更新日:2026年2月26日 (木)

公開日:2025年7月22日 (火)

不貞慰謝料の取り決めを公正証書で作成するメリット・デメリット

不貞慰謝料の取り決めを公正証書で作成するメリット・デメリット 不貞慰謝料の取り決めを公正証書で作成するメリット・デメリット

サマリー

不貞慰謝料の支払いを受けるあなたは、公正証書を作成すべきか悩んでいませんか?

この記事では、不貞慰謝料の取り決めを公正証書で作成すべきメリット・デメリットについて解説します。

公正証書に記載すべき事項や、公正証書の作り方も詳しく解説しますので、ぜひご一読ください。

不貞慰謝料の取り決めを公正証書で作成するメリット

不貞慰謝料の取り決めを公正証書で作成する主なメリットは、以下の3つです。

  • 示談の成立・有効性を証明しやすい
  • 支払いが滞ったら強制執行できる
  • 偽造・変造・紛失の心配がない

以下で、詳しく解説します。

示談の成立・有効性を証明しやすい

示談の成立・有効性を証明しやすいです。

公正証書とは、法律実務の経験豊かな公証人が、その権限に基づいて作成する公文書です。

公正な第三者である公証人が作成するため、当事者の意思に基づいて作成されたとの強い推定が働くため、当事者のみで作成した私文書に比べて証明力が高いです。

公正証書で作成すれば、示談の成立・有効性を証明しやすいです。

支払いが滞ったら強制執行ができる

支払いが滞ったら強制執行ができます

公正証書に強制執行認諾条項を設ければ、その公正証書は執行力を有します。そのため、支払いが滞った場合は、裁判を起こすことなく、直ちに強制執行手続きを開始できます。

不倫相手に「支払いが滞れば強制執行される」との心理的な圧力をかけられるため、約束通りに支払ってもらえる可能性も高まります。

公正証書で作成すれば、支払いが滞ったら強制執行できます。

偽造・変造・紛失の心配がない

偽造・変造・紛失の心配がありません

公正証書の原本は、公証役場に保存します。そのため、偽造や変造される心配はありませんし、万が一紛失した場合も再発行が可能です。

公正証書で作成すれば、偽造・変造・紛失の心配がありません。

不貞慰謝料の取り決めを公正証書で作成するデメリット

不貞慰謝料の取り決めを公正証書で作成する主なデメリットは、以下の2つです。

  • 作成に手間がかかる
  • 手数料がかかる

以下で、詳しく解説します。

作成に手間がかかる

作成に手間がかかります

公正証書を作成するには、当事者双方が揃って公証役場に出向く必要があります。

公証人だけでなく不倫相手ともスケジュールを調整する必要がありますし、不倫相手と直接顔を合わせて作成しなければなりません。時間的にも精神的にも負担がかかるでしょう。

作成に手間がかかることは、公正証書を作成するデメリットです。

手数料がかかる

公正証書の作成には、手数料がかかります。
手数料の金額は、慰謝料の金額により異なります。

手数料がかかることは、公正証書を作成するデメリットです。

分割でも慰謝料を確実に支払わせたい!公正証書に盛り込むべき事項

不貞慰謝料の取り決めを公正証書で作成すれば、分割でも慰謝料を確実に受け取れる可能性が高まります。

慰謝料の回収可能性を高めるため、公正証書に盛り込むべき主な事項は、以下の5つです。

  • 不貞の事実
  • 慰謝料の金額・支払い方法
  • 期限の利益逸失の要件と遅延損害金の定め
  • 互いに債権債務がないこと
  • 強制執行に服すること

以下で、詳しく解説します。

不貞の事実

不貞の事実が存在すること・不貞の事実を認めていることを文言として反映してもらいましょう。

具体的には、以下のような事項です。

  • 不貞行為の当事者
  • 不貞行為をした日時や交際期間
  • 不貞行為をした場所
(不貞の事実)
○○○○と○○○○は、20○○年○月ころから20○○年○月ころまでの間に、○○○○の自宅やホテルにおいて、少なくとも○回程度の不貞行為があったことを認める。

慰謝料の金額・支払い方法

当事者間で合意した慰謝料の金額・支払い方法を記載してもらいます。

慰謝料に関する合意内容が客観的に証明できます。

具体的には、以下のような内容です。

  • 慰謝料の金額
  • 支払期日
  • 支払い方法
  • 口座番号(銀行振込の場合)
  • 振込手数料の負担(銀行振込の場合)
(慰謝料)
○○○○は、慰謝料○○○万円の支払い義務があることを認める。
慰謝料は、次のとおり分割し、毎月○日限り、指定された口座に振り込む方法により支払う。なお、振込手数料は○○○○の負担とする。令和○年○月○日から令和○年○月○日まで○○万円ずつ

(振込先口座)
○○銀行○○支店
普通預金 口座番号○○○○○○
口座名義人○○○○

期限の利益喪失の要件と遅延損害金の定め

分割払いの場合は、支払が滞った場合に備えて、期限の利益を喪失する要件や遅延損害金に関する取り決めを盛り込んでもらうことが一般的です。

不倫相手に心理的なプレッシャーを与えられますし、支払いが滞った場合も慰謝料の一括払いや遅延損害金を請求できます。

期限の利益とは、支払い期日がくるまでは全額を支払わなくてもよい権利(分割払いができる権利)です。期限の利益を喪失した場合、債権者であるあなたは不倫に相手に対して、残額を一括で支払うよう請求できます。

遅延損害金とは、支払いが滞った場合に債権者に生じた損害を賠償する金銭です。遅延損害金の請求権は民法第419条に明記されています。

遅延損害金の利率は当事者間で自由に決められますが、当事者間の取り決めがなければ、法定利率である年3%が適用されます。なお、法定利率は市中金利に合わせて3年ごとに見直されます。

(期限の利益喪失の要件と遅延損害金)
分割金の支払いを怠ったときは、当然に期限に利益を失う。支払期日の翌日から支払済みに至るまで、年○%の割合による遅延損害金を支払うものとする。

互いに債権債務がないこと

公正証書に記載した内容で、当事者間の問題が全て解決する場合には、互いに債権債務がないことを記載することが一般的です。

解決後のトラブルの蒸し返しを防止しやすくなります。

公正証書で定めた条項以外に当事者間に債権債務がないことを確認し、明記することで、不倫相手から何らかの金銭等を要求される事態を防げます。

(清算条項)
本公正証書に定めるもののほか、何ら債権債務がないことを相互に確認する。

強制執行に服すること

不倫相手が、慰謝料の支払いを怠った場合に直ちに強制執行を受けることを了承している場合には、その旨の文言(強制執行認諾文言)を反映してもらいましょう。

強制執行認諾文言とは、支払いが滞った場合には直ちに強制執行を受けてもやむを得ないことの記載です。この文言があれば、裁判手続きを経ることなく、不倫相手の財産の差し押さえが可能です。

強制執行認諾文言がなければ、不貞慰謝料の取り決めを公正証書で作成しても、公正証書による強制執行は行えません。

(強制執行認諾)
○○○○は、分割金の支払いを怠ったときは、直ちに強制執行に服する。

不貞慰謝料の支払いに関する公正証書の作り方

不貞慰謝料の支払いに関する公正証書を作る際の流れを紹介します。

当事者間で示談の内容・記載事項について協議・合意する

当事者間で示談の内容について協議・合意します。

慰謝料の金額や支払い方法をはじめ、公正証書に記載してもらう約束事等は、当事者間で事前に決めておく必要があります。

示談書等を作成する必要はありませんが、メモがあった方が公証人に伝えやすいでしょう。

公証人との打ち合わせ日時を決める

公証人との打ち合わせ日時を決めます

公証役場に連絡し、打ち合わせ日時の予約を取りましょう。

公証人との打ち合わせ・必要書類の提出

予約した日時に公証役場に行き、公証人との打ち合わせを行います。
この事前打ち合わせの段階では、必ずしも当事者双方が公証役場に出向く必要はなく、どちらか一方のみでも構いません。

必要書類は当事者双方が提出する必要がありますが、別途郵送やFAX等でも可能です。
通常、以下の組み合わせのうちのいずれかを準備することになるでしょう。

  • 印鑑登録証明書と実印
  • 運転免許証と認印
  • マイナンバーカードと認印
  • パスポートや身体障害者手帳、在留カードのうちいずれか1つと認印

ただし、契約の内容により必要な書類は異なりますので、事前に公証人に確認しましょう。

公証人が作成した公正証書案を確認する

公証人が作成した公正証書案を確認します。

打ち合わせの内容を踏まえて、公証人が公正証書案を作成します。公正証書案は、作成前にメールやFAX等で送られてくるケースが多いです。記載漏れや不備等がないか、公正証書案の内容を確認しましょう。

当事者双方が公正証書案の内容を確認し、内容に問題がなければ、公正証書作成日時を決めます。

公証役場にて公正証書を作成する

公証役場にて公正証書を作成します。

公証人立ち会いのもと公正証書の内容を確認し、間違いなければ、当事者双方が署名・押印します。

当事者双方が公証役場に出向く必要がありますが、本人の委任状を持った代理人でも手続きが可能です。

公正証書の原本は、公証役場にて保管されます。

公正証書作成手数料を支払う

公正証書作成手数料を支払います

手数料は、原則として、公正証書の正本等を受けとる時に、現金またはクレジットカードで支払います。

当事者双方が公正証書の正本・謄本を受け取り、手続きは完了します。

公正証書の作成を見据えた示談交渉は弁護士にお任せください!

公正証書の作成を見据えた示談交渉をするなら、弁護士への依頼も積極的にご検討ください。

公正証書を作成するには、不倫相手と話し合い、記載する内容を事前に決める必要があります。慰謝料の金額や支払い方法は合意できていても、「強制執行認諾条項を入れないでほしい」等と言われて、話し合いが進まないことも考えられます。

弁護士に依頼すれば、公正証書に記載する内容の交渉から公正証書の作成までのすべてを一任できるため、あなたの負担を最小限に抑えられます。慰謝料の金額や約束事等の示談内容についても、法的観点から適切なアドバイスをもらえるため、後悔のない解決を図れる可能性が高まります

公正証書の作成を見据えて不倫相手と交渉するなら、弁護士へ依頼することをお勧めします。

まとめ

不貞慰謝料の取り決めを公正証書で作成すると、示談の成立・有効性を証明しやすく、偽造・変造・紛失の心配がありません。強制執行認諾条項を設ければ、支払いが滞ったら直ちに強制執行手続きを開始できるため、分割でも慰謝料を確実に支払ってもらえる可能性が高まります。

示談交渉から公正証書の作成までのすべてを弁護士に一任したいとお考えなら、ぜひネクスパート法律事務所にご相談ください。

弊所には、豊富な経験と解決実績を有する弁護士が多数在籍しています。あなたが納得できる形で示談できるよう、全力でサポートいたします。初回相談は30分無料です。ぜひお気軽にお問い合わせください。

コラム監修者

SHIZU ISHIDA

SHIZU ISHIDA

所属:東京オフィス

広島県広島市出身。青山学院大学心理学科、東海大学法科大学院卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、刑事、民事、法人案件等幅広い分野の専門知識を習得。弁護士登録10年目にしてネクスパート法律事務所に入所し、現在は主に離婚事件に注力している。

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