更新日:2026年10月21日 (水)

公開日:2026年10月19日 (月)

アスベストはいつから禁止?規制の歴史と年代別の見分け方を解説

アスベストはいつから禁止?規制の歴史と年代別の見分け方を解説 アスベストはいつから禁止?規制の歴史と年代別の見分け方を解説

サマリー

所有する住宅や実家の解体・リフォームを検討する際、「この建物にアスベストが使われているのではないか」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。

アスベストは健康被害への懸念から段階的に規制が進められましたが、完全に禁止されるまでには複数の法改正を経てきました。

この記事では、アスベストが禁止された年表や規制の歴史、建物の着工年代から含有リスクを見分ける目安、解体・改修工事における法的なルールについて分かりやすく解説します。

アスベストはいつから禁止?段階的な規制の歴史

アスベストはいつから禁止?段階的な規制の歴史

アスベスト(石綿)はかつて耐火性や断熱性に優れた安価な建材として広く使用されていましたが、吸入による健康被害が明らかになるにつれて法令による規制が段階的に強化されてきました。

一度にすべての使用が禁止されたわけではなく、危険性の高い吹付け材から順次対象が広げられていった経緯があります。

アスベスト規制の主な年表

年月 法令・制度 規制の主な内容
1975年(昭和50年) 特定化学物質等障害予防規則の改正 含有率5重量%を超える吹付けアスベストの原則禁止
1995年(平成7年) 労働安全衛生法施行令の改正 青石綿(クロシドライト)・茶石綿(アモサイト)の製造等の禁止、含有基準を1重量%超へ強化
2004年(平成16年) 労働安全衛生法施行令の改正 白石綿(クリソタイル)を含む建材など10品目の製造等の禁止
2006年(平成18年) 労働安全衛生法施行令の改正 含有率0.1重量%を超える製品の製造・使用等の実質的全面禁止
2012年(平成24年) 労働安全衛生法施行令の改正 代替困難とされていた製品の猶予期間が終了し、完全禁止

日本における規制の端緒となったのは、1975年の特定化学物質等障害予防規則の改正です。施工時に大量の粉じんが発生する「吹付けアスベスト」のうち、石綿含有率が5重量%を超えるものの施工が原則禁止となりました。

ただし、この時点ではまだ含有率5重量%以下の製品や成形板建材の使用は認められていました。

1995年には、毒性が特に強いクロシドライト(青石綿)やアモサイト(茶石綿)の製造・輸入・使用等が禁止され、吹付け材の含有基準も1重量%超へと引き下げられました。

さらに2004年には、スレート屋根材や窯業系サイディングなどの主要な建材を含む10品目の製造が原則禁止となりました。

建築物に関して特に大きな節目となったのが2006年(平成18年)9月の法改正です。

石綿を0.1重量%を超えて含有するすべての製品の製造、輸入、譲渡、提供、使用が原則として禁止され、建材への使用は実質的に全面的に禁止されました。

実務上は、2006年9月1日以降に着工された建築物であれば、アスベスト含有建材は原則として使用されていないと判断されます。

なお、2006年の法改正時点では、代替技術の確立が困難であった一部の化学工業用ガスケットやシール材など特定の製品に限り、例外的な猶予措置が残されていました。

これらの猶予期間が2012年に終了したことで、現在ではすべての製品においてアスベストの製造・使用が完全に禁止されています。

建物の建築年代から見るアスベスト含有の目安

所有している建物にアスベストが含まれている可能性があるかどうかを判断する目安として、建築時期の確認が挙げられます。

法規制の変遷を踏まえると、建物の建築年代はおおむね3つの時期に区分して整理することが可能です。

建築年代の区分 含有リスクの目安 主な状況・使われ方
1975年(昭和50年)以前 高リスク 吹付けアスベストをはじめ、多くの建材にアスベストが高濃度で使用されていた時期
1975年〜2006年(平成18年) 建材によりリスクあり 吹付け材の規制は進んだものの、屋根材・外壁材・内装材などの成形板建材に広く使用
2006年(平成18年)9月以降 原則として含有なし 代替困難な一部部材を除き、0.1重量%を超える建材の製造・使用が実質全面禁止

建築年代ごとの主な特徴

1975年以前に着工された建物は、規制が本格化する前であるため、梁や柱、機械室などの吹付け材だけでなく、外壁材や内装材に至るまで広範囲にアスベストが使われていた可能性があります。

1975年から2006年にかけての建物では、吹付け材の利用は段階的に制限されたものの、スレート屋根やサイディング外壁、石膏ボードといった「成形板」と呼ばれる建材にアスベストが継続して使用されていました。

そのため、見た目だけでは判断が難しく、建材ごとの調査が必要となるケースが多く見られます。

2006年9月以降に着工された建物については、法令によりアスベスト含有率が0.1重量%を超える建材の製造・輸入・使用が全面的に禁止されたため、原則としてアスベストは含まれていないと考えられます。

判断基準は「竣工日」ではなく「着工日」

建物の年代を確認する際、留意しなければならないのが「完成日(竣工日)」ではなく「工事に着手した日(着工日)」を基準にする点です。

建物の登記簿謄本に記載されている新築年月(竣工日)だけで判断すると、規制前の時期に着工され、当時の建材が使われていた可能性を見落とすおそれがあります。

特に規模の大きな鉄骨造やRC造の建物では、着工から完成までに1年以上を要することも珍しくありません。

たとえば、2006年秋に完成した建物であっても、着工が2006年8月以前であれば、規制前の建材が施工されている余地が残ります。

正確な着工日を把握するためには、建築主の手元に保管されている「建築確認済証」や「確認申請書(副本)」を確認するのが確実です。

これらの書類が見当たらない場合は、物件が所在する市区町村の建築指導担当窓口で「台帳記載事項証明書」の交付を受けるなどの確認方法があります。

住宅や建物でアスベストが使われていた主な建材と場所

アスベストは耐火性や断熱性、防音性に優れていたため、かつてはビルや商業施設だけでなく一般的な住宅にも幅広く使われていました。

一口にアスベスト建材といっても形状や性質は多様であり、解体や改修工事での飛散しやすさに応じて「レベル1」から「レベル3」までの区分が設けられています。

アスベストの危険度は、建材の含有量だけでなく、解体や破損時に空気中にどれだけ繊維が舞い散りやすいかという「発じん性」によって分類されています。

発じん性による3つのレベル区分と建材の例

発じん性区分 飛散のリスク 主な建材の種類 建物内で使われていた主な場所
レベル1 著しく高い 吹付けアスベスト、吹付けロックウールなど 鉄骨造の梁や柱、機械室、立体駐車場の天井など
レベル2 高い アスベスト含有保温材、耐火被覆材、断熱材など ボイラー室の配管、空調ダクト、煙突内部など
レベル3 比較的低い

(硬質成形板)

スレート屋根材、外壁サイディング、ビニル床タイルなど 戸建て住宅の屋根・外壁、居室の壁や天井、床など

飛散リスクが高い吹付け材と保温材(レベル1・レベル2)

レベル1に該当する吹付け材は、綿状のアスベストをセメントなどと混ぜて直接吹き付けた建材です。

鉄骨造の梁や柱の耐火被覆、機械室や立体駐車場の天井などの吸音・結露防止用として多用されました。結合力が弱いため、経年劣化や解体作業の衝撃で大量の粉じんが空気中に舞い上がるリスクがあります。

レベル2に該当するのは、ボイラーや配管の熱を逃がさないための保温材や耐火被覆材です。

板状や筒状に成形されているものの、密度が低く柔らかい素材が多いため、解体や取り外しの際に崩れて繊維が飛散しやすい特徴を持っています。

一般住宅にも多く使われた成形板建材(レベル3)

レベル3は、セメントや樹脂などでアスベストを固めて板状に成形した建材です。

アスベストが硬い素材に閉じ込められているため、通常の使用状態であれば空気中に飛散するリスクは極めて低いと考えられています。

一方で、木造住宅をはじめとする一般住宅にも広く普及した経緯があります。

代表的なものとして屋根の化粧スレートや外壁の窯業系サイディング、室内の石膏ボードやビニル床タイルなどが該当し、切断や破砕を伴う解体・改修時には粉じんが生じるため注意が必要です。

解体・リフォーム時の注意点と事前調査の義務化

建物の解体やリフォームを検討する際には、アスベストの飛散防止に関する法令を遵守することが求められます。

法改正により、現在では工事の規模を問わず着工前の事前調査が原則として義務づけられています。

さらに一定規模以上の工事を行う場合、施工業者が事前調査の結果を自治体等の管轄窓口へ報告する手続きが法令で義務化されています。

事前調査の有資格者化と報告対象となる工事規模

大気汚染防止法および石綿障害予防規則の改正に伴い、2023年10月以降に着工する建築物の解体・改修工事では、所定の講習を修了した「建築物石綿含有建材調査者」などの有資格者による事前調査の実施が必須となりました。

また、2022年4月からは電子システムを通じた調査結果の行政報告も義務づけられています。

施主自身が直接手続きを行うわけではありませんが、発注者として施工業者が適切な体制を整えているか確認しておくことが大切です。

工事の種別 報告対象となる規模基準 主な要件・調査者
建築物の解体工事 作業対象の床面積の合計が80㎡以上 有資格者による調査および電子報告が必須
建築物の改修・リフォーム工事 請負代金の合計額が100万円以上(税込) 有資格者による調査および電子報告が必須
工作物の解体・改修工事 請負代金の合計額が100万円以上(税込) 特定の工作物が対象(煙突、配管設備など)

日常生活での飛散リスクと老朽化・破損時の対応

アスベストを含む建材が使用されていても、壁や天井の内部に密閉されている場合や、セメント等で固められた板状の建材であれば、通常の使用環境で直ちに繊維が飛散するリスクは低いとされています。

ただし、経年劣化によって建材の表面が著しく傷んでいる場合や、地震などの災害によってひび割れや破損が生じた場合には、繊維が周囲に漏れ出るおそれが生じます。

建材の破損や剥がれ落ちに気づいた場合は、掃除機で吸い取ったり手で触れたりせず、建材の調査機関や自治体の環境担当窓口へ相談し、飛散防止の養生や除去を依頼することが推奨されます。

まとめ

アスベストは段階的な法改正を経て規制が強化され、2006年に実質的な全面禁止、2012年には猶予措置も撤廃されて完全禁止となりました。

所有する建物にアスベストが含まれている可能性があるか判断する際は、竣工日ではなく建築確認済証などの「着工日」を確認することが重要な目安となります。

解体やリフォームを予定している場合は、法令に基づく事前調査について有資格者や専門調査機関へご相談ください。

また、アスベストによる健康被害や各種給付金の申請など、法的な手続きに関して疑問やお悩みがある場合は、弁護士法人ネクスパート法律事務所への相談もご検討ください。

コラム監修者

Shunsuke Teragaki

Shunsuke Teragaki

所属:代表(東京オフィス)

広島県広島市出身。修道中学・高校を経て、慶應義塾大学商学部で経営・会計・商取引を学ぶ。その後、青山学院大学法科大学院を修了して2011年に新司法試験に合格し、最高裁判所司法研修所を修了(65期)。2013年1月に第二東京弁護士会に弁護士登録し、都内法律事務所で個人・法人を問わず幅広い分野の相談・交渉に取り組む。

2016年1月に佐藤塁と共にネクスパート法律事務所を創業し、共同代表として、東京オフィスを拠点に、企業のコーポレート法務、M&A・事業承継、薬事・医事法務を中心に取り扱う。商学部で培った経営の視点を生かし、法的な可否にとどまらず、事業への影響や実行可能性まで含めた選択肢を示すことを重視している。

また、一般社団法人薬機法医療法規格協会の代表理事、一般社団法人日本美容サロン協議会の監事、一般社団法人睡眠ヘルスケア協議会の外部有識者(認証評価委員)を務め、医療・美容・ヘルスケア分野の広告規制や業界の自主的なルールづくりにも関わっている。依頼者に最適な見通しと戦略的な解決策を示すことを信条とし、丁寧かつ粘り強い対応で信頼を築いている。

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