得るからです。

離婚後に不貞が発覚した場合でも、次のようなケースでは、離婚の原因は不貞相手の存在が大きいと考えられるため、慰謝料請求が認められる可能性が高いでしょう。

  • 配偶者が急に冷たくなった
  • 配偶者が家に帰ってこなくなった
  • 配偶者が浮気している気がする
  • 配偶者から離婚したいと言われた

離婚後に不貞が発覚した場合で、次のような事情がある場合は、離婚と不貞の間に因果関係がないとして慰謝料請求が認められない可能性があるでしょう。

  • 不貞に全く気付かず、夫婦関係に何らの影響もなかった
  • 不貞をしていない方が離婚したくなって離婚した

したがって、離婚後に不貞が発覚した場合には、離婚と不貞に因果関係があるかが慰謝料額を決めるにあたって重要な要素になります。

不貞を隠して離婚した後に慰謝料請求された場合の対処法

離婚後に慰謝料請求された場合の対処法とその流れは、次のようになります。

  • 内容証明郵便が届いたら無視しない
  • 請求内容を確認する
  • 減額交渉をする
  • 示談書を作成する

以下、詳しく見ていきましょう。

内容証明郵便が届いたら無視しない

内容証明郵便が届いたら無視しないようにしましょう

離婚したからといって、内容証明郵便を無視していると、裁判を起こされる可能性もあります。

差出人は誰であるか回答期限はいつまでかを確認し、焦らず落ち着いて対応しましょう。

自分ひとりでの対応が難しいと感じたら、一度弁護士に相談することをおすすめします。

請求内容を確認する

請求内容を確認しましょう

相手がどれくらいの金額を主張しているのか確認しましょう。その際、相場と大きくかけ離れていないかも合わせて確認しましょう。

内容証明郵便に記載されている金額は、あくまで相手の主張している金額ですから、相場からかけ離れている場合や減額できる事由がある場合には、交渉で減額できる可能性もあります。

離婚後の慰謝料請求の場合には、特に次の2点について確認しておきましょう。

  • 時効が成立していないか
  • 証拠があるか

時効が成立していないか

時効が成立していないかは、支払い義務の存否そのものに関わります。

時効の成立については、専門的な知識が必要になりますから、弁護士へ相談することをおすすめします。

証拠があるか

離婚後、しばらく経過している場合には、相手に証拠がない場合もあるでしょう。

証拠の有無が不明な場合には、相手に開示を求めるのもひとつの手段でしょう。

誠実な姿勢で交渉を始める

誠実な姿勢で交渉を始めましょう

強気な態度で交渉するのはやめましょう。不貞が事実である場合には、相手に謝罪の意を示す必要があります。

減額できそうな事案であっても、あなたの態度によっては、相手が頑なに減額を拒否することにも繋がりかねません。

ですから、誠実な対応で交渉することが大切です。

示談書を作成する

示談書を作成しましょう

相手との交渉がまとまった場合には、示談書を作成しましょう。書面に残すことで、今後のトラブルを回避することができるからです。

ですから、示談書を作成することをおすすめします。

まとめ

不貞を隠して離婚するか、正直に話して離婚するかはあなた次第です。

不貞を隠して離婚した場合には、リスクを伴うことにもなります。リスクをしっかりと確認したうえで決断することをおすすめします。

離婚後に慰謝料請求された場合には、早めに弁護士に相談しましょう。

ネクスパート法律事務所では、不貞問題に強い弁護士が在籍しています。不貞慰謝料を請求された方のご相談は、お問い合わせのお電話でそのまま弁護士におつなぎし、ご相談いただける場合もございます(一旦お時間をいただく場合もございます。)。もちろん、ご来所いただいて、対面でご相談いただくことも可能です。

初回の相談は30分無料ですので、ぜひ一度ご相談ください。

コラム監修者

SHIZU ISHIDA

SHIZU ISHIDA

所属:東京オフィス

広島県広島市出身。青山学院大学心理学科、東海大学法科大学院卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、刑事、民事、法人案件等幅広い分野の専門知識を習得。弁護士登録10年目にしてネクスパート法律事務所に入所し、現在は主に離婚事件に注力している。

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