更新日:2026年7月13日 (月)

公開日:2026年7月13日 (月)

相続財産に株が含まれていたら?手続きをスムーズに行う方法を解説

相続財産に株が含まれていたら?手続きをスムーズに行う方法を解説 相続財産に株が含まれていたら?手続きをスムーズに行う方法を解説

被相続人が遺した財産に、預貯金や不動産だけでなく株式が含まれている場合、家族間でどのように分ければ良いか不安が伴うと思います。
株の相続手続きは、全体像を体系的に理解し、一つひとつのステップを計画的に進めれば完了できます。
この記事では、被相続人の株式を円満かつスムーズに引き継ぐための5つのステップを紹介します。

株式の相続手続きのための5つのステップとは?

株式の相続手続きは、以下の手順で進めていくとよいでしょう。

ステップ①相続財産の特定と調査

被相続人が、どの会社の株式をどれくらい保有していたか正確に特定します。
被相続人の遺品整理や証券会社への問い合わせ、さらに専門機関への開示請求を通じて、財産の全容を明らかにします。

ステップ②遺産分割協議と遺産分割協議書の作成

被相続人の財産が明らかになったら、被相続人が遺言書を残していない限り、法定相続人全員で遺産の分け方について話し合います。この話し合いを遺産分割協議といいます。
遺産分割協議が成立したら、その合意内容を書面化した遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議書とは?作成の流れと手続きのポイントを解説

ステップ③証券会社等での名義変更手続き

遺産分割協議で決まった内容に基づき、株式の名義を被相続人から財産を引き継ぐ相続人へと変更します。
上場株式の場合は証券会社、非上場株式の場合は発行会社が手続きの窓口です。

ステップ④相続税の評価と申告・納税

相続人が亡くなった日時点での株式の評価額を算定し、他の相続財産と合算して相続税を計算します。
相続税が発生する場合は、定められた期限内に申告・納税を行います。

ステップ⑤株式の売却・換金

名義変更が完了すれば、相続人自身の意思でいつでも株式を売却し、現金化できます。
これらのステップは、それぞれが次のステップへと繋がる重要なプロセスです。
ここから、それぞれのステップをさらに詳しく解説します。

被相続人の株式財産を漏れなく見つけ出すための具体的調査法は?

被相続人が生前、株式について家族に話していなかったり、株券を自宅で見つけられなかったりする場合、どのように調査をすればよいでしょうか?
被相続人の株式財産を漏れなく見つけ出すための実践的な調査方法をいくつかご紹介します。

遺品やネットの足跡を調べる

被相続人の自宅を整理して手がかりを探します。
証券会社は年に一度以上、年間取引報告書などを郵送するのが一般的です。
取引報告書や取引残高報告書、配当金計算書、株主優待券など、証券会社名が記載された郵便物がないか確認しましょう。大手証券会社では専用の提携カードを発行している場合があるので、財布の中にカードがないかもチェックポイントです。
昨今では、インターネットを通じた取引が一般的です。被相続人が使用していたパソコンやスマートフォンの閲覧履歴、ブックマーク、メールを確認するのも有効な手段です。ネット証券を利用している場合、取引報告書が電子交付されているため、メールの受信履歴から手がかりが見つかる可能性があります。
銀行の通帳や取引明細も重要な情報源です。株式を保有していれば、定期的に配当金が振り込まれている可能性があります。見慣れない振込履歴がないか確認してみましょう。
株式の売買で年間所得が20万円を超えていた場合は、確定申告を行っている可能性があり、その控え書類からも証券会社を特定できる場合があります。

証券保管振替機構(ほふり)へ開示請求をする

被相続人が複数の会社で株の取引をしていた可能性がある場合、証券保管振替機構(通称・ほふり)への開示請求を行いましょう。
ほふりへ開示請求を行えば、被相続人が上場株式、投資信託、ETF(上場投資信託)など保有していたすべての証券会社や信託銀行の情報を一括で取得できる利点があります。手続きの窓口が一本化されているため、時間と労力が削減できます。
開示請求は、戸籍謄本などの必要書類を準備し、ほふり所定の開示請求書とともに郵送します。費用は相続人からの請求の場合、1件あたり6,050円(税込)ですが、法務局が発行する法定相続情報一覧図の写しを提出すると4,950円です。
開示結果は郵便で送られてきますが、該当する口座がなかった場合でも費用は発生します。ほふり調査の対象は上場株式等に限られるため、非上場株式や外国株式、銀行で取引している投資信託などは含まれません。
参照:証券保管振替機構

タンス株(紙の株券)の調査をする

タンス株(紙の株券)の調査をしましょう。
2009年の株券電子化以降、紙の株券(タンス株)は無効となりましたが、被相続人が株券を保管していた場合、その権利は失われていません。これらの株式は、発行会社の株主名簿管理人である信託銀行に開設された特別口座で管理されています。
タンス株を見つけた場合は、ほふりではなく株券を発行した会社の株主名簿管理人(信託銀行)に直接問い合わせなければいけません。この手続きは、通常の証券会社での手続きとは異なるため見落としがちなポイントです。
以下のチェックリストは、これらの調査を計画的に進める上で役立ちますので、確認をしてください。

   

   

調査方法 手がかりとなるもの 問い合わせ先
自宅の遺品整理 郵便物、取引報告書、配当金計算書、株主優待券、提携カード、確定申告の控え 証券会社、信託銀行
銀行通帳の確認 配当金の入金履歴 銀行
パソコン・スマホの確認 閲覧履歴、ブックマーク、メールの受信履歴 証券会社
証券保管振替機構(ほふり)への開示請求 被相続人名義の口座がある証券会社・信託銀行の一覧情報 証券保管振替機構(ほふり)
タンス株の確認 無効化された紙の株券 発行会社の株主名簿管理人(信託銀行)

証券会社等での名義変更手続きに必要な書類は?

被相続人が保有していた株式を相続するには、被相続人名義の口座を相続人名義へと変更(振替・移管)しなければいけません。この手続きは、株式が上場株式か非上場株式かによって異なります。それぞれを以下で解説します。

上場株式の場合の手続き方法

被相続人が上場株式を保有していた場合、手続きは以下の流れで進めます。
①被相続人の取引先証券会社を特定したら、相続手続きをしたい旨を伝えます。その際に被相続人の死亡日時点での保有銘柄、株式数、株価などが記載された残高証明書の発行を依頼します。
②株の移管先となる、相続人自身の証券口座を開設します。被相続人と同じ証券会社に開設するのが原則です。
③遺産分割協議書や必要書類を証券会社に提出します。書類に不備がなければ、通常2〜3週間程度で相続人の口座へ株式が移管されます。

非上場株式の手続き方法

非上場株式は証券取引所で取引されていないため、相続手続きの窓口は発行会社です。
被相続人の株式を相続する場合は、発行会社に直接連絡を取り、株主名簿の書き換えを請求します。手続きの流れや必要書類は会社ごとに異なるため、事前に確認をしましょう。

上場・非上場を問わず必要な基本的な書類

上場・非上場を問わず、名義変更手続きには共通して以下の書類が必要です。

   

必要書類 詳細
被相続人の戸籍謄本 出生から死亡までの連続したもの
相続人全員の戸籍謄本 被相続人との関係を確認できるもの
遺産分割協議書(遺言書がない場合) 相続人全員の署名・押印(実印)が必要
相続人全員の印鑑登録証明書 遺産分割協議書に添付。一般的に発行日から6か月以内のもの

複数の金融機関で手続きを行う場合、その都度戸籍謄本を取得するのは時間と費用がかかります。法務局で法定相続情報一覧図の写しを取得すれば、手続きが大幅に簡略化されます。

法定相続情報一覧図が使えないことがある!ケース別に紹介

株式の種類に応じた特殊な手続きと注意点

株式の相続手続きには、通常のケースとは異なる場合があります。被相続人が保有していた株式の種類に応じて、適切な手続きを確認しましょう。

NISA口座の株式の相続

被相続人が少額投資非課税制度(NISA)口座で株式を保有していた場合、取扱いは通常とは異なります。NISAは個人に帰属する非課税制度のため、被相続人が保有していた株式を相続人自身のNISA口座に移すことはできず、相続人の特定口座もしくは一般口座に移管されます。
被相続人のNISA口座内の株式は、相続発生時点で含み益があれば、その含み益は非課税です。そのため、被相続人が取得した価格と相続発生日の時価との差額については、税金がかかりません。
相続発生日以降に得た配当金や、将来、相続人がその株式を売却して得た利益については、課税対象となりますので注意しましょう。

単元未満株式(端株)の相続

単元未満株式(端株)は、通常の株式と異なり、証券会社の口座ではなく、発行会社の株主名簿管理人である信託銀行の特別口座で管理されています。タンス株と同様に、単元未満株式を相続する場合は証券会社ではなく、信託銀行に直接連絡して手続きを行います。手続きの流れは基本的に上場株式と同様ですが、特別な書類が追加で求められる可能性があります。単元未満株式の相続方法は主に以下の2つから選択できます。
相続人名義の証券口座に株式を移管する方法です。他の株式と一緒に管理できるようになりますが、移管した単元未満株式が市場で売却できない場合があります。
発行会社に単元未満株式を時価で買い取ってもらい、現金で受け取る方法です。

株を相続した際に知っておきたい税金の知識

株を相続する場合、手続きだけでなく、税金に関する正しい知識を持たなければいけません。以下では、知っておきたい税金に関する知識を紹介します。

相続税評価

相続税の申告が必要かどうか計算するには、被相続人が遺した株式の価値を評価しなければなりません。以下いずれかの方法で評価をしますが、株価の変動リスクを考慮して、相続人に有利な評価方法を選択できます。複数の銘柄を保有していた場合は、銘柄ごとに最も低い評価額を採用して構いません。

上場株式の評価方法

相続税の申告が必要な場合は、株式の価格の評価が必要です。
上場株式の相続税評価額は、原則として相続発生日(死亡日)の終値の株価に保有株式数を乗じて計算します。ただし、株価の急変などによる不利益を是正するため、下記の4つの価格で一番低い価格が相続税評価額とされます。

  • 相続があった日(死亡日)の終値
  • 相続があった月の毎日の終値の月平均額
  • 相続があった月の前月の毎日の終値の月平均額
  • 相続があった月の前々月の毎日の終値の月平均額

これらの価額は被相続人が取引をしていた証券会社に、上記のそれぞれの価額が記載された残高証明書を発行してもらうことで確認できます。
被相続人の死亡日が、土日祝日など株式取引が行われていない場合は、死亡日前後で一番近い日の終値を使います。

非上場株式の評価方法

非上場株式は、市場価格が存在しないため評価方法は複雑です。
会社の規模に応じて類似業種比準方式や純資産価額方式などを組み合わせて計算します。この計算には細かな専門知識が不可欠であり、正確な評価を求める場合は、弁護士や税理士に相談したほうがよいでしょう。

譲渡所得税

相続で取得した株式を売却して現金化する場合、売却益に対して譲渡所得税が課税されます。譲渡所得は以下の計算式で求めます。

売却代金 – (取得費 + 売却手数料)

取得費は、原則として被相続人が株式を購入した際の価格を引き継ぎます。
注意すべきなのは、相続税の取得費加算の特例です。この特例は、被相続人の株式を相続し、その株式に対して相続税を納付した場合、納付した相続税額の一部を、将来の売却時に株式の取得費に加算できます。取得費が増えれば譲渡所得税の課税対象額が減り、結果として税負担を軽減できます。

準確定申告

被相続人が亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得については、相続人が準確定申告を行わなければなりません。申告と納税の期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から4か月以内と定められています。
ただし、被相続人の証券口座が特定口座(源泉徴収あり)であった場合、譲渡益や配当金に対する源泉徴収が自動的に行われているため、原則として準確定申告は不要です。

準確定申告とは|亡くなった人の確定申告が必要な人は?必要書類は?

まとめ

被相続人が遺した株式の相続手続きは、多くの人にとって初めての経験であり、複雑さから不安を感じるのは当然のことです。手続きの全体像を把握し、一つひとつのステップを計画的に進めれば正確に完了できます。手続きに関して迷いや不安が生じた場合は、一人で抱え込まずに、必要に応じて弁護士に相談をしてください。
ネクスパート法律事務所には、相続全般を数多く手掛けている弁護士が在籍しています。
税理士との連携もしていますので、株の相続に関してお悩みがある方はぜひ一度ご連絡ください。

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