更新日:2026年2月26日 (木)

公開日:2024年3月22日 (金)

離婚合意後の不貞行為について慰謝料を請求されたら支払うべきか?

離婚合意後の不貞行為について慰謝料を請求されたら支払うべきか? 離婚合意後の不貞行為について慰謝料を請求されたら支払うべきか?

サマリー

この記事を見てくださっているあなたは、離婚合意後の不貞行為について慰謝料を請求されたらどうしよう、と不安な日々をお過ごしではないでしょうか。
まずは、落ち着いて冷静に対処しましょう。

この記事では、離婚合意後の不貞行為について慰謝料を請求されたら支払うべきか、どのような場合に慰謝料の支払義務が生じるかについてお伝えします。

離婚合意後の不貞行為について慰謝料を請求されたら支払うべき?

離婚合意後の不貞行為については、原則、慰謝料の支払義務は生じません。
ただし、離婚に合意した事実を立証できなければ、慰謝料の支払い義務が生じる可能性があります。

離婚合意後の不貞行為は、原則、慰謝料の支払義務は生じない

離婚合意後に不貞行為に至った場合は、原則、慰謝料の支払義務は生じません
婚姻関係が破綻しているとみなされる場合、平穏な夫婦の生活という保護の対象がないからです。

不貞行為が不法行為となるのは、平穏な夫婦生活の維持という権利ないし法的保護に値する利益が侵害される場合です。

夫婦双方が離婚に合意して離婚手続きを進めている段階では、婚姻関係が破綻していると判断される可能性があります。不貞行為が始まった時点で既に婚姻関係が破綻していた場合には、原則としてこのような権利や利益があるとは言えません。

裁判所も、婚姻関係がその当時すでに破綻していたときは、特段の事情のない限り、不法行為責任を負わない、と判示しています(最高裁平成8年3月26日判決)。

離婚合意の立証ができなければ、慰謝料の支払義務が生じる可能性も

離婚合意後の不貞行為について慰謝料の支払義務を免れるためには、夫婦双方が離婚に合意していたことの立証が必要です。

不貞行為による慰謝料請求の実務では、慰謝料を請求された側が「夫婦双方が離婚に合意していた。」「不貞行為の開始時点で、夫婦関係は破綻していた。」と主張することが多いです。
しかし、慰謝料を請求する側は、「離婚に合意した事実はない。」と主張することもあります。

そのため、離婚合意の立証ができない場合、慰謝料の支払義務が生じる可能性があります。

離婚の合意があったといえるのはどんなとき?

離婚の合意があったといえるのは、主に以下の2つのケースです。

  • 夫婦双方が離婚する意思を持って離婚準備を進めている
  • 夫婦双方が離婚を望んで調停や裁判をしている

以下に詳述します。

夫婦双方が離婚する意思を持って離婚準備を進めている

夫婦双方が離婚する意思を持って離婚に向けて具体的な準備を進めている場合は、離婚の合意があったと認められやすいでしょう。
具体的には、以下の状況などが挙げられます。

  • 夫婦で離婚について話し合い、公正証書を作成する準備をしている
  • 夫婦で離婚について話し合い、離婚を前提に別居している

夫婦双方が離婚を望んで調停や裁判をしている

離婚すること自体は合意しているが、条件(親権やお金等)について話し合うために離婚調停や離婚訴訟をしている場合も、離婚の合意があったと判断されやすいでしょう。
双方が離婚を希望している場合、双方が離婚を望んでいることが第三者から見てもはっきりとわかります。

ただし、「条件が折り合えば離婚してもよいが、条件が折り合わなければ離婚するつもりはない。」と一方が主張している場合は、離婚の合意があったとはいえないでしょう。

離婚の合意がなくても婚姻関係破綻が認められやすい状態

婚姻関係の破綻とは、夫婦としての関係が完全に壊れていて、もう夫婦とはいえない状態です。判例では、夫婦に婚姻を継続する意思がなく夫婦としての共同生活が回復する見込みがまったくない状態と解釈されています。

どのような状態であれば婚姻関係が破綻したと言えるか、実は明確な基準はありません
そのため、婚姻関係が破綻しているかどうか裁判などで争われる場合もありますが、裁判所は婚姻関係の破綻を簡単には認めません

婚姻関係破綻の判断基準になりやすい状態を紹介しますので、参考にしてください。

婚姻関係破綻が認められやすい状態

以下のような場合には、婚姻関係が破綻していると認められやすいでしょう。

  • 別居が婚姻関係の継続を期待できないほど長期間に及んでいる
  • 配偶者による身体的暴力や虐待がある
  • 配偶者に就労しない、生活費を家に入れないといった経済的DVがある

このような場合、夫婦が婚姻関係を修復させる意思がないことや、客観的にみて夫婦関係を修復させることが著しく困難または不可能であると捉えられやすいからです。

婚姻関係破綻が認められにくい状態

以下のような場合は、婚姻関係が破綻しているとは認められにくいです。

  • 長期間別居しているが、単身赴任による別居や転地療養など、正当な理由がある
  • 離婚するというやり取りはあったが、具体的な話はしていない
  • 夫婦のどちらか一方が婚姻関係の継続を望んでいる

夫婦のどちらかに離婚の意思がないと判断されやすく、客観的にも夫婦関係を修復させることが難しいともいえないからです。

離婚合意後に過去の不貞行為が発覚した場合も慰謝料請求の対象となるのか

離婚合意後に、過去の不貞行為が発覚した場合は、慰謝料請求の対象となり得ます。

婚姻関係が破綻する前から不貞行為を開始していた場合守るべき円満な婚姻生活がある以上、不貞行為は、その婚姻共同生活の維持という権利または法的保護に値する利益を侵害する行為にあたるからです。

慰謝料請求に応じる必要があるケースもあるため、離婚合意後に過去の不貞行為が発覚した場合、弁護士への依頼も検討してみてください。

まとめ

離婚合意後の不貞行為について慰謝料を請求された場合、冷静な対応が求められます。
離婚合意の立証や、婚姻関係が破綻しているかどうかの判断は簡単ではありません。
一人で不安を抱えず、ぜひネクスパート法律事務所へご相談ください。

コラム監修者

SHIZU ISHIDA

SHIZU ISHIDA

所属:東京オフィス

広島県広島市出身。青山学院大学心理学科、東海大学法科大学院卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、刑事、民事、法人案件等幅広い分野の専門知識を習得。弁護士登録10年目にしてネクスパート法律事務所に入所し、現在は主に離婚事件に注力している。

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