更新日:2026年2月26日 (木)

公開日:2024年10月23日 (水)

既婚者に騙された!既婚者と知らなかったら慰謝料をいくら請求できる?

既婚者に騙された!既婚者と知らなかったら慰謝料をいくら請求できる? 既婚者に騙された!既婚者と知らなかったら慰謝料をいくら請求できる?

サマリー

近年、マッチングアプリや婚活パーティーが出会いの場の主流になっています。
多くの人が、真剣に「結婚相手に出会いたい!」と考えている一方で、既婚者であるにもかかわらず、相手をもてあそび、肉体関係を持ちたいと考えている人がいるのも事実です。

「結婚を考えている交際相手が、実は既婚者だった。」というケースは、年々増加しています。

交際相手が既婚者であることが発覚したら、次の3つを頭に入れておきましょう。

・交際相手が既婚者であると発覚したらすぐに関係を解消する
・交際相手に慰謝料請求できる可能性がある
・交際相手の配偶者から慰謝料請求される可能性がある
交際相手が既婚者であることが発覚したら、ショックを受けるのも当然です。まずは冷静に、あなたが取るべき行動をし、慰謝料の獲得を目指しましょう。

この記事では、交際相手に慰謝料請求する場合に知っておいてほしいことについて解説しています。ぜひ参考にしてください。

既婚者に騙された場合の慰謝料はいくら?

交際相手が既婚者であると知っていれば、そもそも付き合うことも肉体関係を持つこともなかったという方が多いでしょう。

そのような場合には、既婚者である交際相手に対して、貞操権の侵害を理由に慰謝料請求ができる可能性があります(民法709条)。

貞操権とは自分が性的関係を持つ相手を自分で決める権利です。

交際相手が既婚者であると知っていれば、肉体関係を持つことがなかった場合には、あなたの性的な意思決定が侵害されたことになりますから、慰謝料請求が認められるでしょう。

既婚者に騙された場合の慰謝料相場

既婚者に騙された場合の慰謝料の相場は、50万~200万円程度です。

最終的な慰謝料の額は、交際の態様等あらゆる事情を考慮して決められます。
次のような事情がある場合には、慰謝料が高額になる傾向があります。

  • だます行為の悪質性が高い
  • あなたが被った代償が大きい(妊娠や中絶、流産、出産など)
  • 交際解消前後の相手の対応が不誠実(侮辱、子の認知の拒絶など)

以下で、既婚者に騙された事案で慰謝料請求が認められた裁判例を紹介しています。裁判では、どのような事情が考慮されているかも解説していますので、参考にしてください。

既婚者に騙された事案で慰謝料請求が認められた裁判例

既婚者に騙されたとして慰謝料請求が認められた裁判例をご紹介します。

慰謝料100万円を認めた事例|東京地裁令和2年6月25日判決

銀座のクラブでホステスとして勤務する独身女性である原告に対し、既婚者であることを秘して性交渉を伴う交際を継続したり、原告に対して求婚をしたりし、被告が原告と婚姻するものと信じた原告に高額な贈り物などをさせた事案です。

この裁判では、次のような事情が考慮されています。

  • 原告は、被告に対し、男性と交際をするのであれば結婚を念頭に置くことになり、不倫は受け容れられない旨を述べていた
  • 被告は、原告に対し、独身ないし一人で暮らしているとの話や、妻とはすんなりと離婚をしたであるとか、妻とは苦労の末離婚をしたとの客観的事実とは異なる話をしていた
  • 被告が、原告に対し、妻と法的には離婚をしていないことを話したのは、原告が被告の妻からその旨の話を聞いたからであること
  • 原告と被告は、その日を最後に、肉体関係を持つことはなくなった

以上のことから、このような被告の行為は、不法行為に該当する違法な行為に当たるものと認めるのが相当であるとして、慰謝料100万円の支払い義務が認められています。

慰謝料25万円を認めた事例|東京地裁令和3年8月30日判決

最初に肉体関係を持った時には、被告に妻がいることは知らず、その後妻が居ることを知ったにも関わらず、肉体関係を継続していた事案です。

この裁判では、次のような事情が考慮されています。

  • 被告は、原告に対し、妻と離婚をすることは既に決まっているように述べていた
  • 被告の妻は当時妊娠中であったこと、被告が後に原告に対し「離婚はお前のせいだ」「俺、元嫁 子供2人の人生を狂わせた」などと述べたことから、原告と婚姻する意思はなく、虚言をもって原告との男女関係を実現し、継続した
  • 原告は当時未成年であり異性経験が少なかった

以上のことから、このような被告の行為は、不法行為に該当する違法な行為に当たるものと認めるのが相当であるとして、慰謝料25万円の支払い義務が認められています。

既婚者に騙された場合に慰謝料請求の可否を判断する4つの要素

既婚者に騙されたとして慰謝料請求する際、その可否を判断する要素として、次の4つが挙げられます。

以下、詳しく見ていきましょう。

肉体関係があった

貞操権侵害を理由として慰謝料請求する場合には、肉体関係があったことが必要です。

なぜなら、そもそも貞操権とは、自分が性的関係を持つ相手を自分で決める権利だからです。
肉体関係があってはじめて、貞操権の侵害が生じます。

したがって、交際相手との間に、性交渉・性交類似行為があったことが必要です。

積極的に独身であると偽っていた

既婚者である交際相手が積極的に独身であると偽っていた場合には、慰謝料請求が認められる可能性が高くなります。

なぜなら、積極的に虚偽の事実を述べて、関係を継続させようとした行為には、故意が認められ、その行為の悪質性が高いと考えられるからです。

貞操権侵害を理由として慰謝料請求する場合に、必ずしも積極的に独身であると偽っていたことが必要になるわけではありませんが、積極的に独身であると偽っていたことが立証できれば、慰謝料請求が認められる可能性は高くなります。

結婚を前提とした真剣交際だった

結婚を前提とした真剣交際だった場合には、慰謝料請求が認められる可能性が高くなります。

過去の裁判例でも、結婚を前提とした真剣交際であった場合には慰謝料請求が認められる傾向にあります。

貞操権侵害を理由として慰謝料請求する場合、必ずしも結婚を前提とした真剣交際だったことが必要になるわけではありませんが、結婚を前提とした真剣交際だったことが立証できれば、慰謝料請求が認められる可能性は高くなります。

既婚者に騙されたことに落ち度がなかった

既婚者に騙されたことに落ち度があった場合には、慰謝料請求が認められない・認められたとしても低額になる可能性が高くなります。

なぜなら、既婚者であることに気づけた場合には、あなたにも非があると考えられてしまうからです。

次の章で、既婚者に騙されたことに落ち度がないといえるケースについて解説しています。

既婚者に騙されたことに落ち度がないといえるのはどんなケース?

既婚者に騙されたことに落ち度がないといえるのは、次のようなケースです。

以下、詳しく見ていきましょう。

婚活パーティーやマッチングアプリで出会った

婚活パーティーやマッチングアプリで出会ったケースです。

婚活パーティーの場合、独身であることが参加の条件になっていることが多いでしょう。
マッチングアプリの場合、独身であることが登録の条件になっているものが多いでしょう。婚活パーティーやマッチングアプリは、利用者が独身であることが前提となっており、相手が既婚者であることに気づきにくいという特徴があります。

したがって、婚活パーティーやマッチングアプリで出会った場合には、既婚者に騙されたことに落ち度がないといえる傾向にあるでしょう。

独身またはバツイチであることを相手が明言していた

独身またはバツイチであることを相手が明言していたケースです。

「なんとなく独身だろう。」という場合よりも、相手が独身であると明言していた場合の方が、既婚者に騙されたことに落ち度がないといえる傾向にあるでしょう。

深夜帯や土日に自由に会えていた・泊まりで旅行に行った・自宅に招かれた

深夜帯や土日に自由に会えていた・泊まりで旅行に行った・自宅に招かれたケースです。

相手が既婚者かどうか判断できない場合にチェックするポイントとして次のことが挙げられます。

  • 深夜帯や土日に会えない
  • 泊まりがけで一緒に過ごせない
  • 自宅に招いてくれない

つまり、逆にこれらに該当しない場合には、既婚者であると疑う人は少ないでしょう。

したがって、深夜帯や土日に自由に会えていた・泊まりで旅行に行った・自宅に招かれた場合には、既婚者に騙されたことに落ち度がないといえる傾向にあるでしょう。

結婚の話をしていてお互いの両親や親しい友人にも紹介した

結婚の話をしていてお互いの両親や親しい友人にも紹介したケースです。

日本では重婚は認められていません。つまり、結婚の話がでている場合には、相手が結婚していないと考えるのは当然でしょう。
結婚の話が出ているほかにも、次のような事柄が挙げられます。

  • 結婚式場の見学に行った
  • お互いの両親に結婚の挨拶に行った
  • お互いの親しい友人に紹介をした
  • 2人で暮らす家を探した

このように結婚の準備を進めていた場合には、通常、相手が既婚者だとは考えないため、既婚者に騙されたことに落ち度がないといえる傾向にあるでしょう。

既婚者に騙されたと知ったらまずは証拠を集めましょう

既婚者に騙されたと知ったらまずは証拠を集めるこが重要です。

すぐに相手を問い詰めるのは避けた方がよいでしょう。既婚者であることを偽っていたような相手ですから、証拠もなく問い詰めたとして、素直に認める可能性はかなり低いでしょう。

集めるべき証拠としては、次のようなものが挙げられます。

  • LINE等で独身である旨を発言した内容・結婚を前提としたやり取り
  • マッチングアプリのプロフィールや既婚者の利用を禁止する規約のスクリーンショット
  • 結婚式場の下見をしていたことが分かる資料
  • 結婚を前提に紹介されていた両親や友人の証言

できるだけ多くの証拠を集めることを心がけましょう。

既婚者に騙された場合にしてはいけない2つの行動

既婚者に騙されたからと言って取ってはいけない行動は、次の2つです。

  • 交際を継続する
  • 相手の配偶者に慰謝料請求する旨を伝える

以下、詳しく見ていきましょう。

交際を継続する

交際を継続することはやめましょう。
交際相手が既婚者であると発覚したら、すぐに交際をやめることが重要です。

交際相手が既婚者であると知ったにもかかわらず、そのまま関係を継続した場合には、次の2つのリスクが生じます。

  • あなたにも非があるとして慰謝料請求が認められない・認められたとしても減額される
  • 交際相手の配偶者から不貞行為を理由に慰謝料請求されてしまう

既婚者であることを知り、かつ肉体関係を持った場合には、その時点で不法行為が成立してしまいます。

過去の判例でも、交際当初は交際相手が離婚していると伝えてきていたため、独身であると思って交際を始めたが、その後、知人からの話で交際相手が既婚者であることを知ったうえで交際を続けた場合には、その段階以降の責任を免れることはできないとして慰謝料250万円の支払い義務が命じられています(東京地裁平成24年12月17日判決)。

真剣に交際をしていた場合には、なかなか気持ちを整理するのが難しいでしょう。
しかし、既婚者と交際を続けることにはデメリットしかありませんから、交際相手が既婚者であると発覚した時点で、交際をやめましょう。

相手の配偶者に慰謝料請求する旨を伝える

相手の配偶者に慰謝料請求する旨を伝えることはやめましょう。

「既婚者であると嘘をついて騙したなんて許せない!」
「配偶者にこのことをバラしてやる!」
怒りのあまり相手への仕返しとして、相手の配偶者に慰謝料請求をする旨を伝えたいと考える方もいるでしょう。

しかし、そのような行為は、逆にあなたが慰謝料請求されるリスクを高めることになってしまいます。
相手の配偶者からしたら、配偶者とあなたは不倫関係であると言わざるを得ませんから、不貞行為を理由に慰謝料請求をしてくる可能性は十分に考えられます。

あなたからしたら、「騙されていたのだから大丈夫だろう。」と思うかもしれませんが、あなたの方にも落ち度があった場合には、慰謝料請求が認められてしまう可能性もあります。
したがって、相手の配偶者に慰謝料請求する旨を伝えることはやめましょう。

相手の配偶者から慰謝料請求された場合の対処法

「既婚者であると騙されていたのだから、慰謝料請求されてもどうにかなるだろう。」
このように考えて、慰謝料請求を無視することはやめましょう。

騙されていた場合であっても、もしかしたら既婚者かもしれないと気付く要素があった場合には、あなたに過失があるとして、慰謝料の支払い義務が生じる可能性があります。

既婚者であることを知らなかったことを立証する証拠を集める

既婚者であることを知らなかったことを立証する証拠を集めましょう。

慰謝料の支払いを免れるためには、既婚者であることを知らなかった・知らないことに落ち度がなかったことを証明する必要があります。

証拠収集のポイントとして、次の2つが挙げられます。

  • 独身であると偽っていたことを示す証拠を集める
  • 既婚者であることを知らなかったことに落ち度がないことを示す証拠を集める

証拠としては、既に4章で解説したようなものが挙げられます。

早めに弁護士に相談する

早めに弁護士に相談しましょう。

自分は騙されていたのだからという思いから、交際相手の配偶者に対して感情的に反論してしまう方も多くいます。
感情的なあまりに不用意な発言をしてしまうと、あなたに不利に働いてしまうことにもなりかねません。

慰謝料請求された場合には、一度弁護士に相談し、適切なアドバイスをもらいましょう。

まとめ

交際相手が既婚者だと知ったら、ショックを受けてしまいますよね。結婚を前提としていた真剣交際だった場合には、なおさら許せない気落ちでいっぱいでしょう。

交際相手が既婚者であると気づいたら、まずは交際をやめましょう。そして、相手から確実に慰謝料を獲得するための準備をはじめましょう。

相手の配偶者から慰謝料請求されることを恐れて、自分ひとりで慰謝料請求できる自信がない場合には、一度弁護士にご相談ください。弁護士が、あなたに不利にならないよう交渉をし、既婚者だと騙していた相手から慰謝料を獲得できるようサポートいたします。

ネクスパート法律事務所では、不貞問題に強い弁護士が在籍しています。
仕事が忙しくて相談に行けない人や遠方にお住まいの方のためにオンライン法律相談サービスも実施しています。初回の相談は30分無料ですので、ぜひ一度ご相談ください。

コラム監修者

SHIZU ISHIDA

SHIZU ISHIDA

所属:東京オフィス

広島県広島市出身。青山学院大学心理学科、東海大学法科大学院卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、刑事、民事、法人案件等幅広い分野の専門知識を習得。弁護士登録10年目にしてネクスパート法律事務所に入所し、現在は主に離婚事件に注力している。

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