更新日:2026年2月26日 (木)

公開日:2025年2月26日 (水)

業務中に不貞行為が行われた場合は使用者責任を問えるのか?

業務中に不貞行為が行われた場合は使用者責任を問えるのか? 業務中に不貞行為が行われた場合は使用者責任を問えるのか?

サマリー

「配偶者の不貞相手は、自宅に出入りしていた業者だった…」
「配偶者が勤務先の上司と勤務時間中に不貞行為に及んでいた!」
配偶者の不貞が発覚し、よくよく調べると、不貞相手は業務中に不貞行為が行われていた場合もあるかもしれません。

業務と不貞行為に関連性がある場合、不貞相手の勤務先に対して使用者責任を問えるのでしょうか?

この記事では、不貞行為と使用者責任の関係について解説しています。
使用者責任に関連して起こり得るリスクについてもご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

自宅に出入りしていた業者と配偶者が不貞行為!使用者責任を問える?

勤務先に対して使用者責任を問うのは難しいでしょう。

業務中に不貞行為に及ぶなど、業務と不貞行為に関連性がある場合、勤務先にも何らかの責任があるのではないかと思う方もいらっしゃるでしょう。

しかし、使用者責任を問える可能性は低いです。

以下は、実際に使用者責任を問えないかと疑問を抱いた方のシチュエーションです。

・配偶者が、職場の取引先の相手と、相手の家で業務中に不貞を行った
・配偶者が、自宅に来た業者と不貞関係になり、不貞相手の業務中に不貞を行った
・配偶者が、取引先の相手と不貞関係になり、社用車で頻繁に会いに行っていた
・配偶者が、職場の一室で、夜勤中に不貞相手と不貞を行った

いずれのケースも、勤務先に対して使用者責任を問うのは難しいでしょう。

使用者責任が認められるためには、上の4つの条件が必要です(なお、不法行為=不貞行為(原則として、肉体関係を伴う行為)を意味します。)。

被用者(従業員)の不貞行為を理由に、勤務先に対して使用者責任を問う場合は、4つの条件のうち、【③その事業の執行について不法行為があったこと】が問題になります。

【その事業の執行について】とは、職務範囲内の行為、つまり事業に関連して行われた行為です。

単に、業務時間内の行為=事業に関連とされるのではなく、行為そのものが事業と密接した関係にあるかがポイントです。基本的に、不貞行為は事業と関係のない行為であり、たとえ業務中に不貞行為があった場合でも、それは事業と密接した関係とは評価されず、従業員の私的な行為と判断されます。

裁判所も、自宅を訪れた業者と原告の配偶者が不貞行為に及んだ事案について、不貞行為が外形的にみて職務の範囲内の行為と認められないことは当然であるとし、そもそも不貞行為は、事業とは離れた当事者間の自由な意思に基づくものと認められることから、事業と密接関連性を有するとも認められないと示しています(東京地裁平成25年12月25日判決)。

したがって、勤務先に対して使用者責任を問うのは難しいでしょう。

不貞相手が会社の代表者でも使用者責任を追及できない?

不貞相手が会社の代表者でも使用者責任を追及するのは難しいでしょう。

配偶者の不貞相手が、会社の代表者やお店の店長など、会社において一定の地位にある場合は、会社にも責任があるのではないかと思う方もいらっしゃるでしょう。

しかし、使用者責任を問える可能性は低いです。

前章のとおり、使用者責任を問うには、不貞行為と事業との間に密接した関係が必要です。

不貞相手が、会社において一定の地位にある場合でも、不貞行為そのものは、当事者間の自由な意思に基づき行われるものであり、一定の地位との関係性を肯定するのは難しいでしょう。

ただし、一定の地位や肩書、権威等を利用し、不貞行為を強要した場合には、使用者責任が認められる余地はあるでしょう。

不貞行為の責任を追及する矛先や手段を間違う2つの落とし穴

勤務先に対する使用者責任の追及が難しい場合でも、何らかの方法で不貞相手に社会的制裁を与えたいと考える方もいるかもしれません。

しかし、責任を追及する矛先や手段を間違うと、逆にあなたが責任を問われるリスクがあります。

相手の勤務先に不貞行為の事実を告げることによるトラブル

使用者責任は問えなくても、勤務先に不貞行為の事実を伝えたい勤務先に何らかの指導や処分を求めたい方もいるかもしれません。

不貞相手の勤務先に不貞行為の事実を告げる行為が、名誉毀損・プライバシー侵害にあたる可能性があります。

不貞トラブルは、私的な問題であり、これを第三者(勤務先)に通知する行為は、名誉毀損・プライバシー侵害にあたる可能性があるでしょう。

勤務先に不貞行為の事実を告げ、執拗に何らかの処分を求めた場合、業務妨害罪に問われるおそれもあります。

過去の裁判例では、勤務先に不貞行為の事実を告げた結果、自宅待機を命ぜられ、その後退職勧奨を受け退職した事案において、通知行為がなければ受け取れたであろう給与が逸失利益として認められています(東京地裁平成24年12月21日判決)。

責任を追及する矛先を勤務先にすることで、あなたが責任を問われるおそれがあるでしょう。

不貞相手に退職や金銭の支払いを迫ることによるリスク

勤務先に処分を求められないなら、不貞相手に退職して欲しいと考える方もいるかもしれません。

しかし、不貞を理由に退職の強制はできません。

「退職しないなら、勤務先に不貞をバラす。」「勤務先に不貞をバラされたくなければ、500万円支払え。」等と脅した場合は、恐喝罪や強要罪に問われる可能性があります。

責任追及の手段を間違えると、あなたが責任を問われるおそれがあるでしょう。

不貞相手に責任をとらせたいなら慰謝料請求が正攻法!

不貞相手に責任をとらせたいなら、適切な慰謝料の獲得を目指しましょう。

不貞相手に法的責任を追及し、あなたの気持ちにけじめを着ける方法は、慰謝料の獲得です。

適正な慰謝料を獲得したい場合には、弁護士への依頼をおすすめします。

できるだけ多くの慰謝料を獲得したい気持ちから、根拠もなく高額な慰謝料を提示しても、かえって交渉が長引く可能性が高く、相手が頑なに拒否するおそれもあります。

弁護士であれば、的確な証拠や根拠を元に適切な慰謝料を提示し、あなたに有利な解決をするべく尽力してくれます。弁護士に依頼することで、納得のいく解決ができる可能性が高くなるでしょう。

慰謝料請求のほかにも、交際解消の約束・今後の接触禁止の約束も取り決めが可能です。

今後も仕事上接触する機会があると、不安に思うのも仕方ありません。
業務上必要な範囲を除く接触禁止の約束を合意することで、不貞の再発防止に繋がります。

弁護士に依頼することで、法的に可能な範囲内で、交際解消の約束・今後の接触禁止等の約束を取り決めてもらえるでしょう。

まとめ

不貞行為は、あくまでプライベートの問題のため、勤務先に使用者責任を問うのは難しいです。

不貞行為に責任をとらせたいのならば、適切な慰謝料の獲得を目指しましょう。

ネクスパート法律事務所では、不貞問題に強い弁護士が多数在籍しています。初回の相談は30分無料ですので、お気軽にご相談ください。

コラム監修者

SHIZU ISHIDA

SHIZU ISHIDA

所属:東京オフィス

広島県広島市出身。青山学院大学心理学科、東海大学法科大学院卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、刑事、民事、法人案件等幅広い分野の専門知識を習得。弁護士登録10年目にしてネクスパート法律事務所に入所し、現在は主に離婚事件に注力している。

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